平成31年2月23日に第26回秋田県スポーツ医学研究会が開催されました。今年の本研究会は、医師とスポーツとの両立を実現している先生方の輝かしい実績のお話を拝聴することが出来る非常に有意義な機会となりました。レクチャー1では、島田教授を筆頭に、スポーツでの輝かしい実績とそれを継続するモチベーションなどをご講義していただきました。レクチャー2では、秋田県立脳血管研究センターの阿部先生から、秋田県のスポーツ組織体制についてお話いただきました。秋田県のスポーツ組織の概要について分かりやすくご説明いただきました。また、レクチャー3では、金足農業高校野球部中泉監督より、甲子園準優勝での裏話をお話ししていただきました。3週間にもわたる大会期間での選手の体調管理、精神面へのサポートの必要性をお話しいただきました。帯同ドクターとして関わりもあり、今後の活動に生かしていきたいと思います。特別講演1では、国立スポーツ科学センタースポーツメディカルセンターの半谷美夏先生から、日本代表選手などのメディカルチェックや国際大会でのサポートの実際についてお話していただきました。海外でのメディカルサポートの難しさやオリンピックの裏側などをうかがい知ることができ、非常に興味深い内容でした。特別講演2では、秋田大学血液・腎臓・膠原病内科講座高橋直人教授より、「鉄欠乏と鉄過剰。鉄から見たスポーツ医学」と題して、スポーツ選手に潜む鉄欠乏性貧血についてご解説いただき、その治療の結果に生じる鉄過剰の問題点をご教授いただきました。スポーツ関連の外傷・障害を日常的に診療している整形外科医にとっても必要な知識であり、有意義な機会となりました。本研究会を通して、スポーツへの関わり方は様々あり、時には診療に携わり、時には大会へ帯同、時にはプレイヤーとして実際に自分が参加することもあると再認識しました。様々な形で関わりながら、日々の診療に活かしていきたいと思いました。
「未分類」カテゴリーアーカイブ
『北都銀バド部の五輪出場、医療面で後押し 島田洋一教授』 がm3に掲載されました
『北都銀バド部の五輪出場、医療面で後押し 島田洋一教授』 がm3に掲載されました
北都銀バド部の五輪出場、医療面で後押し 秋大病院
秋田大医学部付属病院整形外科は4日、北都銀行女子バドミントン部をサポートする医療チームを立ち上げた。県スポーツ医学研究会会長の島田洋一教授(63)らスポーツ医療の専門医が、選手のコンディションを把握した上で助言。けが予防にも手厚く取り組み、来年の東京五輪出場を目指す選手らを後押しする。
島田教授は、バスケットボール男子Bリーグ・秋田ノーザンハピネッツの設立当初からのチーフドクター。今回は同行の斉藤永吉頭取がサポートを依頼した。
医療チームは、同科やリハビリテーション科のスポーツ専門医や薬剤師15人ほどで組織。選手の身体データを基に、けがの予防や健康管理についてアドバイスしたり、けがをした際の応急処置を指導したりする。ドーピング対策で服薬指導も行う。
新山神社裸まいり2019(阿部和伸)
今年も裸でまいるぞ!
新山神社裸まいりとは、毎年1月第3日曜日に行われる小正月行事。早朝、水垢離(みずごり:神仏に祈願するため、冷水を浴びて体のけがれを去り、清浄にすること)を取り、白鉢巻きに白腹巻き、白足袋に草鞋のいでたちで「ジョヤサ(除夜叉)、ジョヤサ」のかけ声とともに、町内ごとに148mの山頂にある新山神社を目指し、諸願成就、郷中安全、身体堅固、家内安全、五穀豊穣などを祈願する。発祥は天保(1830~44)の頃ともいわれるが、定かではない。新山神社には古くから修験者が住んでいたと伝えられ修験道の荒行が姿を変えて伝承されたものといわれている。真冬の奇祭として全国的に有名である。(由利総合農林事務所土地改良課HPより一部抜粋)
今年は当教室からの参加者に加えて、札幌スポーツクリニックから佐藤先生、理学療法士の田中先生、矢野先生がこのためにプロペラ機で来秋。また、タイからはDr. Arthit、韓国からはDr. Sueenが参加した。
