学会レポート」カテゴリーアーカイブ

第8回日本ニューロリハビリテーション学会、The 6th Japan-Korea Neurorehabilitation Conference(木村竜太)

H29年4月22日、23日に富山国際会議場で第8回日本ニューロリハビリテーション学会、The 6th Japan-Korea Neurorehabilitation Conferenceが開催されました。当大学からは島田洋一教授が「Neurorehabilitation with most advanced biomedical engineering technology」と題してlectureを、松永俊樹先生、木村が一般口演で、岩本陽輔先生がポスター発表を行いました。島田教授から、我々の主なテーマである医工連携による医療機器の開発ならびにその臨床応用について、韓国の先生方にも力強いメッセージを伝えていただきました。

ニューロリハの概念が一般的となり、黎明期、そして揺籃期を経て次の段階へ進む時期のようです。再生医療技術、またロボット技術の発展で急激に発展する可能性をもった分野であり、秋田大学整形外科、リハビリテーション部でも最先端の知識を得ながら、日常診療に還元をしてまいります。

 

追記、晴天の春の富山はとても清々しいところでした。同日隣で行われていた The 4th Japan-Korea Knee Osteotomy Symposium参加の先生と交流もできました。

第46回日本脊椎脊髄病学会学術集会 (工藤大輔)

第46回日本脊椎脊髄病学会学術集会を2017年4月13日〜4月15日、札幌市のロイトン札幌、さっぽろ芸文館で秋田大学整形外科主幹のもと開催させていただきました。遠方にもかかわらず演題数約1500題、参加者数約2300人といずれも過去最大級の学術集会となりました。会長は当教室島田洋一教授で開会式では本大会のテーマ「サイエンスに基づく脊椎脊髄外科の進歩 The practice of spine surgery is an art, based on science」とともに教育研修講演、シンポジウム、パネルディスカッションなどについてご紹介いただきました。また秋田ならではのおもてなしの一つとして秋田銘菓かおる堂についてご紹介いただきました。

各セミナーでは、日本の第一線でご活躍されている先生方に教育的かつ最新の知見について幅広い分野からご講演いただきました。秋田からは阿部栄二先生より成人脊柱変形の治療の変遷と現在の最新知見について、宮腰尚久准教授より骨粗鬆症患者における転倒・骨折予防に対する運動療法とビタミンDの有効性について大変分かりやすくご講演いただきました。また河谷正仁教授より慢性疼痛に関するfMRIや遺伝子工学などを用いた最新のメカニズムについてご講演いただきました。

本学術集会の目玉の一つであるパネルディスカッションでは「医工連携による脊椎バイオメカニクス研究」として日本あるいは世界最先端のシミュレーション技術、バイオメカニクスについて各大学の先生方から最新の研究をご紹介いただき、活発なディスカッションとなりました。特に秋田大学からは理工学部教授巌見武裕先生、当科飯田純平先生より秋田大学独自の最新のシミュレーションモデルについてご紹介いただきました。本モデルの作成は現在もなお進行中で、近い将来本モデルを用いて臨床データをより迅速に検証、評価できるようになるものと期待されています。

会長講演では島田教授より脊柱変形診療の歴史についてご講演いただきました。30年以上も前から秋田県ではモアレ法を用いた側弯症検診が行われてきたこと、1992年当時に世界に先駆けて当教室で胸椎椎弓根スクリュー法が開発されたことなどをご講演いただきました。現在では胸椎椎弓根スクリューは側弯症手術におけるゴールドスタンダード法ですが、当時は危険な方法として世界に受け入れられなかったことなど先輩の先生方の当時の革新的な手術法の開発、それに伴う苦労が伝わってきました。

