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日本骨粗鬆症学会主催 若手サマーセミナー2015に参加しました (益谷法光)

この度、宮腰尚久准教授の御高配により8月1日〜2日に幕張で開催された「若手サマーセミナー2015」に参加させていただきました。この会は若手研究者に向けて臨床研究のデザインや実際、論文作成のノウハウについてグループワーク形式で行うもので。慶応義塾大学の岩本潤先生を中心に沢山の先生方から臨床研究や論文投稿のコツなど幅広く丁寧にご指導いただく、貴重で濃密な二日間でした。

大学からは自分が、羽後病院から木下先生が参加し、会場となった幕張では熱中症で十数人が搬送されていたようですが、我々のグループワークもそれに負けないほどの熱気で2日間の日程を行いました。

東京大学22世紀医療センター吉村典子先生から実践的な疫学研究について貴重なお話をいただき、秋田大学で毎年行っている阿仁検診にも応用できることが多くありました。藤田保健衛生大学の鈴木敦詞先生からは論文の投稿から採択までというテーマでお話をいただきました。学会発表と論文発表の違いから実際に投稿するときに注意すべき点について、非常に参考になるお話が聞けました。そのほかにも様々な内容についてそれぞれ第一線でご活躍されている先生方から大変ためになるお話をいただき、消化不良一歩手前ではありましたが大変勉強になりました。

「臨床研究をデザインする」というグループワークでは「ビタミンD」をテーマに各グループで臨床研究をデザインするということを行いました。自分のグループでは「BP製剤で治療中の閉経後骨粗鬆症患者に対するエルデカルシトールの安全性と効果の検討」という臨床研究をデザインし、賞をいただきました。木下先生のグループも優秀賞を獲得しており、日頃からご指導いただいている成果を発揮できたと思います。

 

今回、このような貴重な会へ参加させていただきました宮腰尚久准教授、スライド添削をお忙しい中ご指導いただきました粕川雄司講師、またA-boneの諸先生方へ深く感謝を申し上げます。

またいつも一流の仕事を積極的に体験することの重要性をご指導いただいております島田洋一教授へも深く感謝いたします。

第33回日本骨代謝学会学術集会(粕川雄司)

平成27年7月23日~25日に東京で「第33回日本骨代謝学会」が開催されました.骨・軟骨代謝の基礎的研究から骨粗鬆症の臨床的な研究まで,幅広いテーマが取り上げられている学会です.臨床に関しては,日本整形外科学会,日本内分泌学会・日本リウマチ学会との合同シンポジウムが開催され,骨・軟骨代謝とそれぞれの分野の疾患との関連についてディスカッションが行われました.

今回この学会で佐々木 聡先生が,学会の機関誌であるJBMMの論文賞を受賞されました.受賞された論文は,「Low-energy diaphyseal femoral fractures associated with bisphosphonate use and sever curved demur: a case series」です.大腿骨の弯曲とビスホスホネート製剤の使用が,大腿骨の非定型骨折と関連することをまとめたもので,米国骨代謝学会(ASBMR)の非定型大腿骨骨折に関するコメントにも引用されています.日本や海外から多くの骨代謝に関する論文が投稿される雑誌で,論文賞を受賞されたことは大変喜ばしいことと思いました.佐々木 聡先生,おめでとうございます.

また,日本骨代謝学会と日本整形外科学会との合同シンポジウムでは,宮腰尚久准教授が「骨粗鬆症性脊椎病変の病態と治療戦略」と題し,骨粗鬆症による脊柱変形と転倒や消化器症状の関連とその治療についてご講演されました.このシンポジウムでは,骨代謝と関節リウマチ,骨折,後縦靭帯骨化症,腫瘍についての関連,軟骨再生の現状や将来展望についての討論がされていました.

教室からは,野坂光司先生,土江博幸先生,木下隼人先生と粕川がポスター演題で発表しました.これからも,骨代謝・骨粗鬆症の研究を継続できるように頑張っていきたいと思います.

