投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

東日本整形災害外科学会 箱根de駅伝大会 (長幡 樹)

2016年9月22日に箱根プリンスホテル芦ノ湖にて東日本整形災害外科学会で今年も恒例行事である駅伝大会が開催されました。1区間3キロのアップダウンのきつい遊歩道でのレース。台風の直撃は避けられたため、好天に恵まれるかと思いきや雨…。朝7時30分のスタート時には土砂降りの嵐のような悪天候の中での駅伝大会でした。今年は駅伝の聖地である箱根での開催とあり、参加チームも8大学11チームと過去最多、そしてなんと箱根駅伝常連、優勝候補の一角である東洋大学が特別出場してくださるという、さながら箱根駅伝本番のような盛り上がりと熱気でした。

我々秋田大学駅伝部は東日本整災の第1回大会から負け知らずの4連覇を成しています。今大会ではあのオリンピックの伊調馨選手をも超える5連覇に挑戦する大会でした。この日のために胃に穴が開くほどのプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも耐えて耐えて1年間練習を積み重ねてきました。

秋田大学からは2チームが参加しました。

Aチームは1区 竹島正晃先生(本荘第一病院)、2区 自分長幡樹、3区 千馬誠悦先生(中通総合病院)、4区 佐々木研先生(中通総合病院)、5区 三浦隆徳先生(北秋田市民病院)と今までのメンバーに加え、三浦先生という若い力を加えた5人で参加しました。またBチームは1区 阿部和伸先生(秋田労災病院)、2区 小林志先生(平鹿総合病院)、3区 佐藤雅洋先生(中通・研修医)、4区 成田裕一郎先生(中通総合病院)、5区 山田晋先生(秋田大学)とAチームも油断の出来ない布陣で臨みました。

特別参加の東洋大学には5分のハンディキャップをもらいました。東洋大学は駅伝部監督酒井俊幸監督とともに主将、副将を初め、2016年の箱根駅伝で8区を走った山本修二選手など1軍メンバーに、ハンデとして男子マネージャーを加えた、かなり本気に近いメンバーでの参戦となりました。周囲の予想は「5分のハンデじゃもっても2区か3区できっと東洋の圧勝だよ」そんな声ばかりが聞こえてきます。

東洋大学駅伝部監督の酒井監督の号砲でレースはスタートしました。1区は千葉大学が1分以上の差をつけて先行する中、秋田大学は3位。2区で前2チームを抜きトップに立つものの、筑波大学のエース選手に抜き返され2位で3区へとタスキをつなぎます。東洋大学はこの時点で4位まで順位を上げてきていました。本当に速い!ただ秋田大学も負けていません。千馬先生が年齢を感じさせない走りで1位に順位を上げ、佐々木先生が大きくリードをつけてきました。きっと4−5区の中継では東洋大学が1位だろう。誰もがそう思っていたでしょう。しかし、最初に姿を見せたのは青と白のユニフォームの佐々木先生、秋田大学でした。会場が「まさか!」と驚きに包まれていました。心なしか東洋大学の選手たちも焦っていたように感じます。最終走者にタスキが渡った時点で東洋と5秒程度の差をつけてトップでのタスキリレーとなりました。惜しくも最終走者で東洋大学には抜かれてしまいましたが、他大学に約4分の差をつけての堂々の1位、前人未到の5連覇を達成しました。またBチームも3位と大健闘をし、秋田大学全体としてのチーム力、決断力の高さをみせつけてくれました。

優勝を決めた時の島田洋一教授の安堵と喜びの顔は心に刻みこまれ、忘れられないものとなりました。

東日本整災に際して、応援してくださった先生方、本当にありがとうございました。最高の結果を持って帰ることができました。

またとても楽しいそして緊張感のある駅伝大会を開催していただいた日本医科大学整形外科の先生がたには本当に感謝をしています。ありがとうございました。また大会を盛り上げてくださった東洋大学の選手の皆様ありがとうございました。箱根駅伝、応援します。

