投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

整形外科若手セミナー(長幡樹)

昨年から始まった整形外科若手セミナーを今年も開催しました。今回は大学院3年目の飯田・岩本・高橋・長幡・湯浅の5人で年末から準備をしてきました。今年からの新しい取り組みとして整形外科の若手だけでなく、県内の各病院の研修医や5・6年生の学生にも声をかけて参加してもらいました。30人近い参加者の中、和気藹々と若手同士だからこそできるような気兼ねのない討論となり大盛況の会となりました。

 
島田洋一教授の挨拶に始まり4つの講演と、後半はギプス巻きのハンズオンの内容で本会を開催しました。最初に高橋先生の「単純X線のCheck point」と湯浅先生の「骨粗鬆症」についての講義をしてもらい知っている人にとっては再確認ができ、またこれから活躍する若手には明日からでもすぐに使える内容の講義でした。見逃しを防ぐための心構えや注意してみていても見逃してしまいそうな骨折について話をしてもらい、「ハッ」とさせられるような内容でした。湯浅先生は普段ちょっと悩んでしまうような骨粗鬆症薬の使用方法から各薬の注意点など二人ともウィットに富む話術と飽きさせないスライド作りでみんなを楽しませてくれた講演でした。後半2つの演題は若手ならでは普段の講演では無いような発表となりました。自分から「病棟での過ごし方」での発表と飯田先生から「学会活動のメリット」の講演をしてもらいました。およそ学術的な面からは離れるような内容でしたが笑いとともに突っ込みのような質問が飛びかいとても活発な会になりました。

 
その後ギプスの巻き方を各箇所に合わせて全員で手を動かしてハンズオンとして行いました。講演が盛り上がりすぎて少し時間が押してしまったためギプスは全部を教えきれなかったところもありましたが、細かいポイント、普段何を気をつけて固定しているのかなどみんなで情報を共有することができたのではないかと思います。

 
最初から最後までみんなが笑顔で楽しんで会が開催できました。今回のセミナーに参加してくれた多くの先生がたに感謝します。これからの診療・医師生活の参考になっていただければと思います。

第26回秋田県スポーツ医学研究会(井上純一)

平成31年2月23日に第26回秋田県スポーツ医学研究会が開催されました。今年の本研究会は、医師とスポーツとの両立を実現している先生方の輝かしい実績のお話を拝聴することが出来る非常に有意義な機会となりました。レクチャー1では、島田教授を筆頭に、スポーツでの輝かしい実績とそれを継続するモチベーションなどをご講義していただきました。レクチャー2では、秋田県立脳血管研究センターの阿部先生から、秋田県のスポーツ組織体制についてお話いただきました。秋田県のスポーツ組織の概要について分かりやすくご説明いただきました。また、レクチャー3では、金足農業高校野球部中泉監督より、甲子園準優勝での裏話をお話ししていただきました。3週間にもわたる大会期間での選手の体調管理、精神面へのサポートの必要性をお話しいただきました。帯同ドクターとして関わりもあり、今後の活動に生かしていきたいと思います。特別講演1では、国立スポーツ科学センタースポーツメディカルセンターの半谷美夏先生から、日本代表選手などのメディカルチェックや国際大会でのサポートの実際についてお話していただきました。海外でのメディカルサポートの難しさやオリンピックの裏側などをうかがい知ることができ、非常に興味深い内容でした。特別講演2では、秋田大学血液・腎臓・膠原病内科講座高橋直人教授より、「鉄欠乏と鉄過剰。鉄から見たスポーツ医学」と題して、スポーツ選手に潜む鉄欠乏性貧血についてご解説いただき、その治療の結果に生じる鉄過剰の問題点をご教授いただきました。スポーツ関連の外傷・障害を日常的に診療している整形外科医にとっても必要な知識であり、有意義な機会となりました。本研究会を通して、スポーツへの関わり方は様々あり、時には診療に携わり、時には大会へ帯同、時にはプレイヤーとして実際に自分が参加することもあると再認識しました。様々な形で関わりながら、日々の診療に活かしていきたいと思いました。

『北都銀バド部の五輪出場、医療面で後押し 島田洋一教授』 がm3に掲載されました

『北都銀バド部の五輪出場、医療面で後押し 島田洋一教授』 がm3に掲載されました

北都銀バド部の五輪出場、医療面で後押し 秋大病院

秋田大医学部付属病院整形外科は4日、北都銀行女子バドミントン部をサポートする医療チームを立ち上げた。県スポーツ医学研究会会長の島田洋一教授(63)らスポーツ医療の専門医が、選手のコンディションを把握した上で助言。けが予防にも手厚く取り組み、来年の東京五輪出場を目指す選手らを後押しする。

