投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第68回東日本整形災害外科学会駅伝プログラム(三浦隆徳)

2019年9月5日、6日に東京医科歯科大学主催の第68回東日本整形災害外科学会に参加して参りました。親善スポーツプログラムでの駅伝部の結果についてご報告させて頂きます。「親善」とは名ばかりに各大学の威信をかけて開催されるスポーツプログラムですが、秋田大学駅伝部は初大会から前人未踏の7連覇を更新中、絶対に負けられない状況での参加となりました。

会場は東京臨海広域防災公園、1人あたり2.6km、1チーム5人構成でした。各チームは秋田の牙城を崩すべく、相当に練習を積んできた様子でレース前から火花散る様相でした。エースが集う花の1区を長幡樹先生が堅実な走りでつなぎ、2区で筆者がたすきを受けました。順位を押し上げライバル千葉大学との差は縮めるものの、逆転はできず2位で千馬誠悦先生に中継しました。そこで千馬先生が圧巻の走りで千葉大学を逆転、そして4区佐々木研先生、5区大屋敬太先生がさらに引き離し、1位でFinish!2位千葉大学、3位東京医科歯科大学でしたが、2位とは2分51秒差、区間賞3つと圧勝でした。またBチームも竹島正晃先生、成田裕一郎先生、佐藤光先生、小林志先生、井上純一先生が快走し、4位という結果で終了しました。

来年度は9連覇をかけて軽井沢で戦って参ります。今回ベストメンバーではなかったチームもあり、来年も各チーム調整してくることと思います。我々もさらなる高みを目指して頑張って参りたいと思います。新メンバーの加入も随時募集中です。練習会を通じて是非一緒に走りましょう!駅伝部は今後もスポーツ活動を通じて医局の発展に貢献できればと考えています。今後ともご指導、ご声援のほど何卒宜しくお願い致します。

第45回日本整形外科スポーツ医学会(木島泰明)

現在、大阪のグランフロント大阪 ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターでは、第45回日本整形外科スポーツ医学会が開催されています。会長は大阪市立大学大学院整形外科の中村博亮教授で、テーマは「原点からの飛躍と多様性への対応」です。
我が秋田大学整形外科からは、メイン会場でのシンポジウム「高齢者とスポーツ医学‐健康寿命延伸への寄与‐」に、本郷道生講師が「高齢者のスポーツ活動・運動療法による脊椎疾患に対する影響」というご発表をされました。また、パネルデスカッション「アキレス腱断裂の治療」では、平鹿総合病院の千田秀一先生が、「新鮮アキレス腱断裂に対する最小侵襲手術の適応」というタイトルでご発表され、そのあとの総合討論でもアスリートに対するアキレス腱断裂の治療に関して、かなり白熱した討論がなされていました。
私も秋田県体育協会の強化指定選手のメディカルチェックから得られた情報を発表するとともに、全国からの発表や講演を拝聴しております。当科の齊藤英知先生も変形性膝関節症手術とスポーツのセッションで座長を務められておりました。
本学会で得られた最新の知見を秋田でのアスリート診療に生かすとともに、引き続き秋田で得られた知見を全国や世界に発表し、東京2020に向けて、スポーツ整形外科医療の発展に寄与していきたいと思います。

第5回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会( Akita Orthopedic Society for Knee, Arthroscopy, and Sports Medicine: AKAS)に参加して (村田昇平)

秋田では猛暑が過ぎ去り、太陽の光が日増しに黄色く弱っていくような気持ちの良い晩夏となってまいりました。そんな中、2019年8月24日第、5回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会( Akita Orthopedic Society for Knee, Arthroscopy, and Sports Medicine: AKAS)が開催され、季節を裏切り盛夏のごとく熱い会となりました。