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American Society for Bone and Mineral Research (ASBMR) 2016 Annual Meeting in Atlanta (湯浅悠介)

2016年9月16日からの4日間、米国骨代謝学会がジョージア州アトランタで開催されました。ジョージアワールドコングレスセンターという巨大施設に世界各国から骨の研究に携わる研究者が集い、秋田からは佐々木聡先生、粕川雄司先生、河野哲也先生、尾野祐一先生、長幡樹先生、そして私が参加してきました。

最新の基礎から臨床に至るまでの骨代謝に関する発表が、オーラルとポスターに分かれて行われており、そのどれもがハイレベルな内容ばかりでした。同門からは佐々木聡先生、粕川雄司先生、木下隼人先生、河野哲也先生、鈴木真純先生の5演題が通り、17、18日に分かれて発表がありました。佐々木聡先生はAdherence to Osteoporosis Treatment in Patients with Lifestyle Related Diseasesのタイトルで発表され、7人からの質問に対して英語でディスカッションされておりました。粕川雄司先生はAge-related Changes and Sex-related Differences in Spinal Kyphosis Angles and Spinal Mobility in an Elderly Japanese Population、河野哲也先生はEffects of Alendronate and Low-intensity Pulsed Ultrasound Therapies on Bone Mineral Density in Cancellous Osteotomy Sites in the Proximal Tibias of Rats with Glucocorticoid-induced Osteoporosisのタイトルで発表され、海外の方と骨代謝について英語で討論されておりました。また、自分の研究テーマに関連した発表から刺激を受けることもできました。

朝は有志を募ってのランニングが行われました。アトランタは温かく、とても気候が良いためランニングに適した地域でした。ホテルからスタートし、隣接するオリンピック公園を抜け、CNNや水族館、観覧車といった建造物を観ることで「アトランタ」という街をランニングと共に楽しみました。また、アトランタ周囲を巡り、アメリカの歴史を学ぶ機会もありました。実際にキング牧師が演説した教会などを直接訪問することで、かつては色濃く在った人種差別という問題を目の当たりにしました。

ASBMRに参加し、非常に多くのことから刺激を受けました。まだまだ自分が不足していること、今後の進むべき方向を改めて考える機会になったと思います。このような機会を与えてくださった島田洋一教授、宮腰尚久准教授にはこの場をお借りし、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

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第53回 秋田県脊椎脊髄病研究会 (水谷 嵩)

2016年9月10日第一会館本館で第53回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。

まず初めに、研修医、若手整形外科医のための整形外科基礎講座vol.6として、今回は小児の脊椎疾患に焦点を当てたご講演をいただきました。秋田労災病院の木戸忠人先生からは日常診療で触れることの多い分離症について、診断のポイントや治療についてお話ししていただきました。秋田大学の粕川雄司先生からは腫瘍について、秋田大学での手術記録をもとに疫学的な内容や画像診断についてなど、文献的な考察を含めてお話しされました。同じく秋田大学の本郷道生先生からは側弯症について、診断から健診、フォローアップについてなど多岐にわたる内容をお話ししていただきました。

ミニレクチャーは今回の当番幹事の三澤晶子先生から神経筋疾患に基づく小児脊柱変形という内容でご講演いただきました。脳性麻痺やダウン症の脊椎疾患など、三澤先生の専門分野とも言える内容が中心で、過去の大変な症例なども御呈示いただき大変興味深かったです。

一般演題は4題で、どの演題も独自性が高く今後の診療につながる素晴らしい演題でした。秋田厚生医療センターの井上純一先生は仙骨脆弱性骨折の検討、秋田労災病院の阿部和伸先生は健常日本人における脊柱骨盤アライメントの基準値の計測、佐藤千晶先生は頚椎症性脊髄症に合併したRS3PE症候群の二例、秋田大学の鈴木真純先生は外側ヘルニアを合併した腰部脊柱管狭窄症の1例を発表されました。一般演題の中から最優秀演題賞に選ばれたのは秋田労災病院阿部和伸先生の発表でした。