島田教授は、バスケットボール男子Bリーグ・秋田ノーザンハピネッツの設立当初からのチーフドクター。今回は同行の斉藤永吉頭取がサポートを依頼した。

医療チームは、同科やリハビリテーション科のスポーツ専門医や薬剤師15人ほどで組織。選手の身体データを基に、けがの予防や健康管理についてアドバイスしたり、けがをした際の応急処置を指導したりする。ドーピング対策で服薬指導も行う。

https://www.m3.com/news/general/657701?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MT190212&mc.l=393406379&eml=ec3e18de32aa044832ae4d1abaf45725

第31回日本肘関節学会学術集会(齋藤光)

2019年2月8、9日の両日、第31回日本肘関節学会学術集会が小樽において開催されました。会長は肘関節鏡視下手術の世界的なエキスパートである、済生会小樽病院の和田卓郎先生です。学会期間中、北海道は記録的な寒波に覆われ、気温はマイナス13度と凍える寒さでしたが、学会場には肘関節のエキスパートが多数あつまり、熱い議論がかわされました。

秋田大学のAHG(Akita Hand Group)からも6名が参加し、それぞれ演題発表してまいりました。中通総合病院の千馬誠悦先生が「上腕骨通顆骨折後の成績不良例」、成田裕一郎先生が「上腕骨遠位骨端線離開後に上腕骨外側顆骨折を繰り返して内反肘を呈した 1例」、能代厚生医療センターの伊藤博紀先生が「陳旧性Monteggia骨折に対して尺骨骨切り術を行った1例」、由利組合総合病院 白幡毅士先生が「薄筋腱を用いて補強修復した上腕二頭筋筋腹断裂の1例」、秋田大学の湯浅悠介先生が「内反肘に対して矯正骨切り術を行った体操選手の1例」、齋藤が「離断性骨軟骨炎と診断された上腕骨滑車内側骨軟骨骨折偽関節の1例」を発表してまいりました。
本学会では肘関節鏡・テニス肘・野球肘に関する発表が数多くみられました。他にも人工肘関や、エコーによる肘の画像診断、肘周辺の重度外傷に対する治療戦略、小児の肘関節外傷に関する発表等、普段はなかなか得ることができない知識を吸収でき、非常に有意義な2日間でした。

本学会で得た知識を、今後の日常診療、臨床研究へと生かしていきたいと思います。

新山神社裸まいり2019(阿部和伸)

今年も裸でまいるぞ!

新山神社裸まいりとは、毎年1月第3日曜日に行われる小正月行事。早朝、水垢離(みずごり:神仏に祈願するため、冷水を浴びて体のけがれを去り、清浄にすること)を取り、白鉢巻きに白腹巻き、白足袋に草鞋のいでたちで「ジョヤサ(除夜叉)、ジョヤサ」のかけ声とともに、町内ごとに148mの山頂にある新山神社を目指し、諸願成就、郷中安全、身体堅固、家内安全、五穀豊穣などを祈願する。発祥は天保(1830~44)の頃ともいわれるが、定かではない。新山神社には古くから修験者が住んでいたと伝えられ修験道の荒行が姿を変えて伝承されたものといわれている。真冬の奇祭として全国的に有名である。(由利総合農林事務所土地改良課HPより一部抜粋)

今年は当教室からの参加者に加えて、札幌スポーツクリニックから佐藤先生、理学療法士の田中先生、矢野先生がこのためにプロペラ機で来秋。また、タイからはDr. Arthit、韓国からはDr. Sueenが参加した。

例年よりは比較的体にやさしい天候の中、もちやミカン、酒、たらといったお供え物を担いで町内を回り、新山神社へ続く坂を上った。比較的やさしいとはいえ、暦の上では大寒である。神社に到着するころには手足の感覚は鈍り、大きな掛け声を出し続けた喉は枯れてくる。そうして今年も無事に奉納をすませ、けがや遭難などもなく山を下りることができた。

今年初参加となった札幌スポーツクリニックの3人は、裸まいりのおかげで札幌の厳しい寒さもへっちゃらになったという。外国から参加の2人も、郷に従いジョヤサの声をあげ、存分に日本の文化行事を堪能してくれたようだ。大ベテランの佐藤毅先生、齊藤英知先生は一行の先頭に立って唄声を披露した。

毎年のことであるが、私たちが参加している砂子町内の方々は非常に懐が広く、私たちを温かく受け入れてくれ、心から感謝している。すでに裸まいりは当教室にとって立派な公式行事といえる。今後も裸まいりの精神を大切にしていきたい。
(文責:阿部和伸)

秋田県運動器リハビリテーション研究会(三田基樹)

