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第68回秋田県整形外科医会(粕川雄司)

2018年10月6日土曜日、第68回秋田県整形外科医会が秋田ビューホテルで開催されました。多くの先生方にご参加いただき一般演題とYoung doctors sessionあわせて15題の発表と、お二人の先生方に教育研修講演を頂き大変有意義な会となりました。

一般演題では、佐々木寛先生、菊池一馬先生、白幡毅士先生、野坂光司先生、畠山雄二先生と5名の先生方から、DISHに生じた脊椎外傷、脊椎固定術術中の放射線被ばく、人工指関節置換術、シャルコー関節の手術時期、近年の雪下ろし外傷について発表いただきました。また、Young doctors sessionでは、大屋敬太先生、五十嵐 駿先生、東海林 諒先生、笠間史仁先生、三浦隆徳先生、佐藤千晶先生、尾野祐一先生、河野哲也先生、佐々木 研先生、益谷法光先生の10名の先生方から、それぞれ素晴らしい発表を頂きました。その中から最優秀演題賞には、一般演題 秋田赤十字病院 畠山雄二先生の「秋田県における最新(2015-2018)の雪下ろし外傷」とYoung doctors session 中通総合病院 尾野祐一先生の「骨粗鬆症患者の身長とArm spanの関係からみたサルコペニアの診断基準」が選出されました。お二人の先生方、おめでとうございます。

教育研修講演1では、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 運動器外傷学講座 教授 野田知之先生より「大腿骨転子部・転子下骨折と関節周囲骨折治療-Current concept-」と題しご講演頂きました。大腿骨転子部骨折・大腿骨転子下骨折・大腿骨遠位部骨折・脛骨近位部骨折の4つの骨折について実際の手術手技や注意点などについて、沢山の画像をご提示頂き詳細にお話し頂きました。転子部や転子下骨折では様々な整復法を熟知しより正確な整復が必要なこと、大腿骨遠位部骨折では髄内釘とプレート手術の実際と限界、脛骨近位部骨折では、軟部組織の重要性とアライメント変形治癒を回避することが重要であることなど、治療に難渋することもある骨折手術手技の実際についてとてもわかりやすくご講演いただきました。

教育研修講演2では、岐阜大学大学院医学系研究科 整形外科学 教授 秋山治彦先生より「高齢社会の日本における人工股関節置換術・再置換術」と題してご講演頂きました。
まず、日本における人工関節、THAのレジストリーの詳細についてお話し頂きました。
さらに、最新の統計からTHA再手術の現状をご提示頂き、再手術の原因のひとつとなるインプラント周囲骨折の治療について骨移植や骨粗鬆症に対する最近の取り組みを含め多くの画像をお示し頂きました。次いで、治療が大変なTHA後の感染、注意しなくてはいけない病態、骨切り術後の股関節症、急速破壊性股関節症と再置換術について、その対応を大変わかりやすくお話し頂きました。骨の脆弱性が進んでいることの多い高齢者に対する人工股関節手術について勉強させていただきました。

天候の悪いなか遠路秋田までお越し頂きご講演頂き誠にありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

秋田県腰痛セミナー2017(佐藤千晶)

一般演題では、羽後病院の阿部先生から詳細なデーターを元に認知症高齢者の服薬状況の現状、今後の展望について、また、北秋田市民病院の相澤先生からは関節リウマチ患者に生じた化膿性仙腸関節例の一例について診断、治療方法の詳細をお話しいただきました。

特別講演では千葉大学整形外科の大鳥 精司教授より「高齢者腰椎疾患の診断と治療―筋減少、骨粗鬆症の観点から―」という内容でご講演をいただきました。

慢性腰痛診断の歴史,定義から、MRI画像にて神経圧迫,痛みを数値化する最新の研究や診断に渡り、また血中炎症マーカーに注目したバイオ製剤治療法まで広く深く大変貴重なお話しをいただきました。