特別講演1は順天堂大学整形外科准教授の米澤郁穂先生から『側弯症の診断と治療〜難治症例にどう対応するか』と題してご講演いただきました。20歳以降に側弯症手術を行った場合は出血や手術時間が増える傾向があり、なるべく思春期のうちにすべきだとお話しされていました。Lenke type 2 curveに対する側弯症強制固定術をもとにShoulder balanceの重要性について述べられており、遠位近位固定端の決定についても言及され、側弯症手術の治療計画の難しさを感じました。神経原性疾患に合併した側弯症の治療として、Chiari奇形を合併した側弯症では30度以下で大後頭孔減圧術を行なうべき、空洞症の残存例には要注意とのことでした。術後の合併症についてもお話ししていただきました。矯正を行う手術の際はやはりMEPは頻回にチェックし、脊髄血流障害の評価が不可欠のようです。

 

特別講演2 は関西医科大学総合医療センター整形外科病院教授の齋藤貴教先生から『脊椎手術におけるMISt手技 この十年の歴史と今後の展望』と題してご講演されました。齋藤先生からはMISt発足の成り立ちからお話ししていただき、脊椎小侵襲手術の歴史から学ぶことができました。小侵襲固定手術の必要性、脊椎固定術におけるパラダイムシフト、PLIFの小侵襲化の過程などについてご紹介いただき、MIS-TLIF やMantis手術手技は動画をご提示いただきました。MIS TLIFとPLIFの長期成績の比較についても自験例の結果をもとに小侵襲か手術の有用性をお話していただきました。椎間関節の温存、背筋群の温存がいい結果につながるのでは、とのことで今後より発展していく可能性を感じることができました。また、PPSの応用例について、感染や、腫瘍、外傷などに応用した症例をご提示いただきました。最後にOLIF、XLIFについて問題点も踏まえ現在の課題、今後の展望などをお話しいただきました。

今回も様々な演題で勉強することができ、今後の診療に役立つ研究会となりました。

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ヨーロッパ股関節学会(木島泰明)

ただいまミュンヘンは9月9日の午前8時です。これからチェックアウトをして日本への帰路につきます。

Akita Hip Research Group (AHRG)のメンバーは日々、股関節の診療・研究に勤しんでおりますが、その素晴らしい成果を秋田や日本だけでなく世界にも発信していこうということで定期的に海外学会で発表しております。前回は2014年にハワイ島で行われたInternational Congress of Joint Reconstruction (ICJR)で発表しましたが、今回はEuropean Hip Societyで様々な秋田発の成果を発表しました。

AHRG最若手の河野哲也先生は人工股関節置換術後の雪かきや草取りも含めた活動性についての演題を発表されました。座長のドイツ人の先生にも相当気に入っていただけた内容だったようで、次のフランス人の人工股関節後のスポーツ活動についての演題の紹介の時にも雪かきに言及してくださったりしていました。佐々木研先生はHip-Spine syndromeのセッションで秋田のお家芸の一つでもある動作解析の演題を発表されました。座長の先生からは股関節伸展可動域だけでなく屈曲も含めたtotal rangeを考えると臨床に応用されやすくなるのではないかという具体的なアドヴァイスも頂けました。奥寺良弥先生は症例報告にもかかわらずオーラルプレゼンテーションで発表されました。ロシアとウクライナの座長というホットな2人に翻弄されることを心配しながら発表に臨みましたが、堂々とした受け答えでした。肩関節脱臼におけるHill-Sachs損傷が股関節に起こった症例でしたが、人工関節だけでなく骨頭回転骨切りという治療の選択肢も指摘してくださり、やはり人工関節優位のアメリカとは違った、日本に近いヨーロッパの文化も感じることができました。私は、Arthroscopic Labral repair and Open Capsular Plication (ALOCAP)の演題、変形性股関節症の痛みの原因と保存治療の演題、そして大腿骨近位部骨折に対するAkita分類の演題を発表してきました。特にAkita分類に関しては非常に良い分類だとほめてくださり、今後世界に広がっていく分類だと確信できました。今回のAkita分類の発表は転子部骨折に焦点を絞ったものですが、ちょうどその内容が私の誕生日に合わせたように本日publishされましたので興味のある方は下記よりPDFをダウンロードするなどしてお読みいただければ幸いです。URL: http://www.springerplus.com/content/5/1/1512

