投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第63回 秋田県整形外科医会  (益谷法光)

2016年5月7日に第63回整形外科医会が開催されました。

10年目以下のyoung doctor’s session10演題とsenior doctorによる一般演題8演題の2部構成で行われる本会は近年では「日整会に演題を通すよりも県医会で賞を獲る方が難しい」とも言われており、非常に白熱したdiscussionが交わされました。

県医会1

 

 

 

 

 

 

県医会2 県医会3

教育研修講演は愛知医科大学出家正隆教授より「変形性膝関節症に対する治療-動作解析からの検討-」についてご講演を賜りました。

秋田大学でも動作解析を利用した研究が幾つも行われておりますが、下肢アライメント異常と膝OAの関係についての研究など非常に参考になる内容でした。膝痛と体重の関係やサポーターの効果など日常外来でよく聞かれる内容について非常にわかりやすくお話しを賜り、早速明日からの診療に役立てようと思いました。

また名古屋大学石黒直樹教授より「RA領域における臨床研究の実際-他施設臨床研究から-」についてご講演を賜りました。複雑なRA治療についてわかりやすくお話しいただきました。様々なコホート研究の紹介もあり、RA他施設研究は秋田大学ではAORA Groupが中心となって行っておりますが今後の臨床研究のデザインなどで非常に役立ったと思います。

県医会4 県医会5

最優秀演題賞はyoung doctor’s sessionからは木村竜太先生の「先天性膝関節脱臼の治療成績」が、一般演題からは野坂光司先生の「Joint distractionを併用した遠位脛骨斜め骨切り術(Distal tibial oblique osteotomy:DTOO)」 が受賞されました。どの発表も明日からの日常診療に役立つ内容であり、今後もさらにレベルの高い演題を出せるように研鑽を重ねていこうと思いました。

県医会6 県医会7

第2回秋田大学イリザロフ法セミナー アドバンスコース MATILDA法の実際 (野坂光司)

島田洋一教授のご高配により,5月7日,第2回秋田大学イリザロフ法セミナー アドバンスコース(MATILDA法の実際)を開催することができました.

コンセプトは第1回と同様に,秋田県内に広く浸透したイリザロフ創外固定を,基本から応用まで学ぶ機会として,若手医師,手術室看護師を対象に行いました.『重度四肢外傷からの感染を秋田県から撲滅させる』という,島田教授の熱い思いに応えるかのように,30名の参加者全員が,模擬骨を使用し,実際にワイヤー,ハーフピンを刺入しまくり,固定するという,臨床さながらの熱気に包まれたハンズオンセミナーとなりました.

今回は大変ありがたいことに,日本のIlizarov創外固定をリードしてきた弘前大学さんから,上里涼子先生,佐々木規博先生,弘前大学に国内留学中の堀内先生(防衛医大卒,空手部)の3名にもご参加いただき,我々AIMGもいつも以上に気合いを入れて準備いたしました.島田教授が常々おっしゃるように,『これからはIlizarovとMicroの融合の時代だ』と考えます.今後も弘前大学さんと交流を深めさせていただければ幸いです.

土曜日のお忙しい中集まってくれた参加者のみなさん,テーブル講師ををしていただいたAIMGメンバー,開催に多大なるご協力いただきましたSmith & Nephewの皆様,源川医科の佐々木さん,本当にありがとうございました.

第3回も計画中ですので,次回もぜひよろしくお願い申し上げます.

AIMGから学ぶILIZAROV法 アドバンスコース,MATILDA法の実際

【日時】2016年5月7日(土) 9:15~11:30

【会場】北臨床棟2階 カンファランスルーム (整形外科医局隣)

【内容】イリザロフの実践応用編,MATILDA法の実際(レクチャー 40分 ワークショップ90分)

【対象】イリザロフ法に興味のある医師,看護師

プログラム

9:15~9:20  島田洋一教授ご挨拶

9:20~10:00  レクチャー(野坂)

10:00~11:30 ハンズオンセミナー

IMG_3512 IMG_3517 IMG_3528 IMG_3524 IMG_3531 IMG_3532

第11回Orthopaedic Trauma Course、Orthopaedic Trauma Institute in San Francisco General Hospital見学 (水谷 嵩)

島田洋一教授のご高配により、2016年4月28日〜30日にサンフランシスコで開催されたOrthopaedic Trauma Courseに参加してきました。参加メンバーは河野哲也先生、鈴木真純先生、益谷法光先生、水谷の4人で、初の同期だけでの海外出張となりました。

