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第1回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会(木村竜太)

H29年10月28、29日に大阪国際会議場で第1回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会が開催されました。大阪大学の菅本一臣教授が会長をされ、「すべてがかわるリハビリテーション」というワクワクするテーマでした。

リハ医学会の秋季学術集会は初めての開催で、急増するリハビリの需要に対応し、エビデンスのある医療を提供するため今年度から春季と秋季の年2回の開催となりました。

当科からは島田洋一教授、松永俊樹准教授、工藤大輔先生、加賀望先生、岩本陽輔先生、塚本泰朗先生、木村の7人が参加し、FES(機能的電気刺激)、脊髄損傷の疫学、ロボットリハ、3Dプリンター装具、超音波などの発表を行いました。

療法士の先生も多く参加されており、どの会場でも立ち見が出るほどの盛況ぶりで、各会場で熱のこもった討論が行われておりました。

 

東京オリンピック・パラリンピックに向けての、障がい者スポーツのシンポジウムでは、カヌーでリオ8位になった瀬立モニカ選手も登壇され、「障がい者スポーツ医に望むこと」を提言されていました。海外では医師から障がいが生じた方へスポーツへの参加を積極的に促すそうですが、日本ではそのようにしてスポーツを始めた選手は少ない、ということでした。まだ日本国内では障がい者スポーツに理解がある医師は少なく、障がい者スポーツ医は秋田県内には2人しかいません(1人は当科の藤井昌先生です)。ぜひ自分も取得し、障がい者スポーツ発展の力になれればと思います。

第44回日本肩関節学会(杉村祐介)

2017年10月6~8日に、第44回日本肩関節学会が東京で開催されました。

今回は中通総合病院の畠山雄二先生、秋田大学の木島泰明先生、市立横手病院の大内賢太郎先生の演題が採択されました。今年の学会はこれまでの2日間から3日間に会期が延長され、また第1回アジアパシフィック肩肘シンポジウムも同時開催となり海外からの講師も多く、規模の大きさと国際色を感じさせる学会でした。日ごとに腱板、不安定症、人工関節、スポーツ障害などテーマが分かれていたこともあり、テーマごとに勉強しやすい構成でした。不安定症では具体的な症例ごとにケースディスカッション形式でのシンポジウムも行われ、様々な意見が出て診療方針を決める際の参考になる内容でした。また鏡視下上方関節包再建術の講演では、関節窩へのアンカーはメタルでなく細いソフトアンカーを多く使用することや、腱板の前方および後方(残存する肩甲下筋、棘下筋)を可及的に修復してから筋膜固定することの重要性が述べられていました。

また、学会後は畠山先生セレクトの中華料理店を訪れ、皆で美味しい料理を頂きました。

新たな刺激を受け実りのある学会となりました。今後もさらに成長できるよう日々頑張りたいと思います。

最後に、学会中の業務を代行してくださいました先生方に感謝いたします。

第6回国際足の外科学会(IFFAS 2017)に参加して(柴田暢介)

2017年9月29~30日にポルトガル・リスボンにて開催された6th Triennial IFFAS Scientific Meetingに参加して参りました. メンバーは, 柏倉剛先生, 青沼宏先生と私の3名です(千田秀一先生は残念ながら直接は参加できませんでしたがポスターでのご発表あり). 演題は全員が採択され, ポスターでの発表となりました.

演題を見渡すと, ポスター・オーラルともに日本人の発表が多く, 特に関節鏡のセッションでは演者の半数以上を日本人が占めていて日本のレベルの高さを感じることができました. 演者の先生は獨協医大の大関覚先生, 奈良医大の熊井司先生, 帝京の高尾昌人先生など日本を代表する先生だけでなく, 羊ヶ丘病院の倉秀治先生の元で研修されている若手の丸山和典先生が, オーラルでご自身の研究についてすばらしい発表をされていて, 私ももっと頑張らなくてはと思った次第です.

わずかではありますが観光も楽しめました. 会場近くの発見のモニュメント, ジェローニモス修道院を観て回り, リスボンで一番有名なお菓子であるエッグタルトの人気店にも立ち寄り, 食事は海産物や地元のビール, サングリアを堪能することができました.