会期中は一時季節外れの吹雪にも見舞われましたが、幸い大きなトラブルもなく、日本全国のみならず教育講演として世界中から第一線でご活躍されている先生方にもご参加いただき大盛況にて閉幕となりました。ご参加くださいましたすべての先生方、関係者の皆様、企業の皆様、また2年前から本大会を支えてくださいました株式会社コングレの皆様にこの場をお借りして深謝申し上げたいと思います。また本大会が大成功しましたことを会長の島田教授に改めてお慶びお祝い申し上げます。

2017 AAOS(American Academy of Orthopaedic Surgeons,アメリカ整形外科学会)のpaper(口演)を経験して,いま思うこと(野坂光司)

2017年3月14日~3月18日,サンディエゴで開催されたAAOSで.口演してまいりました.発表内容は,足関節周辺骨折におけるMATILDA法(Multidirectional Ankle Traction using Ilizarov external fixator with Long rod and Distraction Arthroplasty of Pilon fracture )の有用性についてです.MATILDA法とは,秋田Ilizarov法グループで発案した,高齢者足関節周辺骨折に対して行うIlizarov創外固定の特徴を生かしたLigamentotaxisによる整復, Distraction Arthroplastyを行いつつの早期荷重を可能にするリング設置による治療法です(別冊整形外科66:173-177,2014,整形外科サージカルテクニック 5:56-62, 2015,整形外科手術 名人のknow-how イリザロフ創外固定を用いた難治骨折の治療.整・災外 59:1152-1157,2016).

20年後の関節症性変化が勝負とされるPilon骨折において,わずか1年の臨床成績のこの我々の後ろ向き研究に対し,これまで国内のプレゼンではときに批判も受けてきましたが,今回,難関のAAOSのOralに採択されたことで,さらに,フロアの反応も良好だったことで,我々のしてきたことが世界でも認められたと嬉しく思っております.

県内では,島田教授の応援に加え,山田晋講師が『MATILDAっていいな』と言ってくれたことがとても心強かったです.

また国内でも,私のIlizarovの師匠である大関教授や杉本先生,さらには多くのPilon骨折の達人の方たち,特にJSETS土田芳彦先生の応援は非常に心強く,『MATILDA法は世界に誇るべき優れた方法です』という励ましのメッセージを,AAOS発表前,緊張を和らげるために何度も読み返しました.今回創外固定学会で多くのシンポジウムを下さった白濱正博先生,また衣笠清人先生,野田知之先生,小川健一先生,松村福広先生ら,多くのプレートの達人,髄内釘の最上敦彦先生や,EOTSで認めて下さった黒住健人先生など,IlizarovなしでもPilonをラクラク治せてしまう天才外科医の方々の励まし,Ilizarov界では竹中信之先生の応援など,私が若い頃から本当に憧れ,目標にしてきた多くの偉大な先生方がMATILDA法を認識して下さったことはAIMGにとって本当にありがたいことです.

留学先のBossで,アメリカ足の外科学会の重鎮であるProf. Brodskyの高評価と激励も大変な自信になりました.

これまでIlizarovのプレゼンをするたびに,幾度となく『そんなもの(Ilizarovなんか)いらない』と言われてきました.その通りです.患者さんを,トラブルなく,内固定し,しっかり歩かせられて,早期に社会復帰させることができれば,あんな大きくて不快なIlizarovなどいらないのです.僕はMATILDA法が最強だ,などとは微塵も思っておりません.内固定で上手く,そして早く社会復帰させられたら,それに優るものはないのです.でも残念ながら,世の中は天才外科医だけではありません.私のもとには多くの悲惨な感染例が紹介されてきますし,骨はついたけど尖足で困るといった症例なども後を絶ちません.いい手術だけど2ヵ月ほど『足をつかないで』と言われてリハビリ病院で車イス生活になった人もいます(それはいい手術ではないかも).

いつも思うことは,プレート,髄内釘,Ilizarovは単なる固定材料であり,そこに優劣などつけるべきものではありません.Bone Transport,血管柄付腓骨移植,Masqueletも手術方法であり,それに優劣をつけようとするのも同様の行為と思います.大切なのは,どの治療戦略が,目の前の患者さんを最も上手く早く治すのかという,詳細な術前準備と,患者を最後までしっかり治そうとする強い意志(自分の哲学)と,自分の力量の把握だと思います.

