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2016年 阿仁運動器検診

2016年5月16日月曜日から19日木曜日,21日土曜日に北秋田市阿仁地区で運動器検診を行いました. 2009年から北秋田市阿仁地区の集団検診にあわせ,筋力や姿勢とロコモティブシンドローム(ロコモ)の評価を行っている本検診は,今年で8年目を迎えました.これまで握力,背筋力,下肢筋力の測定とスパイナルマウスによる姿勢の測定を行ってきました.さらに,昨年に引き続きロコモの評価を行うためにロコモ度テストを実施しました.これは,決まった高さから両脚または片脚で立ち上がれるかどうかと,大股で2歩進んだ歩幅を身長で割った2ステップ値を評価するものです.それぞれのテスト結果は,各年代の男女別の目安が提示されており,検診を受けられた方の結果をその目安と比べながら説明しました.ロコモの評価を行うことでロコモを多くの方々に知っていただけるように,また測定をされた方がご自分のロコモ度を知り,ロコトレなどで日常生活動作を維持し,転倒などの運動器障害を防ぐことにつながればと考えています.

今年も5日間の検診のうち月曜日と木曜日は医学科6年次臨床配属の学生さん,岡本憲人くん,西野顕吾くん,元野紘平くん,山田雅浩くん,渡邊康平くんの5名に参加頂きました.5名とも測定にいらした方々と笑いを交えながら会話し,丁寧に説明しながら測定を行っていただきました.4日間お疲れ様でした.北秋田市健康福祉部医療健康課の方々には,毎年検診前の準備やアンケート配布などご協力いただき感謝申し上げます.また,医局の先生方は,外来や手術,出張,日々の業務などお忙しい時間のなか,ご参加・ご協力いただきありがとうございました.今後も運動器検診が少しでも何かのお役に立てるように続けて行ければと思いますので,よろしくお願いいたします.

2016 阿仁検診集合写真HP

第7回日本ニューロリハビリテーション学会学術集会に参加しました (益谷法光)

5月21日に神戸国際会議場で開催された第7回日本ニューロリハビリテーション学会学術集会に参加しました。

参加メンバーは、島田洋一教授・松永俊樹准教授・益谷法光・水谷嵩・木村竜太・千田聡明・畠山和利・渡邉基紀・高橋裕介、またAMAG Vice-Director巌見武裕教授の総勢10名と大所帯となりました。採択演題も合計87演題中の口演6題、ポスター3題の計9演題となり藤田保健衛生大学の9演題と並ぶトップとなりました。FESや動作解析・GEAR・動的座位バランス・ロボットリハビリテーションなどについてmedicalとengineeringの連携による取り組みと研究成果を発表してまいりました。

各発表で活発な議論が交わされ、また新たな視点で研究を積み重ねていけることと思います。

 

今回このような発表の機会を与えてくださり熱いご指導を賜りました島田洋一教授と松永俊樹准教授、また工学の視点よりご指導賜りました巌見武裕教授に深く感謝いたします。また日々の研究について様々なアドバイスや研究の協力をしていただいたリハビリスタッフと教室スタッフの先生・大学院生にもお礼申し上げます。今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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整形外科駅伝部 駅伝大会参加報告 (長幡 樹)

2016年5月9日

整形外科駅伝部は一つ森RCさん主催の駅伝大会に参加してきました。2.6km→4.6km→2.6km→4.6km→2.6kmの計5区間。阿部(労災病院)→成田(中通病院)→長幡(秋田大学)→佐々木(中通病院)→三浦(北秋田市民病院)の5人で参加しました。各々新しい職場になりなかなか練習ができてないメンバーが多く不安が残るなかでの大会でした。

結果は優勝。参加させていただいた一つ森RCさん、ありがとうございました。

阿部先生がスタートから先頭についていく気合の入った走りをみせてくれました。最後は少し離されてしまいましたがパワフルな走りでした。続く成田先生も前後が空いた一人でのレースでしたが粘りの走りで抜かれることなくつなぎ、2位を維持して戻ってきました。僕も普段の練習会よりは速く走れたため上々なレースだったと思います。この時点で先頭とは2分30秒差。ここから圧巻の走りをみせたのは佐々木先生でした。他の追随を許さない圧倒的な速さで1週目に2分差を詰めより、更に1分30秒の大差をつけて最終走者の三浦先生にタスキリレー。三浦先生もきっちりとそのリードを守り抜き、見事優勝でゴール。

