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第53回日本脊髄障害医学会(井上純一)

2018年11月22日〜23日の2日間、第53回日本脊髄障害医学会が名古屋で開催されました。

本学会は整形外科のみならず、リハビリテーション科、脳神経外科、神経内科、泌尿器科など多種多様な科・職種が関わる全国規模の学会です。2019年に秋田大学主幹で地元秋田開催する予定であり、今回の学会は発表の場というだけでなく、来年の準備の目的としても非常に重要なものとなりました。

秋田大学からは総勢13名が参加し、2日間を通して一般口演やポスター発表などで秋田大学が活躍しました。

本学会では、現在トピックスである脊髄再生医療の研究報告や今後の展望についての内容が発表されていました。今後臨床応用が進むにつれてその管理、リハビリテーション医療の重要性が増していくことが予想され、私もリハビリテーション医療という形で携わっていきたいと思いました。また、その他、脊髄損傷以外の脊椎・脊髄疾患の診断、治療、リハビリテーション医療に関する内容、また脊髄疾患の重大な症状として、排便・排尿障害などの治療や管理などについての内容も発表されていました。本学会は、我々整形外科のみでなく、脊髄障害に関連する他の診療科からの視点での報告もあり、広い視野で脊髄障害を考える意味で非常に有意義な場となりました。今後も脊髄障害に携わる立場として、様々な診療科・職種と協力しながら、診療にあたっていきたいと考えております。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

第45回日本臨床バイオメカニクス学会(三田基樹)

11月16,17日に秋田大学主催のもと、第45回日本臨床バイオメカニクス学会が開催されましたのでご報告いたします。この学会は整形外科的な目線と工学的な目線からバイオメカニクスを考える、まさに医工連携の会でした。

 

秋田厚生医療センター阿部栄二名誉院長からは、成人脊椎変性症(ASD)についてご講演いただきました。ASDの原因として起立筋の萎縮などが原因となることやその形態分類といった基本知識から、ASD手術の合併症の多さや、その反面満足度が高いこと等臨床での実際をご講演いただきました。

 

東京工業大学小池康晴教授からは、物を持ってgoalまで運ぶ軌道・関節の動き・筋張力の変化を研究する計算論的神経科学の話から、FESについて、将来的には脳波と健常側筋電図を用いることで運動開始のタイミングをトリガーし、どの筋肉を動かそうとしているかまで確認し刺激することができる、という夢のようなご講演をいただきました。筋シナジーを用いることでここの筋活動の分析が出来る、といったトピックスまで教えていただきました。

 

東京工業大学鈴森康一教授からは、ロボット工学者の考え方や東工大式空気圧人工筋のご紹介をいただきました。精密で力がありスピードもある最新のロボットも重要だが、柔軟性や適応性を持った好い加減のロボットも必要なのでは、というお話もいただき発想の切り口に感動しました。

 

特別講演では、かの有名なMayo Clinic・Johns Hopkins大学Edmund Chao教授からご講演いただきました。ご自身のOrthopaedic Biomechanicsの出会いから、研究に対する熱意の重要性を教えていただきました。御歳80歳とは思えない程お若くパワフルな教授でした。世界のトップレベルの思想を肌で感じれました。

 

今回、過去最多演題数・参加人数を記録する歴史的な学会になり、Yahoo Newsに掲載される程大盛況の中幕を閉じることが出来ました。この学会に携われた事を光栄に思いますし、私自身AMAG(Akita Motion Analysis Group)に所属しておりますので、今後の研究の糧にしていこうと思います。

第33回秋田市剣道愛好者大会個人優勝(三田基樹)

11月11日秋田県立武道館で開催されました秋田市剣道愛好者大会に参加したためご報告いたします。

 

この大会は、名前こそ穏やかな雰囲気を醸し出しておりますが、蓋を開けてみますと市内の10近い道場の猛者達が自分の道場のプライドをかけて集うものでした。後から聞いた話では、全中やインターハイ経験選手も参加していたそうです。

私は昨年この大会に出場し、ベスト8で敗北し涙を飲みました。今まで感じた事のない程の悔しさを感じた事を今でも鮮明に覚えております。この敗北を期に、1年間出来る限りの時間を剣道に注いで参りました。

 

結果として今年は個人優勝を勝ち取る事が出来ました。喜びと共に、多くの支えて下さった方々に心より感謝しております。そして、この一年あらゆる道場に稽古に伺う事で多くの先生方と知り合うことが出来ました。この出会いは私にとって素晴らしい財産です。

 

