投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第93回日整会親善e-スポーツ大会 ウイニングイレブンの結果報告(笠間史仁)

2020年6月11日~8月31日にオンライン開催となった第93回日本整形外科学会学術総会で、初の試みとなるe-sports大会に参加しました。

 

e-sportsとは、複数人のプレイヤーがパソコンやテレビゲームなどのオンラインゲームで対戦するものであり、昨今規模・人気ともに急上昇し、いずれオリンピック正式種目になるともいわれるジャンルです。今回は日整会のオンライン開催に伴い、例年のスポーツ大会が中止となり、PlayStation4のウイングイレブン2020というサッカーゲームでのオンライン開催となりました。

 

全国から21大学が参加があり、当大学からは村田昇平、佐藤光、笠間史仁の3名で大学院生室から大会に臨みました。

 

1回戦岡山大学戦は相手校が棄権したため不戦勝となり、迎えた2回戦、主幹校で第1シードの慈恵医大との試合は激戦となりました。前半、笠間のゴールで1-0リードで折り返し、後半1-1と追い付かれた後、笠間のゴールで2-1と再度リードしたものの2-2に追いつかれ、延長戦に突入。延長前半はノーゴールに終わり、延長後半に慈恵医大のゴールでリードを許し、そのまま2-3で終了のホイッスルとなりました。

 

第1シードから2度のリードを奪い最後まで苦しめましたが、健闘虚しく敗れてしまいました。来年以降も機会があればリベンジを果たしたいと思います。

応援ありがとうございました。

工藤大輔先生が脊髄損傷に対する神経再生医療研修を終了

札幌医科大学整形外科学講座ならびに神経再生医療科で研修されていた工藤大輔先生が、2020年4月をもって研修を修了されました。今後は秋田大学においても、ステミラック注を用いた脊髄損傷に対する神経再生医療の開始が期待されます。

https://web.sapmed.ac.jp/orsurg/news/2020/pgsps60000000cg3.html

 

 

 

 

 

 

 

工藤大輔先生から

『脊髄損傷の従来の治療法は、外固定、薬物などの保存療法、骨折・脱臼に対する手術、リハビリテーションが主体でしたが、重度の麻痺の場合は手術を行ったとしても重篤な機能障害を残すため、リハビリテーション治療の目的、ゴールは残存機能を生かし、機能残存レベルに応じた日常生活動作を獲得するというものでした。

札幌医科大学神経再生医療科 本望 修教授が開発された骨髄間葉系幹細胞を用いた脊髄再生医療の医師主導治験が2013年に開始され、2018年12月には条件及び期限付承認を取得、そして2019年2月の薬価収載を経て、同年5月13日より治療の受付が開始されました。本品は販売名ステミラック注として外傷性脊髄損傷の機能障害改善目的にASIAの機能障害尺度A、BまたはCの重度麻痺に対して適応があります。受傷後31日以内を目安に脊髄損傷患者の腸骨から骨髄液を採取し、これを細胞培養施設にて目的の細胞を分離、約1万倍に培養し、約1億個の幹細胞を細胞製剤として静脈内投与するという治療法で、世界に先駆けて本邦で実用化されました。ただし、一般の薬剤のようにあらかじめ大量生産できず、さらに治療のために患者さん自身が札幌に移動する必要があります。

私は、2019年11月より6ヵ月間、札幌医科大学神経再生医療科に所属、研修させていただきました。本品の性質上、適格性判定のための検査が非常に厳密で、残念ながら投与に至らなかった症例も経験しました。しかし、投与された症例において治療前後で明らかに機能が改善している症例の数々に驚かされました。もちろん薬剤の効果のみならず適格なリハビリテーション治療により、治療効果がさらに高まっているのだと感じますが、これまで一度損傷した脊髄は治らないため残存機能を生かし、残存レベルに応じたゴールを設定するという脊髄損傷のリハビリテーションの考え方が変わる可能性があります。

札幌医大には全国から多くの脊髄損傷患者さんが紹介されてきておりました。スポーツや事故などで受傷された若い患者さんには特に心が痛みました。脊髄再生治療と最先端のリハビリテーション治療により、このような患者さんのすべてに笑顔が戻ることを切に願うとともに、一人でも多くの患者さんが治療を受けられるよう引き続き研鑚を積んでいきたいと思います。』

田沢湖モーグルワールドカップ開催! (村田昇平)

2020年2月22日、23日に秋田田沢湖にてモーグルワールドカップが開催されました!