 

学会前日は、島田教授のご学友で、現在はOrthopaedic Trauma Institute in San Francisco General Hospitalでご活躍されている長尾正人先生に同院を案内していただきました。市立病院ということで要請のあった急患を受け入れる病院で、数年前の航空機事故では60名ほどの救急患者さんを一度に受け入れたこともある程のキャパシティを持つそうです。米国では個人で入っている保険が異なるため、民間施設では入っている保険によって受診できない場合もありますが、同院では保険に加入していなくても基本的に全ての市民が受診できるそうです。そのため、受診料や外来予約時間など市立病院ならではの問題も抱えているようです。救急初療室や手術室、外来診療室を見学しながら米国での診療事情などを詳しく教えていただき、大変興味深い病院見学になりました。

IMG_5242 IMG_5243 IMG_5245

Orthopaedic Trauma Courseはサンフランシスコのインターコンチネンタルホテルで行われました。米国で開催される骨折治療関連の学会では最大規模で、今回は世界100カ国以上の国から参加者がいたそうです。内容は骨折治療の内容がほとんどで、海外ではどのような治療をしているか、骨折治療について今どのようなことが議論されているかを学ぶことができました。手術で使用される器械も差があり、米国では医療費の関係で、高価なチタンより安価で丈夫なステンレスの器械が日本より多く使用されているようです。Oral sessionの合間にwork shopで模擬骨を使用した手術手技の練習も経験することができました。海外の先生方と意見を交わしながら(ほとんど教えてもらいながらでしたが)手術の練習をするのは日本では味わうことのない経験でした。

IMG_5244

一般口演では日本ではあまり見ない治療の発表もいろいろと聞くことができましたが、特に印象が強かったのは、骨癒合に難渋した橈骨遠位端骨折のstudyで、時には規格外のアイディアも必要だという思いを込めた “Think out of the box.”という言葉で締めた発表でした。基本が大事なのはもちろんですが、時には柔軟に対応する能力も身につけられるよう今回の経験を生かしていきたいと思います。

 

 

第6回秋田・札幌整形外科合同セミナー in 秋田 (長幡 樹)

4月23日に札幌医科大学、秋田大学の合同セミナーが開催されました。

朝8時一つ森公園での親善マラソン大会から始まる今回のセミナー。札幌からは7人、秋田から17人の参加、また教授、准教授をはじめとする多数の先生がたの応援もあり大変な盛り上がりでした。

 

桜が満開の中、景色を楽しんでエンジョイランニング...とはいきません。我々整形外科はいつだって本気です。熾烈なデッドヒートで景色を見る間もなく、走り終わると倒れ込むランナー達。

全力でぶつかりあったからこそ深め合えたと思います。優勝はダントツのタイムでわが秋田大学の佐々木研先生でした。おめでとうございました。

 

午後からは秋田大学、札幌医科大学の先生方による研究会。各大学から4題ずつの一般講演、また各大学2題ずつの特別講演の発表がありました。

 

一般演題では佐々木研先生が「三次元体幹筋骨格モデルを用いた後弯変形高齢者の評価」について発表をしました。脊椎アライメントの分析や高齢者の動態モデルなど臨床につながる研究内容の発表でした。野坂光司先生は「骨粗鬆症臨床におけるテリパラチド週一製剤の有用性」についての発表でした。骨粗鬆症患者の増加するなかでPTH製剤の治療効果等、再確認させていただける内容、また今後の治療展望など大変勉強になりました。土江博幸先生は「粘液繊維肉腫の遠隔転移症例の臨床像」という題での発表をされました。札幌医科との共同での臨床像の研究など2大学の協力体制もお話ししており、腫瘍に関してまだ知識の浅い自分にとって大変勉強になる内容でした。木島泰明先生は「関節痛の関連する因子の検討―股関節を中心に―」の秋田県阿仁地区での大規模なDataから各関節痛の原因を検討した興味深い内容の発表をお話しいただきました。超音波をつかった軟部の検討など、低侵襲でできる検査からの研究であり、今後の診療へすぐにでも役立てるようなお話でした。