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第4回与次郎駅伝 (佐々木研)

2015年7月19日,秋田市千秋公園周辺において開催された第4回与次郎駅伝に参加しました.われわれ秋田大学整形駅伝部は4チームを職場対抗の部にエントリーしました.1人2.6kmのコースを1チーム4人でたすきをつなぎます.与次郎駅伝には2年ぶりの参加となりましたが,大会の規模も以前よりさらに大きく,レベルも上がった大会となっていました.職場対抗の部には約170チームがエントリーし,スタートの風景は駅伝とは思えぬ人だかりとなっていました.島田教授夫妻の熱いご声援も受け走った結果は・・Aチームは入賞には届かず13位,Bチームも18位と健闘しました.Cチームは44位,Dチームは78位でした.下記は各チーム・個人の結果です.(カッコ内:区間順位)

 

秋大整形駅伝部A 42分15秒 第13位

1区 岩本陽輔 11:20(62)

2区 根本 晃 10:22(17)

3区 成田裕一郎 10:56(15)

4区 佐々木 研 9:37(6)

 

秋大整形駅伝部B 44分06秒 第18位

1区 齋藤 光 10:51(49)

2区 山田 晋 11:24(34)

3区 小林 志 10:41(10)

4区 高橋靖博 11:10(35)

 

秋大整形駅伝部C 48分00秒 第44位

1区 長谷部 亘 9:42(23)

2区 長幡 樹 11:22(33)

3区 飯田純平 13:53(94)

4区 湯浅悠介 13:03(100)

 

秋大整形駅伝部D 51分40秒 第78位

1区 竹島正晃 10:39(43)

2区 河野哲也 13:09(96)

3区 冨岡 立 13:27(82)

4区 加賀 望 14:25(124)

 

個人別 与次郎ランキング

1位 佐々木 研 9:37

2位 長谷部 亘 9:42

3位 根本 晃 10:22

4位 竹島正晃 10:39

5位 小林 志 10:41

6位 齋藤 光 10:51

7位 成田裕一郎 10:56

8位 高橋靖博 11:10

9位 岩本陽輔 11:20

10位 長幡 樹 11:22

11位 山田 晋 11:24

12位 湯浅悠介 13:03

13位 河野哲也 13:09

14位 冨岡 立 13:27

15位 飯田純平 13:53

16位 加賀 望 14:25

 

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平成27年第112回東北整形災害外科学会 (河野哲也)    東北整災野球大会 (杉村祐介)

2015年7月17日、18日 福島市で第112回東北整形災害外科学会に参加してまいりました。

 

東北7大学学生セッション

今回から初めて行われることとなった、目玉セッションの一つになります。

東北7大学から学生が一人ずつ演題を披露するもので、本大学からは6年生の原田俊太郎くんが大役を務めてれました。秋田大学の演題は「秋田大学整形外科における学生リクルートの現状と成果」と、他大学とは一線を画した発表内容でした。受賞はなりませんでしたが、秋田大学整形外科の勢いを顕示してくれた素晴らしい内容だったと思います!一緒に働ける日が楽しみです。

東北整災

 

 

 

 

 

 

河野哲也

平成27年7月17~18日に福島市で、第112回東北整形災害学会が開催されました。今年も学会早朝に親善野球大会が行われ、我がノーザンデーモンズも日整会野球出場をかけ熱戦を繰り広げてきました。

【メンバー】

監督 島田洋一教授

1番 大内賢太郎(センター)

2番 千田秀一(ショート)

3番 加茂啓志(レフト)

4番 齊藤英知(サード)

5番 奥寺良弥(ファースト)

6番 杉村祐介(キャッチャー)

7番 関展寿(ピッチャー)

8番 本郷道生(ライト)

9番 嘉川貴之(セカンド)

控え 河野哲也、益谷法光、水谷嵩、木村竜太

 

【試合結果】

秋田大学(ノーザンデーモンズ)5 – 9 山形大学

 

初回、ノーザンデーモンズの打線がつながり、先制の4点をあげました。昨年までのキャプテン大内賢太郎先生は、今年はバッターに専念し、見事チーム史上初となる柵越えホームランを放ちました。しかし、山形大学に逆転を許してしまい、残念ながら敗退という結果となりました。勝利には投手陣や守備面の強化がまだまだ必要です。

来年は野球部出身の有望な若手医師が2名入局予定です。新たな時代を向かえ、是非とも悲願の日整会野球大会出場を目指し、準備していきたいと思います。

今回の大会にご尽力頂いた皆様、早朝から応援に駆けつけてくださった皆様、誠にありがとうございました。

来年も頑張りましょう!

