投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第7回秋田リウマチ治療セミナー (水谷 嵩)

2015年10月9日、秋田リウマチ治療セミナーが開催されました。第7回となる今回は、AORAの先生方からの一般演題の前にプログラム外の発表として中通総合病院看護師の熊谷久美子さんからの演題で始まりました。看護側からリウマチ治療に対する試みとして、外来や病棟での取り組みについて御発表いただきました。リウマチ治療における看護師の方々の多職種連携に期待したいと思います。

AORAからは、一般演題1として北秋田市民病院の相澤俊朗先生からこれまでの活動内容のご報告と、秋田レジストリーからのIFXの使用について御発表いただきました。効果は高い一方で脱落例も多いという問題を抱え、脱落予防のための効果減弱時の対応など今後の課題が見られました。

一般演題2は能代厚生医療センターの伊藤博紀先生からリウマチにおける手関節変形とそれに対する手術症例を、自験例を含め御発表いただきました。リウマチ症例に対して行っているSK法の手術手技について、解りやすい図とともにご紹介いただきました。

AORAのプログラム外発表として南秋田整形外科の杉村祐介先生からはインド Chennalで行われたAPLAR 2015の帰朝報告を御発表いただきました。特別講演で今回秋田にお越しいただいた高橋先生もご一緒されたとのことです。

特別講演として、札幌医科大学消化器・免疫・リウマチ内科学講座准教授の高橋裕樹先生から関節リウマチ診療の実際〜バイオの功罪〜として御講演いただきました。高橋先生は教授ご卒業の札幌医大出身で、貴重な教授の若かりし頃の写真を随所に織り交ぜながらの御発表でした。高橋先生はIgG4関連疾患のご研究で実績を挙げられており、APLARでも英語で口演されたとのことです。今回はバイオの功罪を考える、と題して内科的観点から様々な話題で御講演いただきました。バイオについては開発秘話から始まり、有用性とリスクについての話題、MTXとの併用や合併症など生物学的製剤を使用する上で気になるポイントを、自験例を元に提示していただきました。また、高齢者のリウマチについての注意すべき点や、整形外科的に気になるステロイド性骨壊死についての最新の知見など明日からの診療に役立つテーマを御発表いただきました。

今回の研究会でもリウマチについての様々な知識を得ることができましたが、個人的に最も刺激的だったのは現在からは想像も出来ないくらい好青年だった島田教授の学生時代の写真でした。

 

整形外科市民公開講座 (田澤浩)

2015年10月10日,整形外科市民公開講座が秋田県総合保健センターで開催されました.

今年のテーマは,「ロコモティブシンドロームとしての骨粗鬆症~最新の知識を教えます~」です.南秋田整形外科の小玉弘之先生が秋田県臨床整形外科医会会長に就任されて初めての市民公開講座でした.

開会にあたり,秋田魁新報社小笠原直樹社長と鎌田潔秋田副市長よりご挨拶を頂きました.総合司会は秋田テレビの石塚真人様にお願いし,はじめに「静かな危険 骨粗鬆症」と題して島田教授より基調講演をいただきました.高齢者人口比率全国第一位の秋田県の高齢者が全国のさきがけとなって元気でいるために,ロコモティブシンドローム,骨粗鬆症の予防が重要であり,特に食習慣の改善が必要であることを話されました.

引き続き,御所野整形外科黒田利樹先生と秋田大学整形外科山田晋先生がコーディネーターとなり,パネルディスカッションをおこないました.パネリストは,工藤整形外科工藤透先生,今村記念クリニック田村康樹先生,秋田大学整形外科本郷道生先生,秋田大学整形外科野坂光司先生,北秋田市民病院加賀望先生にお願いしました.骨粗鬆症の治療薬はビスホスホネートを基本として,Caの吸収を促進する新しい活性型ビタミンD3製剤,骨吸収を抑制するデスノマブ,骨形成を促進するテリパラチドなどの注射薬の紹介がありました.また,薬物療法の他にも食事療法,運動療法の重要性についてもディスカッションされました.

最後に会場より質問を受け,パネルディスカッション終了後には,参加いただいた方々からの医療相談を受けて市民講座を閉会しました.

連休初日,交通の便の悪い保健センターでの開催にもかかわらず,200名程度の方にご参加いただきました.特に今回は秋の学会シーズンと重なってスタッフの人員不足となり,手伝って頂いた関係者,先生方には相当の負担をおかけしました.深く感謝を申し上げます.今後ともご協力をお願いいたします.