何事も,我々の対象は患者さんです.外科医の手術自慢であってはなりません.その患者さんにとって何がベストなのか,症例ごとに大腿骨か下腿か,関節内か関節外かなどの部位,重症度のグレード,骨強度,若年か老年か,骨欠損なら大きさ,開放骨折ならGustiloのグレードなど,丁寧に適応を議論したり,エビデンスを模索すべきものなのに,一元的に何が一番いいかに固執することはナンセンスと思います.

自戒も込めて,若手にはIlizarovは患者の快適さを犠牲にしているという謙虚さを常に忘れないように口を酸っぱく言います.1㎜の整復不良が,1日のLIPUSの注文忘れが,骨癒合を遅らせるのです.また,AFTTGの若手にはFlapは健常組織を犠牲にしているという謙虚さを忘れないMicrosurgeonになってほしいです(もちろん積極的に必要なFlapを行うことで,これまでのIlizarovよりも快適な術後生活を早く提供できる腕も身に着けてほしいです).相手は生きた患者なのです.

最近,偉大な先生方の講演を拝聴し,トラブルケースの相談を受け,思うところを綴ってみました.

日本中の優秀な外傷外科医が本気で力を合わせたら,日本中の患者がHappyになるはずです.いがみ合っている場合ではありません.

そのような日が一日も早く訪れるように,もう若手ではない自分は,『老害』と言われないように勉強を続け,もっともっと自分の尻を叩いて,奮起しなくてはと思います.時代は刻一刻と変わり,この多様性に適応するには,あらゆる分野の『融合』が必要なはずです.まさに『現状維持は退化』なのだと感じずにはいられない今日この頃です.

AAOS2017米国整形外科学会報告(木島泰明)

 世界最大規模の整形外科学会であるAmerican Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS)
が2017年3月14日から3月18日までアメリカ西海岸のサンディエゴで行われています。
 今日はその最終日のSpecialty Dayで、各専門分野のトップの先生方が今年度のまとめの講演をして下さる日でした。私はHip Societyの会場で講演を拝聴してきました。
 やはり人工股関節置換術の話題が多く、第2世代の高架橋ポリエチレンの成績は良くリメルト処理の方がアニール処理よりも摩耗が少ないとか、いずれにしてもポリエチレンのクオリティが高いためアメリカでの人工関節摺動面の選択は6割がメタルonポリエチレン、35%がセラミックonポリエチレンだという報告がありました。しかし最近ではネックと骨頭部のTaper Corrosionの話題が多く、骨頭もセラミックが選択されるケースが増えているそうです。ちなみに感染率もセラミックヘッドの方が低いと報告されていましたが、今後は抗菌薬入りのポリエチレンも開発されるようで、驚きです。
 本学会で特筆すべきは何といっても我らが秋田大学の野坂光司先生が口演でのご発表をされたことです。タイトルは、Comparison of Joint Distraction and Non-distruction using an Ilizarov External Fixator in the Treatment of Ankle Fractures in Older Patientsです。とても素晴らしい内容ですし、この分野のゴールドスタンダードになる手術方法だと会場の先生方が確信されたことと思います。
 今回は秋田大学整形外科AAOSトラヴェリングフェローとして、今年度人工関節関連の英語論文を発表された鈴木紀夫先生(由利組合総合病院)と冨手貴教先生(北秋田市民病院)が選ばれ、AAOSに参加されています。冨手先生はサンフランシスコに留学経験がありますし、鈴木先生もつい先日リウマチ分野の国際学会でワシントンを訪れていてアメリカ慣れされているため、今回、特別研修プログラムとして参加した若手の井上純一先生(秋田厚生医療センター)や原田俊太郎先生(由利組合総合病院)を先導し、学会参加だけでなくアメリカ文化に触れるためのノウハウも率先してご教示くださっております。
 さて、そろそろこちらは最終日の午後5時を迎えようとしています。今回は野坂先生の留学先でお世話になったアメリカ人の方からも多大な歓迎を受け、連日、おいしいレストランにも連れて行っていただきましたが、今晩は6人で最後の晩餐を頂き、秋田への帰路に就きたいと思います。この度はこのように大変貴重な経験を得る機会を我々に与えてくださいました島田教授をはじめ、参加者の勤務先の先生方、並びに整祐会員の皆様方ににこの場を借りて御礼を申し上げたいと思います。特に山田講師には多大な援助を頂きました。本当にありがとうございました。明日の朝は午前四時にホテル出発予定ですが、無事に全員秋田まで返すのが私の任務ですので最後まで気を抜かずに頑張ります。それではみなさん、秋田で。