2015東北整災野球

ノーザンデーモンズ主将 杉村祐介

出羽・阿賀リウマチフォーラム (杉村祐介)

平成27年6月27日、新潟市で出羽・阿賀リウマチフォーラムが開催されました。

この研究会は今回、初の開催で、秋田からは島田洋一教授率いるAORA医師15名と、中通総合病院のリウマチ診療に関わるナース、検査技師合わせ総勢21名で参加してきました。

 

研究会の前には、新潟県立リウマチセンターの見学の機会を設けていただきました。リウマチセンターは2006年に設立された公立病院で初めてのリウマチ専門病院です。特徴の一つが『連携』です。整形外科医と内科医の診察室が隣り合わせで、すぐに相談ができる環境となっています。診察室が円形に配置されているのにも驚きでした。また医師、看護師、リハビリスタッフとの情報交換も密に行われています。さらに、院外連携として、サテイラトクリニック(協力病院)との連携体制も構築されており、病状が安定している患者は、診療所などの地域の医療機関をかかりつけ医とする機能分担がなされています。もう一つの特徴は『教育』です。入院病棟では治療のための入院のほか、リウマチの教育入院も行っており、医師だけでなく、他職種からアドバイスを受けられる内容となっています。また、院内、外来などで患者向けのリウマチ講義も定期的に開催されています。さらに地域住民に対しての市民公開講座にも力を入れており、教育への意識の高さに感銘を受けました。

 

研究会においては、一般演題に、中通総合病院看護師の熊谷久美子さんが「総合病院における看護師の役割」、新潟県立リウマチセンター看護師の瀧澤夏樹さんが「関節リウマチ患者における疾患活動性と栄養状態の関連」、中通総合病院検査技師の佐々木由香さんが「当院における関節超音波検査の現況」、新潟県立リウマチセンター看護師の漆山由美子さんが「当院のフットケアの取り組みについて」を発表されました。それぞれの施設のスタッフの取り組みを知ることができ、リウマチ診療に対してお互いに刺激を受けることができたと思います。

教育講演では、新潟県立リウマチセンター副院長の伊藤聡先生が「高齢関節リウマチ患者におけるエタネルセプトの有用性」をご講演されました。高齢リウマチ患者に対する生物学的製剤の選択は日常診療でも非常に慎重になるところですが、新潟県立リウマチセンターの実臨床でのエタネルセプトのデータをご紹介頂き、普段疑問に感じているところの答えを得られる内容で大変勉強になりました。

特別講演では、我らが秋田大学大学院整形外科学講座の島田洋一教授が「リウマチ性脊椎障害と骨粗鬆症」をご講演されました。頚椎手術変遷の歴史から、生物学的製剤で脊椎病変進行を抑制できるかという最新のトピックスまで幅広く教えて頂きました。リウマチ患者の生命予後を左右する頚椎病変について、注意を払うべき頚部の動作指導などコメディカルにも分かりやすい内容についてもご講演頂き、リウマチ患者の頚椎病変の重要性を多くの人が認識できたのではないかと思います。

 

研究会の後には、新潟県立リウマチセンター、AORA合同でコメディカルスタッフも含め懇親会を行いました。新潟県のお酒もとてもおいしく、ざっくばらんな話しもでき、大いに盛り上がりました。

 

新潟県立リウマチセンターの勢いに負けずに、今後AORAも活動をさらに発展させていけるよう、頑張りたいと思います。

 

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杉村祐介

第48回日整会骨・軟部腫瘍学術集会 (鈴木真純)

7月10日、香川県高松市にて行われました、日整会骨・軟部腫瘍学術集会、特別研修会のご報告です。骨軟部腫瘍の診療に携わるにあたり、基本であり必修となる事項を習得する貴重な講演でした。特に会の冒頭で話されていた、この講演が行われるようになって以降、間違った初期対応で取り返しのつかない状況になるケースが減少してきたという言葉が印象的でした。