 
一般演題は、Akita Sports Arthroscopy Knee Group(ASAKG)メンバーから全部で11題もの演題がありました。筆者の発表の他、高橋靖博先生(秋田労災病院)、塚本泰朗先生(市立田沢湖病院)、赤川学先生(市立秋田総合病院)、大内賢太郎先生(市立横手病院)、佐藤千恵先生(秋田労災病院)、瀬川豊人先生(城東スポーツ整形クリニック)、斉藤公男先生(秋田大学)、佐々木香奈先生(中通総合病院)、冨岡立先生(市立横手病院)、関展寿先生(秋田労災病院)たちから素晴らしい発表をいただき、大変勉強になりました。

 

ミニレクチャーでは、秋田赤十字病院人工関節副センター長、冨手貴教先生からご講演をいただきました。『人工膝関節置換術について』と題して、人工膝関節手術(TKA)について、その歴史を踏まえながら、基本的な考え方、pit fall、現在から今後のトピックについてご指導をいただきました。TKAについてこれほどまでに体系的に学べるのは非常に貴重な機会でしたので、机にかじりつきながら勉強させていただきました。今回必死になって書いたメモは大事にしてこれから何度も見直したいと思います。

 

そして、なんといっても特別講演は大変豪華な2講演をいただきました。一つ目は、大阪大学大学院医学系研究科運動器スボーツバイオメカニクス学共同研究講座、特任教授、前達雄先生より『膝前十字靭帯の治療・評価 -変形性関節症にならないためにすべきこと-』、もう一つは、東海大学医学部外科学系整形外科学、准教授、内山善康先生より『柔道選手における肩関節疾患・外傷』と題しまして、誠に素晴らしいご講演を頂きました。

 
前達夫先生からは膝前十字靭帯(ACL)について、初診時、術前、術後の詳細かつ実践的な評価法について、これまでの歴史も踏まえながらご教示を賜りました。大変鮮烈に私の記憶にのこったのが前先生の「アメリカでにわかに言われている、ACL再建はやってもやらなくても変形性膝関節症(OA)になるというのはウソ。正しく再建すればOAにならない。」という言葉であります。OA膝をつくらないACLの正確無比な再建のために、前先生が評価から手術まで、いかに情熱的に、繊細にやっているのかということを教えていただき、本当に刺激的な内容でした。

 
内山善康先生は大変高名な整形外科医、肩関節外科医でありますが、同時にTBS系の「消えた天才 〜超一流が勝てなかった人 大追跡〜」であのバルセロナオリンピック金メダリスト古賀稔彦選手から唯一投げられなかった選手として紹介され、ご出演された最強の柔道家でもあります(柔道インターハイ2年連続準優勝、医師柔道世界大会チャンピオンという恐ろしい経歴です)。柔道家としての経験を活かした肩関節に治療についてご教示いただきました。私も一応は北海道相撲3位という肩書きがあるのですが、最強の空手家である島田洋一教授が座長、最強の柔道家である内山善康先生の演者という自分より遥かに強い二人のご講演を大変興味深く、楽しく拝聴させていただきました。

 

第5回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会で学ばせていただいたことを今後の臨床、研究に活かして、また明日から一人でも多くの患者様に満足していただける医療を行えるように努めたいと思います。

SICOT Foot & Ankle International Conference(野坂光司)

SICOT Foot & Ankle International Conferenceに招かれ,8月9~10日,中国の東南部,江蘇省蘇州市に行ってきました.

中国足の外科学会はいま,非常に伸びている分野とのことで,会場もすさまじい熱気に包まれていました.私は『Effectiveness of distal tibial osteotomy with distraction arthroplasty in varus ankle osteoarthritis』というタイトルで進行期足関節症における関節温存手術として秋田大学で行っているDistraction DTOOの長期成績についてお話いたしました.Distraction DTOOは活動性の高い高齢者のTakakura分類3bの変形性足関節症には特に有用と考えています.フロアの先生からは非常にたくさんの鋭い質問をいただき,今後の臨床にしっかりと役立てていきたいと思いました.