札幌医科の江森誠人先生は「当科と秋田大学における非好発部位発生骨肉腫の臨床像」という題で秋田札幌での非好発部位発生骨肉腫の臨床像と双方での交流研究についての発表などお互いの深い交流についての興味深いお話しをしていただいました。高橋信行先生は「骨脆弱性骨盤輪骨折に対する観血的治療例の検討」と今注目を集めている脆弱性骨盤骨折に対する治療法、注意点などのご講演をいただきました。道家孝幸先生は「卵巣摘除マウスの疼痛行動に対するテリパラチドの効果」の演題で骨粗鬆症治療の根本だけでなく、疼痛に対するテリパラチドが及ぼす影響を研究した内容をお話しいただきました。館田健児先生は「前外側アプローチTHAと後外側アプローチTHAのJHEQによる術後成績の比較」と題して、お互いのTHAの利点、欠点を含め患者満足度や動作に対する詳細な評価を発表していただきました。

教育講演では当科から齊藤英知助教授から「変形性膝関節症に対する関節温存手術」についてのお話でした。大腿骨、脛骨の骨切りによる手術、海外での経験を踏まえての治療に対する姿勢などとても興味深いお話しでした。粕川雄司講師から「成人脊柱変形に対する側方進入椎体間固定術」についてのお話をいただきました。Approachの方法や、術前検討の仕方や、手術の手技、術後の経過等、詳細な内容のお話しでした。島田教授から椎体置換(X-core)や今後の側方進入法のあり方など今後の治療へのより積極的な介入が期待されるお話しでした。

札幌医科大学から鈴木智之助教授から早期OAに対する半月板の影響についてお話しをいただきました。多くの文献から基礎的な機能の話や、そこからの治療方法の選択等大変内容の濃いお話をしていただきました。また寺島嘉紀助教授は「低侵襲手術としての腰椎除圧術」とう題でご発表しました。低侵襲手術として手技、手法など大規模なDataからの検討内容のご発表でした。

 

年1回の交流会で今後も切磋琢磨してお互いを高め合っていきたいと思います。遠路はるばる足を運んでくださった札幌医大の先生方ありがとうございました。

IMGP1519 (1)

DSC00258-2

第60回日本リウマチ学会総会・学術集会に参加して (市立角館総合病院 青沼 宏)

2016年4月21日から23日の期間,第60回日本リウマチ学会総会・学術集会が横浜で開催されました.今年は,Akita Orthopedic Group on Rheumatoid Arthritis(AORA)設立以来最多の13演題が採択されました.2015年にAORAレジストリーに登録された2021症例をベースとした,手術治療,薬物治療,それぞれの切り口での発表は,どれも見応え,聴き応えのある内容でした.

秋田県の高齢化率は全国一であり,20年後の日本の有り様を先取りしているといわれます.秋田県の各都市は人,物の移動が少なく,比較的狭いコミュニティーのなかで医療を自給自足せざるを得ない状況になりつつあります.その点で,地域ごとのRA治療施設の充実と施設間の連携を主眼に置いたAORAの試みは,現在試みられている関節リウマチ治療のセンター化と一線を画すものです.今年のJCRを見る限り,施設ごと“個”の力の向上には目覚ましいものがあると実感しました.

内容については細かくなるので控えますが,セミナーで記憶に残った言葉を一つ紹介したいと思います.T2Tと合併症・高齢RA患者における治療について,聖路加国際病院の岸本先生が紹介された論文タイトルで,” Rheumatoid arthritis: strategy more important than agent; 2009 The Lancet”です.いくらいい薬があっても,それを使う医者の戦略が適切でなければ,治療は成功しません.整形外科の利点はagentだけでなく,手術を含めた治療strategyを自らの判断で実行できることです.診断,薬物治療,リハビリテーション,手術と整形外科のすそ野の広さを改めて実感させられるとともに,身が引き締まるような哲学的な一言でした.

さきにAORAの“個”の力の向上について書きましたが,施設ごとの連携についても学会を通じて年を追うごとによくなっています.今年も深夜までざっくばらんな意見交換会が催され,非常に実りある学会参加となりました.現在,AORAでは熱意のある若手医師を絶賛募集中です.リウマチと聞くと近寄りがたい若手の先生もいるかと思いますが,メンバー同士との交流が“個”の力の向上のきっかけにもなります.研究会などで,わからないことや気になったことは遠慮なく聞いてみてください.意外とすんなり解決するかもしれません.

最後になりますが,関連病院の先生方,平素よりAORAをご支援いただき有難うございます.今後も柏倉隊長を筆頭にAORA一同頑張ってまいります.今後ともよろしくお願いいたします.