 

秋田大学整形外科も大会ドクターとして参加させてもらってきました.本番前の練習期間もあわせて,井上純一先生,三田基樹先生,筆者,藤井昌先生,齊藤英知先生の総勢5名で行って参りました(最終日には島田教授にもかけつけていただきました).

 

モーグルはコブ斜面を一気に滑走し,2回のエアー(ジャンプ)を組み合わせて行うという種目になり,選手も観客も非常にエキサイトできるスポーツです.ただ,その競技の特性から競技中にケガをすることがあり(最悪なケースとして脊髄損傷を想定しています),迅速かつ細やかに対応できるように毎年準備しております.今年も複数名の選手に故障が発生しましたが,選手や各国のコーチと連携をとりながら,きめ細やかな対応ができたと思います(藤井先生が他国のドクターから”Perfect!!”とコメントをいただいていました).

 
ただ,当然のことではありますが,我々ドクターだけでは完璧といえるような対応はできず,DMAT隊員の皆様(いつも角館病院,蝦名寿仁先生にご協力をいただいております),近隣病院の関係者様,救急隊員の皆様,その他多くの関係者の皆様のご協力をいただくことで,毎年色んなケースに対応できています.帯同活動の際には,今後も人との繋がりを大切にしながら,選手に安心・安全を提供できるように努めていきたいと存じます.また,大会へ快く送り出していただいた職場の先生方にも深謝を申し上げます.

 

第50回日本人工関節学会に参加して(三浦隆徳)

2020年2月21日(金)~22日(土)に愛媛大学整形外科、三浦裕正教授のもと福岡で開催された第50回日本人工関節学会に参加させて頂きました。

本会は「半世紀の軌跡と未来への提言」というテーマのもと開催され、半世紀にわたり人工関節を専門とした唯一の国内学会として本邦の人工関節医療の発展に大きな役割を果たしてきた伝統ある学会であります。テーマにふさわしく、人工関節発展の軌跡の振り返りとしてのレジェンドセミナーや人工関節の歴史展示、各種シンポジウムやディスカッションなど人工関節を専門とする医療者にとって非常に興味深い内容と感じました。

同門ではASAKG、AHRGから多数の演題を発表し、当教室の取り組みを全国に発信することができたと思います。人工股関節、膝関節のほか手関節、足関節、肩関節のセッションもあり興味がありましたが、主に股関節関連の演題を聴講しました。転子下短縮骨切り併用のTHA、ステム周囲骨折や再置換時の骨欠損の対処方法、DAAにおけるrevision手術など日常診療ではなかなか得られない難治例への対応を勉強することができました。

写真は機器展示にありました、今日の人工股関節の普及に最も影響を与えたとされるCharnleyの人工股関節とその書籍になります。人工関節は先人の絶え間ない研究のもと、現在では安定した成績が得られるようになってきましたが、他の治療手段を含めた適応に対する吟味検討や、さらなる臨床成績の向上、使用インプラントや開発される新機器の検討などこれからの課題は多いと思われます。今後も治療手段の一つとして研究、手技向上に努めて、患者さんへよりよい医療を提供できるように精進して参りたいと思いました。本学会に参加する機会を頂いた島田教授を始め、AHRG、ASAKGグループの皆様、ご指導頂いた木島泰明先生に深く感謝申し上げます。

第3回秋田県骨と腫瘍セミナー(井上純一)  

 

2020年2月22日第3回秋田県骨と腫瘍セミナーが秋田温泉さとみコンベンションホールで開催されました。

一般演題では、秋田大学大学院医学系研究科整形外科学講座の村田昇平先生より、「診断に難渋するデスモイド型線維腫症の検討」と題してご講演いただきました。デスモイド型線維腫症はEnigma(謎)の腫瘍と言われており、自然停止・退縮する性質や広範切除術後の高い再発率などの特徴があり、慎重な経過観察が必要です。症例を提示しながら、デスモイド型線維腫症の診断から治療についてご講演いただきました。

