投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第8回秋田県骨粗鬆症PTH治療研究会(湯浅悠介)

11月9日、第8回秋田県骨粗鬆症PTH治療研究会が開かれました。

一般演題では竹島正晃先生が「難治性骨折に対してPTHを使用した治療経験」と題し御発表いただきました。Hoffa骨折、人工股関節周囲骨折、ステロイド長期内服症例の骨折という具体的な3症例を提示いただき、それらに対するPTHの有効性を教えていただきました。骨癒合に不利な難治性骨折への治療としてPTHを積極的に使用していくことが大切であると感じました。

特別講演では千葉大学の大鳥精司教授から「腰椎疾患の現状と今後の展望」と題して御講演いただきました。千葉大学で行われている多くの素晴らしい研究結果をわかりやすくお示しいただき、大変勉強になりました。血液という身近なものからできている多血小板血漿(PRP)を用いることで骨癒合率の上昇、骨癒合期間の短縮をもたらすこと、そしてFreeze dryという方法により長期間栄養因子を失活させることなく保存が可能であることをご教示いただきました。また、腰痛との関連性を脊柱変形、筋量、骨密度といった様々な視点から検討し、上肢・下肢筋量と腰痛が相関することもご教示いただきました。多くの患者さんが訴える「腰痛」の原因はいまだ解明されていないのが現状ですが、腰痛に関連する事象をひとつずつひも解くことで、腰痛の原因解明、適切な治療選択へつながるのだと感じました。

この度はご講演いただき誠にありがとうございました。今後、日常診療においてもリサーチマインドを忘れず、研究を行い、その結果を論文化し世界へ発信できるように頑張りたいと思います。

第42回日本足の外科学会・学術集会に参加して(高橋靖博)

平成29年11月9日~10日に名古屋で開催された第42回日本足の外科学会・学術集会に参加して参りました。秋田からは柏倉剛先生、野坂光司先生、千田秀一先生、河野哲也先生、私の5人が口演で、計8題採択されました。内容はリウマチ・イリザロフ・靭帯/アキレス腱損傷・超音波・小児足部疾患の口演で、秋田の幅広い活動を全国にアピールできたと思います。

本学会では、子どもから成人の足および足関節に関する先天異常や麻痺性疾患をはじめとして、外傷やスポーツ傷害、変性疾患、腫瘍性疾患など、あらゆる足部・足関節の外傷や疾患、障害の成因や病態、診断、治療に関する臨床や基礎研究について学ぶことができます。私は「運動器エコーの診断・治療への活用 -足の外科領域において-」というハンズオンセミナーに参加しました。高倉先生(高倉整形外科クリニック)・岡田先生(岡田整形外科)・笹原先生(帝京大学スポーツ医科学センター)と著名な講師の方々が、描出のコツなどをわかりやすく解説してくださいました。足部・足関節の外傷ではATFLやCFL損傷・外果裂離骨折のようにレントゲンよりエコーの方が確定診断に有用な検査となることが多く、その技術を短時間で学ぶことができました。明日からの日常診療に役立てたいと思います。

夜は札幌医大の寺本先生・羊ヶ丘病院の倉先生にお招き頂き、秋田・札幌医大・羊ヶ丘病院の合同懇親会が開催されました。総勢20人を超える懇親会となり、他大学の年の近い先生やベテランの先生達、羊ヶ丘で研修した時にお世話になったスタッフ達と交流できたので、非常に刺激的かつ有意義な時間となりました。

今回この学会は初めての参加となりましたが、非常に楽しく学習できました。これを機会にもっと勉強していければと感じました。

第24回東北地区骨軟部腫瘍研究会(土江博幸)