最初の御講演は、埼玉県立がんセンター整形外科部長 眞鍋 淳先生の「骨腫瘍の治療」でした。はじめの総論では腫瘍の種類に応じた、保存療法の適応・手術・科学療法・放射線治療に関することが中心で、実際に初診から治療までの一連の流れを経験することの少ない自分にとっては大まかな流れを確認できる良い機会となりました。次に、良性骨腫瘍・原発性悪性骨腫瘍・転移性骨腫瘍の治療に関するもので、これも各腫瘍の特徴最近の動向も交えて御講演されておりました。こちらも、所々を断片的な知識程度にしか知らなかった重要事項が満載であり、改めて勉強になりました。

次の御講演が、東京医科大学整形外科教授 西田 淳教授による「軟部腫瘍の診断」でした。序盤は2013年のWHO分類の改訂の話に始まり、好発年齢・腫瘍の良悪性による好発部位、組織学的悪性度など、序盤から自分の勉強不足を痛感する内容でした。この御講演の中でも治療に関して(主に手術治療を中心に)のお話がありましたが、あくまで診断の重要性に重きを置く内容が強調されておりました。後半では、もはや診断には必須とも言える、CT・MR・PET検査・エコーなどの画像診断における各検査の目的、見所などを詳しくご高説頂きました。最後に診断の最重要とも言える生検・病理診断に関しては、あくまで熟練した診断・評価能力が必須であり、次に行われる切除術を意識した対応が必要であることが理解出来ました。

最後に、御講演頂いたお二人の先生が共通しておっしゃっていた、『骨軟部腫瘍は患者の生命に直結する分野であり、不用意な生検が治療結果を左右する。』という言葉がこの会において最も印象に残りました。短時間の研修でしたが、少ない機会かもしれませんが日常診療で、今までと違った姿勢で腫瘍の診療に臨もうと考える十分なきっかけになったと思います。

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AORA セミナー 2015 (宮本誠也)

平成27年7月10日にAORA祭り(AORAセミナー)が開催されました.平成22年7月に,地域格差のない標準医療を目的として設立され5年という節目を飾る盛大な会でした.平日にもかかわらず,参加者が140名以上とこれまでの研究会の常識を覆し伝説をつくりました.

冒頭の目玉はとして準備したのが,真っ赤な法被です.島田教授から,「伝説作りに必要なサプライズ」=「気合の入った赤の法被(はっぴ)」であろうとの一言.専門の業者さんと色,形,デザインを検討しました.学会発表準備よりも時間と頭を使いました.教授と二人で登場した時の会場の雰囲気は,二度と経験できない(?)体験でした.

一般演題1は,中通総合病院の看護師・熊谷久美子さんから総合病院における看護師の役割について,一般演題2は,同病院の検査技師・佐々木由香さんから関節超音波の導入についての発表でした.

特別公演1では,谷村一秀院長(北海道内科リウマチ科病院)に「RA診療における関節エコー検査の有用性」について,基礎から応用までご講演いただきました.引き続き特別公演2では,前日本リウマチ学会理事長の小池隆夫北大名誉教授から「リウマチ診療−過去・現在・未来−」と題してご講演いただき,<関節の腫脹>をいかに評価するかが重要であることを学びました.

AORAの活動を振り返ると,たった5年間で周囲に追いつき,もうすぐ追い越せるところまできました.小池名誉教授からいただいた,「秋田のRA患者さんたちは本当に幸福だ」を心の糧に活動を続けます.

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第2回こまち疼痛を考える会 (尾野祐一)

第2回こまち疼痛を考える会が秋田ビューホテルで開催されました。

一般演題1では市立秋田総合病院の若林育子先生から「下血を合併した腰椎椎間板ヘルニアの1例」を発表していただきました。消化器内科医のアンケート結果や文献報告をふまえ、症例ごとの鎮痛薬の使い分けを提示していただき、臨床現場で非常に役立つ内容でした。

一般演題2では能代厚生医療センターの安藤滋先生から「急性腰背部痛を主訴に整形外科を受診した大動脈解離の3例」を発表していただきました。外来でよく遭遇する腰背部痛患者の中に、整形外科疾患ではなく、他科領域の疾患、特に大動脈瘤や大動脈解離など緊急性を要するような疾患が隠れていることを提示していただき、普段の臨床現場でも注意しなければならないと改めて強く認識させられました。