また、メインテーマである高齢者の筋減少、骨粗鬆症から起きる腰椎疾患について、筋骨のcross talkについてのお話は、個人的に自分の大学院での研究テーマでもあり、興味深く聞かせていただきました。初学者にもとても分かりやすいお話で、高齢者腰痛診療について診療で役立つ知識も得ることができ、大変勉強になりました。

大鳥教授、ご講演いただき誠にありがとうございました。

第10回秋田県手外科研究会(湯浅悠介)

7月1日第10回秋田県手外科研究会が開催されました。

昨年に引き続き冨岡立先生から「腋窩ブロックを成功させるポイント」と題してレクチャーをいただいた後に、最新の超音波を用いながら、腋窩神経の描出を行いました。数年前から当研究会で、このハンズオンが行われており、現在超音波ガイド下神経ブロックは秋田大学整形外科若手医師の必須手技となるに至っております。超音波による描出を行いながら、日常診療での疑問などもざっくばらんに話せる、とても有意義な時間となりました。

一般演題は、6演題の発表があり、最優秀演題賞は「両側橈骨若木骨折に対し3Dプリンター装置を用いた1例」で北秋田市民病院の加賀望先生が受賞されました。骨折に対して、装具を3Dプリンターで作成するという、数年前までは想像もつかなかったことが医工連携により現実となってきている事実を知ることができました。知識のアップデートを怠らず、医療の新たな形にも順応していくことが求められていると感じました。その他の5演題もすべて勉強になるものばかりで、明日からの診療に生かしていきたいと思いました。

その後、白幡毅士先生から「日常診療で遭遇する手外科疾患の治療」と題してミニレクチャーをいただきました。普段よく遭遇する疾患を中心に、その症状や治療方法などをわかりやすくご講義いただきました。以前は保存療法が主流であったものが、手術療法が主流となっていたり、逆に手術をしないと治らない疾患であったものが注射などによる保存療法で高い治療効果が期待できるようになったりと、自分の古い知識が一掃される内容となっておりました。今回のミニレクチャーで勉強させていただいた内容をもとに、今後はより詳細に治療方針を説明し、積極的な治療介入をしていこうと思います。

特別講演は奈良県立医科大学手の外科講座の面川庄平教授から「手関節尺側痛の診断と治療-スポーツ外傷から変性疾患まで-」と題してご講演いただきました。手関節尺側痛というblack boxを系統立てて、わかりやすくご説明いただきました。TFCC損傷やECU腱鞘炎はもちろん、手根中央不安定症やLT関節不安定症といった稀な疾患も鑑別に挙げ、それに対しての圧痛点、誘発テスト、治療方法などをご教示いただき、非常に勉強になりました。外来では、いかにその訴えが何に由来するのかを導き出す診断力が求められるため、圧痛点や誘発テストの知識は極めて重要なものであることは明らかだと思います。今回学んだ知識を生かし、今後は一つ一つの理学所見から詰将棋のように診断を付け、適切な治療を行えるように精進していきたいと思います。面川教授、ご講演いただき誠にありがとうございました。

第54 回秋田県脊椎脊髄病研究会 (粕川雄司)

 

2017年3月11日土曜日秋田県JAビルにおいて第54回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。今回の当番幹事は秋田厚生医療センターの菊池一馬先生が務められ、特別講演の講師に名城病院 整形外科 部長の辻 太一先生と、岐阜市民病院 整形外科 部長の宮本 敬先生をお招きしました。

7回目となった研修医・若手整形外科医のための脊椎外科基礎講座では、秋田赤十字病院の鈴木哲哉先生が座長で、1.覚えておきたい脊椎疾患として、1) 秋田厚生医療センターの小林 孝先生から神経筋疾患・炎症性疾患について、2)湖東厚生病院の鵜木栄樹先生より仙腸関節障害についてレクチャーいただき、2.最小侵襲脊椎手術(MISS)について、1)除圧術に関して秋田大学の工藤大輔先生から、2)固定術について秋田厚生医療センターの阿部利樹先生からご講演いただきました。当番幹事の菊池一馬先生が若手の先生方に興味のある話題についてアンケートを行い、希望が多かったテーマについて各先生方から大変わかりやすくお話しいただきました。