そしてオーバーエージ枠として参加してくださった久保田均先生は精神的・経済的なサポートをしてくださっただけでなく、すべての演題に対して的確なアドヴァイスをしていただき、本当に心の支えになりました。どうもありがとうございました!

もちろん国際学会参加の意義はもう一つあります。その土地の文化や雰囲気に触れることで世界を知ることも大事な勉強です。今回もセッションの合間を縫って、ミュンヘンの観光名所であるフラウエン教会、レジデンツ博物館、ドイツ博物館、ピナコテーク、ニンフェンブルグ城、オリンピックパークなどを訪れることができましたし、股関節外科医としてははずせない人工股関節置換術のOCMアプローチが生まれたという病院にも訪問することができました。本当にこのような貴重な経験をさせていただき、島田洋一教授、山田晋AHRG会長をはじめ、留守を預かっていただいている皆様に心から感謝いたします。

それではドイツでの最後の朝食を食べて日本に向かいます。

 

木島泰明 拝

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第12回 秋田県運動器疾患セミナー (粕川雄司)

9月8日木曜日 秋田キャッスルホテルで第12回秋田県運動器セミナーが開催されました。台風の影響で雨が降る悪天候でしたが、とても多くの方々にご参加いただきました。

はじめに秋田赤十字病院 人工関節センター長の田澤 浩先生から「人工股関節置換術前の股関節可動域が術後満足度・術後機能に及ぶす影響」と題したミニレクチャーを頂きました。ご自身の10年以上の人工関節手術の変遷についてお話しいただき、さらに人工股関節置換術の術後満足度と機能をSF-36などで評価した結果をご講演いただきました。運動器疾患の治療では、患者さんの満足度と機能に乖離が出ることがあり、その対策や治療が重要となることを改めて認識しました。また、田澤先生の毎年のSF-36の変化も楽しみにしたいと思いました。

続いて、福岡大学医学部 整形外科 教授 山本卓明先生より「股・膝関節疾患における新知見-軟骨下脆弱性骨折の観点から-」と題した特別講演を頂きました。軟骨下脆弱性骨折の診断がなされた経過や高齢者と若年者の画像所見と手術所見は大変勉強になりました。また、両側性であれば骨壊死、一方MRIにおいて中枢に凸で蛇行・途絶する低輝度バンドで造影される場合は軟骨下脆弱性で骨壊死と鑑別することや、軟骨下脆弱性骨折と骨壊死や他の鑑別疾患について詳細にレクチャーいただき、日々の診療にとってとても有意義なご講演しでした。遠路はるばる秋田にお越しいただきご講演いただきました山本卓明教授、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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韓国St Marry Hospital (齊藤英知)

Thank you professor In for inviting us to Early osteoarthritis symposium in Catholic University Medical College 2016 in Seoul. I could present our works on knee joint preserving surgery for advanced knee osteoarthritis in Akita University. Professor Nakamura from Yawata medical center also presented ” Various osteotomy around the knee” . I hope the joint preserving surgery will be accepted all over the world at least in young active age.