特別講演は山梨大学整形外科の江幡重人准教授から「腰部脊柱管狭窄症の診断と治療」についてご講演頂きました。椎間孔部での神経根障害を疑う際の画像所見のポイントや頚部脊髄症患者に腰椎病変を合併例が多いこと、またO-armを用いたPPS挿入の様子などを提示していただき、大変興味深い内容でした。腰部脊柱管狭窄症に関して基礎的なこと、定義や診断方法、保存治療、手術治療、手術を勧める際の基準など、分かりやすく教えていただき大変勉強になりました。この会で学んだことを普段の臨床現場でも活かしていければと思います。

 

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秋田大学整形外科大学院 尾野祐一

CSRS European section, 31th annual meeting in London (鈴木真純)

5/26〜5/28にかけてイギリスの大英博物館にて開催されました、国際頚椎学会ヨーロッパセクションに参加させて頂きましたのでご報告します。

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ことの始まりはある日のASG カンファランスの終了間際に、若手の海外学会への積極的参加の話題の時でした。教授の「みんなのロンドン」というお言葉とともに上記学会参加が決定しました。参加メンバーは、秋田厚生医療センターの小林孝先生、秋田大学の石川慶紀先生、木村竜太先生、そして秋田労災病院より佐藤千晶先生の5人での参加となりました。

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5/26早朝より秋田を発ちましたが、飛行機の準備遅れのため現地で同日行われましたwelcome receptionには参加することができず、翌日の本会からのスタートとなりました。会場はロンドンの大英博物館(ナイトミュージアムという映画の舞台にもなっています)の講堂のような一室とその周辺のフロアを貸し切る形で開催しておりました。形式としては、各セッションのテーマに沿ってoral presentation があり、それに対して質疑応答を行う、という流れが基本のようでした。もちろんそれだけではなく、各国の著名な先生3人が round tableというセッションでそれぞれのケースプレゼンテーションを交えた発表とディベートは(ほぼ自分は着いていけておりませんでしたが)圧巻でした。特に、「Learning from others mistakes」というテーマでは頸椎術後に陥ることのあるピットフォールと、それに対する対処を実際の症例を中心にレクチャーするというもので、まさに失敗から学ぶことの方が多いということが良く分かりました。その他印象に残ったのは術式選択の違いです。国が違えば当然と言われれば当然ですが、日本であれば椎弓形成を選択することが多いであろう症例が、当然の如く前方固定であったり、後方除圧固定適応なのかななんて思っていたら、術後写真では思い切りcorpectomyしてメッシュケージが入っている写真が出てきたりと、まだ自分の経験が浅いこともあって非常に衝撃的でした。

また学会期間中に、秋田でも御講演頂いております、鐙邦芳名誉教授にもお会いすることが出来ました。

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ここからはアカデミックな話ではありませんが、自分のイギリスのイメージとして第一に思いつくのが、「飯がまずい」ということでした。しかし実際は全くそんなことなく、定番のフィッシュアンドチップスからミートパイなどとても美味でした。また、ロンドン市内の建物も歴史的な建造物がほとんどであり、どこを歩いても飽きない素晴らしい町並みでした。海外学会恒例の観光も、ビッグベンからバッキンガム宮殿、ミュージカル、美術館など非常に充実した内容でした。

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最後に、このような学会に参加する機会を与えてくださった島田教授、宮腰准教授に改めて深く御礼申し上げます。また、引率してくださった小林孝先生、石川慶紀先生にも改めて御礼申し上げます。この学会で受けた刺激を今後に生かしてゆきたいと思います。

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木島泰明先生 留学便り 10

2015年の3月から4月まで、フランス・パリのClinique Maussins-Nollet で研修させていただきました木島泰明です。今回は、Alexis Nogier先生の股関節鏡手術についてレポートしたいと思います。

 

研修初日はクリニックの玄関で待ち合わせ。最初の3日間はギリシャから見学に来ていたドクターと一緒。Nogier先生登場後、3階の個人秘書シャルロットさんの部屋に向かう。そこでパンとジュースを御馳走になり、自己紹介が済んだところで、地下一階の手術室に向かう。帽子やマスクなどは、アンリ・モンドール病院と同じなのでOK。靴下はそのままだが、ここでは靴は履きかえる。