基調講演では、秋田大学医学部附属病院整形外科土江博幸先生より「高齢化社会における骨軟部腫瘍」と題しましてご講演いただきました。全国平均を10年先取りした高齢化率の上昇傾向がある秋田県における骨軟部腫瘍の現状をご講演いただきました。秋田県内の骨軟部腫瘍のデータの解析から、1番の予後不良因子として手術を行わないことが挙げられており、非常に感銘を受けました。高齢でも合併症をしっかり管理して手術を行うことで、確実に救命、QOL、ADLを上昇させることができ、その重要性を再認識しました。

特別講演として、名古屋大学医学部附属病院リハビリテーション科西田佳弘先生をお招きし、「希少がんである軟部肉腫に対する集学的診療と学術的研究」と題してご講演いただきました。神経線維腫症1型(NF1:Type 1 neurofibromatosis)に合併する悪性末梢神経鞘腫(MPNST:malignant peripheral nerve sheath tumor)、デスモイド型線維腫、横紋筋肉腫に関して適切な診断、治療に対する取り組みを中心にご講演いただきました。名古屋大学病院では院内でNF1の臨床ネットワークを構築し、多科・多職種で連携してMPNSTの早期発見・早期治療へつなげているとのことでした。また、デスモイド型線維腫症の診療ガイドラインを構築し、患者さんの特徴や遺伝子解析によって治療法を選択しているとのことでした。リハビリテーションや包括的ケアも生活機能の回復に重要とおっしゃっていました。

どのご講演も明日からの診療に活かすことのできる内容ばかりで非常に有意義な機会となりました。今後の診療に積極的に活かしていきたいと思います。最後になりましたが、ご講演いただきました先生方、ご参加いただきました先生方、大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

第41回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会 (阿部和伸)

例年になく暖冬となっている2020年2月1日、「第41回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会」が仙台の江陽グランドホテルで行われました。この研究会は、東北地方で骨粗鬆症診療にあたる先生方が骨代謝に関する諸問題に関して、基礎・臨床両面の研究成果や新知見を発表し、議論を深める会であり、今年で41回目と大変歴史の深い研究会です。

当大学からは、臨床部門で粕川雄司講師が「同一高位に生じた骨粗鬆症性椎体骨折と胸椎黄色靱帯骨化症の手術成績」に関してご発表されました。基礎部門では大学院生の齋藤光先生が「慢性腎臓病モデルラットにおける骨と筋肉の検討」、私が「2型糖尿病モデルラットにおける,テリパラチドと運動療法の骨・骨格筋に対する効果の検討」という題で、大学院で行っている研究に関して発表させていただきました。発表の後には活発なディスカッションが行われ、鋭いご指摘や建設的なアドバイスをいただきました。また、他大学の研究からも刺激を受け、大変有意義な研究会となりました。

研究会の終わりには、この会の発足当初から重要な役割を果たしてこられた、佐藤光三名誉教授に感謝状が贈られました。佐藤光三名誉教授は秋田大学整形外科学講座の第二代教授であり、第5回の研究会から世話人となられその後代表世話人を務められるなど、実に35年に渡って研究会の運営にご尽力されました。秋田大学整形外科の礎を築いてこられた佐藤光三名誉教授がこのように表彰されることは、私たち秋田大学にとっても大変喜ばしいことであり、後進にあたる私たちはより一層骨代謝・骨粗鬆症に真摯に取り組んでいかなければならないと感じました。

今後も骨代謝研究、骨粗鬆症治療に関しての知見を積み重ね、患者さんにとって最適な医療を考えていきたいと思います。

第1回 AKITA PTH Conference(粕川雄司)

2020年1月16日木曜日、秋田キャッスルホテルにて第1回となるAKITA PTH Conferenceが開催されました。1月では珍しくほとんど雪のない比較的暖かい日でした。