 

市立角館総合病院 整形外科 青沼宏

JCR 小西先生 集合写真

2016年日本脊椎脊髄病学会     粕川雄司

平成28年4月14日から16日千葉市の幕張メッセで第45回日本脊椎脊髄病学会が開催されました.今回はAkita Spine Group (ASG)からは,合計23題の発表がありASGでは過去最多の発表演題数となりました.14日木曜日午前中のセッションでは秋田厚生医療センターより成人脊柱変形に対する矯正固定術の手術成績や固定範囲についての複数の発表があり,とても活発な討論がされました.午後からはポスター発表が複数あり,それぞれの演題について有意義なディスカッションがありました.夕方からは学会の全体懇親会に参加し,とても楽しいマジックを観ながら他施設の先生方とも交流を深めることができました.

学会2日目は朝から宮腰尚久准教授がモーニングセミナーで,”運動器疾患としての骨粗鬆症に対するトータルマネージメント”と題して骨粗鬆症に関連した脊椎・運動器疾患についての御講演をされました.午前中は島田洋一教授がシンポジウム”脊椎脊髄手術この10年のイノベーション”とディベート”成人脊椎変形矯正~後方骨切り vs 前方矯正”の座長を務められました.両セッションとも現在とても注目されている分野のご発表が多数あり,参加された先生方も非常に多く質疑応答も活発に行われました.本学会で最も注目されていたシンポジウムとディベートだと感じました.午後からはASGから複数の一般演題の発表があり,どの演題もとても盛り上がっていました.夕方は学会に参加した同門の先生方が集まり,楽しいひとときを過ごすことができました.

最終日は高橋靖博先生の発表がありました.日本脊椎脊髄病学会での発表演者としてASGでは,最も若い先生とのことでした.今後ますますの活躍を期待しています.また,午後にかけては宮腰尚久准教授がコースマネージャーを務めた日整会脊椎脊髄病医向けの脊椎脊髄病研修コースがありました.「脊椎・脊髄損傷」のテーマで疫学,頚椎損傷,胸腰椎損傷について各分野のご高名な先生方より御講演いただき,その後“頚髄損傷の全身症状と急性期治療について”秋田赤十字病院の石河紀之先生より,“脊髄損傷に対するリハビリテーション”について松永俊樹准教授より御講演いただきました.専門の先生方から大変わかりやすい御講演を頂き,とても有意義なセミナーとなりました.

このように大変充実した学会で3日間があっという間に過ぎていきました.学会に参加された先生方,お疲れ様でした.来年の日本脊椎脊髄病学会は島田洋一教授が会長をされ,当教室が主催することとなります.来年も参加いただく先生方に有意義な学会となるように,しっかりと準備を進めていきたいと改めて感じました.これから1年間よろしくお願い致します.

島田教授1 島田教授2

イギリス留学記 ~その8~ (工藤大輔)

渡英して3ヵ月,ちょうど折り返しを迎えた.シュート練習(自分にとっては素振り!?)のように側弯症の手術を見学している.今週末は4月6日から8日の日程でBrit Spine (Nottingham Conference Centre)があり参加してきた.入り口は日本脊椎脊髄病学会のようにテーマを掲げた看板で彩られることもなく、学会の名前が書いたのぼり旗が置いてあるだけでちょっと寂しい.口演が約80題,ポスターが約60題であった.側弯症の演題を主に聴講したが,特に興味をひいたのはMagnetic controlled growing rodいわゆるMAGEC®Rodに関するdebateであった.通常のConventional Growing RodではRodを伸張するために半年に1回の再手術が必要であるが,MAGEC® Rodでは体外から磁気を利用して伸張するため,伸張に伴う再手術を減らすことができるというのが利点である.しかし,実際は感染はゼロではないし,Rodの破損やMetallosis の問題 (特にMetallosisの問題を強調していた),コスト,うまく伸張しない症例があるなどの問題もあり,個人的には否定派の方が説得力があったと感じた.最新の論文にも同様の報告がされるようになってきており,反省の時期に入っているのかもしれない.いっぽう,日本では最近LLIFに関関する演題が飛ぶ鳥を落とす勢いで盛り上がっているが,今回はLLIFに関する演題は少なく,逆に成人脊柱変形の矯正ではPSOなどの3 column osteotomyに関する演題が多かったように思われる.いずれにせよ,Pelvic incidenceとLumbar lordosisのmatchが重要という意見は共通であった.(写真15)

写真15

第29回日本創外固定・骨延長学会に参加して(野坂光司)

3月18,19日,第29回日本創外固定・骨延長学会(会長:金沢大学整形外科 土屋弘行教授)に参加いたしました.