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第42回 日本肩関節学会に参加して(市立大森病院 嘉川 貴之)

2015年10月9日~10日の二日間,仙台にて日本肩関節学会が開催されました.市立横手病院の大内先生と共に,前日夜に開かれた「肩関節鏡手術セミナー」と併せて参加してきました.
「肩関節鏡セミナー」では,以前函館五稜郭病院に在籍,今開業された永澤 雷太先生と東京医科歯科大学の二村 昭元先生のレクチャーを拝聴いたしました.特に二村先生には解剖学的な最新の知見を御講義いただき,目から鱗でした.
翌日からの学会では,かなり濃密な時間を過ごせました.今までは学会場に一日中とどまっているということがなかった自分ですが,今回は臨床や今後の研究で行かせる何かを見つけて帰ろうと集中していました.永澤雷太先生が「学会は自分の立ち位置を知る場所」と仰っていましたが,その言葉通り,自分の立ち位置も再認識し,やる気がわきました.
その夜は,前週にお世話になった岡村先生はじめ羊が丘病院の皆さんと夕食をともにしました.大内先生は僕の前では肩痛い,荷物持ってなどと言いますが,岡村先生の前では痛くないっすと言い張っていて,今後彼が肩が痛くて投球できないと言っても優しくしないでおこうと決意しました.
2日間かなりみっちりと肩について勉強したと思います.あまりに勉強したためか自宅に帰ってから訳もなく嘔吐しました.知恵熱は出ていませんでしたが,知恵嘔吐だと思います.
今回学んだことは11月8日のASAKGのミーティングで皆様にお伝えできるかと思います.まずは手術をしっかりと,そして来年は学会発表できるよう,今後ともご指導の程よろしくお願い致します.

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第50回 国際側弯症学会に参加して (水谷 嵩)

 2015年9月30日~10月3日の日程で,ミネソタ州のミネアポリスで開催された第50回国際側弯症学会(Scoliosis Research Society)に参加しました.参加メンバーは本郷道生先生,三澤晶子先生,工藤大輔先生と,今年初めて参加する私と尾野佑一先生の5人でした.
Scientific programでの口演発表は129題とEポスター94題で,合わせての採択率は約15%とハードルが高いですが,その分発表はどれも質の高いもので,どのセッションに参加しても得られるものの大きい会でした.主に小児から成人の脊柱変形をテーマに,保存療法から手術療法までの発表を世界各国から集まった先生方が,連日議論を繰り広げるマニアックな会,という印象でした.
 初日のpre-meeting courseでは側弯症治療の歴史や分類,装具,手術治療の変遷など一般的な内容の発表を聞くことができ,一日いると側弯症の大体のことが分かるようになるセッションでした.経験の浅い私はどの発表も学ぶことが多く,特に側弯症治療の歴史に関する発表では過去に多くの反省すべき症例があったことを知ることができました.海外の手術症例の発表も刺激的で,検診制度のある日本ではほとんど見ないような重症側弯症例の治療報告も散見されました.また,Lenke分類で有名なLenke先生を見ることができたのも貴重な経験でした.
 今回は50回記念会ということで,学会の創立時からのメンバーや,過去の学会プレジデントなどが一同に集まり,学会に功労のあった方々への受賞式もありました.印象に残った講演は,金銭的に手術を受けることができない子供たちに手術を行うことができるように制度をかえ,治療を行ったことで受賞されたインドの先生の発表でした.高額医療になる側弯症治療を,貧しい地域の子供たちにも提供できるように様々な工夫や努力を行った情熱に感動しました.
 また,学会会場内に特別ブースが用意されており,側弯症の博物館のようなコーナーを見学することもできました.世界で初めて使用されたロッドや手術器具の変遷の歴史,360°に曲がった側弯の実体模型,診察グッズの数々,第1回からの学会ポスターなど,専門家にはたまらない催しだったのではないでしょうか.
 今回初めて参加させていただいた本学会では,数多くの質の高い発表を聞き,見分を深めることができました.このような貴重な機会をいただきありがとうございました.今回の経験を今後秋田での診療に役立てられるよう努力したいと思います.
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魁新報に『高齢者とスポーツ』、ついに連載開始!! (秋田県スポーツ医学研究会事務局 野坂光司)