1月19日、秋田県運動器リハビリテーション研究会が開催されましたためご報告いたします。

一般演題では塚本泰朗先生、境梨沙先生、齋藤光先生、千田聡明先生よりご講演いただきました。塚本先生からは運動器疾患や全身機能不全に対するリハビリテーションについて疼痛コントロールの重要性をご講演いただきました。境先生からは社会復帰・退院支援の観点から回復期病棟の問題点やMSWなどの他職種連携の重要性について、齋藤先生からは脳性麻痺によるToe-in gaitについて幼少期の運動負荷及び痙縮による股関節形成不全の関係を含め考察いただきました。千田先生からは転移性脳腫瘍片側上肢麻痺にReoGo-Jを使用し奏功した症例をご講演いただきました。

特別講演では兵庫医科大学 道免和久教授より「ロボットリハビリテーションの現状と展望」についてご講演いただきました。
リハビリドクターとは患者のニーズに技術を結びつける事が重要であり、リハビリテーション支援ロボットの必須条件として運動学習が可能であり・RCTによるエビデンスが確立されており・企業の安定したback upがある事を挙げられておりました。
上下肢用のリハビリ支援ロボットのご紹介を頂き、それぞれの特徴を活かして患者のADLupを目指すことの重要性をご説明いただきました。また、運動学習の観点からEnd-Effector型の推奨や50ms以内のフィードバック能力の必要性や、今後のロボットリハビリテーションの展望についてご講演頂き、現在の最先端をご教授いただきました。

現在のロボットリハビリテーションの進歩に非常に驚かされた研究会でした。私自身今後の研究の糧にして参りたいと思います。

2018年度先進医療及び医療サービスに関わるプロジェクトコンペのご報告(千田聡明)

平成30年11月21日,本道40周年記念会館,講堂にて2018年度先進医療及び医療サービスに関わるプロジェクトコンペが開催され,先進医療部門で栄えある最優秀賞をいただきました.このコンペは「先進医療に発展・実用できる基礎研究・臨床研究」および「本院における医療サービス等においての取り組みや成果の期待出来る事柄」について発表し,各々の部門で優秀と評価された者,又は部門に対して表彰を行い,研究費等の賞金を贈呈するものです.対象職種は医師,看護師,コメディカルスタッフ,事務職,外部委託事業者とされ,今回は先進医療部門に7題,医療サービス部門に11題の応募がありました.

 

私は開発チームを代表し,「卓上型上肢ロボット支援リハビリテーション機器の開発」をテーマに,先の東日本整形災害外科学会にてお披露目した卓上型上肢ロボット支援リハビリテーション機器,通称リハビリマウスの開発プロジェクトについてプレゼンテーションを行いました.リハビリマウスの基礎となる技術は,2006年から秋田大学理工学部,秋田工業高等専門学校との医工連携で行った汎用ロボットアームPA10とセンサー技術を用いた上肢用ロボット研究から培われたものです.当時から上肢用ロボット支援リハビリテーション機器は高性能でしたが大きく重いため,使用環境や目的が限られる短所がありました.当然,装置の小型化が望まれ,私たちは2013年から,持ち運びが可能でテーブル上で使用できる,小型,軽量な機器の開発を始めました.この機器は,円板状の自動掃除機に似た外観であり,前後左右に回転するオムニホイールの四輪駆動とすることで,平面上を全方向に移動できました.また,機器を動かそうとする患者の力を検知し,足りない分を介助したり,逆に邪魔するような外乱を加えたりすることを可能にしました.それにより,この機器を動かすことで上肢の運動練習ができるようにしました.また,AR(拡張現実)技術を組み込み,機器の位置を把握できるようにしたことで,運動練習に加え,運動の評価を可能としました.そしてこのような技術を基に,無線で動作し,先進性と馴染みやすさを両立させて練習の意欲をかきたてるデザインに仕上げたのが今回,お披露目した新型リハビリマウスです.

 

この無線タイプの新型リハビリマウスは,秋田大学理工学部,秋田工業高等専門学校はもちろん,秋田公立美術大学,秋田県立大学,さらには設計開発を専門とする秋田未来株式会社,電子応用機器を専門とする株式会社 Kエンジニアリングなど県内民間企業とチームを組むことで実現できました.コンペの審査においては,このようなオール秋田で臨んだプロジェクトの背景,機器の機能と独創性,製品化の進捗状況や実現可能性の高さなどを高くご理解いただいたものと考えます.今回の受賞を励みとし,賞金をもとにさらに機器の発展を図りたいと考えます.また,コンペ参加の機会を与えて下さいました島田洋一教授,ともに機器の開発に邁進したチームの皆様に改めてお礼申し上げます.どうもありがとうございました.