今回は中国吉林大学整形外科の常非先生はじめ,足の外科のみなさまにとても素晴らしいおもてなしをいただきました.国際化を進めていく足の外科学会においては,中国との付き合い方はとてもsensitiveで重要な意味合いを持つということを改めて感じました.秋の日本足の外科学会には中国だけでなく,以前トラベリングフェローでお世話になった韓国からも多くの先生がまいります.しっかりと恩返しし,将来に向けても有意義な交流を深めていきたいと思います.

中国では年に一回あるかないかという台風に直撃され,上海空港が全便欠航になるというアクシデントもいい思い出になりました.

このような貴重な機会を与えてくださいました奈良県立医科大学の田中康仁教授,谷口晃准教授には心より御礼申し上げます.

また忙しい時期に快く送り出して下さった島田洋一教授はじめ医局の先生方,本当にありがとうございました.

第101回全国高校野球甲子園大会,秋田中央高校帯同(村田昇平)

 

この度,秋田県,秋田県高校野球連盟,秋田県臨床整形外科医会,秋田県理学療法士会,秋田県整形外科医会のご高配,ご指導のもと第101回全国高校野球甲子園大会(甲子園)にて,僭越ながら,秋田中央高校野球部にドクターとして帯同して参りました.本大会も例年通り,医師1名,理学療法士(PT)2名の体制でメディカルサポートをさせていただきました(滞在中はPT福原隆志先生,安藤優先生,畠山和利先生とご一緒でした).

 

私は8月4日にチームと合流し,現地での練習,開会式,8月7日の初戦ギリギリまで選手と一緒の空間で過ごさせていただきました.今年はご一緒した安藤先生が5年前から秋田中央高のメディカルトレーナーを勤めてくださっていることもあり,初日から選手たちとの非常に良いコミュニケーションの中に混ぜていただきました.安藤先生はみんなから兄貴分の如く慕われており,また安藤先生からも選手たちへの愛が常に溢れ出ておりました(安藤先生はいつでも選手たちのすぐそばで気を配っており,練習終わりには談笑しながらトンボがけなどもしていました.).

 

帯同医としては誠に幸いなことに,私の赴任中は医師としての仕事をすることはほぼありませんでした(佐藤監督,後藤部長,関係者の方々による日頃からの適切かつ細やかなマネジメントの賜物と思います.).日中は選手たちへの声掛けや,氷嚢の準備,PTの先生達のお手伝いをさせていただき,自分なりに少しでも選手たちのためになることができればと考えながら行動していました.夜はコンディショニングルームにて,秋田では高名な福原先生,安藤先生,畠山先生らの達人的な徒手介入をみて勉強させていただいておりました(あと,氷嚢の洗濯など,できることを少しでも探してました.).その際に選手たちとゆっくりコミュニケーションをする機会に恵まれましたが,みんな明るく素直で,本当に本当にナイスガイばかりでした.

 

大変遺憾ではありますが,日程の関係で私は中央高校の一回戦開始直前に,甲子園をあとにして,伊丹空港行きのバスへ乗り込みました.引き継いだ井上純一先生は3年連続3回目の甲子園帯同と,ちょっとした強豪校のような肩書をお持ちですので非常に心強いです.

 

この記事を書きながら現在時刻は8月7日16時,さてそろそろ伊丹空港に到着です.速報を見ると奇しくも中央高校が今まさにプレーボールの様です.秋田中央高校の選手たちの活躍と,これからの人生のご多幸を強く祈念して,筆を置きたいと思います.

 

今回選手たちから与えてもらった素晴らしい経験やエネルギーを糧として,今後の診療,研究により一層邁進したいと思います.

この度は貴重な機会を与えてくださった関係者の皆様方,秋田県臨床整形外科医会会長 湊昭策先生,また秋田大学整形外科学講座教授 島田洋一先生に心より感謝申し上げます.