 秋田県スポーツ医学研究会は平成5年の発足以来、会員のスポーツ医学の研賛や情報交換、症例検討などを行う傍ら、県教育委員会などと協力し、学校管理下における突然死の問題に対する提言、秋田県体育協会のスポーツ医事委員会と協力しわか杉国体開催時本県のスポーツ選手の強化に対するアドバイス、ABS秋田放送番組「スポーツと健康」の担当、甲子園出場校の帯同ドクターの派遣などの事業を行なって参りました。
 県民の健康維持増進に役立つような情報発信をすることができないかということで秋田魁新報社様といろいろ検討を重ねて参りましたところ、この度、魁新聞の紙面を通じて定期的にスポーツ医学的見地より読者の皆様に分かりやすく、日常的なお話を提供できるような運び(本年中は月1回の連載、木曜日くらしの欄)となりました。
 このたび、『高齢者とスポーツ』を題材にいたしました『エンジョイスポーツライフ高齢者編』の、島田洋一教授による第一報が掲載されましたので報告いたします。

「エンジョイスポーツライフ~高齢者編①」
島田洋一/県スポーツ医学研究会長、秋田大医学部教授

 人口推計2014年6月報によれば、日本の65歳以上の高齢者人口は3212万人で、総人口に占める割合(高齢化率)は25・2%に上る。本県は既に3割を超えており、日本でも先頭を走る高齢県となっている。こうした社会で求められるのは高齢者が自立した生活を送り、健康寿命を伸ばすことだ。
高齢者は骨粗しょう症やサルコペニア、心血管障害、糖尿病などを併発した体力低下が著しい。身体機能を高めるためには運動・スポーツ活動が有用だ。
総務省統計局によると、2011年に何らかのスポーツを行った高齢者は1419万9千人で、行動者率は51・4%。06年と比べると、4・8㌽上昇し、特に70~74歳では7・9㌽も上昇している。スポーツの種類別行動者率を年と比べると、「ウオーキング・軽い体操」が4・4㌽と最も上昇しているのに対し、その他の項目は横ばいだ。
「ウオーキング・軽い体操」が上昇したのは、元気な高齢者が健康維持を目的に散歩するケースが増えたほか、デイサービスが機能訓練として、体操を取り入れ始めたことなどが影響しているとみられる。
内閣府によれば、自主的なグループ活動に参加している高齢者のうち、「健康・スポーツ」は10年前に比べ8・4㌽、20年前に比べ14・8㌽増加している。「生涯学習に関する世論調査」(12年)における「行ってみたい生涯学習の内容」のトップには「健康・スポーツ」が選ばれ、60~69歳で47・5%、70歳以上で31・8%となっている。
文部科学省の「体力・スポーツに関する世論調査」(13年)では、週に3日以上スポーツを実施する高齢者の割合が60歳代42・4%、70歳代53・6%となっており、活発な高齢者が多い。 
こうしたデータを見ても、現代社会においては高齢者のスポーツ活動は広く普及しているといえる。しかし、高齢者は加齢に伴い体力が低下しいるばかりでなく、何らかの疾病を合併していることから、事故防止に向けた正しい安全管理が必要だ。
本欄では「県スポーツ医学研究会」に所属する医師たちが、あらゆる角度から高齢者とスポーツとの関わり方について解説していく。本県高齢者の健康寿命を少しでも延ばすことにつながればと願っている。
【しまだ・よういち】 55年三種町(旧山本町)生まれ。札幌医科大医学部卒業後、秋田大医学部医学研究科博士課程修了。07年から同大学院整形外科学講座教授。県スポーツ医学研究会長

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2015年10月3日土曜日 なまはげ整形外科記念講演会(粕川雄司)

   英国で開催されているラグビーワールドカップで日本代表が歴史的な2勝目をあげた10月3日,秋田ではなまはげ整形外科記念講演会が開催されました.高知大学医学部 整形外科学講座 教授 池内昌彦先生と,防衛大学校 整形外科学講座 教授 千葉一裕先生の御高名なお二人の先生に秋田へお越しいただき御講演いただきました.
池内昌彦教授は,「変形性膝関節症の痛みを考える~病態と治療戦略~」と題して,変形性膝関節症の痛みについて基礎的なバックグランドから,痛みのメカニズムについて詳細にお話しいただき,痛みを解決するための薬物治療や手術治療についても大変わかりやすく御講演いただきました.変形性膝関節症の痛みについて,基礎的なことから手術治療に至るまで,大変勉強になりました.
千葉一裕教授からは,最近改訂された頚椎症性脊髄症の診療ガイドラインについても触れられ「頚椎症性脊髄症の診療 up-to-date」のご講演いただきました.我が国からの数多く発信されている,高位診断法や治療前後の成績評価であるJOAスコア,手術術式などの歴史や新たなエビデンスなどについてお話しいただきました.そのほかに,まだエビデンスとして確立されていないが,頚髄症の診断に用いられる可能性のある最先端の新たな御研究についてもお話しいただきました.
変形性膝関節症と頚椎症性脊髄症という2つのメジャーな整形外科疾患について,お二人の先生方から御講演をいただき,大変勉強になりました.遠路はるばる秋田までお越しいただきましたお二人の先生方,誠にありがとうございました.また,当日ご参加いただいた先生方,共催いただきました方々,ありがとうございました.今後ともよろしくお願い致します.
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2015年10月1日 第7回秋田リウマチ治療セミナー(粕川雄司)