第45回マイクロサージャリー学会に参加して (湯浅悠介)

2018年12月6日7日、大阪国際交流センターにて第45回マイクロサージャリー学会が開催されました。今年は大阪掖済会病院副院長、静岡理工科大学手微小外科先端医工学講座主任教授の五谷寛之会長が「創新と融合」をテーマに掲げ、学会では様々な分野におけるマイクロサージャリーの発表がありました。

教育研修講演「創外固定とマイクロサージャリーの融合」では、島田洋一教授と松下隆教授のお二方がご講演されました。松下教授は、Ilizarov創外固定を用いた仮骨延長法、骨成熟を促すためのダイナマイゼーション、偽関節部・変形癒合部におけるChipping法の有用性について、具体的な症例を提示していただきながらご講演されました。マイクロサージャリー学会に参加しながら、Ilizarov創外固定の有用性を再認識するという有意義な時間を過ごさせていただきました。島田教授は、秋田で取り組んでいるマイクロサージャリーとIlizarov創外固定の融合についてご講演されました。同じ骨欠損であっても、マイクロサージャリーでの治療がBestか、Ilizarov創外固定での治療がBestかは症例ごとに違い、整形外科医はどちらの治療も選択できるように鍛錬を積む必要がある。術者が得意とする技術を用いて治療するのではなく、その患者にとってなにがBestな治療かを考え選択することが重要であると、お話しされました。日々の鍛錬を怠らず、Bestな治療を提供できるよう邁進していこうと改めて感じました。

シンポジウムは四肢重度外傷やReopeによる皮弁救済時の工夫、長管骨骨欠損などをテーマに開かれました。野坂光司先生は「長管骨骨欠損、仮骨延長VS血管柄付き骨移植」のシンポジストとして招かれ、「Ilizarov創外固定によるdistraction osteogenesisの意義」と題しご講演されました。

秋田は今後も、マイクロサージャリーとIlizarov創外固定の融合をテーマに様々な難治外傷例に取り組んでいきます。未熟者ではございますが、私も秋田における外傷学の発展へ貢献できるよう努めていきたいと思います。

第8回こまちリウマチセミナー(井上純一)  

 

2018年12月6日に第8回こまちリウマチセミナーが開催されました。

一般演題では秋田大学の岩本先生よりアバタセプトの可能性として、AORA registryでのアバタセプト使用例における患者背景やACPA陽性例での有効性などについてご発表いただきました。

また由利組合総合病院の鈴木紀夫先生よりAORA registry 2016における65才以上RA患者の慢性腎疾患有病率と関節リウマチ関連薬の投与について、とくにNSAIDsの漫然な投与、不可逆的な腎機能障害についてご発表頂きました。

また特別講演では藤田医科大学医学部整形外科学の森田充浩准教授より、「実践に役立つ関節リウマチ:バイオ治療のknow-how」として股関節を中心とした下肢荷重関節におけるRAによる関節破壊のリスク回避のための早期治療の必要性や、MMP-3でのfollow upの重要性、bDMARDs導入においての選択する際の使い分けの思考過程考や、RA股関節人工股関節置換術の考え方などについて非常に分かりやすくご講演いただきました。

今回で8回目となるこまちリウマチセミナーとなりましたが、毎回bDMARDsを中心とした最新の知見を得ることができ、非常に有意義な研究会となりました。

第53回日本脊髄障害医学会(井上純一)

2018年11月22日〜23日の2日間、第53回日本脊髄障害医学会が名古屋で開催されました。

本学会は整形外科のみならず、リハビリテーション科、脳神経外科、神経内科、泌尿器科など多種多様な科・職種が関わる全国規模の学会です。2019年に秋田大学主幹で地元秋田開催する予定であり、今回の学会は発表の場というだけでなく、来年の準備の目的としても非常に重要なものとなりました。

秋田大学からは総勢13名が参加し、2日間を通して一般口演やポスター発表などで秋田大学が活躍しました。

本学会では、現在トピックスである脊髄再生医療の研究報告や今後の展望についての内容が発表されていました。今後臨床応用が進むにつれてその管理、リハビリテーション医療の重要性が増していくことが予想され、私もリハビリテーション医療という形で携わっていきたいと思いました。また、その他、脊髄損傷以外の脊椎・脊髄疾患の診断、治療、リハビリテーション医療に関する内容、また脊髄疾患の重大な症状として、排便・排尿障害などの治療や管理などについての内容も発表されていました。本学会は、我々整形外科のみでなく、脊髄障害に関連する他の診療科からの視点での報告もあり、広い視野で脊髄障害を考える意味で非常に有意義な場となりました。今後も脊髄障害に携わる立場として、様々な診療科・職種と協力しながら、診療にあたっていきたいと考えております。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。