第12回秋田県手外科研究会 (齋藤光)

令和1年7月20日に、第11回秋田県手外科研究会が開催されました。
毎年恒例、エコーのハンズオンセミナーがまず開催されました。今年は平鹿総合病院の佐々木研先生から「神経ブロックあれこれ」と題し、エコー下神経ブロックで用いる局所麻酔薬の副作用について、明日から役立つ内容を講義していただきました。その後、被検者の方に実際エコーを当てながら、腋窩、鎖骨上、斜角筋間での神経の描出を行いました。秋田大学整形外科では若手の必修事項にこのエコー下ブロックがあります。この手技によって上肢や下肢の手術を整形外科医師自身が麻酔をかけることで可能となっており、手術件数の増加に寄与しています。若手の先生方は、日常診療で感じる疑問点を、実際にエコーを触りながら質問することができ、非常に有意義な時間になったかと思います。
一般演題は6演題の発表があり、最優秀演題賞は「緊急手術を要した急性手根管症候群の1例」で市立横手病院の大内賢太郎先生が受賞されました。稀な症例に対して手根管内の内圧を自身で測定し、適切な治療を行い良好な成績が得られたこと、また文献的考察をあわせてお示しいただきました。稀な症例に真摯にむきあい、一つひとつ知識を蓄積していくことの重要性をあらためて教えていただきました。その他の5演題もすべて勉強になるものばかりで、明日からの診療に生かしていきたいと思いました。
その後、町立羽後病院の益谷法光先生から「Wide awake hand surgery の基本 -外来手術から腱移行まで-」と題してミニレクチャーをいただきました。手術は通常、全身麻酔やブロック麻酔で行うことが多いのですが、Wide awake hand surgeryでは局所麻酔薬を皮下に浸潤させて麻酔を得ます。益谷先生は秋田県で先駆けてこの手法を導入されており、その適応疾患から実際の麻酔方法について詳細にお話いただきました。患者さんは手術中に手指を動かすことができるため、指の腱を扱う手術で特に有用な方法であり、また低侵襲であるため入院期間の短縮にもつながるとのことでした。今回のミニレクチャーで勉強させていただいた内容をもとに、今後の診療に私自身も応用させていただこうと思いました。
特別講演は兵庫医科大学元教授であり、現在は荻原整形外科病院の副院長 兼 手外科・スポーツ障害治療センター長の田中寿一先生から「スポーツによる手・肘の障害治療」と題してご講演いただきました。田中先生には手外科医として、またスポーツドクターとしてのこれまでのご経験を元に多岐にわたってご講演いただきました。舟状骨の骨折で現在我々が頻用しているDTJスクリューは田中先生が考案されたものであり、その特性や使用方法について動画を交えて非常にわかりやすくご説明いただきました。研究会後の懇親会では直接お話させて頂く機会がありました。その中で印象的であったのは、スポーツ選手の復帰時期についての田中先生のお考えでした。骨折であれば焦らず骨癒合してから、その間は「傷害部位に負担をかけない、やっても良いこと」を指導してあげることが大切であるということをお話しいただきました。スポーツ傷害の患者さんに対して、「やってはいけない」というのは簡単なことですが、できることを一緒に考え提案することの重要性を教えていただきました。手外科疾患、スポーツ傷害で困っている患者さんに対して最良の治療を提供できるよう、そしてスポーツ復帰までを適切に指導できるよう、日々研鑽を積んでいきたいと思いました。田中先生、ご講演いただき、誠にありがとうございました。

 

 

第42回東北膝関節研究会に参加して(村田 昇平)

令和1年7月20日、仙台市、仙台サンプラザで開催されました、第42回東北膝研究会に参加して参りました.