第5回日本脆弱性骨折ネットワーク優秀演題賞を受賞いたしました(野坂光司)

第5回日本脆弱性骨折ネットワークが3月10~12日,新潟リハビリテーション病院院長 山本智章会長のもとで開催されました.

 

講演,レクチャーは,日本脆弱性骨折ネットワーク理事長の松下隆先生はじめ,高橋栄明先生,遠藤直人先生,萩野浩先生,森諭史先生,澤口毅先生,白濱正博先生,岩本潤先生,田中伸哉先生などからお話いただき,テーマである『脆弱性骨折のBest Practiceを求めて』というコンセプトに基づいた中身の濃い学会でした.

 

私は一般演題で『脆弱性高齢者足関節周辺骨折におけるCELTAB法の有用性』を発表し,優秀演題賞をいただきました.高齢化率日本一の秋田県においては,今後大切になってくる分野と思います.島田洋一教授,宮腰尚久准教授のご指導のもと,A-BONEの一員として,今後もこの分野の研究を頑張っていきたいと思います.

第43回九州膝関節研究会でspecial lectureを担当して(齊藤英知)

2011年3月11日、秋田大学DMATのリーダーとして、三陸、大船渡へ災害救助にむけて秋田市を出発したのは、震災発災より2時間後であった。街は停電で、重い気持ちで、いつもよりずっと暗い国道を東にむけてただ走った。岩手医大の本部を経由して、大船渡へ到着したのは、発災から13時間後の翌朝5時を過ぎたころであった。のべ2万人の死者を出したこの震災で、発災直後ですら、病院に搬送されてくる患者さんの少なさにただ失望し、地震や津波の恐ろしさを実感した。福島の原発事故のニュースを見て、ただ人間の無力さを実感した。

あれから6年が経ったその日に、九州福岡で、伝統ある第43回九州膝関節研究会を長崎大学の米倉暁彦先生が会長として開催され、主題に、変形性膝関節症に対する膝関節温存手術(膝周囲骨切り術)を指定された。私に与えられたspecial lectureのお題は、「大腿骨遠位骨切り術」であった。九州といえば、膝周囲骨切り術の聖地であり、緒方公介先生のinterlocking wedge osteotomy、千葉剛次先生のTibial Condylar Valgus Osteotomyといったオリジナリティーの高い膝周囲骨切り術が開発され、九州全域で関節を温存する文化が根付いている地域である。そのような文化をもつ九州で、膝周囲骨切り術のspecial lectureをさせていただくことは大変な名誉であり、震災から6年目として感慨深い(あの頃はここまで膝関節温存手術ののめり込むとは思っていなかった)。私は、その名誉に報いるべく、全身全霊で、自分の持つ知識、最新の手術のコンセプト、変形解析の重要性、手術のコツと落とし穴、注意点、膝周囲骨きり術の術後成績や最新の歩行解析の結果から、なぜ大腿骨遠位骨切りがkey osteotomyなのかについて述べた。特別講演は、大阪大学の中田研先生の、再生医療からプロスポーツ選手の治療、オリンンピックに帯同したお話など、多岐にわたる論理的なお話を拝聴でき、大変勉強になりました。