今回の学会参加を機に, 今後もAFGの研究, 臨床共に益々励んで参りたいと思います. このような機会を与えていただいた島田洋一教授始め, AFGの先生方, また学会不在中ご迷惑おかけした先生方に深謝いたします.

第11回秋田県整形外科RAトータルマネジメントフォーラム(尾野祐一)

平成29年9月28日、第11回秋田県整形外科RAトータルマネジメントフォーラムが開催されました。一般演題は、北秋田市民病院の相澤俊朗先生から「AORA registryにおけるIFXの検討」、由利組合総合病院の鈴木紀夫先生から「股関節発症の関節リウマチの1例」についてご講演いただきました。特別講演は、帝京平成大学の仲村一郎教授から「関節リウマチと骨代謝―骨免疫調整における抗TNF製剤の役割―」という演題名でご講演いただきました。講演内容は、活性型ビタミンD製剤、プラリアの開発の経緯や、関節リウマチの名前の由来、歴史、原因に至るまで多岐にわたり、とても興味深いものでした。抗TNF製剤には、骨吸収抑制作用とともに、骨形成促進作用を有するという話題や、抗CCP抗体の値に応じて、RAの薬物選択の基準になりうる、という話題など、臨床診療やA-BONEの基礎研究につながるような部分もあり、今後参考にしていければと感じました。

第66回東日本整形災害外科学会学術集会(塚本泰朗)

2017年9月15日, 16日の2日間新宿の京王プラザホテルにて, 第66回東日本整形災害外科学会学術集会が杏林大学市村正一教授を会長に開催されました.

秋田大学からは関連病院含めて脊椎班、関節班いずれからも多くの演題が出され, 活発な討論が両日繰り広げられておりました.

また, 秋田大学関連病院の研修医である五十嵐駿先生, 石橋恭太先生も口演で堂々としたプレゼンテーションをしており, 今後の整形外科医としての活躍が期待される素晴らしい発表でした.

総会では学術奨励賞の表彰があり, 学会に投稿された19論文の中から5編の論文が選出され, 光栄なことに私の「特発性膝骨壊死における内側半月板後角損傷と下肢アライメントの関連」と角館総合病院勤務の三浦隆徳先生の「非定型大腿骨骨幹部骨折と骨粗鬆症性大腿骨骨幹部骨折の比較」の2編の論文がその中に選ばれました. さらに若手優秀演題アワードに赤川学先生の「Hybrid closed wedge high tibial osteotomyのアプローチ法による侵襲性の検討」が選出され、秋田大学の勢いを他大学に印象付けられたのではないかと感じました.

 

 

 

 

 

 

 

また、例年学会期間中に開催される親善スポーツ大会は去年と同様に駅伝大会、フットサル、バスケットボールの3種目が行われました. 秋田大学は去年3種目全制覇の快挙を達成しており, 今年も2年連続の三冠を狙い望みました.

結果は駅伝大会では秋田大学Aチームが圧巻の走りで優勝, バスケットボール大会はBリーグ元秋田ノーザンハピネッツヘッドコーチの長谷川誠さんを特別スーパーバイザーとして招聘し大会に望み, 決勝を秋田大学A対Bで行うという完全制覇で連覇を達成することができました. フットサルは去年の準優勝チームと同じ予選グループに入り、熱戦を繰り広げましたが、勝ちきれず2試合とも同点となった末、順位決めのじゃんけんでも惜しくも敗れてしまい, 2年連続3冠には一歩届きませんでした.

このように学術だけでなくスポーツ活動も秋田大学整形外科は全国トップクラスの成績を収めております. 島田教授のもと地元秋田で開催される来年の同会では学術、スポーツいずれもさらなる飛躍を遂げられるよう日々精進を重ねてまいります。

第51回日本側弯症学会に参加して(尾野祐一)

平成29年8月24日~25日に札幌で開催された第51回日本側弯症学会に参加して参りました。秋田からは本郷道生先生、三澤晶子先生、工藤大輔先生、私がポスターで採択され、飯田純平先生が口演で採択されました。本学会は、ポスター・発表スライドは英語で記載するように指定され(発表は日本語でok)、国際学会を意識してか、口演の発表形式は5~8人ずつ発表して、発表者は壇上にならび、最後にまとめて質問を受けるという、日本ではあまり見ないスタイルでした。口演の飯田先生は、普段と異なる雰囲気でさぞ緊張するかと思いきや、今春の日本脊椎脊髄病学会でのシンポジストの経験からか、緊張するそぶりもみせず、「3次元筋骨格モデルによる骨盤傾斜を伴う高齢女性の立位・歩行時の脊椎・骨盤・下肢矢状面アライメント評価」について堂々と発表していました。後輩ながらさすがです!!