秋田大学整形外科では、PTHの骨に対する効果についての基礎的な研究とPTH製剤であるテリパラチドの臨床における研究を行ってきました。特別講演1は、秋田大学大学院医学系研究科 整形外科学講座 准教授 宮腰尚久先生より、「秋田の骨粗鬆症治療とテリパラチドの基礎と臨床」と題して御講演いただきました。これまで行ってきた骨粗鬆症モデル動物に対するPTH間欠投与の効果や、骨切りなどの様々な動物実験モデルにおけるPTHの骨癒合に対する効果など、さらにはテリパラチドの臨床における効果について詳細にお話し頂きました。秋田でのこれまでの取り組みについて、系統だて大変わかりやすく御講演頂きました。今後ともご指導頂きますようお願い致します。

特別講演2は、東邦大学医療センター大森病院 整形外科 主任教授 高橋 寛先生より「脊椎骨粗鬆症に対する薬物治療と手術療法」と題して御講演いただきました。テリパラチドの骨代謝と骨粗鬆症に対する効果についてわかりやすくお話し頂きました。また、骨粗鬆症を有する脊椎患者さんに対する手術治療の工夫や日ごろの治療における注意点などもお話し頂き、今後の臨床・手術に役立つ有意義な御講演でした。秋田で御講演頂き、誠にありがとうございました。

 

AKITA MUSCULOSKELETAL FORUM (齋藤光)

今年は暖冬の影響で雪の少ない秋田市。しかし直前の大雪であたり一面は雪景色となり、特別講師の先生を秋田らしい冬景色でお迎えすることができました。2020年2月6日にAKITA MUSCULOSKELETAL FORUMが開催されましたので報告いたします。

本研究会では「手の外科」についての講演を、中通総合病院の千馬誠悦先生と、広島大学大学院医学系研究科上肢機能解析制御科学教授の砂川融先生からいただきました。

千馬先生からは「手指変形性関節症」のテーマでご講演いただきました。手指の変形性関節症は年齢を重ねるほどに有病率が高くなる疾患であり、外来でもよくみかけます。2019年にヘバーデン結節がテレビで取り上げられたことにより、最近ではさらに相談が増えた印象をうけます。治療法のうち内服治療、装具治療、手術治療について、先生の日頃行っている方法を教えていただきました。特に近年話題となっているサプリメントや、指に装着する8の字装具に関する情報は、明日からの診療に役立つ情報であり大変勉強になりました。

砂川先生からは「手外科に対する脳科学的、運動学的アプローチ」というテーマでご講演いただきました。砂川先生が大学で行っている基礎研究のうち、動作解析や脳機能マッピング、運動イメージや経頭蓋直流電気刺激、電流知覚閾値検査などについて多彩な研究結果を披露いただきました。特に手指の知覚障害についての話が印象にのこりました。手指の知覚低下、しびれや痛みについては、直接障害されている末梢神経の治療に注目しがちですが、中枢の脳を騙すことで症状を改善させるというアプローチがあることは驚きでした。また動作解析の話題もあり、当教室で基礎研究にあたっている大学院生は大変な刺激をいただきました。砂川教授、お忙しい中、大変ありがとうございました。

秋田大学整形外科若手セミナー開催!!!(村田昇平)

記録的な暖冬で雪の少ない今冬ですが、更に寒さを吹き飛ばすような熱い勉強会、「秋田大学整形外科若手セミナー」が2020年2月1日に開かれました。本セミナーは若手が中心となって、若手にLectureを行う、若手の若手による若手のためのセミナーです。

 

今年は河野先生からRA、三田先生より救急外傷、佐藤千晶先生から脊椎外傷に関する講義をいただきました。また、「四肢関節実習、第一線からのclinical pearl」と第して、赤川先生より膝の所見のとり方、大内先生より肩の所見のとり方を実技も踏まえながらご指導いただきました。

 

自分としても大変勉強になる内容ばかりでした。また、今年は秋田全域から研修医の方々、さらには学生の方々まで参加いただいて、皆さん真剣な表情で講義を聞いたり、実習に取り組んでいて、本勉強会が今後の秋田大学整形外科の益々の発展につながっていくことを強く予感させる雰囲気でした。

 

また、明日からの臨床、研究に若手一同で一層励んで行きたく存じます。