ミニレクチャーは、宮腰尚久准教授の座長で菊池一馬先生より「PLIFのラーニングカーブ-これまでの経験-」と題して、PLIF手術執刀例の手術時間と出血量に関する変化を詳細にご講演いただき、術式の変遷や今後の展望も含めて勉強になりました。

一般演題は、秋田赤十字病院の石河紀之先生が座長で4題の発表がありました。秋田厚生医療センターの井上純一先生は「胸髄Arachnoid webの1例」、秋田大学の尾野祐一先生は「ハローベストにより治療した神経線維腫症に伴う慢性環軸椎回旋位固定の1例」、秋田大学の鈴木真純先生は「機械弁置換術後抗凝固療法中の頚椎硬膜外血腫の1例」、秋田労災病院の佐々木寛先生は「当科でのOLIF-導入時からの短期成績-」でした。すべての演題とも大変興味深い発表でしたが、その中から鈴木真純先生が最優秀演題賞を受賞されました。おめでとうございます!4月から新しい勤務先でますますご活躍されますことを祈念しています。

特別講演1では、辻 太一先生から「脊柱変形治療の悩みどころ-小児から成人まで-」というご講演を頂きました。数多くの難しい脊柱変形患者さんの治療を実際に行っている先生のお話しは、大変勉強になりました。特に、一人一人の患者さんについてどのように治療するか、それに伴い生じた問題点を解決するため、先生が考え悩んでいることがとても印象に残りました。特別講演2では、宮本 敬先生から「脊椎前方手術の轍(わだち)の認識、回避、克服」と題したご講演を頂きました。岐阜と秋田とのかかわりから、秋田では比較的手術数が少ない前方手術について、そのピットフォールを楽しいお話しとわかりやすい画像・動画でお話しいただきました。前方手術の轍をいろいろ知ることができ、身が引き締まるご講演でした。3月のお忙しい時期に、遠路はるばる秋田までお越しいただいたお二人の先生方に心より感謝申し上げます。今後とも、ご指導よろしくお願いいたします。

本研究会は、今回で54回を迎え役員の改選が行われました。会発足より会長をお務めいただいた阿部栄二先生がご退任され、宮腰尚久准教授が会長にご就任されました。さらに小林 孝先生が副会長、奥山幸一郎先生と鈴木哲哉先生が常任幹事にご就任されました。今後ますます研究会が発展し、若手の先生方にとっても有意義な研究会となるように頑張っていければと感じました。当日、ご参加いただいた先生方ありがとうございました。これからも、よろしくお願いいたします。


第10回秋田県運動器リハビリテーション研究会 (木村竜太)

 

 

H29年2月25日に第10回秋田県運動器リハビリテーション研究会が開催されました。

講演1として湯沢医院の那波康隆先生より「ロコアテープ使用経験からの考察」、秋田大学の益谷法光先生より「動的座位バランス装置を用いた若年者と高齢者の体幹バランス評価」、秋田県立医療療育センターの湯浅悠介先生より「小児運動器疾患の治療経験(運動器の命令系統からの検討)」、木村より「中枢神経術後例に対する歩行練習アシストGEAR」と様々な専門分野から発表がありました。

 

特別講演は、東京慈恵医科大学リハビリテーション医学講座主任教授の安保雅博先生から「脳卒中後遺症である上肢麻痺に対する経頭蓋磁気刺激療法〜自験例から」と題してご講演いただきました。