さて、本大会のテーマは「交剣知愛」です。これは剣道によく用いられる言葉で、竹刀を交えることでお互いに理解しあい人間的に向上する事を説いています。私はこの1年間勝つために稽古をして参りました。しかし、剣道の修行とは技術的な面だけでなく人間力の向上も意味する事を考えさせられました。技術面はさることながら、内面もまだまだ未熟な事を再認識致しました。

来年も連覇すべく気を引き締め直します。しかしそれだけでなく、人としても成長出来るようこれからも剣の道を修行して参りたいと思います。今後とも応援いただけますと幸いです。

 

 

余談ではありますが、アップの際に左第4趾PIP関節を脱臼し自己整復・バディテーピングして試合に挑みました。整形外科医で良かった、と心から感じた瞬間でした。

 

秋田大学整形外科剣道部 烈風会 三田基樹

2018年 全学駅伝大会に参加してきました(長幡 樹)

2018年11月3日に毎年恒例の秋田大学主催、全学駅伝大会に参加しました。天気が心配されましたが日中は驚くほどの晴天であまり寒くもなく、絶好の駅伝日和となっていました。今年は日本リハビリテーション秋季学会と重なってしまったため、メンバーが思ったように集まらず苦労しましたが無事に参加することができました。

メンバーは1区から大屋先生、成田先生、井上先生、長幡、村田先生、笠間先生、木村先生、齋藤先生、佐々木先生、千馬先生での参加でした。あまり長い距離が得意でない自分はとても不本意なタイムとなってしまいましたが、大屋先生が1区を陸上部に次ぐ2位と好順位でスタート。新(?)戦力の村田先生、井上先生はお互いにライバルとして意識し合いながらパワフルな走りでタスキをつないでくれました。毎年、全学駅伝に参加してくれる笠間先生も昨年より1分近くタイムを伸ばして1年間の成長を見せてくれました。最後は佐々木研先生、千馬誠悦先生という整形外科駅伝部の誇るランナーが安定感のある走りでゴールまでタスキをつなぎました。医学部陸上部には足元にも及ばない結果となってしまいましたが、2位という順位は過去最高タイの順位であり全員が力を出し切った結果でした。今年最後の大会となり、締めくくりとしては満足のいく結果だったのではないかと思います。

今年は与次郎駅伝部門別7位、東日本整形災害外科学会駅伝プログラム優勝(7連覇)、全学駅伝2位とどの大会でも好成績を収めることができました。新戦力も加入しながらこれからもいい結果を残せるように頑張っていこうと思います。

4th Annual Congress of Asia-Pacific Wrist Association (APWA)参加報告(伊藤博紀)

2018年11月10、11日の両日、4th Annual Congress of Asia-Pacific Wrist Association (APWA) & 11th Japanese Wrist Surgery Workshop (JWSW)が国際医療福祉大学(成田市)において開催されました。会長は国際医療福祉大学教授 中村俊康先生です。中村教授は手関節鏡視下手術、特にTFCC治療の世界的なエキスパートです。

今回のテーマはUnsolved problems of the wristをテーマとして、TFCC injury、手根不安定症、橈骨遠位端骨折など様々な病態について、日本、韓国、台湾、中国を中心として欧米等各国から参加した各演者の発表とDiscussionが行われました。2008年頃より手外科領域では手関節鏡による診断と治療が本格化し、現在では、橈骨遠位端骨折に対する鏡視下整復が普及し、さらには1.9mmのscopeを用い遠位橈尺関節の鏡視下診断・治療が求められているなど、この10年で進化している領域と言えます。

手関節鏡のワークショップも開催され、香港大学教授Pc Hoによる関節鏡の実演の後に、手関節モデルを用いた関節鏡視や、中村先生が開発された鏡視下TFCC縫合用のガイドを用いた縫合を実際に行ってまいりました。
2日間を通して、『手関節外科の国際標準』を感じることができました。この領域におけるお自己研鑽とAHGスタッフの育成等、今後も継続していきたいと考えております。

第43回日本足の外科学会学術集会(青沼宏)

11月1日,2日の2日間,千葉県の木更津市で行われた第43回日本足の外科学会学術集会に参加しました.足・足関節の外傷・変形に限らず幅広い分野での発表がありました.特に,リウマチ足,超音波診断・評価についてのセッションが充実しており,RA足治療のニーズの広さや,関節エコー評価の期待・有用性を再認識しました.