 

Nogier先生の手術日は月曜日と水曜日。月曜日は1つの手術室を借りていて、主に股関節鏡手術とリヴィジョンTHAを行い、水曜日は2つの手術室を交互に使い、主にプライマリーTHAを1日6-8件行っているとのこと。スペイン人の専属の機械出しナースのミラさんがすべての手術に入ってくれるだけでなく、THAのテンプレーティングまでやって、それをNogier先生がチェックするスタイルです。

 

8時半ころに入室し、9時にはセッティング完了。月曜日には、パリの別の病院の先生が股関節鏡を学びに来ている。件数が多くない時には、近くのカフェにみんなでランチに行く。件数が多いときには秘書さんがパスタや寿司(!) のテイクアウトを運んでくれる。

 

Nogier先生の股関節鏡手術は、透視を使わず、牽引台は使うものの刺入時には牽引せずに辺縁部にまずカメラを入れるという、フランスで開発されたperipheral first approachが特徴です。カメラはストライカー、道具はスミス&ネフューがメインでした。45度くらい股関節屈曲位で、大転子と上前腸骨棘の中間あたりのソフトスポット(と言っていました、いわゆるproximal mid-anterior portalに近い位置のよう)からニードルを刺入してグリグリと大腿骨頸部を探って、関節包内まで刺入(牽引をしていないので、大腿骨頭と寛骨臼の間には入れない)。ですので、刺入方向は患者さんに対して、真横かやや遠位に向かう感じになります。Just anterior part of the femoral neckを目指し、そこから骨頭のヘリに進む感じとのことでした。潅流水ははじめから入れていました。

 

(この後、話は本格的にマニアックになります、申し訳ありません。股関節鏡手術に興味のない方は読み飛ばしてください。次回はパリから行ける小旅行のお話にします。)

 

股関節のスコピーは一度機械を抜いてしまうと、また入れるのが大変なので、ヘラを使って機械を出し入れするのですが、シェーバーから何かに入れ替えるときには、シェーバーのヘッドだけ残して(実際にはヘッドの内筒も取って外筒だけ残して)、それにガイドワイヤーを通し、そのガイドワイヤーをガイドにロッドやヘラを入れる、あるいはその逆に、ニードルが関節内に入れば、それに通してガイドワイヤーを入れた後に、そのガイドワイヤーをガイドに、シェーバーヘッドの外筒を入れてから、内筒とシャーバーの本体を付けるという方法で機械を入れ替えていました。(文章だとわかりにくいですね。)

 

関節唇の縫合はせずデブリ(切除)だけ行う場合は、カプセロトミー(関節包の切除や切開)は1cmくらいに留めるとのこと。ただし、操作に必要なら広げるとのことでした。ラブラルシスト(とおっしゃっていました-MRIで関節唇が膨化してシスト様に見える所見)の時はリペアの適応はなくリゼクションがいいだろうとのご意見でした。同様に、明らかに変性している部分の関節唇もためらいなく切除していました。

 

縫合したのに痛みが取れない患者さんもいらっしゃり、術後半年や1年でも痛みが取れない場合にはリオペして縫合した関節唇を縫合糸ごとデブリするという手術もありました。関節唇損傷で最初からデブリをしたものの、やはりスポーツ時の痛みが取れない患者さんもいらっしゃり、ダメならもう1回スコピーやるか、あとはスポーツを変えるかしかないとお話をしなければならないケースもあるようでした。

 

2ndポータルは、股関節を伸展位にして、1つ目のポータルからの鏡視をしながら作ります。2つ目のポータルは、Anterior lateral portalとPosterior lateral portalの中間くらい(つまり大転子のすぐ近位あたり)の位置からニードルを入れて、ニードルに通してガイドワイヤーを入れ、ガイドワイヤーに金属カニュラを通して穴を広げた後に、ガイドワイヤーにシェーバーヘッドの外筒を通してから、ガイドワイヤーを抜き、残したシェーバーの外筒に、内筒を付け、ついでシャーバーの本体を装着、という手順で行っていました。そしてこのままシェーバーでカプセロトミーに移ります。つまりビーバーメスでの関節包切開はしません。