今回はご多忙の中,島田洋一教授が前日の幹事会,会長招宴からご参加くださいました.総会では第32回日本創外固定・骨延長学会の会長を島田洋一教授が務めることが正式に承認されました.我々にとっては夢のような瞬間でした.参加者は病棟からは岩原さん,金さん,柴田さん,上野さん,工藤さん,仲山さん,リハビリテーション部から渡邉先生,外来から中畑さん,大学からは私,土江先生,益谷先生,水谷先生,尾野先生,市立病院から柏倉先生と湯浅先生,平鹿総合病院から千田先生,理学療法士のお二人,横手から冨岡先生が参加しました.全110演題中,シンポジウム,パネルディスカッション含めAIMG関連が12演題と圧倒的発表数でした.上級医の発表も素晴らしかったですが,ヤングドクターの堂々とした態度は特筆すべきものがありました.質疑応答も立派な内容でした.土江先生のパネルディスカッションも堂々たるものでした.また柴田さん,渡邉先生の発表内容も非常に緻密で,間違いなく医師レベルでした.AIMGがなぜ大人数のIlizarov創外固定患者を外来管理できているのか,いつも私が質問を受けることですが,秋田で行われている,上手なリハビリテーションによる早期荷重,上手な創外固定管理による早期退院の秘訣を改めて全国にアピールしてくれた内容でした.

また18日夜に行われた恒例のAIMG大懇親会も盛大に行われました.その後は,AIMGメンバー全員が国内留学させていただいた獨協医科大学越谷病院の皆さんと合流し親交を深めました.

今回の学会中に湯浅悠介先生が新たに我々のメンバーに加わることが島田教授から発表されました.湯浅先生とは市立秋田総合病院でもいつも一緒に手術をしておりますし,硬式庭球部の後輩でもありますが,手術もテニスも上手いナイスガイです.AIMGの主力メンバーに育ってくれることを期待しております.来年は久留米大学の白濱正博教授会長のもとで開催されます.今後は『IlizarovとMicroの融合』を目指して,秋田手の外科グループとの共同セミナーなども視野に入れながら,高齢者骨粗鬆症性骨折,難治性偽関節,手外科,足の外科,そして重度四肢外傷と様々な分野でIlizarovを役立てていけるようにしたいです.『秋田を日本のクルガンに』の実現に向けて走り続けたいと思います.

創外固定1創外固定2創外固定3創外固定4

第52回秋田県脊椎脊髄病研究会 (木村竜太)

3月12日、第52回秋田県脊椎脊髄病研究会が開かれました。

まず、「研修医・若手整形外科医へむけた脊椎外科基礎講座」として、はじめに畠山雄二先生から「神経診察・理学所見の取り方」、実臨床でまず若手が覚えなければいけない点を詳細に、わかりやすくご説明いただきました。SHR(Scapulohumeral reflex)などは、実際の患者さんの動画を見ることで理解が深まりました。

次に「脊椎前方アプローチの解剖と術中の注意点」として頚椎を石川慶紀先生、胸椎を本郷道生先生、腰椎を粕川雄司先生にお話いただきました。現在改めてその必要性が認識されている前方アプローチですが、リスクのイメージが先立つところが難点と思われます。これらに対する対策を、解剖を含め詳細にお話いただきました。

ミニレクチャーは佐々木寛先生「化膿性脊椎炎の動向」です。高齢者の増加とともに、極めて一般的な疾患となっていますが、診断から治療まで系統だってレクチャーいただきました。保存療法が第一選択であることからも、整形外科医もより抗生剤の使用方法について学ぶ必要があると感じました。

一般演題は4題の発表がありました。その中から最優秀演題として斎藤光先生の「腰椎椎体感固定術における術中トラネキサム酸投与の有用性について」が選ばれました。斎藤先生は初期研修医ながら、質問にも適切に返答されており、堂々たる受賞でした。

脊椎1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特別講演1が大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学准教授の寺井秀富先生「Midcervical central cord syndromeの病態と治療」です。初めて聞く疾患概念でしたが、その患者像を聞くと、今まで見た患者さんの中にも当てはまる方が複数いたように思います。1995年に初めて報告されたものですが、高齢化に伴い患者数が増加、今後は頸髄症の重要な一部と捉える必要性を感じました。前方固定術で不安定性を除くことで、良好な成績が得られるため、確実な診断、治療を行いたいです。