このような機会を与えてくださった米倉暁彦会長、九州膝関節研究会に会員の皆様に深謝致します。引き続きASAKG(Akita Sports Arthroscopy Knee Group)を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

第30回創外固定・骨延長学会学術集会 (湯浅悠介)

 

3月3、4日福岡県久留米市にて第30回創外固定・骨延長学会学術集会が開催されました。秋田からは島田洋一教授、野坂光司先生を始め、医師9名、看護師5名の計14名が参加いたしました。本学会の総演題数123演題のうち、秋田からは14演題の発表があり、秋田における創外固定の勢いを改めて実感いたしました。

学会は久留米大学医学部整形外科学教室白濵正博教授の挨拶から始まりました。シンポジウムでは全国トップランナーの先生方から「急性期外傷に対する創外固定」、「合併症に対する治療」、「脆弱性骨折に対する創外固定」のテーマでの講演があり、当教室の野坂先生からも“脆弱性骨折におけるIlizarov創外固定のコツ”と題して発表がありました。高齢化率全国1位の秋田県における高齢者を絶対に寝たきりにさせないため、早期全荷重を可能とするIlizarov創外固定手術の有用性を再認識することができました。一般演題では、市立秋田総合病院の柏倉剛先生、市立横手病院の冨岡立先生、平鹿総合病院の千田秀一先生、市立角館総合病院の青沼宏先生、そして秋田大学から益谷法光先生、長幡樹先生、湯浅悠介の7名が発表致しました。下腿外傷はもちろん、足部外傷、上肢外傷、Ilizarov周辺骨折、関節リウマチなど様々な用途で創外固定が使われており、秋田の技術の高さを感じました。また、コメディカルセッションでは岩原香織さんから“創外固定のケアの向上、後方支援施設との連携を目指して創外固定ケアセミナー「秋田県で広げよう創外固定輪・和」開催報告”、仲山晴香さんから“イリザロフ創外固定患者が退院後に抱える生活上の問題点と退院支援への課題”と題して発表がありました。Ilizarov創外固定手術患者における入院日数の長期化は全国的にも問題とされておりますが、秋田県は大学病院を中心として医師のみでなく、看護スタッフも指揮をとり、様々な工夫のもと期間短縮がなされていることを学びました。また、退院がゴールではなく退院後生活に対するケアも行っており、改めてIlizarov創外固定手術はコメディカルスタッフの支えがあって成り立っていることを感じました。

そして島田洋一教授からは『創外固定の未来~高齢者脆弱性骨折におけるIlizarov創外固定の有用性~』と題してご講演いただきました。島田教授がIlizrovを導入した経緯や全県各地へ広めるための努力、そして高齢者の多い秋田県におけるIlizarovの有用性など、様々なことを学ばせていただきました。教授のIlizarovに対する愛により、「秋田はIlizrov王国」と呼ばれるまで成長するに至ったのだと感じました。教授の卓越した話術により時には会場から笑い声が上がるほどの盛り上がりをみせました。

今後はIlizrovとMicroの融合をテーマに秋田は進んでいきます。僭越ながらその一助になれるように私自身、日々精進していきたいと思います。

 

 

 

第47回人工関節学会in沖縄に参加して (岩本陽輔)

2/24-25に沖縄で開催された第47回人工関節学会に参加してきました。

今回の人工関節学会には秋田の同門からはAHRG、ASAKGから過去最多の発表、参加がありました。

2/24の夜には日整会かと思うほどの盛大な同門会が行われました。秋田のこれからの人工関節に対しての熱い討論が繰り広げられました。

学会では最近の話題であるMISの中期〜長期の臨床成績やMISに伴うshort stem の臨床成績についての発表が多い気がしました。また当科でも使用をはじじめたcorailの演題も多く見られました。