 

この2つ目のポータルは、ほぼジョイントラインで刺すのがリーズナブル(つまり単純X線写真で言うと、ほぼ真っ直ぐに大腿骨頭と臼蓋の間に入るような角度でということ)とおっしゃっていました。

約1㎝径の関節包の穴を作り、操作性が確保できたら、このままシェーバーをアブレーダーに代えてCam切除に移ります。Camはメディアルにはないし、骨頭の栄養血管の損傷や術後の骨折のリスクになるのでメディアルは削らないこと、つまりAnterior synovial foldよりも内側は削らない、と注意して下さいました。反対に、外側は後上方までかなりしっかり削ります。Pincerに関しても牽引せずに明らかにPincer(というか関節唇がなくなっているような、つまり骨棘)と思われる部分はこの時点で削っていました。

 

このあとに、2つ目のポータルのアブレーダーをロッドに入れ替え、鏡視しながら徐々に患肢を牽引していき、ロッドが大腿骨頭と寛骨臼の間(いわゆるcentral part)に入るくらいになったところまでで牽引をストップし、そのままcentral partにロッドを進め、ロッドがしっかりそこに入ったら、そのロッドを通して、カメラ用の金属カニューレを入れ、その金属カニューレにカメラを入れます。これで2ndポータルからの鏡視となるのですが、僕が見慣れたいつもと同じ見え方になります。そして最初に作ったポータルからあらためてニードルを入れて関節唇の処置に移ります。

 

局所的で不安定性のない関節唇損傷はリペアではなくデブリをし、Camを前方から後方までしっかり削るのを重視されています。後方の関節唇の処置は、1つ目のポータルから鏡視して、2つ目のポータルから処置していました。

 

ディスプラジア気味の時は関節包切開を出来るだけせずに、ポータル作成時のカプセルの穴をほんの少し大きくする程度のみにするとおっしゃっていましたし、寛骨臼形成不全の患者さんに合併するCamで、明らかな関節唇損傷がない場合はCam切除だけで終了し、臼蓋側はいじらない症例もありました。でも、DysplasiaとCamの所見だけであればまず保存治療を勧め、だめならスコピーという感じのようです。いわゆるborderline dysplasiaでもCTで少しでもOAの所見があれば、スコピーではなくTHAを勧めていました。逆にFAI由来のOAのような方の場合には、少しOAの所見があっても若い人などでは、いきなりのTHAではなくスコピーをやってみてだめならTHAを検討しようというケースもあります。いずれにしてもTHAの切れ味に比べると股関節鏡での処置はすぐには症状がすっきりしない患者さんも多く、「パーフェクトじゃないけどカタストロフィックでなければ半年か1年待ってみると徐々に落ち着くケースも多い、それでもダメなら再度の画像検索かリヴィジョンスコピーを考慮する」とのことでした。

 

単純X線写真の正面像やCTのコロナールで見えるCam(いわゆるピストルグリップ変形の部分)を切除するには鏡視でもかなり外側を削るイメージ、単純X線写真のDunn view、LauensteinやCTのアキシアルで指摘できるCamが前方から前外側を削るイメージです。見た目で軟骨でない部分はアブレーダーの厚さ分くらい全部削るという感じでした。再発や痛みの取れにくさの原因はCam切除の不足が多いとのことです。この辺がとても難しいです。

 

Alexis Nogier先生は、週に1回、別の病院、というか外来だけのサテライト・クリニックで外来をしていました。外来の時は2つの診察室を使い、術後の患者さんは個人的に雇っている診察助手さんが診察したうえで、それをNogier先生が確認し、もう一つの診察室で新患の方を自ら診察するというスタイルでした。患者さんの外来や入院・手術の予約の管理はすべて秘書のシャルロットさんがやってくれます。ここではどのドクターも同じようなスタイルで、部屋だけを借りて秘書さんや助手さんを持ち寄って営業している、という感じでした。

 