学会では、思春期特発性側弯症の手術や評価方法を中心に、側弯症検診のための新たなスクリーニング法、早期発症側弯症の手術方法、成人脊柱変形の病態や疫学・手術法についての演題が多くみられました。思春期側弯症に関しては、自ら外来でfollowする機会がないため、知識がまだ浅く、発表内容も難しく感じましたが、これを機会にもっと勉強していければと感じました。

 

Rehab week 2017(木村竜太)

7月17〜22日、英国ロンドンで開催されましたRehab Week 2017へ、当講座より島田洋一教授、松永俊樹准教授、工藤大輔先生、飯田純平先生、井上純一先生、畠山和利先生、渡邊基起先生、千田聡明先生、木村、当大学工学部より巖見武裕教授、秋田高専より小林義和准教授の計11名で参加してまいりました。International Neurorehabilitation Symposium (INRS)、IEEE International Conference on Rehabilitation Robotics (ICORR)、Annual Meeting of the International Functional Electrical Stimulation Society (IFESS)、British Society of Rehabilitation Medicine (BSRM)​​ Meetingの4学会が併催され、日本からも医学、工学両分野から多くの参加者がいらっしゃいました。レクチャーが主体でしたが、Poster発表では畠山先生、渡邊先生、千田先生、小林先生、木村がIFESSで、工藤先生がBSRMで発表を行いました。

 

本会はICORRというリハビリテーションロボットの学会も含まれているため、多くのリハビリテーションロボットの展示も行われていました。歩行訓練ロボットでは、日本に1台しかないLokomatのデモもあり、実際に体験しながら、現地のPT、エンジニアから詳細を聞くことができました。目標軌道追従型でありながら、麻痺の改善に応じてモーターサポートとは競合せず、ケーデンスに合わせた歩行速度の調整もできるなど、高い技術に感動するとともに、我々のロボットの利点というのも実感しました。

また手指ROM訓練ロボットや、外骨格系の歩行補助ロボットも様々な機構のものが開発されていました。個人的には、転倒予防訓練のために外乱を歩いている人に与えるという衝撃的なロボットもあり、リハビリ自体にリスクも感じましたが、今後もっと様々なリハビリテーションロボットがでてくると思われ、ワクワクさせられました。

今回得た経験、情報をもとに、より研究の発展へ邁進してまいります。

 

第61回日本リウマチ学会総会・学術集会に参加して(河野哲也)

2017年4月20日〜22日、福岡県国際会議場で開催されました、日本リウマチ学会学術総会・学術集会に参加しました。

私個人にとっては、AORAメンバーに加えていただいてから、初めてのリウマチ関連学会への参加となります。AORAからの演題は、オーラル、ポスターを合わせて10演題の発表がありました。学会日程は計3日間でしたが、毎日14会場で発表・講演があり、内容も診断、治療、リハビリ、看護と多岐にわたり、リウマチ診療は多職種が密に関わっていることを改めて実感しました。

今回私はオーラルでの発表機会に恵まれました。私の演題は「AORA registryにおける生物学的製剤併用手術周術期合併症の検討」です。現在では、多くの生物学的製剤が登場し、よりタイトな関節リウマチ治療が可能となってきましたが、関節破壊が進行し手術が必要な患者さんも多く存在します。そういった症例において、生物学的製剤併用による、術後感染や創傷治癒遅延の発生率等について発表いたしました。質疑応答でも大変貴重なコメントをいただきました。

まだまだ関節リウマチ治療経験の浅い自分ですが、今回の経験を糧に、診断から治療まで一貫して行えるよう、さらに精進したいと思います。

12th Annual International 2017 Orthopaedic Trauma Course(尾野祐一)