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第24回日本腰痛学会 (工藤大輔)

2016年9月2日から9月3日の日程で甲府にて第24回日本腰痛学会(会長:波呂浩孝教授)が開催されました。椎間板や痛みに関する基礎研究から疫学、診断、保存療法、手術まで幅広い分野の発表があり、現在の日本における最新の腰痛研究について聴講できたと思います。特に今回はサルコペニアに関する研究が多く発表され、最近特に関心が集まってきている分野だと思われました。

秋田からは一般演題として本郷講師から職業歴と脊柱変形・腰痛の関連、菊池先生から多椎間PLIFとLLIFの比較、鵜木先生から固定下端レベルによる仙腸関節障害発生頻度、そして私からは下肢を含めた姿勢・筋力とQOL・腰痛の関連について発表させていただきました。2日目は島田洋一教授より高齢者腰痛への総合的取り組みと題してモーニングセミナーが開催されました。運動療法、特に背筋運動の重要性、さらに成人脊柱変形手術に伴って得られるQOL、逆に失うADL動作も多いことなど大変印象深い内容のご講演でした。また同じ日には宮腰准教授からも骨折予防のための骨粗鬆症対策-運動療法と薬物療法のエビデンス-と題して以前から秋田大学で推奨してきた背筋運動の効果についてエビデンスとともに大変分かりやすくご講演いただきました。治療手段としての手術療法ももちろん大切ですが、運動療法がいかに重要かということが聴講されていた先生方に伝わったのではないでしょうか。

シンポジウムでは疼痛は脳にも変化をもたらし、痛みの慢性化やうつ病との関連性も科学的に証明されてきていることなど、最新の研究について紹介されていました。しかし、腰痛の診断、治療は現在もなお未解決の問題が山積みです。今後もよりいっそう運動療法、手術ほか様々な観点から腰痛診療、研究を発展させていきたいと考えさせられた会でした。

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整形外科留学だより―イタリア編4:バカンス  土江博幸

 

気が付けばもう8月末、早いもので留学して2か月近く経ってしまった。8月はイタリアはバカンスシーズンであり、病院もバカンス体制となり、スタッフの先生方は3週間の休暇で多くがいなくなってしまった。手術数もいつもの1/3程に減るが、待たせるわけにはいかない患者もいるためゼロにはならないようである。膝など他のグループはほとんど手術がないので、この期間は腫瘍班と外傷班、小児整形班が手術をやっているようであった。ちなみにレジデントの先生方に聞くとバカンスは全くないとの事。イタリアは医師が過剰なようなのでその影響なのだろうか。かわいそうに…。そのバカンス体制でゆったりになった中、今月初めから奈良医科大学の塚本先生が3か月間研修にいらっしゃった。大学院なども腫瘍をやってこられた先生なので、自分なんかよりも知識が遥かに豊富であり、教えてもらってばかりでかっこわるいがとても勉強になる。塚本先生がこられて気が付いたのだが、他の留学生と自分は手続きが違っていたようで、色々対応が異なっていた。通常はResearch centerに手続きをして留学することになるようなのだが、私は直接コネでProfessorにお願いだけしてくることになったので、その手続きをしていなかった(というか秘書さん、何度もメールでやりとりしたのに、何故その事教えてくれないんだ…)。Research center をちゃんと通していると、あまりきれいではないが寝泊りできる部屋が与えられ、無限に使える食券が与えられ、名札も提供されるのである。しかしながら、私は最初に1万円近く払わせられ(未だに理由が良く分からず…)、採血を受けさせられ、部屋も食券も名札もない…。幸いレジデントの先生が、食券割引券をめぐんでくれたので、1食1ユーロくらいで食べれていた(通常8ユーロくらいするのを)。しかしその券も尽きてしまい、どうしようかと思っていたが、塚本先生がタダ券をめぐんで下さり昼食代を節約する事ができた。ほんと助かります。