桜も散って新緑の季節、快晴のなか、駅伝部の走り出しは好調です。大会に参加したみなさん、お疲れ様でした。

駅伝

「第89回日本整形外科学会学術総会に参加して」 (赤川学)

この度、5月12〜15日の会期で、横浜市立大学齊藤知行会長のもとパシフィコ横浜で開催された第89回日本整形外科学会学術総会に参加してきました。全国から1万1千人を超える整形外科医が参加する、整形外科では最大規模の学会です。

初日の5月12日のランチョンセミナーでは、宮腰尚久准教授が「骨粗鬆症のトータルマネジメントにおける抗RANKL抗体薬の役割」と題して、骨粗鬆症患者のマネージメントにおける要点を、椎体骨折、大腿骨近位部骨折、運動療法、薬物療法の各観点から、非常にわかりやすくご講演いただきました。また、5月13日の教育研修講演では、「腰椎変性後側弯症における神経根症に対する矯正固定術の手術成績」というタイトルで、島田洋一教授のご講演を拝聴いたしました。和歌山医大の吉田宗人教授との討論では、座長もheat upし、一時的に島田教授が座長を代わる場面などもあり、見応えのある討論でした。その他にも秋田大学からは全国11位となる35演題が採択され、多くの同門の先生がご発表されました。

この学会では例年、学術発表の他に、野球やサッカーなどのスポーツ大会が開催されます。各予選を勝ち上がった強豪校同士が切磋琢磨し、親善を深めますが、今年からは、新たにバスケットボール大会が開催されました。第1回となる記念すべき今回の親善大会には、全国からなんと39大学がエントリーしました。当然秋田大学からも、我々秋田ノーザンバイソンズが満を持して参加しました。整形外科日本一を決める大会であり、また第1回大会でもあるため、どの大学も並々ならぬ気合いの入りようでした。

1回戦は金沢医科大学でした。初戦ということもあり、みんな硬さが目立ちましたが、硬い守りでなんとかしのぎ、9-5で勝利することができました。2回戦の久留米大学戦では、大会の雰囲気にも徐々に慣れ、エース藤井先生の得点からすぐにペースをつかみ、13-4と大量得点で勝利しました。続く第3試合の群馬大学戦も、14-5で勝利!途中から出場した冨岡先生もみごと得点し、チームに勢いをつけてくれました。

準決勝となる4回戦の相手、慶應義塾大学は、国体選手を要するチームで、全試合2桁得点で勝ち上がってきた強敵でした。明らかにこれまでのチームとは違う雰囲気に、試合前の緊張感もただならぬものがありましたが、いざ試合が始まってみると、藤井先生が国体選手を完璧に抑え、齊藤光先生がリバウンドを死守、自分のシュートも練習通り(?)に決まり、前日のミーティング通りの完璧な試合展開で、13-5で勝利することができました!まさにチーム力でもぎ取った勝利でした。

決勝戦の相手、大阪市立大学は、上背こそないものの、豊富な運動量で決勝まで勝ち上がってきた強敵でした。気合いは十分でしたが、準決勝で体力を使い果たしてしまった自分と藤井先生は、あまり見せ場を作ることができませんでした。しかし、交代出場した岩本先生が爽快なスティールで相手からボールを奪うと、塚本先生がクイックネスで相手を翻弄、最後は齊藤光先生がドライブから得点をもぎ取りました。苦しい展開でしたが、高いチーム力でみごと8-6で勝利し、記念すべき第1回日整会親善バスケットボール大会を優勝で飾ることができました!!試合後は嬉しさのあまり泣きそうでした。