例年よりは比較的体にやさしい天候の中、もちやミカン、酒、たらといったお供え物を担いで町内を回り、新山神社へ続く坂を上った。比較的やさしいとはいえ、暦の上では大寒である。神社に到着するころには手足の感覚は鈍り、大きな掛け声を出し続けた喉は枯れてくる。そうして今年も無事に奉納をすませ、けがや遭難などもなく山を下りることができた。
今年初参加となった札幌スポーツクリニックの3人は、裸まいりのおかげで札幌の厳しい寒さもへっちゃらになったという。外国から参加の2人も、郷に従いジョヤサの声をあげ、存分に日本の文化行事を堪能してくれたようだ。大ベテランの佐藤毅先生、齊藤英知先生は一行の先頭に立って唄声を披露した。
毎年のことであるが、私たちが参加している砂子町内の方々は非常に懐が広く、私たちを温かく受け入れてくれ、心から感謝している。すでに裸まいりは当教室にとって立派な公式行事といえる。今後も裸まいりの精神を大切にしていきたい。
(文責:阿部和伸)
2018年度先進医療及び医療サービスに関わるプロジェクトコンペのご報告(千田聡明)
平成30年11月21日,本道40周年記念会館,講堂にて2018年度先進医療及び医療サービスに関わるプロジェクトコンペが開催され,先進医療部門で栄えある最優秀賞をいただきました.このコンペは「先進医療に発展・実用できる基礎研究・臨床研究」および「本院における医療サービス等においての取り組みや成果の期待出来る事柄」について発表し,各々の部門で優秀と評価された者,又は部門に対して表彰を行い,研究費等の賞金を贈呈するものです.対象職種は医師,看護師,コメディカルスタッフ,事務職,外部委託事業者とされ,今回は先進医療部門に7題,医療サービス部門に11題の応募がありました.
私は開発チームを代表し,「卓上型上肢ロボット支援リハビリテーション機器の開発」をテーマに,先の東日本整形災害外科学会にてお披露目した卓上型上肢ロボット支援リハビリテーション機器,通称リハビリマウスの開発プロジェクトについてプレゼンテーションを行いました.リハビリマウスの基礎となる技術は,2006年から秋田大学理工学部,秋田工業高等専門学校との医工連携で行った汎用ロボットアームPA10とセンサー技術を用いた上肢用ロボット研究から培われたものです.当時から上肢用ロボット支援リハビリテーション機器は高性能でしたが大きく重いため,使用環境や目的が限られる短所がありました.当然,装置の小型化が望まれ,私たちは2013年から,持ち運びが可能でテーブル上で使用できる,小型,軽量な機器の開発を始めました.この機器は,円板状の自動掃除機に似た外観であり,前後左右に回転するオムニホイールの四輪駆動とすることで,平面上を全方向に移動できました.また,機器を動かそうとする患者の力を検知し,足りない分を介助したり,逆に邪魔するような外乱を加えたりすることを可能にしました.それにより,この機器を動かすことで上肢の運動練習ができるようにしました.また,AR(拡張現実)技術を組み込み,機器の位置を把握できるようにしたことで,運動練習に加え,運動の評価を可能としました.そしてこのような技術を基に,無線で動作し,先進性と馴染みやすさを両立させて練習の意欲をかきたてるデザインに仕上げたのが今回,お披露目した新型リハビリマウスです.
この無線タイプの新型リハビリマウスは,秋田大学理工学部,秋田工業高等専門学校はもちろん,秋田公立美術大学,秋田県立大学,さらには設計開発を専門とする秋田未来株式会社,電子応用機器を専門とする株式会社 Kエンジニアリングなど県内民間企業とチームを組むことで実現できました.コンペの審査においては,このようなオール秋田で臨んだプロジェクトの背景,機器の機能と独創性,製品化の進捗状況や実現可能性の高さなどを高くご理解いただいたものと考えます.今回の受賞を励みとし,賞金をもとにさらに機器の発展を図りたいと考えます.また,コンペ参加の機会を与えて下さいました島田洋一教授,ともに機器の開発に邁進したチームの皆様に改めてお礼申し上げます.どうもありがとうございました.