 

秋田大学,Akita Sports Arthroscopy Knee Groupからは全部で3演題をさせていただきました.赤川学先生「高位脛骨骨切り術術後成績と術前半月板所見の関連性」,高橋靖博先生「当院における学齢期円板状半月板治療の実態調査」をご発表され,私も齊藤英知先生にご指導をいただき「外側型OAを伴った成人の下腿外捻変形に対してdouble level osteotomyを行った1例」について発表させていただきました.

 

私は今回はじめて東北膝関節研究会に参加させていただきましたが,シニアドクターから若手までが非常に近い距離で激しく議論を交わしており,熱い雰囲気に圧倒されました.会場全体から日本の膝,世界の膝治療は東北から引っ張って行くんだという熱意が溢れておりました.

 

教育研修講演では,愛知医科大学医学部整形外科学講座教授,出家正隆先生から「膝蓋大腿関節障害の最近の治療」,大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教授,中田研先生から「半月板治療パラダイムシフト”スポーツ外傷障害から早期OA”」との題で,最新の知見について拝聴させていただきました.中田先生のご講演の中では,半月板への力学負荷強度の違いによる生物学的応答の変化,それに関するNSAIDsの関係,また半月板再生治療に関してなど,興味深いトピックを多数ご教示いただきました.自分の知識では一度聞いただけでは,理解しきれないことも多々あり,これからはより勉強せねばと気合が入りました.

 

今回学んだことを活かして明日からの診療,研究により一層励みたいと思います.

この度は大変貴重な機会をあたえていただき誠にありがとうございました.

第52回日整会骨・軟部腫瘍学術集会(土江博幸)

この度、7月11日~12日にかけて、埼玉県川越市のウェスタ川越で行われた第52回日整会骨・軟部腫瘍学術集会に参加してきました。毎年、この2日間は講演をできるだけ聞くように心がけています。数年前はキャンサーボードの話題が多かったのが、最近はがんゲノムなどの話題も増えてきている等、今回も流行に乗り遅れないように勉強させて頂きました。

今年は、大学院生の村田先生にも発表を引き受けてもらい、秋田大学としては研究の発表が3演題、症例報告が1演題と、これまで目標にしてきた4演題の発表をようやくクリアーする事が出来ました。更に今回、自身の発表の1つが優秀ポスター賞に選ばれるという奇跡が起こりました。事前に候補に挙がった事は連絡が来ていましたが、その候補の先生方を見ると全て超一流の施設であり、地方の国立大学は自分のみであったため、これはさすがに厳しいだろう、と思っていたのでかなり意外でした。丁度年齢制限ぎりぎりでしたので、最後に受賞することができてとても有難かったです。

これからも引き続き今のペースで研究・発表を続けていくように精進したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筆者ポスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村田先生ポスター

閉会式での表彰式

 

第39回日本骨形態計測学会(佐藤千晶)

2019年7月4日から6日にかけて福岡で開催された日本骨形態計測学会に参加しました。
当科からはシンポジウムで宮腰尚久准教授が「実験骨粗鬆症に対する組織学的、生化学的検討からみた適切な骨粗鬆症治療」をご講演され、野坂光司先生が「Ilizarov創外固定器を用いた脆弱性骨折治療における歩行能力維持」、さらに長幡 樹先生が大学院で行った研究について「ハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合体の骨形成不良骨における骨再生」と題して発表されました。長幡先生とは去年まで大学で一緒に研究、実験をご指導いただいており、自分も今後このように活躍していけるように気持ちを新たにすることができました。また、粕川雄司先生が「経口ビスホスホネート薬長期使用例の旧薬の可能性」を、私も大学院での基礎研究の内容を「テリパラチドと運動の併用療法が骨密度と脂肪に及ぼす効果」として発表させていただきました。

今回の学会は“骨形態から疾患の謎を解く~ミクロからマクロまで~”というテーマで内科疾患や、骨疾患の臨床に即した研究が多く、興味を持って拝聴することができました。また基礎研究系の演題では骨微細構造の評価が必須となっていることを感じました。今年から秋田大学にも生体の体内構造や、骨微細構造を評価できるμCTが導入されることとなっており、より深い部分の評価が可能となります。今後秋田大学からもより多くの新しい知見を発信していくことを目標に実験、研究を進めていければと思います。

