8月21日(金)、岩手医科大学医学部整形外科学講座 准教授 村上 秀樹先生をお招きし行われました秋田県腰痛セミナー2015のご報告です。
一般演題1題目は、平鹿総合病院 櫻場 乾 先生の『掌蹠膿疱症性骨関節炎の4例』でした。自分はまだほとんど経験したことが無いのですが、他科からの頼診で時々診断の必要に迫られることのある疾患です。うち2例の詳細な経過、診断までの道筋、治療など非常に勉強になりました。特に、重要な鑑別疾患の一つとなる化膿性椎間板炎との画像的な違いに関しては、診断する上で非常にためになりました。2題目は、能代厚生医療センター 安藤 滋先生による『当科における化膿性脊椎炎、椎間板炎の調査』でした。化膿性脊椎炎・椎間板炎は、内科的な疾患を合併していることの多い高齢者の場合では特に診断・治療の選択に迷うこともある疾患であり、高齢者の特に多い秋田においては早期の診断が重要となる疾患の一つであります。この発表でも、発症時には47%の患者が他科を受診しているという結果でした。かつての、治療原則は安静と抗生剤という流れに対し、可及的早期に固定を行うという意見も多く聞かれるようになってきており、その点に関して会場が村上准教授も交えての熱いエンドレスなディベートになりかけたのには驚きました。
そして特別講演、村上秀樹准教授による『腰椎変性疾患に対するOLIF法の適応と実際』でした。OLIFはXLIFと並び、腰椎変性疾患に対する全く新しい椎体固定術であり、TLIF, PLIFといった従来の後方よりアプローチする手技比べ低侵襲で革新的な手術方法と言えます。秋田県でも近年XLIFが導入されるようになり、次いで導入されることとなる手術方法となっています。手術体位に始まり、手技・適応症例など実際の動画や画像を交えて御講演頂き非常に分かりやすく勉強になりました。その中でも特に後方除圧の要不要に関しては、今まではまだ自分の勉強不足ということもあり不明な点が多々ありましたが、一切行っていないという村上先生のお話はとても興味深いものでした。最後の質疑応答までハイレベルで、OLIFに関して余すこと無く勉強することのできるセミナーとなりました。
最後に、OLIF,XLIFともに今後の腰椎変性疾患に対して主流となる可能性の高い手技ですので、この会に限らず今後もしっかり学んでゆくべきと感じました。