この度、11月3日の文化の日に、秋田温泉さとみで第24回東北地区骨軟部腫瘍研究会が行われました。

私自身、昨年は留学していたためこの研究会への参加は今回でまだ2度目と参加回数が少ないのですが、数少ない骨軟部腫瘍を扱う研究会の1つであり、貴重な勉強の場でもあります。各病院で珍しい症例・診断に悩む症例を持ち寄り、整形外科だけでなく病理医、放射線科医と相談して話し合う、というのが基本スタイルであり、一般演題1つ(1症例)に25分も割り当てられています。やはり骨軟部腫瘍は、病理診断がとても重要であり、この骨軟部腫瘍という分野においては、病理医の中でも意見が分かれる事がしばしばあります。その際のDiscussionは白熱したものとなりましたが、通常の整形外科医では全くわからないような用語が次々と飛び出し、自分の知識の無さを痛感させられました。

 

一般演題終了後は、当科島田洋一教授に座長を務めて頂き、福井大学整形外科学教室教授の松峯昭彦教授から、「変貌する骨・軟部腫瘍の治療」というタイトルで御講演頂きました。自身の知識を整頓する事が出来る内容から、普段聞けないような新しい知見まで、幅広い内容の御講演をして頂き、大変勉強になりました。

 

更に会の終了後には、特別講師の先生や東北県内の骨軟部腫瘍を扱う先生方と一緒に温泉につかり、親睦を深めあう事もできました。私自信も松峯教授から色々な話を御伺いさせて頂く事が出来てとても勉強になりました。

 

今回は秋田大学が当番幹事でしたが、敏腕幹事の永澤講師により、無事に会を終える事が出来ました。来年は弘前大学が主幹ですが、今後も自身の向上のため、参加を続けていきたいと思います。

御講演頂いた松峯昭彦教授

抗RANKL抗体フォーラム in Akita(尾野祐一)

平成29年11月1日、秋田ビューホテルで抗RANKL抗体フォーラムin Akitaが開催されました。特別講演1は秋田大学整形外科の宮腰尚久准教授から「骨粗鬆症患者の転倒・骨折予防と医療安全」についてのご講演でした。転倒・骨折の疫学から、骨粗鬆症と転倒との関係、転倒予防のための運動療法のエビデンス、入院患者の転倒・骨折予防対策に至るまで、過去の論文や秋田大整形外科グループの研究を交えて、詳細にご講演いただきました。我々整形外科医は、骨折予防のために骨粗鬆症の薬物治療を普段の外来で行っていますが、転倒予防に関しては、歩行能力の著しく低下した人にどうやって筋力を増やすかなど、まだまだ課題が多く、高齢者の多い秋田県において、今後も取り組むべきであると再認識しました。

特別講演2は近畿大学整形外科・リウマチ科の宗圓聡教授の「骨粗鬆症の薬物療法に関する最新の話題」というタイトルのご講演でした。骨粗鬆症治療に用いている薬のガイドラインにおけるそれぞれの推奨度や、デノスマブ、テリパラチド、ビスホスホネート製剤の腰椎・大腿骨骨密度へ及ぼす影響の違い、顎骨壊死を意識したデノスマブの休薬の要否、骨粗鬆症治療の目指すべきゴールなど、すぐにでも臨床で使えるような事柄ばかりで大変勉強になりました。長期followしている骨粗鬆症患者の治療薬の選択については、悩むことも多く、本日得た知識を参考に、臨床へ活かしていければと思います。

第1回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会(木村竜太)

H29年10月28、29日に大阪国際会議場で第1回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会が開催されました。大阪大学の菅本一臣教授が会長をされ、「すべてがかわるリハビリテーション」というワクワクするテーマでした。

リハ医学会の秋季学術集会は初めての開催で、急増するリハビリの需要に対応し、エビデンスのある医療を提供するため今年度から春季と秋季の年2回の開催となりました。

当科からは島田洋一教授、松永俊樹准教授、工藤大輔先生、加賀望先生、岩本陽輔先生、塚本泰朗先生、木村の7人が参加し、FES(機能的電気刺激)、脊髄損傷の疫学、ロボットリハ、3Dプリンター装具、超音波などの発表を行いました。