 強力な温帯低気圧が近づくなか,第7回秋田リウマチ治療セミナーが開催されました.リウマチ(RA)治療のセミナーで,一般演題は,羽後町立羽後病院 阿部秀一先生から,「初心者にもわかるRA診断」と題して,RAの診断について丁寧にわかりやすく御講演いただきました.続いて,雄勝中央病院 浦山雅和先生から「関節リウマチ治療の評価:総合的疾患活動性指標」について,RAの病状を評価する複数の方法の実際や問題点について,AORAのデータも含めて御講演いただきました.日々お忙しいなか御講演いただいたお二人の先生方,ありがとうございました.御講演より,現在のRAの診断や評価法について理解を深めることができました.また,今後の評価法の問題点などについても議論されました.
特別講演は,大分大学医学部 整形外科 教授 津村 弘先生より「人工膝関節置換術-苦労した症例-」と題して御講演いただきました.数多くの手術をされている御経験より,難治な手術例についてもお話しいただき,今後手術を行う際や難しい手術を計画する際に大変勉強になる有意義な御講演でした.御講演のあと,ご学友である吉富健志教授も交えてとても楽しいお話しをたくさん聞かせていただきました.悪天候のため当日朝から大分を出発され,遠路はるばる秋田までお越しいただき,御講演いただき誠にありがとうございました.今後ともよろしくお願い申し上げます.
当日ご参加いただいた先生方,学生の方々,共催いただきました方々,ありがとうございました.今後ともよろしくお願い致します.
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島田洋一教授 還暦をお祝いする会

 2015年9月27日、日曜日、秋田ビューホテルにおいて、島田洋一教授の還暦をお祝いする会が108名の参加者をお迎えし、執り行われました。宮腰尚久准教授よりの発起人代表のご挨拶から始まり、遠藤博之先生からは島田教授の若かりし頃の武勇伝が披露され、小玉弘之先生より乾杯のご挨拶を戴き、会は始まりました。医学部5年生の岡本憲人くんの整形外科入局のご挨拶、握手会、記念撮影から始まり、最近、医局員の結婚式では引っ張りだこの秋田大学整形外科裸参り部(秋田ノーザンネーキッズ)が島田洋一教授をお神輿に載せ担いで登場したり、秋田大学整形外科合唱部(Akita Northern Angel Voices)がゆずの「栄光の架け橋」を熱唱したり、かおる堂の次期CEOの藤井昌先生がパティシエのコスプレでケーキを奉納したりなど、キャラクター揃いのヤングドクターの才能が多分に発揮された会ではなかったでしょうか?日曜日のお忙しい中、多くの先生がたにご参加を頂きまして誠にありがとうございました。この場もお借りしまして御礼申し上げます。
最後はこの言葉でブログを締めたいと思います。
「島田洋一教授!これからも叱咤激励の程を宜しくお願い申し上げます!」

第4回秋田県股関節研究会(木島泰明)

2015年9月19日(土曜日)に第4回秋田県股関節研究会が開催されました。会の冒頭には山田晋会長から、Akita Hip Research Group(AHRG)の取り組みとして臨床・研究・若手教育の3つの側面全てにおいて秋田県における股関節外科の発展と国内外へのアピールとなる業績作成を行っていることがご報告されました。

臨床面では人工股関節置換術後の早期復帰を実現するために新しいアプローチや新しいインプラントの導入を開始しており、研究面では大腿骨近位部骨折に対するAkita分類の有用性を500例近い症例の調査からアピールする準備が出来ていることが示されました。また、特に若手教育に関しては、股関節外科医をしっかり育てるために大学での手術に大学以外の股関節志望の若手に入っていただき、直接指導するシステムを顧問である島田教授の方針として取っているおり、股関節外科を目指す若手全てにそのチャンスを与えることや、今年度中に第1回AHRG股関節鏡&股関節周辺アプローチcadaver training courseを開催することなどについても宣言されました。

続くミニレクチャーでは秋田赤十字病院の人工関節センター長の田澤浩vice-directorから「人工股関節置換術後患者における腰椎前弯角とQOL」についてレクチャー頂き、股関節だけでなく全身のアライメントを考えた治療が今後はさらに重要になってくることを実感させられました。