第35回日本義肢装具学会学術集会  (村田昇平)

2019年7月13,14日に仙台国際センターで日本義肢装具学会学術大会が開催されました。第35回となる本会は,秋田大学整形外科が主催を務めさせていただけることとなり,大会長である島田洋一教授をはじめ,宮腰尚久准教授,松永俊樹准教授のご指導のもとで医局員一丸となって参加して参りました.運営としてだけではなく当大学から,医学系で,松永俊樹先生,斉藤公男先生,井上純一先生,千田聡明先生,渡邉基起先生,高橋祐介先生,須田智寛先生,工学系から小松瞭先生,佐竹將宏先生,只野孝明先生が発表され,演者としても多数参加させていただきました.
初日には島田教授による大会長公演がありました.「先端医用工学による義肢・装具の展開」と題してご講演いただき,島田教授が装具治療に携わることとなったきっかけから,留学中のご経験,埋め込み型電極などの機能的電気刺激療法について,また現在開発中の器械などについてお話いただき,非常に刺激的な内容でした.医局員,AMAG班である私にとっても非常に目新しいことばかりであり大変勉強になりました.他施設からいらした参加者の方々からも大好評でした.
また特別講演1では米国University of California San Francisco(UCSF)整形外科,長尾正人教授より「四肢切断者の社会復帰に向けてー当科の支援プログラムと取り組みー」と題してご講演を頂戴しました.米国の義肢装具士のあり方,四肢切断の現状,またUCSFの特徴的な取り組みであるアウトリーチ・プログラムなどについてご紹介いただき,大変興味深い内容でした.中でも私が強く感銘を受けたのはAmputee Comprehensive Training(ACT)という活動であります.ACTは不幸にも四肢切断となってしまった人々が可能な限り身体的,機能的に豊かに生活できるように支援を行うプログラムです.切断前に楽しんでいた活動に参加していただくことで,健康で活発なライフスタイルを取り戻すことを目標としています.様々な種類がありますが,その一つとしてNBAに所属するバスケットボールチームであるゴールデンステートウォリアーズの選手,メディカルスタッフが参加して,四肢切断者とともにバスケットボールを行う写真が紹介されていました.全国トップの整形外科バスケットボールチーム,ノーザンバイソンズを有する我々の教室にとっても大変参考になる社会活動であると感じました.
特別講演2では日本義肢装具学会理事長,東京大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学分野教授である芳賀信彦先生より「日本義肢装具学会の将来展望」と題してご講演をいただきました.日本義肢装具学会の補足から現在にいたるまでの歴史などを会員数の変遷,その内訳などを綿密な分析とともにご紹介いただき,今後の義肢装具学会を盛り上げるための方策や進むべき指針をご教示いただきました.芳賀信彦先生は次回,第36回日本義肢装具学会学術集会の大会長をお務めになる予定であり,来年の日本義肢装具学会の計画や,学会場なども一部ご紹介いただき,来年度の参加が今から非常に楽しみとなりました.

 

大会全体としては目標としていた1000人を超える方々に東北まで足を運んでいただけました.テーマである「挑戦・融合・革新 ~義肢装具のネクストステージ~」にふさわしい内容の演題ばかりで,会場内外で参加者同士が熱い議論を交わしている様子も多数みうけられ,本会は大盛況のうちに終わりました.会場となった仙台国際センターは美しい緑に囲まれており,初夏の過ごしやすい天気もあって,2日間とも非常に気持ちよく過ごすことができました.
今回,日本義肢装具学会学術集会の運営に微力ながら医局員として携われたことを誇りに思います。本大会で吸収した知識や,経験させていただいたことを活かして今後の臨床や研究活動にさらに邁進して行きたい所存です.