療法士の先生も多く参加されており、どの会場でも立ち見が出るほどの盛況ぶりで、各会場で熱のこもった討論が行われておりました。

 

東京オリンピック・パラリンピックに向けての、障がい者スポーツのシンポジウムでは、カヌーでリオ8位になった瀬立モニカ選手も登壇され、「障がい者スポーツ医に望むこと」を提言されていました。海外では医師から障がいが生じた方へスポーツへの参加を積極的に促すそうですが、日本ではそのようにしてスポーツを始めた選手は少ない、ということでした。まだ日本国内では障がい者スポーツに理解がある医師は少なく、障がい者スポーツ医は秋田県内には2人しかいません(1人は当科の藤井昌先生です)。ぜひ自分も取得し、障がい者スポーツ発展の力になれればと思います。

第32回日本整形外科学会基礎学術集会に参加して (尾野祐一)

台風が続けざまに日本に襲来する最中、平成29年10月26日~27日に沖縄県の沖縄コンベンションセンターで開催された第32回日本整形外科学会基礎学術集会に参加しました。秋田大学の参加メンバーは、島田洋一教授、松永俊樹准教授、野坂光司先生、藤井昌先生、赤川学先生、井上純一先生、そして私の7人です。整形外科分野の基礎研究を主に発表する本学会に対して、藤井先生、赤川先生、私が大学院の骨代謝関連の研究を発表し、野坂先生は臨床データをまとめた演題を2題発表しました。特に野坂先生のイリザロフ創外固定器を用いた発表の際には、多くの方から質問を受けており、秋田大学のイリザロフ創外固定を用いた治療が注目を浴びていることが分かりました。

また、26日の我々の発表後には、琉球大学出身の井上純一先生のガイドの元、秋田大学の参加メンバーでちょっとした沖縄観光にも出かけました。井上先生が大学時代に過ごした思い出の地(デートスポット?)を回りつつ、巨大なシーサーと記念写真を撮影したのち、夜は沖縄料理を味わい、短い時間でしたが沖縄を満喫することができました。井上先生、ツアーガイドお疲れ様でした!

第44回日本股関節学会に参加して(岩本陽輔)

10/20、21日と第44回股関節学会に参加してきました。

秋田からはAHRGの若手メンバーを中心に7題(岩本、長幡、河野、佐々木、奥寺、木島、小西)の演題が採択されました。

学会では若手股関節外科医が知っておくべきシリーズとして多くの教育講演が行われており、我々若手股関節外科医にとってとても勉強になる有意義な学会でした。

また、前日19日には股関節学会主催の第3回教育セミナーにも参加してきました。

股関節周囲の解剖、股関節鏡について、小児のペルテス病や感染性股関節炎、骨盤骨切りの歴史、手技など盛りだくさんの内容でとても勉強になりました。

来年も是非とも参加したいと思います!!

第19回日本骨粗鬆症学会に参加して(湯浅悠介)

10月20日から22日までの3日間、大阪国際会議場にて第19回日本骨粗鬆症学会が開催されました。整形外科医、内科医、産婦人科医など様々な科の医師とコメディカルが参加しておりました。

秋田からは一般演題が6題採択されました。佐々木聡先生は「イバンドロネート静注製剤とリセドロネート月一経口製剤における骨代謝マーカー変化の比較」と題して御発表され、田村康樹先生は「エルデカルシトール投与例における血中カルシウムおよびeGFRの変動と併用薬との関連について」、堀川明先生は「経年的に調査した経口と注射製剤の骨粗鬆症治療薬の使用割合の推移と要因」、粕川雄司先生は「経口ビスホスホネート製剤長期使用例の頻度とその休薬の可能性についての検討」、土江博幸先生は「非定型大腿骨骨折患者の血中ビタミンD濃度に関する検討」と題して御発表されました。また、湯浅も「大腿骨近位部骨折症例における術前移動能力と骨粗鬆症の関連性」で発表致しました。他科の医師やコメディカルからの発表も多く、新たな切り口から骨粗鬆症の知識を深めることができました。普段、外来で行う骨粗鬆症治療をただ漫然と行うのではなく、Clinical Questionを常に抱きつつ診療にあたることが大切であると感じました。