第8回こまちリウマチセミナー(井上純一)
2018年12月6日に第8回こまちリウマチセミナーが開催されました。
一般演題では秋田大学の岩本先生よりアバタセプトの可能性として、AORA registryでのアバタセプト使用例における患者背景やACPA陽性例での有効性などについてご発表いただきました。
また由利組合総合病院の鈴木紀夫先生よりAORA registry 2016における65才以上RA患者の慢性腎疾患有病率と関節リウマチ関連薬の投与について、とくにNSAIDsの漫然な投与、不可逆的な腎機能障害についてご発表頂きました。
また特別講演では藤田医科大学医学部整形外科学の森田充浩准教授より、「実践に役立つ関節リウマチ:バイオ治療のknow-how」として股関節を中心とした下肢荷重関節におけるRAによる関節破壊のリスク回避のための早期治療の必要性や、MMP-3でのfollow upの重要性、bDMARDs導入においての選択する際の使い分けの思考過程考や、RA股関節人工股関節置換術の考え方などについて非常に分かりやすくご講演いただきました。
今回で8回目となるこまちリウマチセミナーとなりましたが、毎回bDMARDsを中心とした最新の知見を得ることができ、非常に有意義な研究会となりました。
第53回日本脊髄障害医学会(井上純一)
2018年11月22日〜23日の2日間、第53回日本脊髄障害医学会が名古屋で開催されました。
本学会は整形外科のみならず、リハビリテーション科、脳神経外科、神経内科、泌尿器科など多種多様な科・職種が関わる全国規模の学会です。2019年に秋田大学主幹で地元秋田開催する予定であり、今回の学会は発表の場というだけでなく、来年の準備の目的としても非常に重要なものとなりました。
秋田大学からは総勢13名が参加し、2日間を通して一般口演やポスター発表などで秋田大学が活躍しました。
本学会では、現在トピックスである脊髄再生医療の研究報告や今後の展望についての内容が発表されていました。今後臨床応用が進むにつれてその管理、リハビリテーション医療の重要性が増していくことが予想され、私もリハビリテーション医療という形で携わっていきたいと思いました。また、その他、脊髄損傷以外の脊椎・脊髄疾患の診断、治療、リハビリテーション医療に関する内容、また脊髄疾患の重大な症状として、排便・排尿障害などの治療や管理などについての内容も発表されていました。本学会は、我々整形外科のみでなく、脊髄障害に関連する他の診療科からの視点での報告もあり、広い視野で脊髄障害を考える意味で非常に有意義な場となりました。今後も脊髄障害に携わる立場として、様々な診療科・職種と協力しながら、診療にあたっていきたいと考えております。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
第45回日本臨床バイオメカニクス学会(三田基樹)
11月16,17日に秋田大学主催のもと、第45回日本臨床バイオメカニクス学会が開催されましたのでご報告いたします。この学会は整形外科的な目線と工学的な目線からバイオメカニクスを考える、まさに医工連携の会でした。
秋田厚生医療センター阿部栄二名誉院長からは、成人脊椎変性症(ASD)についてご講演いただきました。ASDの原因として起立筋の萎縮などが原因となることやその形態分類といった基本知識から、ASD手術の合併症の多さや、その反面満足度が高いこと等臨床での実際をご講演いただきました。
東京工業大学小池康晴教授からは、物を持ってgoalまで運ぶ軌道・関節の動き・筋張力の変化を研究する計算論的神経科学の話から、FESについて、将来的には脳波と健常側筋電図を用いることで運動開始のタイミングをトリガーし、どの筋肉を動かそうとしているかまで確認し刺激することができる、という夢のようなご講演をいただきました。筋シナジーを用いることでここの筋活動の分析が出来る、といったトピックスまで教えていただきました。
東京工業大学鈴森康一教授からは、ロボット工学者の考え方や東工大式空気圧人工筋のご紹介をいただきました。精密で力がありスピードもある最新のロボットも重要だが、柔軟性や適応性を持った好い加減のロボットも必要なのでは、というお話もいただき発想の切り口に感動しました。
特別講演では、かの有名なMayo Clinic・Johns Hopkins大学Edmund Chao教授からご講演いただきました。ご自身のOrthopaedic Biomechanicsの出会いから、研究に対する熱意の重要性を教えていただきました。御歳80歳とは思えない程お若くパワフルな教授でした。世界のトップレベルの思想を肌で感じれました。
今回、過去最多演題数・参加人数を記録する歴史的な学会になり、Yahoo Newsに掲載される程大盛況の中幕を閉じることが出来ました。この学会に携われた事を光栄に思いますし、私自身AMAG(Akita Motion Analysis Group)に所属しておりますので、今後の研究の糧にしていこうと思います。