試合には島田教授、宮腰准教授をはじめとしてたくさんの同門の先生方が応援に駆けつけてくださり、また、秋田にいる同門の先生方からもたくさんの激励メールをいただきました。本当にありがとうございました。また、学会前も練習のため不在や当番の交代をお願いすることも多く、各病院の先生方に多大なご迷惑をおかけしました。多くの先生方に支えられ今回の結果を出せたのだと実感しています。この場をかりて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

今後も御指導・御協力お願いいたします。

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秋田大学整形外科・秋田ノーザンバイソンズ主将 赤川学

 

イギリス留学記 ~その9~ (工藤大輔)

先週、グレビット先生に紹介していただきバッキンガムシャー、アイルズベリーにあるストークマンデヴィル病院を見学する機会を得た。グレビット先生も若かりし頃、整形外科医として修練を積まれた病院とのことであるが、何と言ってもこの病院はパラリンピックが誕生した地である。調べてみるともともとコレラの治療から始まった病院であるが、第二次世界大戦を機に、負傷した兵士を治療するようになり、その後ドイツからイギリスへ亡命したグットマン医師が現在の病院の礎を築いた病院で、このグットマン医師はパラリンピックの父と呼ばれる。また脊髄損傷のFrankel分類を作られたFrankel先生がおられた大変歴史のある病院である。ノッティンガムから列車とバスを乗り継ぎ、ロンドン経由で向かうことにした。ロンドンの市街地を離れ、Berkhamsted駅でバスに乗り換えると住宅地と緑が広がるのどかな場所に病院が建っていた。病院の入り口にはパラリンピックのシンボルであるスリー・アギトスと呼ばれるオブジェが飾られており、アギトスとはラテン語で「私は動く」という意味とのこと(写真16、17)。

写真16 写真17

今回お世話になった先生はベルーシ先生とニジェール先生で、ベルーシ先生のオフィスはなんと以前Frankel先生が使っていたお部屋ということで、何の変哲もないオフィスチェアが置かれていたが、Frankel先生が実際使っていたものと教えていただいた。許可を得て写真を撮らせていただいた。またすぐ近くにはISCoSのオフィスなどもあった。カンファレンス、病棟、外来、リハビリ等幅広く見学させていただいた。病棟では、人工呼吸器が必要な患者さんから、自立を目指してリハビリに励む患者さんまで様々で、入院期間は状態によりだいたい3-9ヵ月と教えていただいた。また病院の敷地内には実際の家を模した施設があり、自宅退院を目指す患者さんが家族とともに実際の生活をしながらリハビリをしているとのことであった。リハビリ室では平行棒など通常のリハビリ設備の他、FESによるサイクリング運動機器を利用している患者さんも見受けられた。外来では、ベルーシ先生の外来見学を中心にITBのリフィルなども見学させていただいた。痙性する治療方針、脊髄損傷後の痛みの治療などを教えていただいた。ITBは古くから行っているとのことで、昔のポンプを見せていただくことができ、また植込み手術でベルーシ先生が注意している点、ご経験されたトラブル例なども教えていただいた。フォローしている患者さんは数百人に及び、年1回のフォローでもかなり苦労されているとのことであったが、Skypeなどを使い、通院困難な患者でも状態が把握できるように工夫されているとのことであった。他にも横隔膜、横隔神経刺激によるFESの話も伺うことができた。

2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催予定となっている。いろいろと問題が報道されているが、是非成功して欲しいと心から願う。

第63回 秋田県整形外科医会  (益谷法光)

2016年5月7日に第63回整形外科医会が開催されました。

10年目以下のyoung doctor’s session10演題とsenior doctorによる一般演題8演題の2部構成で行われる本会は近年では「日整会に演題を通すよりも県医会で賞を獲る方が難しい」とも言われており、非常に白熱したdiscussionが交わされました。

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教育研修講演は愛知医科大学出家正隆教授より「変形性膝関節症に対する治療-動作解析からの検討-」についてご講演を賜りました。

秋田大学でも動作解析を利用した研究が幾つも行われておりますが、下肢アライメント異常と膝OAの関係についての研究など非常に参考になる内容でした。膝痛と体重の関係やサポーターの効果など日常外来でよく聞かれる内容について非常にわかりやすくお話しを賜り、早速明日からの診療に役立てようと思いました。