安保教授が厳しい過去から作り上げられたという教室の歴史から、世界最先端の治療NEURO(rTMS:反復性経頭蓋刺激治療+集中リハ)の素晴らしい臨床成績、患者さんの驚くほどの変化、基礎実験に裏付けされた効果まで、余すところなくご紹介いただきました。

これまで脳卒中など中枢神経性麻痺疾患は一定期間を過ぎると改善しないというのが定説でしたが、近年ニューロリハビリテーションという考え方から、それが覆されています。安保教授のご講演を聞き、改めて人間の持っている底力を、我々医療者はまだまだ引き出すことができると実感しました。秋田大学でもrTMSを用いた研究を行っております。ぜひ秋田からもTMSによる臨床効果を発信していきたいです。

第29回日本整形外科学会専門医試験(河野哲也)

2017年1月19、20日と神戸ポートピアホテルにて、第29回日本整形外科学会専門医試験がありました。このようなOfficialな試験は、医師国家試験以来となります。9月頃から始めた「専門医試験Q&A」、、、1ページ目から立ちはだかる基礎問題に見るも無残に出鼻をくじかれ、果たしていつか解けるようになるのだろうか? という大きな不安を抱きながら日々を過ごしておりました。

しかし、島田洋一教授より毎日のように叱咤激励をいただき、医局先生方には業務の合間を縫って試験対策をしていただくなど、手厚いサポートの中試験準備ができました。実際の試験では、日々のカンファレンスや羊ヶ丘病院での経験も大変参考となりました。

合否発表は2月末の予定ですのでまだまだ安心はできませんが、今回身につけた知識をこれからの診療に活かしていきたいと思います。

この場を借りまして、ご指導いただきました先生方に心より感謝申し上げます。

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第7回秋田県骨粗鬆症PTH治療研究会 (鈴木真純)

 

 

11月24日に開催されました第7回秋田県骨粗鬆症PTH研究会の報告です。寒さが厳しくなりつつある平日にも関わらず、多数のご参加を頂きました。

一般演題は市立大森病院整形外科の嘉川貴之先生より『当院における骨粗鬆症治療の現状』のご発表を頂きました。高齢化が全国レベルで進んでいる秋田県ですが、大森地区での骨粗鬆症治療の現状についてのお話が中心でした。その他治療種類の内訳や、頚部骨折、椎体骨折など治療契機となった疾患別の治療内容・PTH導入率・継続率に関してもご報告頂きましたが、やはり継続率の低さが問題であると思われました。確かに、骨折などでもしなければ無症状である骨粗鬆症であるため、その治療意欲も多分に影響することもあり、今後の課題であると再確認しました。

特別講演は函館中央病院副院長 脊椎センター長 金山雅弘 先生をお招きし、『骨粗鬆症性椎体骨折と脊柱変形—病態に応じた治療戦略—』の御講演を頂きました。序盤の、脊椎手術を受ける高齢者の増加しており、最初の骨折をいかに治療するかが重要というお言葉があり正にその通りと思いました。その治療の要となるPTH使用例のお話では、癒合しなかったtype3の歯突起骨折に対してPTH使用で骨癒合を得た症例や、椎体骨折のretrospective studyで早期の骨癒合を示したデータなどをご呈示いただき、こちらも大変勉強になりました。骨粗鬆症性椎体骨折の椎体形成術の一つであるballoon kyphoplasty (BKP)に関するデータで、除痛効果が大きい反面、後彎変形には弱くその適応に注意が必要であることを改めて具体的なデータをもって知る事が出来ました。また、インストゥルメンテーション治療の際の胸腰部骨折での前方支柱再建の理論での話の中では、ほとんどの症例が前方再建単独で治療可能であるということで、後方を得意とする秋田で勉強している自分としてはおもしろい結果と思いました。変形矯正手術に関してのcriteria、矯正骨切術のテクニックと実際の手術成績のデータなど惜しみなく提示して頂きました。いずれも今後の自身の脊椎に対するモチベーションとなり大変勉強になりました。