第33回秋田市剣道愛好者大会個人優勝(三田基樹)
11月11日秋田県立武道館で開催されました秋田市剣道愛好者大会に参加したためご報告いたします。
この大会は、名前こそ穏やかな雰囲気を醸し出しておりますが、蓋を開けてみますと市内の10近い道場の猛者達が自分の道場のプライドをかけて集うものでした。後から聞いた話では、全中やインターハイ経験選手も参加していたそうです。
私は昨年この大会に出場し、ベスト8で敗北し涙を飲みました。今まで感じた事のない程の悔しさを感じた事を今でも鮮明に覚えております。この敗北を期に、1年間出来る限りの時間を剣道に注いで参りました。
結果として今年は個人優勝を勝ち取る事が出来ました。喜びと共に、多くの支えて下さった方々に心より感謝しております。そして、この一年あらゆる道場に稽古に伺う事で多くの先生方と知り合うことが出来ました。この出会いは私にとって素晴らしい財産です。
さて、本大会のテーマは「交剣知愛」です。これは剣道によく用いられる言葉で、竹刀を交えることでお互いに理解しあい人間的に向上する事を説いています。私はこの1年間勝つために稽古をして参りました。しかし、剣道の修行とは技術的な面だけでなく人間力の向上も意味する事を考えさせられました。技術面はさることながら、内面もまだまだ未熟な事を再認識致しました。
来年も連覇すべく気を引き締め直します。しかしそれだけでなく、人としても成長出来るようこれからも剣の道を修行して参りたいと思います。今後とも応援いただけますと幸いです。
余談ではありますが、アップの際に左第4趾PIP関節を脱臼し自己整復・バディテーピングして試合に挑みました。整形外科医で良かった、と心から感じた瞬間でした。
秋田大学整形外科剣道部 烈風会 三田基樹
2018年 全学駅伝大会に参加してきました(長幡 樹)
2018年11月3日に毎年恒例の秋田大学主催、全学駅伝大会に参加しました。天気が心配されましたが日中は驚くほどの晴天であまり寒くもなく、絶好の駅伝日和となっていました。今年は日本リハビリテーション秋季学会と重なってしまったため、メンバーが思ったように集まらず苦労しましたが無事に参加することができました。
メンバーは1区から大屋先生、成田先生、井上先生、長幡、村田先生、笠間先生、木村先生、齋藤先生、佐々木先生、千馬先生での参加でした。あまり長い距離が得意でない自分はとても不本意なタイムとなってしまいましたが、大屋先生が1区を陸上部に次ぐ2位と好順位でスタート。新(?)戦力の村田先生、井上先生はお互いにライバルとして意識し合いながらパワフルな走りでタスキをつないでくれました。毎年、全学駅伝に参加してくれる笠間先生も昨年より1分近くタイムを伸ばして1年間の成長を見せてくれました。最後は佐々木研先生、千馬誠悦先生という整形外科駅伝部の誇るランナーが安定感のある走りでゴールまでタスキをつなぎました。医学部陸上部には足元にも及ばない結果となってしまいましたが、2位という順位は過去最高タイの順位であり全員が力を出し切った結果でした。今年最後の大会となり、締めくくりとしては満足のいく結果だったのではないかと思います。
今年は与次郎駅伝部門別7位、東日本整形災害外科学会駅伝プログラム優勝(7連覇)、全学駅伝2位とどの大会でも好成績を収めることができました。新戦力も加入しながらこれからもいい結果を残せるように頑張っていこうと思います。
4th Annual Congress of Asia-Pacific Wrist Association (APWA)参加報告(伊藤博紀)
2018年11月10、11日の両日、4th Annual Congress of Asia-Pacific Wrist Association (APWA) & 11th Japanese Wrist Surgery Workshop (JWSW)が国際医療福祉大学(成田市)において開催されました。会長は国際医療福祉大学教授 中村俊康先生です。中村教授は手関節鏡視下手術、特にTFCC治療の世界的なエキスパートです。
今回のテーマはUnsolved problems of the wristをテーマとして、TFCC injury、手根不安定症、橈骨遠位端骨折など様々な病態について、日本、韓国、台湾、中国を中心として欧米等各国から参加した各演者の発表とDiscussionが行われました。2008年頃より手外科領域では手関節鏡による診断と治療が本格化し、現在では、橈骨遠位端骨折に対する鏡視下整復が普及し、さらには1.9mmのscopeを用い遠位橈尺関節の鏡視下診断・治療が求められているなど、この10年で進化している領域と言えます。
手関節鏡のワークショップも開催され、香港大学教授Pc Hoによる関節鏡の実演の後に、手関節モデルを用いた関節鏡視や、中村先生が開発された鏡視下TFCC縫合用のガイドを用いた縫合を実際に行ってまいりました。
2日間を通して、『手関節外科の国際標準』を感じることができました。この領域におけるお自己研鑽とAHGスタッフの育成等、今後も継続していきたいと考えております。