さらに今年から「AHRGからの耳より情報」という新コーナーが生まれました。これは1年間の股関節関連の新しいトピックスを、その内容に得意な先生からご講義頂くコーナーですが、今回は「大腿骨近位部骨折-元就ミクス3本の矢-」というタイトルで、股関節だけでなく骨折にも精通している能代厚生医療センター整形外科の診療部長、久保田均副会長から大腿骨頸部に3本のスクリューを入れる新しいデバイスについて、実際の症例をお示しいただきながらわかりやすく教えていただきました。Akita分類とこれらの新しいデバイスにより、整形外科医1年目から非常に多く経験するこの大腿骨近位部骨折も、新たなステージを迎えることになりそうです。

一般演題では、鈴木紀夫先生(由利組合病院)が、Charcot関節であっても股関節外科医であればTHAの適応も充分あるのだという力強いリポートを、加茂啓志先生(秋田労災病院)は大腿骨頭骨折という大変な症例をsurgical dislocationというアプローチを用いてみごとに治療されたご経験を、また、尾野祐一先生(秋田県立医療療育センター)はgapのないMRIのペルテス病への有用性をご報告頂きました。毎年、医療療育センターからは小児の股関節疾患の演題を出していただき、大変感謝しております。

さらに、奥寺良弥先生(由利組合病院)が、股関節のHill-Sachs lesionとも言うべき非常に貴重な症例をなんと3D-printerを用いた立体モデルを用いることでその発症メカニズムが一目瞭然にわかる!という、まさに目から鱗が落ちるような症例報告を、佐々木研先生(秋田大学)は近年AHRGだけでなく全国的に使われているwedged taperタイプの我が国での先駆けであるAccolade TMZFステムのついに出た中期成績を惜しげもなく披露してくださいました。そして、最優秀演題賞に輝いたのはAHRGメンバー最若手の河野哲也先生(秋田大学)の「人工股関節全置換術後の作業活動は何をいつ再開できるか」という演題でした。秋田の高齢者に実際にインタヴューまでおこなったプレゼンテーションのおかげで我々AHRGが苦労して集めたデータを非常に強いインパクトでアピールしてくださいました。

特別講演Ⅰでは、わたくし、木島泰明が、フランスの股関節外科を紹介しながら、股関節の臨床や研究の魅力をみなさまにお伝えしたいという一心でプレゼンテーションさせて頂きました。若手の先生だけでなく、きっと股関節以外がご専門の先生にも楽しんで聞いていただける1時間になったのではないかと自負しております。

そしてメインイベント、特別講演Ⅱでは、大阪大学大学院医学系研究科 運動器医工学治療学 教授の菅野伸彦先生から「人工股関節全置換術で満足度を高めるためには」と題して、股関節専門医でも知らなかった興味深いTHAの歴史から、THAの満足度をさらに高めるための、非常に多岐にわたり、かつ「ほんまもん」のデータから導き出される「ほんまもん」の結論をご提示いただき、心から感動するとともに、菅野教授が今年開催されます第42回日本股関節学会学術集会が非常に楽しみになるご講演でした。

研究会終了後の情報交換会などでも、菅野教授からは、「それ、ほんまか?」の精神で臨床もリサーチもされていることをお聞きし、我々AHRGもそれに負けないように秋田ならではのスタイルで臨床・研究・若手教育のすべての側面で県内外・国内外に存在感をしめせるように頑張ろう、とメンバー全員が志を新たにした次第です。

この度は、第4回秋田県股関節研究会にご参加いただき、また、このご報告を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

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2015年9月17日木曜日 第5回秋田県運動器疼痛治療セミナー (粕川雄司)

第5回となる秋田県運動器疼痛治療セミナーが開催されました.一般演題は,羽後町立羽後病院 阿部秀一先生から,変形性足関節症を伴った下垂足に対し手術を行い症状の改善が得られた症例を,市立秋田総合病院 柏倉 剛先生から,関節リウマチによる関節痛に対する薬物治療について御発表いただきました.貴重な御発表を頂きありがとうございました.

特別講演は,札幌医科大学整形外科 講師 吉本三徳先生より「腰椎変性疾患の病態からみた内視鏡下手術の適応と実際」と題してご講演いただきました.非常にわかりやすい術中の動画をたくさんご提示いただき,内視鏡を使用しての手術のメリットやその陰にあるご苦労などをお話しいただきました.内視鏡手術の実際についてご自身のデータをたくさん含めた御講演は,大変勉強になりました.誠にありがとうございました.これからも,よろしくお願い致します.

当日ご参加いただいた先生方,学生の方々,共催いただきました方々,ありがとうございました.今後とも引き続きよろしくお願い致します.

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