2017年4月26日〜30日、島田教授のご高配により、毎年継続して秋田大学整形外科から参加している米国サンフランシスコでの外傷コースに参加しました。参加メンバーは赤川学先生、木村竜太先生、私の大学院同期3人です。初日の26日には、Pre-CourseのCase Presentationsに参加したのち、UCSF San Francisco General Hospitalでリハビリテーション医としてご活躍されている長尾正人先生のもとを訪れ、同院を案内していただきました。長尾先生は、島田教授の札幌医大の同級生ということで、アメリカの勤務医の日常から病院の仕組み、学生時代の島田教授の武勇伝まで幅広い内容のお話を聞かせていただきました。
写真1.Orthopaedic Trauma Instituteで長尾先生と。

夜の懇親会では、長尾先生を中心に、UCSFに留学に来られている清水先生、小林先生、森岡先生や、短期で研修に来ている関西医大の6年生の二人、我々と同じくTrauma Courseに参加するために渡米してきた最上先生、徳永先生、脇先生、稲垣先生らと中華料理を食べに行きました。会場はGreat Eastern Restaurantという所で、あのオバマ前大統領や元NBAプレーヤーの姚明も訪れた有名な会場でした。それぞれ違う大学で、異なる専門分野の先生方から、留学中の苦労や、各大学での基礎研究の様子、他大学からみた秋田大学の印象などといったお話しを聞くことができ、大変貴重な経験となりました。

27〜30日にかけてはGeneral Sessionとして、各骨折に対する一般的な治療法の解説が行われ、最後にプレゼンターが壇上にあがり討論する、という形式でTrauma Courseが進みました。上腕骨近位部骨折に対しては積極的にReverse型肩人工関節置換術が行われていることや膝蓋骨粉砕骨折にプレートが用いられていることなど、日本とは一部異なる部分もありましたが、大方の骨折治療に関しては日本と同様のことが行われ、知識の再確認をすることができました。銃撃事件やテロ発生時の外傷への対応などについてのセッションもあり、銃やテロが日本よりも身近にあることを意識させられ、日本がいかに平和であるかということを強く感じました。

写真2.2017 Orthopaedic Trauma Courseの様子

写真3.Workshopで模擬骨にインプラントを挿入している赤川先生(右)と稲垣先生(左)

今回の米国滞在を通して、米国ならびに世界での骨折・外傷治療方法について確認できたこと、日本の他大学の先生方と親交を深めることができたことは非常に良かったと感じています。と同時に、自分の英語能力の低さも痛感しました。リスニング能力が低いのはもちろんのこと、スピーキング能力が著しく低く、言いたいことを伝えられないもどかしさをいろんな場面で感じました。日本に帰国してからも「英語を身につけたい!」というモチベーションを保ち、いつか海外の人とディスカッションできるよう英語学習を継続していきたいと思います。

The 4th Japan Korea Knee Osteotomy Symposium(赤川学)

平成29年4月22日、富山市民プラザにおいてJapan Korea Knee Osteotomy Symposiumが開催されました。我々ASAKGはここ数年毎年このシンポジウムに参加していますが、今回はシンポジウムに先立ち、前日の4月21日にAO Around the Knee Osteotomy seminarが開催され、国内外の膝周囲k関節温存手術のエキスパートからOsteotomyの基本を学ぶ機会を得ました。セミナーには海外からの参加者も多く、講演からハンズオンまで大盛況でした。当科からは齊藤英知先生がFacultyとして講演し、日本一のTCVO surgeonとして手術手技の基本から豊富な症例を示してくれました。

翌日のJapan Korea Knee Osteotomy Symposiumにも多くの整形外科医が集い、関節温存手術の最新の研究について熱いdiscussionを交わしました。当科からは塚本泰朗先生、佐藤千恵先生がポスターセッションで、斉藤公男先生、齊藤英知先生が口演で発表しました。国内外を通してもTCVOを行っている施設は限られており、その発表は大きな注目を集めました。

ここ数年、膝関節温存手術は急速に普及してきており、特に日本の様な膝の深屈曲を要する生活様式では、その需要はまだまだ大きなものがあると思います。HTO、TCVO、DFOとその術式は多様で、さらにこれらを組み合わせたDouble level osteotomy、Double level triple osteotomyにより、進行した変形性膝関節症患者さんにも対応できる様になってきています。関節温存手術で痛みを取りながらも、自分の膝で生きていく。この意義は非常に大きく、我々ASAKGはますますこのOsteotomyの発展に貢献していかなければならないと感じました。