また名古屋大学石黒直樹教授より「RA領域における臨床研究の実際-他施設臨床研究から-」についてご講演を賜りました。複雑なRA治療についてわかりやすくお話しいただきました。様々なコホート研究の紹介もあり、RA他施設研究は秋田大学ではAORA Groupが中心となって行っておりますが今後の臨床研究のデザインなどで非常に役立ったと思います。

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最優秀演題賞はyoung doctor’s sessionからは木村竜太先生の「先天性膝関節脱臼の治療成績」が、一般演題からは野坂光司先生の「Joint distractionを併用した遠位脛骨斜め骨切り術(Distal tibial oblique osteotomy:DTOO)」 が受賞されました。どの発表も明日からの日常診療に役立つ内容であり、今後もさらにレベルの高い演題を出せるように研鑽を重ねていこうと思いました。

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第2回秋田大学イリザロフ法セミナー アドバンスコース MATILDA法の実際 (野坂光司)

島田洋一教授のご高配により,5月7日,第2回秋田大学イリザロフ法セミナー アドバンスコース(MATILDA法の実際)を開催することができました.

コンセプトは第1回と同様に,秋田県内に広く浸透したイリザロフ創外固定を,基本から応用まで学ぶ機会として,若手医師,手術室看護師を対象に行いました.『重度四肢外傷からの感染を秋田県から撲滅させる』という,島田教授の熱い思いに応えるかのように,30名の参加者全員が,模擬骨を使用し,実際にワイヤー,ハーフピンを刺入しまくり,固定するという,臨床さながらの熱気に包まれたハンズオンセミナーとなりました.

今回は大変ありがたいことに,日本のIlizarov創外固定をリードしてきた弘前大学さんから,上里涼子先生,佐々木規博先生,弘前大学に国内留学中の堀内先生(防衛医大卒,空手部)の3名にもご参加いただき,我々AIMGもいつも以上に気合いを入れて準備いたしました.島田教授が常々おっしゃるように,『これからはIlizarovとMicroの融合の時代だ』と考えます.今後も弘前大学さんと交流を深めさせていただければ幸いです.

土曜日のお忙しい中集まってくれた参加者のみなさん,テーブル講師ををしていただいたAIMGメンバー,開催に多大なるご協力いただきましたSmith & Nephewの皆様,源川医科の佐々木さん,本当にありがとうございました.

第3回も計画中ですので,次回もぜひよろしくお願い申し上げます.

AIMGから学ぶILIZAROV法 アドバンスコース,MATILDA法の実際

【日時】2016年5月7日(土) 9:15~11:30

【会場】北臨床棟2階 カンファランスルーム (整形外科医局隣)

【内容】イリザロフの実践応用編,MATILDA法の実際(レクチャー 40分 ワークショップ90分)

【対象】イリザロフ法に興味のある医師,看護師

プログラム

9:15~9:20  島田洋一教授ご挨拶

9:20~10:00  レクチャー(野坂)

10:00~11:30 ハンズオンセミナー

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第11回Orthopaedic Trauma Course、Orthopaedic Trauma Institute in San Francisco General Hospital見学 (水谷 嵩)

島田洋一教授のご高配により、2016年4月28日〜30日にサンフランシスコで開催されたOrthopaedic Trauma Courseに参加してきました。参加メンバーは河野哲也先生、鈴木真純先生、益谷法光先生、水谷の4人で、初の同期だけでの海外出張となりました。

 

学会前日は、島田教授のご学友で、現在はOrthopaedic Trauma Institute in San Francisco General Hospitalでご活躍されている長尾正人先生に同院を案内していただきました。市立病院ということで要請のあった急患を受け入れる病院で、数年前の航空機事故では60名ほどの救急患者さんを一度に受け入れたこともある程のキャパシティを持つそうです。米国では個人で入っている保険が異なるため、民間施設では入っている保険によって受診できない場合もありますが、同院では保険に加入していなくても基本的に全ての市民が受診できるそうです。そのため、受診料や外来予約時間など市立病院ならではの問題も抱えているようです。救急初療室や手術室、外来診療室を見学しながら米国での診療事情などを詳しく教えていただき、大変興味深い病院見学になりました。