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第64回秋田県整形外科医会(飯田純平)

去る10月22日,第64回秋田県整形外科医会が開催されました。

一般演題では今村記念クリニックの田村康樹先生が大腿骨近位部骨折の現状について、Young Doctors Sessionでは秋田赤十字病院の佐藤千晶先生がRh不適合緊急輸血により救命しえた重症外傷の1例についてそれぞれ発表され、優秀演題賞を受賞されました。

 

特別講演では、久留米大学医学部整形外科学講座 白濱正博教授には脆弱性骨盤骨折の診断と治療についてわかりやすくご講演いただきました。

秋田県は高齢化率が非常に高く、軽微な受傷起点による脆弱性骨盤骨折を受傷される患者さんが非常に多いということもあり参加者一同興味深くご拝聴させていただきました。白濱先生は他県で開催された骨折治療学会や骨盤輪・寛骨臼骨折研究会でお目にかかる機会が多々ありましたので、今回秋田県までご足労いただきご講演を聞けたことを大変うれしく思います。

大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学講座 中村博亮先生には「腰痛・下肢痛を生じる脊椎疾患の診断とピットフォール」と題し、腰部脊柱管狭窄症の最新のガイドラインや日常診療で遭遇する脊椎転移症例などについて、その見極めや治療方針、画像所見も含め総合的にご講演いただきました。

今回の特別講演で得た知識は高尚かつ、今後の診療にすぐ役立てることができるような素晴らしいものでした。

 

また、最後になりますが一般演題で優秀演題賞を受賞されました田村先生、Young Doctors Sessionで優秀演題昌を受賞されました佐藤千晶先生、大変おめでとうございます。

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第5回秋田県股関節研究会(岩本陽輔)

2016年10月1日(土曜日)に第5回秋田県股関節研究会が開催されました。

 

まずミニレクチャーでは秋田赤十字病院の谷貴行先生から今話題の「大腿骨転子部骨折に対する3本打ちネイル(Two Extra Screw ネイルシステム)の使用経験」についてレクチャー頂きました。Akitaエリア分類についても詳しく説明していただきながら、大腿骨近位部骨折の最新の知見を教えていただきました。

 

一般演題では、井上純一先生(秋田厚生医療センター)が、新しいデバイスの1つであるHansson Pinlocの使用経験について、長幡樹先生(秋田県立医療療育センター)は運動障害が大腿骨近位部に及ぼす影響について、河野哲也先生(秋田大学)はDAA、OCM、Direct lateralアプローチそれぞれでの静脈血栓塞栓症の発症率の比較について発表していただきました。さらに佐々木研先生(中通総合病院)から、THA術前後の矢状面アライメントについての検討を、奥寺良弥先生(男鹿みなと市民病院)から、THA、BHA後のステム周辺骨折の検討についての発表をいただきました。

そして、最優秀演題賞に輝いたのは僭越ながら私、岩本陽輔(秋田大学)の「楔状テーパー型セメントレスステムAccolade®の短期成績と回旋安定性の検討」という演題でした。

この場をお借りしてご指導いただいた田澤先生、山田先生、木島先生に感謝申し上げます。

 

 

特別講演Ⅰでは、能代厚生医療センターの久保田均副会長から、「骨・関節術後感染予防-ガイドラインのウラの裏-」と題してガイドラインを中心に久保田先生が行っている抗菌薬使用法や感染予防法など紹介いただきました。久保田先生らしい非常に内容の濃いお話で、これまでの観念を打ち破るようなお話も多くご講義いただきました。

 

特別講演Ⅱでは、船橋整形外科病院 人工関節センター長の老沼和弘先生から「仰臥位前方進入法による人工股関節置換術の現状と課題」と題して、現在当科でも木島先生を中心に取り入れているDAAについてこれまでに何千もの症例を執刀されてきた老沼先生の経験やデータ、手術手技に至るまで多くの知見をご講義いただきました。