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左から、奈良医大の塚本先生、私、Dr. Marco

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ある日の昼食。よく見ると野菜が一つもない…。

※私もバカンス

自分も1週間ちょっとのプチバカンスを頂く事ができたため、遠くに旅に出ることにした。イタリアに来てからヨーロッパ的建築物などばかり見ていて少し飽きが来ていたのと、自然に触れていない事にストレスを感じていたのもあり、ヨーロッパを離れて北アフリカのモロッコに旅に出ることにした。モロッコはボローニャ空港からロイヤルエアモロッコという、今後一生乗ることはないであろう航空会社からの直通便もでており、わずか3時間でカサブランカについてしまうのである。やはりアフリカ大陸であるため、めちゃくちゃ暑い…。あとは食事の度にハエがたくさん飛んでいる。しかし料理はタジンやモロカンサラダなど色々おいしいものがあり、慣れてハエなど気にならなくなってしまう。外の景色も自然の中を移動するので、とても新鮮であった。そしてモロッコといえばやはりサハラ砂漠である。サハラ砂漠では、あえてシャワーなども無い砂漠の中のキャンプに泊まることをチョイス、夕方ラクダに揺られて砂漠の中へ移動。キャンプ地では寝床のテントが与えられるが、中はサウナのようにめちゃくちゃ暑く、とても寝れないため、屋外にマットを敷き、夜空を見ながら寝ることにした。砂漠の中で星空を見て、と言えばすごい星が見えるのか、と想像するかもしれないが、結構雲が多く、星もそれほど見えず、秋田の羽後町近辺の方がよっぽど星が見えたのであった(朝日も同様)…。その後もフェズやマラケシュなどの都市で、メディナと呼ばれる雑多だが雰囲気のある世界遺産な町を散策したり、屋台で食事したりなど旅を満喫するのだが、おなかが強くない私は、イタリアに帰国する頃から案の定下痢になり、1日横になるのであった…。

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砂漠とおじさんとラクダ

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朝日を見ようと早起きして砂丘に登るも、雲が多くて朝日は見えず…

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青と白に塗られた家が並ぶシャフシャウエン

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フェズのメディナ内。人が多く道が狭いので、すぐに迷子になります。ガイドさんから夜は治安が悪いので出歩かないように言われたため、明るいうちのみウロウロ。

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マラケシュ・フナ広場の屋台の一つ、エスカルゴ屋台。鍋の中には煮込まれた大量のエスカルゴが。

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カタツムリのツノもリアルにあるので若干抵抗が…。感触は貝と一緒で出汁はスパイスが効いてうまい。汁まで飲み干した。1杯約100円。

第2回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会    木島泰明

2016年8月27日、第2回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会が行われました。これはISAKOSやJOSKASの秋田県版の研究会で、まだ第2回という若い研究会ですが、テーマも多岐に渡り、非常に盛り上がる研究会です。

前半の約2時間は一般演題とミニレクチャーでした。今年もASAKGメンバーの若手を中心にたくさんの演題が集まりました。上から与えられたテーマでなく、演者自身が日ごろの疑問を自分自身で調査して明らかにした内容ばかりで大変勉強になりました。塚本泰朗先生は膝10度屈曲位でAP像を撮るべきというご発表、佐藤千恵先生は脛骨後方皮質をリファレンスに統一してレントゲン計測をすべきというご発表、冨手貴教先生はNewKSSという新しい尺度で評価した100例のTKAのご発表、佐々木香奈先生はACL再建は受傷後3週以降6週以内にすべきというご発表、嘉川貴之先生はMRIでGapサインがあれば肩甲下筋腱断裂を念頭に置くべきというご発表、那波康隆先生は新しい貼付剤は有効成分の血中濃度以外の効果もありそうだというご発表、冨岡立先生は半月板単独損傷は変性が基盤にありそうだけれどもやはり縫うべきだというご発表をしてくれました。さらに、関展寿先生のご発表のおかげで、円盤状半月のMRIではその半月内の輝度変化の有無を確認すべきであり、輝度変化のない場合は円盤状半月であってもしっかり温存することが離断性骨軟骨炎の予防にも役立つかもしれないということが改めて認識できました。そして、最優秀演題賞を獲得したのは藤井昌先生でした。藤井先生は膝周囲Bone Marrow Lesionsと骨強度パラメーターとの関連を調べられ、膝OAの進行や痛みの発現などと骨粗しょう症との関連を見出す発表で、このご研究が進めば全く新しい膝OAの治療にもつながる素晴らしい内容でした。一般演題の後は斉藤公男先生がミニレクチャーをしてくださいました。膝OAに対する保存治療のひとつであるヒアルロン酸注射の日常診療における疑問点を英文雑誌のレビューから解明してくださり、最後には得意の動作解析でわずか3°のスラストを定量化することで膝周囲骨切りの痛みや不安定性に対する効果を定量化できるという内容で、今後の膝診療が大きく変わってくるということも実感できる内容でした。