秋田からは自分を含め4名が参加し,柏倉剛先生が,シンポジウムとパネルディスカッションでそれぞれ,「小児足関節裂離骨折に対する運動器エコーを用いた重症度評価」,「関節エコーを用いたリウマチ足部変形評価」を,野坂光司先生が,Rising Stars Sessionで「高齢者果部骨折におけるIlizarov 創外固定の適応と有用性」を講演されました.更に,千田秀一先生が,「超音波を用いた解剖学的位置関係―Anterocentral portal とmedial

midline portal の比較―」でBest Poster Awardに選ばれています.

学会ではイリザロフ創外固定の研修の際にお世話になった獨協医科大学埼玉医療センター整形外科主任教授の大関覚先生の基調講演を拝聴する機会に恵まれました.足の外科学会の将来の展望について,30歳代の学会員がとても増えていること,学会主導で教育体制の充実を図っていることなど,熱のこもったご講演が印象に残りました.

また,1日の夜には,足の外科の研修でお世話になった札幌羊ヶ岡病院の倉秀治先生と,渡邉耕太先生、寺本篤史先生をはじめとする札幌医科大学足の外科グループの先生方の会食にお誘いいただきました.来年、第44回日本足の外科学会学術集会は、倉秀治会長のもと9月に札幌で行われることになっています.ぜひ,多くのAFGメンバーが足の外科学会に参加できることを期待しています.

第45回日本股関節学会in名古屋に参加して(岩本陽輔)

10/26、27日と第44回股関節学会に参加してきました。

秋田からはAHRGメンバーから12題(三浦、岩本、長幡、河野、佐々木、藤井、木島、加茂、鈴木、谷、田澤、小西)の演題が採択されました。

特に谷先生の「骨頭下から転子部・転子下に及ぶ骨折の出現頻度と治療成績」8題しか選ばれない優秀ポスター賞候補として選ばれました。発表もとても分かりやすくAHRGが提唱してきたArea分類が評価され、とてもうれしく思います。おめでとうございました。

また、前日には股関節学会主催の第4回教育セミナーにも参加してきました。

股関節バイオメカニクス、DDHエコー診断、保存療法のエビデンス、大腿骨頭壊死、小児の外傷、腫瘍について、専門医試験直前のわたしにとってはとても勉強になりました。

来年以降も積極的にAHRGからの発表を行なっていきたいと思います。

 

仙北市スポーツ振興課主催仙北市スポーツ少年団研修会(塚本泰朗)

10月21日に行われました仙北市スポーツ振興課主催の仙北市スポーツ少年団研修会の講師を担当させていただきました。

“整形外科医の立場からのジュニアアスリートのコンディショニング”をテーマに、傷害予防×パフォーマンス向上を目指して取り入れているコンセプトとその応用について話させてもらいました。

 

・乳酸菌B240による免疫コンディショニング

・オスグッドやジャンパー膝に対するよく見かける間違ったストレッチ法と正しいやり方

・スタビリティー・モーターコントロール機能不全という概念とスポーツ傷害への応用

・コアと呼吸

・正しいパワーポジションの取り方

 

などについて話させていただきました。

 

実際に体幹コアをアクティベートすると動作が変わることを体験してもらうことで、体が硬い≠ストレッチということを実感し、ビックリされている指導者が多かった印象でした。

 

整形外科は運動器を扱う診療科ですが、機能解剖や機能運動学を学ぶ機会があまりなく、知識不足を日々の診療で痛感していました。秋田大学整形外科のスポーツ・膝・関節鏡グループ(ASAKG)でもFMS/SFMAやMSIのムーブメントというコンセプトを取り入れることでジュニアアスリートをスポーツ傷害から守りつつ、パフォーマンス向上につながるようにこれからも支援していければと思います。

2018国際側彎症学会(SRS:scoliosis research society)(井上純一)

この度、平成30年10月8日から15日まで国際側彎症学会(以下SRS:scoliosis research society)に参加したので報告させていただきます。

今年で53回目を数えるSRSはイタリアのボローニャで開催されました。秋田大学整形外科からは本郷道生講師、秋田県医療療育センターの三澤晶子先生、中通総合病院の尾野祐一先生、佐藤千晶先生、私の5人での参加となりました。出国の便で機材の不具合による遅延のため、フランクフルトで1泊した以外は順調に現地に到着しました。

学会前日のHibbs Society Meetingでは、ヨーロッパでの脊柱変形の最新治療について症例を提示しながらのプレゼンがありました。中には脊柱変形の診断と治療におけるAI応用の展望に関する内容もありました。

学会初日のPre-Meeting Courseでは、Physician Well beingがテーマとなっており、脊椎外科医の働き方や労働環境を改善して,医師自身を守るための取り組みについて議論されました。医師の自殺率が一般人よりも高いというデータを提示し,医師のバーンアウトについてその問題点や予防策について述べて,さらに様々な視点,例えば各種ハラスメント,超過勤務,ストレスなどの対策,放射線や有害物質の暴露,からの勤務環境の現状と,それらの改善の試みの提言などがありました.加えて生涯教育,キャリアプラン,趣味や余暇の過ごし方などについて,脊椎外科医の生活と仕事のあり方について議論されていました.