若手にとってもこれから必要になるアプローチであり、非常に感動いたしました。

 

第5回の秋田県股関節研究会も,大変有意義な研究会でした.会長の山田晋先生をはじめAHRGの先生方に感謝申し上げます

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第53回 秋田県脊椎脊髄病研究会 (水谷 嵩)

2016年9月10日第一会館本館で第53回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。

まず初めに、研修医、若手整形外科医のための整形外科基礎講座vol.6として、今回は小児の脊椎疾患に焦点を当てたご講演をいただきました。秋田労災病院の木戸忠人先生からは日常診療で触れることの多い分離症について、診断のポイントや治療についてお話ししていただきました。秋田大学の粕川雄司先生からは腫瘍について、秋田大学での手術記録をもとに疫学的な内容や画像診断についてなど、文献的な考察を含めてお話しされました。同じく秋田大学の本郷道生先生からは側弯症について、診断から健診、フォローアップについてなど多岐にわたる内容をお話ししていただきました。

ミニレクチャーは今回の当番幹事の三澤晶子先生から神経筋疾患に基づく小児脊柱変形という内容でご講演いただきました。脳性麻痺やダウン症の脊椎疾患など、三澤先生の専門分野とも言える内容が中心で、過去の大変な症例なども御呈示いただき大変興味深かったです。

一般演題は4題で、どの演題も独自性が高く今後の診療につながる素晴らしい演題でした。秋田厚生医療センターの井上純一先生は仙骨脆弱性骨折の検討、秋田労災病院の阿部和伸先生は健常日本人における脊柱骨盤アライメントの基準値の計測、佐藤千晶先生は頚椎症性脊髄症に合併したRS3PE症候群の二例、秋田大学の鈴木真純先生は外側ヘルニアを合併した腰部脊柱管狭窄症の1例を発表されました。一般演題の中から最優秀演題賞に選ばれたのは秋田労災病院阿部和伸先生の発表でした。

特別講演1は順天堂大学整形外科准教授の米澤郁穂先生から『側弯症の診断と治療〜難治症例にどう対応するか』と題してご講演いただきました。20歳以降に側弯症手術を行った場合は出血や手術時間が増える傾向があり、なるべく思春期のうちにすべきだとお話しされていました。Lenke type 2 curveに対する側弯症強制固定術をもとにShoulder balanceの重要性について述べられており、遠位近位固定端の決定についても言及され、側弯症手術の治療計画の難しさを感じました。神経原性疾患に合併した側弯症の治療として、Chiari奇形を合併した側弯症では30度以下で大後頭孔減圧術を行なうべき、空洞症の残存例には要注意とのことでした。術後の合併症についてもお話ししていただきました。矯正を行う手術の際はやはりMEPは頻回にチェックし、脊髄血流障害の評価が不可欠のようです。

 

特別講演2 は関西医科大学総合医療センター整形外科病院教授の齋藤貴教先生から『脊椎手術におけるMISt手技 この十年の歴史と今後の展望』と題してご講演されました。齋藤先生からはMISt発足の成り立ちからお話ししていただき、脊椎小侵襲手術の歴史から学ぶことができました。小侵襲固定手術の必要性、脊椎固定術におけるパラダイムシフト、PLIFの小侵襲化の過程などについてご紹介いただき、MIS-TLIF やMantis手術手技は動画をご提示いただきました。MIS TLIFとPLIFの長期成績の比較についても自験例の結果をもとに小侵襲か手術の有用性をお話していただきました。椎間関節の温存、背筋群の温存がいい結果につながるのでは、とのことで今後より発展していく可能性を感じることができました。また、PPSの応用例について、感染や、腫瘍、外傷などに応用した症例をご提示いただきました。最後にOLIF、XLIFについて問題点も踏まえ現在の課題、今後の展望などをお話しいただきました。

今回も様々な演題で勉強することができ、今後の診療に役立つ研究会となりました。

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