宮腰尚久准教授は「サルコペニアとフレイル、栄養、運動」というシンポジウムで「加齢に伴う脊柱後弯と体幹筋の運動療法」と題しご講演されました。脊柱後弯によってもたらされる様々な弊害、そしてそれを予防するためにどのように運動療法を行っていくべきかを順序立てて教えていただきました。またシンポジウムを通して、サルコペニアに対しロイシンを代表とする分岐鎖アミノ酸の摂取と運動がどれ程大切であるかも学びました。我々整形外科医は今後、骨だけでなく骨格筋に対しても治療介入をしていかなければならず、そのためには正確な知識を得る必要があるため、今回のような学会に参加し、知識のup dateをしていきたいと思います。

第9回秋田リウマチ治療セミナー(高橋靖博)

平成29年10月19日、第9回秋田リウマチ治療セミナーが開催されました。

一般演題の一題目は、羽後病院の阿部秀一先生から「当院における関節リウマチ手術の動向」について御講演いただきました。近年のリウマチの早期診断、薬物療法の進歩で大関節の人工関節手術は減少し足部の手術の割合が増加してきているという内容でした。

二題目は雄勝中央病院の浦山雅和先生が「AORA registryにおける高齢のリウマチ患者に対するトシリズマブ治療」について御講演いただきました。秋田県内の2000人を超える大規模データをまとめて発表されました。傾向として継続率は高く、高齢者にも有効性は高いことや、若年者と比べて有害事象は同様であるものの、やはり有害事象は要注意であることなど、様々な情報を教えていただきました。

また特別公演として、大阪大学の蛯名耕介先生に「関節リウマチにおける骨関節破壊機序とその対策」の演題で御講演をいただきました。まずリウマチにおけるコツ破壊機序の基礎的な部分からわかりやすく教えていただき、リウマチ患者さんへ治療により関節破壊の進行が抑えられることや治療経過をしっかり説明することや、患者さんが自分の病気に対してどう思っているかをフィードバックして治療に生かしていくことの大切さを改めて感じました。また治療ではTAAや足部手術に関して、さらに現在研究中である滑膜の再生治療についても御講演いただき、非常に興味深く拝聴することができました。

2時間という短い時間でしたが、非常に有意義に勉強することができました。今回のセミナーでは整形外科がリウマチの患者さんを診察することの重要性を改めて感じました。今後の外来治療に生かしていきたいと思います。

第44回日本肩関節学会(杉村祐介)

2017年10月6~8日に、第44回日本肩関節学会が東京で開催されました。

今回は中通総合病院の畠山雄二先生、秋田大学の木島泰明先生、市立横手病院の大内賢太郎先生の演題が採択されました。今年の学会はこれまでの2日間から3日間に会期が延長され、また第1回アジアパシフィック肩肘シンポジウムも同時開催となり海外からの講師も多く、規模の大きさと国際色を感じさせる学会でした。日ごとに腱板、不安定症、人工関節、スポーツ障害などテーマが分かれていたこともあり、テーマごとに勉強しやすい構成でした。不安定症では具体的な症例ごとにケースディスカッション形式でのシンポジウムも行われ、様々な意見が出て診療方針を決める際の参考になる内容でした。また鏡視下上方関節包再建術の講演では、関節窩へのアンカーはメタルでなく細いソフトアンカーを多く使用することや、腱板の前方および後方(残存する肩甲下筋、棘下筋)を可及的に修復してから筋膜固定することの重要性が述べられていました。

また、学会後は畠山先生セレクトの中華料理店を訪れ、皆で美味しい料理を頂きました。

新たな刺激を受け実りのある学会となりました。今後もさらに成長できるよう日々頑張りたいと思います。

最後に、学会中の業務を代行してくださいました先生方に感謝いたします。