SRSのポスターまで含めた採択率は16%という狭き門ですが、秋田大学からは本郷講師がE-Presentation sessionにて「Influence of the Change in Back extensor Strength on the Natural History of Sagittal Spino-Pelvic Deformity in Postmenopausal Women」と題して発表を行いました。日々の診療のデータを元に閉経後女性の背筋力と脊柱アライメントの関係を調査し、背筋力の低下が骨盤後傾の増加を示唆したと報告しました。その後の質疑応答も的確に返答しており、秋田大学整形外科の名を脊柱変形の世界に轟かせることになりました。

一般口演では、「腰仙椎神経根のMEPモニタリングの有用性」や「特発性側彎症のエコーによる評価方法」、「成人脊柱変形の傍脊柱筋変性の歩行時アライメントに及ぼす影響」、「特発性側彎症に対する低侵襲手術と従来法の比較」など興味深い演題が多く、いずれも質の高い研究で、最新の情報を多数得ることができました。

ボローニャは美食の町と言われ、スパゲッティボロネーゼ発祥の地でもあり、様々なパスタや生ハムなど非常においしい料理がありました。ヨーロッパ最古の大学とされる旧ボローニャ大学の解剖教室は,世界で最初の解剖が行われた場所として有名ですが、現在も見学可能であり、医師である我々にとっては、医学史の始まりに触れられた良い機会となりました。また、ボローニャは電車で30分圏内にフィレンツェ、90分圏内にベネチアがあり、少し足を延ばして観光するにも良いところにあります。

今後、脊椎脊髄外科診療に従事していく上で、SRSで発表できることを目標の1つとして邁進していきたいと思います。最後に、学会中ご迷惑をおかけしました先生方に心より深謝申し上げます。今後ともご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

 

第9回秋田県骨粗鬆症PTH治療研究会(村田昇平)

2018年9月27日,「第9回秋田県骨粗鬆症PTH治療研究会」が秋田キャッスルホテルで開催されました.

 

研究会では秋田大学の粕川雄司先生、北里大学医学部准教授、井上玄先生から特別講演をいただきました.

粕川先生からは「脊椎疾患の感染症対策と慢性疼痛の治療」 と題して,慢性腰痛症や非特異的腰痛の診断や加療について、また感染性の脊椎疾患や脊椎術後感染についてご講義をいただきました。粕川先生の豊富な臨床経験と膨大な見識から,最新のガイドライン,実際の症例までを詳細に解説していただきました.なかでも私が印象的であったのは手術部位感染(SSI)に関するシステマティックレビューについてです.ポピドンヨード灌流の是非など様々な具体的な感染対策のエビデンスについてご講義をいただき,明日からの診療に大変役立つ内容で,講演後はフロアの先生方からも多くの質問がありました.

 

井上玄先生からは「脊椎疾患に対するテリパラチドの有用性〜骨折の保存治療から成人脊柱変形手術まで〜」と題してご講演いただきました.骨粗鬆症の治療方針,椎体骨折の保存療法や手術療法,PTH製剤の具体的な使い方,成人脊椎変形などについて最新の知見をご講義いただき目から鱗の内容が盛り沢山でありました.また,北里大学で行っている同種骨移植についてもご講義いただき,実際に同種骨を使用した症例や画像などを供覧してくださいました.普段はなかなか接することのできない治療方法であり,非常にインパクトがありました.成人脊椎変形については骨切り術やinstrumentationについて,北里大学での自験例,文献を比較しながら非常に熱くご講義をいただき,先生の非常にわかりやすい話し方もあって,今までは難しくて敬遠がちであった脊椎パラメーターなどについても大変興味深く聞くことができました.学術的なことからは離れますが,講演のなかでは,秋田の金足農業高校の甲子園での活躍,竿灯祭り,秋田大学整形外科駅伝部の東日本整形学会7連覇にも触れていただき大いに盛り上がりました.

 

今回学んだことを活かして明日からの骨粗鬆症治療,PTH製剤使用についてより一層見識を深めるように努めていきたいと思います.