第27回日本腰痛学会 (工藤大輔)

2019年9月13日、14日神戸国際会議場にて第27回日本腰痛学会が開催されました。会長は杏林大学医学部整形外科学教室 市村正一教授で、テーマは「腰痛診療の覧古考新」でした。

秋田大学整形外科からは、粕川雄司講師が「下位腰椎骨粗鬆症性椎体骨折の治療」、本郷道生講師が「骨粗鬆症性既存椎体骨折の分布と背筋力と腰背部痛・QOLとの関連」、私が「ロコモティブシンドローム進行度の違いによる身体機能、腰痛、QOLの比較」、また関連病院からは畠山雄二先生が「L5近位支配筋としての中臀筋筋力の定量評価」、木下隼人先生が「成人脊柱変形手術における多椎間PLIF単独とLIF併用の手術侵襲比較」について発表しました。特に今回は本郷講師の演題が、優秀演題賞にノミネートされ、骨折数と骨折部位による各アウトカムの関連性を示したすばらしいご研究と思いました。

特別講演では、ラグビーワールドカップ応援企画として、腰椎疾患で手術治療した大学ラグビーで活躍された選手の経験談を拝聴することができました。ほかに本年5月13日に日本整形外科学会と日本腰痛学会の監修による「腰痛診療ガイドライン2019」が、発刊されたことが大きなトピックと思われました。本ガイドラインでは、急性または腰痛に対する各薬剤の推奨度、エビデンスが示されており、日常診療の助けになるのではないでしょうか。

腰痛診療は、まだまだ発展途上の分野と思います。今後も日常診療に加え、新たな視点からも腰痛診療に寄与できればと思います。