脊椎2

 

 

特別講演2が和歌山労災病院脊椎センター長の安藤宗治先生「術中脊髄機能モニタリングの必要性と留意点」です。安藤先生は脊髄モニタリングの第一人者であり、秋田大学からも多数の医師が研修させていただいております。今回は各モニタリングの詳細な原理や方法を、実際の症例を交えながらご教示いただき、そしてmultimodalityの必要性を最後に述べていらっしゃいました。脊椎外科の発展とともに、高度脊柱変形に対する手術治療も積極的に行われる反面、その術後合併症の低減は課題の一つです。脊髄モニタリングは術後麻痺を回避するために必須の手段と考えます。より安全で確実な治療のためにも秋田県内での使用を増やしてまいります。

脊椎3

米国整形外科学会(AAOS) 参加報告 (土江博幸)

この度、3月1日~3月5日まで行われた米国整形外科学会(AAOS)に参加させて頂きました。今回の参加メンバーは、島田洋一教授をはじめ、大学からは粕川雄司講師、木島泰明先生、私土江と、AAOS Travelling fellowに選ばれました、秋田厚生医療センターの菊地一馬先生、角館総合病院の斉藤公男先生、研修医の三浦隆徳先生、船木玲奈先生、東海林諒先生の総勢9名でオーランドへ旅立ちました。

学会場では各自の専門分野の講演を聞き、国際学会のレベルを実感しました。

脊椎のCase presentationというコースでは,脊柱変形に対する手術治療のプランニングと合併症対策というテーマで10個程度のグループにわかれてディスカッションを行い勉強しました.ひとつのグループは10名程度で,それぞれのグループに1人Facultyがつきました.コース全体の座長が1例ずつ症例を提示し,その症例について各グループでFacultyを中心に問題点や手術プランニングについてディスカッションしました.その後,全体で1人のFacultyが解説をかねて術前のプランニングなどを提示し,次に座長が行った手術を提示して最終的な討論を行っていました.頚椎の後弯変形,腰椎固定術後のインプラント折損による後弯変形,先天性疾患に伴う高度脊柱変形の症例で,合計6例について2時間かけて勉強しました.患者背景では喫煙の有無をとても重要視している印象で,喫煙している方では禁煙してから手術を行うとの意見がほとんどでした.各症例の経過や画像がかなりシンプルで判断に迷う点も多くありましたが,複数の手術症例についていろいろな意見を聞くことができ勉強になりました.

世界最大規模と呼ばれる機器展示会場では、人工膝関節のトライアルインサート型の圧センターなど注目すべき機器がみられました。オーラルプレゼンテーションでは、Nが数万のデータベーススタディやコホートスタディばかりでしたが、たとえば 人工関節後の感染リスクは肥満、ASA≧3、喫煙、ステロイドの常用使用、手術時間増大、80歳以上

など今までの見解からの大きな進歩はみられませんでした。関節グループが特に注目した演題は、アメリカならではの長短期入院の演題で、 日帰り入院人工関節と一泊入院人工関節を比べると日帰りの方が傷に関する合併症も血栓も心臓アタックや致死的な合併症なども多いというものでした。やはりどんなに短期がいいとしても一泊ぐらいは経過をみたほうが合併症が少ないということでしょう。そして上記のように人工関節の演題が多く、骨切りの発表はアメリカではほとんど見られませんでした。

腫瘍に関しては、やはり海外だからか豪快な手術を行った報告も見られ、Nは100前後と関節の発表と比べれば一見少ないですが、腫瘍学から見れば多い症例数であり、興味深いものも多かったです。発表内容とは別で個人的な事ですが、昨年短期研修をさせて頂いた金沢大学から、ポスター・口演など多くの演題が採択され、自分よりも若い先生が舞台に上がって発表されている姿を見て、なんてレベルが高いのだろう、と思うと同時に、自分も頑張らないといけないと、とても刺激を受けました。

研修医の先生方は、初めての国際学会に参加し、それぞれ興味のある分野の講演を聞き、わからないところもあったかもしれませんが、とてもいい刺激を受けたと思います。また、初めての国際学会にも関わらずみなさん臆する事もなく、とても将来が楽しみに思えました。

 

学会への参加により上がったモチベーションを落とさないように、日本に帰ってからも頑張って行きたいと思います。目指せ、AAOS演題採択!

P1070350