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Orthopaedic Trauma Courseはサンフランシスコのインターコンチネンタルホテルで行われました。米国で開催される骨折治療関連の学会では最大規模で、今回は世界100カ国以上の国から参加者がいたそうです。内容は骨折治療の内容がほとんどで、海外ではどのような治療をしているか、骨折治療について今どのようなことが議論されているかを学ぶことができました。手術で使用される器械も差があり、米国では医療費の関係で、高価なチタンより安価で丈夫なステンレスの器械が日本より多く使用されているようです。Oral sessionの合間にwork shopで模擬骨を使用した手術手技の練習も経験することができました。海外の先生方と意見を交わしながら(ほとんど教えてもらいながらでしたが)手術の練習をするのは日本では味わうことのない経験でした。

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一般口演では日本ではあまり見ない治療の発表もいろいろと聞くことができましたが、特に印象が強かったのは、骨癒合に難渋した橈骨遠位端骨折のstudyで、時には規格外のアイディアも必要だという思いを込めた “Think out of the box.”という言葉で締めた発表でした。基本が大事なのはもちろんですが、時には柔軟に対応する能力も身につけられるよう今回の経験を生かしていきたいと思います。

 

 

第6回秋田・札幌整形外科合同セミナー in 秋田 (長幡 樹)

4月23日に札幌医科大学、秋田大学の合同セミナーが開催されました。

朝8時一つ森公園での親善マラソン大会から始まる今回のセミナー。札幌からは7人、秋田から17人の参加、また教授、准教授をはじめとする多数の先生がたの応援もあり大変な盛り上がりでした。

 

桜が満開の中、景色を楽しんでエンジョイランニング...とはいきません。我々整形外科はいつだって本気です。熾烈なデッドヒートで景色を見る間もなく、走り終わると倒れ込むランナー達。

全力でぶつかりあったからこそ深め合えたと思います。優勝はダントツのタイムでわが秋田大学の佐々木研先生でした。おめでとうございました。

 

午後からは秋田大学、札幌医科大学の先生方による研究会。各大学から4題ずつの一般講演、また各大学2題ずつの特別講演の発表がありました。

 

一般演題では佐々木研先生が「三次元体幹筋骨格モデルを用いた後弯変形高齢者の評価」について発表をしました。脊椎アライメントの分析や高齢者の動態モデルなど臨床につながる研究内容の発表でした。野坂光司先生は「骨粗鬆症臨床におけるテリパラチド週一製剤の有用性」についての発表でした。骨粗鬆症患者の増加するなかでPTH製剤の治療効果等、再確認させていただける内容、また今後の治療展望など大変勉強になりました。土江博幸先生は「粘液繊維肉腫の遠隔転移症例の臨床像」という題での発表をされました。札幌医科との共同での臨床像の研究など2大学の協力体制もお話ししており、腫瘍に関してまだ知識の浅い自分にとって大変勉強になる内容でした。木島泰明先生は「関節痛の関連する因子の検討―股関節を中心に―」の秋田県阿仁地区での大規模なDataから各関節痛の原因を検討した興味深い内容の発表をお話しいただきました。超音波をつかった軟部の検討など、低侵襲でできる検査からの研究であり、今後の診療へすぐにでも役立てるようなお話でした。

札幌医科の江森誠人先生は「当科と秋田大学における非好発部位発生骨肉腫の臨床像」という題で秋田札幌での非好発部位発生骨肉腫の臨床像と双方での交流研究についての発表などお互いの深い交流についての興味深いお話しをしていただいました。高橋信行先生は「骨脆弱性骨盤輪骨折に対する観血的治療例の検討」と今注目を集めている脆弱性骨盤骨折に対する治療法、注意点などのご講演をいただきました。道家孝幸先生は「卵巣摘除マウスの疼痛行動に対するテリパラチドの効果」の演題で骨粗鬆症治療の根本だけでなく、疼痛に対するテリパラチドが及ぼす影響を研究した内容をお話しいただきました。館田健児先生は「前外側アプローチTHAと後外側アプローチTHAのJHEQによる術後成績の比較」と題して、お互いのTHAの利点、欠点を含め患者満足度や動作に対する詳細な評価を発表していただきました。