後半はすばらしい特別講演を2つも拝聴することができました。特別講演Ⅰは全国からスポーツ傷害の患者さんが集まる行岡病院のスポーツ整形外科部長でいらっしゃる中川滋人先生が「コンタクトスポーツ選手の肩関節脱臼の診断と治療」というタイトルでご講演下さいました。ものすごい症例数のご経験から、肩関節脱臼症例では早期に3DCTを撮影し、関節窩骨欠損やHill-Sachs損傷の有無・大きさをしっかりチェックすることで手術適応や術式決定に役立つということをご自身が書かれたたくさんのAmerican Journal of Sports Medicineという非常にIFも高い論文の内容を含めて教えて頂き、明日からの臨床に役立つ内容でした。そして、メインイベントの特別講演Ⅱは世界が認める世界一のKnee Surgeonの史野根生先生が「スポーツ膝臨床2016」と題して感動的なご講演をして下さりました。その内容はもちろん一言ではまとめられませんが、Ligament surgeryはMechanical instabilityを完璧に治した上で、当然full ROMを獲得すべきで、そのためには真に正常の位置にligamentを再建することが必要である、そしてそのことがいかに大事で難しいかということだけでなく、それがどれだけ難しかったとしてもそれを達成することこそが患者さんに対して我々が行うべき当然のことであるから、それを最後まで追求すべきだという、本当に史野先生の哲学が聴衆全員に伝わった瞬間でした!

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第8回秋田県骨代謝エビデンスセミナー    木村竜太

8月25日、第8回秋田県骨代謝エビデンスセミナーが行われました。

まず教育講演として、秋田大学本郷道生講師より「骨粗鬆症性脊椎障害に対する運動療法」をお話しいただきました。骨粗鬆症に対しては薬物療法が第一選択となりますが、運動療法のエビデンスも増えてきており、RCTのメタアナリシスでも骨密度に対して有効であることがわかってきました。それを踏まえ、メイヨークリニックご留学時から取り組まれている背筋運動を中心に実際の効果をご説明いただきました。運動療法は様々な疾病に対する予防、治療効果も近年明らかになってきていることから、ぜひ骨粗鬆所診療にも活用していきたいです。

 

 

特別講演は東京大学医学部附属病院22世紀医療センター関節疾患総合研究講座特任准教授の吉村典子先生から「ロコモとフレイル:ROADスタディからみた要介護原因疾患の疫学」と題してお話しいただきました。運動器のコホートとして最大級のスタディですが、その結果から導き出された変形性関節症の年齢ごとの有病率や、発症のリスク因子などは、日常診療で感じていることに裏付けをいただくことができました。また、一般住民の方を対象としたコホートスタディを行うには、行政を含めた地域の方との協力が重要になるということで(一人でも力強いサポートをしていただける地元の方がいると、一気に研究が進むこともあるそうです)、ぜひ秋田ならでは、地域密着型の研究を行えるようにしたいと思います。

 

骨代謝