同じ専門領域を志す人たちと交流することもでき、大変良い刺激をうけました。この会で得た知識を日々の診療・研究に活かしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発表をするAHRG若手と華麗に座長をこなす秋田赤十字病院、田澤人工関節センター長

 

第29回日本肘関節学会学術集会(伊藤博紀)

平成29年2月3・4日の両日、東京で開催された第29回日本肘関節学会学術集会へAHGより5名参加し、中通総合病院の千馬誠悦先生が「小児の陳旧性肘関節脱臼の1例」、成田裕一郎先生が「Cannulated screwによる小児上腕骨内側上顆骨折の治療経験」、由利組合総合病院 白幡毅士先生が「脳性麻痺による橈骨頭脱臼に伴う肘関節ロッキングの1例」、そして私が「上腕骨遠位部骨折後偽関節に対する人工肘関節置換術の経験」を発表してまいりました。

学会長は、昭和大学整形外科の稲垣克記教授で、メインテーマは肘関節不安定症でした。Mayo Clinicから著名なO`Driscoll先生が来日され、肘不安定肘に対する診断と治療と(特にPLRI:posterolateral rotatory instabilityに関する診断について動画を交えわかりやすく解説されました)、最新の人工橈骨頭に関する講演を行いました。これまでの人工橈骨頭は、長期成績は十分なものではありませんでしたが、新しい人工橈骨頭は解剖学的に形状が近似し、長期的にもよい成績が期待できそうな製品であると感じました。

肘不安定症に対する数多くの演題発表がありました。湘南鎌倉総合病院外傷センターの土田先生がTerrible triadに関する報告を行っており、発表のまとめにおいて『エビデンスに基づいて治療を行えば、もはやTerribleではない』との言葉が非常に印象に残りました。他にも人工肘関節、野球肘に関するシンポジウムや、エコーによる肘の画像診断、肘周辺外傷に対する治療戦略、小児の外傷に関する発表等、最新の知見を得ることができ、非常に有意義な2日間でした。

本学会で得た知見を、日常臨床や後進の指導へ活かしていきたいと思います。

第38回 東北骨代謝・骨粗鬆症研究会(粕川雄司)

2017年2月4日仙台サンプラザにて第38回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会が開催されました.この研究会は,佐藤光三名誉教授が創設メンバーのお一人となっている歴史ある研究会です.今回A-BONEから,宮腰尚久准教授が福島県立医科大学 甲状腺内分泌学 鈴木眞一先生のミニレクチャーの座長をお務めになり,田村康樹先生,堀川 明先生,佐々木寛先生が発表しました.田村康樹先生は「エディロール投与例における血中カルシウムおよびeGFR値の変動と併用薬との関連んついて」,堀川 明先生は「経年的に調査した経口と注射製剤の骨粗鬆症治療薬の使用割合の推移と要因」,佐々木寛先生は「骨粗鬆症患者における血中25(OH)ビタミンD濃度と重心動揺との関係」の発表を行いました.また,秋田労災病院から奥山幸一郎先生が主導している臨床研究の結果について,中央検査部の長岐ゆいさんから「北緯40度地域における勤労者の血中25(OH)D濃度と腰痛およびQOLの関連について」と題した御発表がありました.数多くの素晴らしいご演題の中から,今回堀川 明先生が臨床系の最優秀演題賞を受賞されました.五十嵐記念病院での1000例を超える症例を対象に,経口と注射の骨粗鬆症治療薬の使用割合とその継続率について詳細に検討した内容でした.堀川 明先生,受賞おめでとうございます.

特別講演では帝京大学ちば総合医療センター 第三内科 教授 岡崎 亮先生より「ビタミンDの多面的作用」と題し,近年その様々な効果が知られているビタミンDの基礎から骨やその他各臓器疾患に対する様々な効果についての御講演がありました.ビタミンDの基礎から臨床での効果について大変勉強になりました.

今後も基礎から臨床までの骨・骨粗鬆症についての研究を継続していければと感じました.今後ともよろしくお願い致します.