教育講演では当科から齊藤英知助教授から「変形性膝関節症に対する関節温存手術」についてのお話でした。大腿骨、脛骨の骨切りによる手術、海外での経験を踏まえての治療に対する姿勢などとても興味深いお話しでした。粕川雄司講師から「成人脊柱変形に対する側方進入椎体間固定術」についてのお話をいただきました。Approachの方法や、術前検討の仕方や、手術の手技、術後の経過等、詳細な内容のお話しでした。島田教授から椎体置換(X-core)や今後の側方進入法のあり方など今後の治療へのより積極的な介入が期待されるお話しでした。

札幌医科大学から鈴木智之助教授から早期OAに対する半月板の影響についてお話しをいただきました。多くの文献から基礎的な機能の話や、そこからの治療方法の選択等大変内容の濃いお話をしていただきました。また寺島嘉紀助教授は「低侵襲手術としての腰椎除圧術」とう題でご発表しました。低侵襲手術として手技、手法など大規模なDataからの検討内容のご発表でした。

 

年1回の交流会で今後も切磋琢磨してお互いを高め合っていきたいと思います。遠路はるばる足を運んでくださった札幌医大の先生方ありがとうございました。

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第60回日本リウマチ学会総会・学術集会に参加して (市立角館総合病院 青沼 宏)

2016年4月21日から23日の期間,第60回日本リウマチ学会総会・学術集会が横浜で開催されました.今年は,Akita Orthopedic Group on Rheumatoid Arthritis(AORA)設立以来最多の13演題が採択されました.2015年にAORAレジストリーに登録された2021症例をベースとした,手術治療,薬物治療,それぞれの切り口での発表は,どれも見応え,聴き応えのある内容でした.

秋田県の高齢化率は全国一であり,20年後の日本の有り様を先取りしているといわれます.秋田県の各都市は人,物の移動が少なく,比較的狭いコミュニティーのなかで医療を自給自足せざるを得ない状況になりつつあります.その点で,地域ごとのRA治療施設の充実と施設間の連携を主眼に置いたAORAの試みは,現在試みられている関節リウマチ治療のセンター化と一線を画すものです.今年のJCRを見る限り,施設ごと“個”の力の向上には目覚ましいものがあると実感しました.

内容については細かくなるので控えますが,セミナーで記憶に残った言葉を一つ紹介したいと思います.T2Tと合併症・高齢RA患者における治療について,聖路加国際病院の岸本先生が紹介された論文タイトルで,” Rheumatoid arthritis: strategy more important than agent; 2009 The Lancet”です.いくらいい薬があっても,それを使う医者の戦略が適切でなければ,治療は成功しません.整形外科の利点はagentだけでなく,手術を含めた治療strategyを自らの判断で実行できることです.診断,薬物治療,リハビリテーション,手術と整形外科のすそ野の広さを改めて実感させられるとともに,身が引き締まるような哲学的な一言でした.

さきにAORAの“個”の力の向上について書きましたが,施設ごとの連携についても学会を通じて年を追うごとによくなっています.今年も深夜までざっくばらんな意見交換会が催され,非常に実りある学会参加となりました.現在,AORAでは熱意のある若手医師を絶賛募集中です.リウマチと聞くと近寄りがたい若手の先生もいるかと思いますが,メンバー同士との交流が“個”の力の向上のきっかけにもなります.研究会などで,わからないことや気になったことは遠慮なく聞いてみてください.意外とすんなり解決するかもしれません.

最後になりますが,関連病院の先生方,平素よりAORAをご支援いただき有難うございます.今後も柏倉隊長を筆頭にAORA一同頑張ってまいります.今後ともよろしくお願いいたします.

 

市立角館総合病院 整形外科 青沼宏

JCR 小西先生 集合写真