その新患外来も見学させてもらったり診察させてもらったりしたのですが、股関節のローテーションで痛みが出るけど可動域制限はない、というのが関節唇損傷の典型的な所見だとおっしゃっていました。OA以外で外来を受診する患者さんのほとんどは関節唇損傷で、痛みの部位としてはやはり鼠径部痛がメインですが、後方は仙腸関節、下方は会陰部から坐骨結節のほうまで痛がる方もいらっしゃいます。関節唇損傷に関してはCamをしっかり削れればリペアでなく切除だとしても成績はいいとのことです。(もちろんリペアもされていますが。)

ただし、画像で関節唇損傷がはっきりせず、骨軟骨病変(表面の不整)のみのケースもあり、そのような所見なら軟骨片などの引っ掛かりが痛みの原因になっている事が多いので、痛みが強ければすぐに診断的スコピーを行い、デブリや遊離体除去で痛み取れることが多いとのことでした。逆に、痛み以外での可動域制限があればスコピーのコントラインディケイションともおっしゃっています。

 

外来では単純X線写真をまずじっくり見ており、たとえば明らかなBumpではなくても、インピンジするような大腿骨の位置に骨硬化があればCamの所見と話しておりました。こちらでは原因のはっきりしない股関節痛の画像診断としては、MRIよりも関節造影CTが一般的なようで、開業している放射線科医がやってくれます。患者さんはその画像を持って整形外科医(股関節外科医)を受診します。関節造影CTでちょっとでも関節唇基部に漏洩があってインピンジメントテストが陽性ならすぐに股関節鏡手術を勧めていました。家庭医みたいな先生にNSAIDsなどの保存治療はすでに受けている患者さんがほとんどだというのもあり、あまり保存治療を勧めるケースは見られませんでしたが、画像ではっきりしない場合はやはりラディオロジストに依頼して関注のブロックテスト(キシロカインテスト)をしています。ただし、CamもPincerもDysplasiaもはっきりしないごく小さい関節唇損傷では、まず保存治療を勧めていました。Nogier先生の外来にはフランス代表レベルのアスリートも受診されていました。

 

THA後に生じた前方の痛みでの腸腰筋インピンジメントと診断される患者さんもちらほらいました。腸腰筋を使うような動きで前方の痛みが出るのを診断の根拠にしていました。ストレッチなどで痛みが取れなければ、スコピックに腸腰筋腱切離を行っていました。この時は1つ目のポータルの少し遠位(いわゆるMid-anterior portalの位置)からカメラを入れ、1つ目のポータルからのRFプローブで腱切離を行っていました。つまり切離場所は小転子部ではなく、関節内なので神経・血管に注意して慎重に行う必要があります。

 

大転子部での腸脛靭帯のスナッピングに対しても鏡視下での処置を行っていました。側臥位にして、大転子の近位と遠位に切開を入れ、皮下にカメラと鉗子を刺入します。そして潅流液を流し、70度鏡を用いて外側から腸脛靭帯を見ながら、RFプローブを使って大転子上の靭帯を幅30mm 長さ50mmくらいの範囲で切除していました。成績はとてもいいそうです。Synovial chondromatosisも股関節鏡の良い適応と話していました。完全に取り切れなくても痛みはかなり改善するようです。もちろん再発のお話はしていらっしゃいました。

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Clinique Maussins-Nolletの外来診察室や手術場の風景です。リフォームしたばかりのようでとても綺麗です。キリン模様のポータブル単純X線写真の撮影機がかわいい!

 

写真2

左上はいわゆるherniation pit。左下は前方のCamの切除部分。右上は関節造影CTでの関節唇断裂の所見と外側のCamの切除部分。右下は関節唇損傷を示唆する前方のシストです。

 

写真3

左股関節のポータルの位置です。右上が1st ポータルを刺入したところ。股関節屈曲位です。左下は終了後。縫合部の位置でポータルの場所がわかるでしょうか。右下は牽引台です。

 

写真4

1st ポータルからの鏡視。2nd ポータルからロッドを入れて、徐々に牽引。ロッドがcentral partに入るようになったら(右図)、ロッドに金属カニュラを通し、そこにカメラを入れれば関節軟骨と関節唇の鏡視が可能となる。

写真5

Labral cystとのこと。このようなケースでは縫合は困難とのこと。

写真6

大転子部でのsnapping hipの症例。側臥位で大転子直上の皮下にカメラを入れての腸脛靭帯を部分的に切除。傷が小さくて喜ばれるとのことです。