投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第5回日本脆弱性骨折ネットワーク優秀演題賞を受賞いたしました(野坂光司)

第5回日本脆弱性骨折ネットワークが3月10~12日,新潟リハビリテーション病院院長 山本智章会長のもとで開催されました.

 

講演,レクチャーは,日本脆弱性骨折ネットワーク理事長の松下隆先生はじめ,高橋栄明先生,遠藤直人先生,萩野浩先生,森諭史先生,澤口毅先生,白濱正博先生,岩本潤先生,田中伸哉先生などからお話いただき,テーマである『脆弱性骨折のBest Practiceを求めて』というコンセプトに基づいた中身の濃い学会でした.

 

私は一般演題で『脆弱性高齢者足関節周辺骨折におけるCELTAB法の有用性』を発表し,優秀演題賞をいただきました.高齢化率日本一の秋田県においては,今後大切になってくる分野と思います.島田洋一教授,宮腰尚久准教授のご指導のもと,A-BONEの一員として,今後もこの分野の研究を頑張っていきたいと思います.

第54 回秋田県脊椎脊髄病研究会 (粕川雄司)

 

2017年3月11日土曜日秋田県JAビルにおいて第54回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。今回の当番幹事は秋田厚生医療センターの菊池一馬先生が務められ、特別講演の講師に名城病院 整形外科 部長の辻 太一先生と、岐阜市民病院 整形外科 部長の宮本 敬先生をお招きしました。

7回目となった研修医・若手整形外科医のための脊椎外科基礎講座では、秋田赤十字病院の鈴木哲哉先生が座長で、1.覚えておきたい脊椎疾患として、1) 秋田厚生医療センターの小林 孝先生から神経筋疾患・炎症性疾患について、2)湖東厚生病院の鵜木栄樹先生より仙腸関節障害についてレクチャーいただき、2.最小侵襲脊椎手術(MISS)について、1)除圧術に関して秋田大学の工藤大輔先生から、2)固定術について秋田厚生医療センターの阿部利樹先生からご講演いただきました。当番幹事の菊池一馬先生が若手の先生方に興味のある話題についてアンケートを行い、希望が多かったテーマについて各先生方から大変わかりやすくお話しいただきました。

ミニレクチャーは、宮腰尚久准教授の座長で菊池一馬先生より「PLIFのラーニングカーブ-これまでの経験-」と題して、PLIF手術執刀例の手術時間と出血量に関する変化を詳細にご講演いただき、術式の変遷や今後の展望も含めて勉強になりました。

一般演題は、秋田赤十字病院の石河紀之先生が座長で4題の発表がありました。秋田厚生医療センターの井上純一先生は「胸髄Arachnoid webの1例」、秋田大学の尾野祐一先生は「ハローベストにより治療した神経線維腫症に伴う慢性環軸椎回旋位固定の1例」、秋田大学の鈴木真純先生は「機械弁置換術後抗凝固療法中の頚椎硬膜外血腫の1例」、秋田労災病院の佐々木寛先生は「当科でのOLIF-導入時からの短期成績-」でした。すべての演題とも大変興味深い発表でしたが、その中から鈴木真純先生が最優秀演題賞を受賞されました。おめでとうございます!4月から新しい勤務先でますますご活躍されますことを祈念しています。

特別講演1では、辻 太一先生から「脊柱変形治療の悩みどころ-小児から成人まで-」というご講演を頂きました。数多くの難しい脊柱変形患者さんの治療を実際に行っている先生のお話しは、大変勉強になりました。特に、一人一人の患者さんについてどのように治療するか、それに伴い生じた問題点を解決するため、先生が考え悩んでいることがとても印象に残りました。特別講演2では、宮本 敬先生から「脊椎前方手術の轍(わだち)の認識、回避、克服」と題したご講演を頂きました。岐阜と秋田とのかかわりから、秋田では比較的手術数が少ない前方手術について、そのピットフォールを楽しいお話しとわかりやすい画像・動画でお話しいただきました。前方手術の轍をいろいろ知ることができ、身が引き締まるご講演でした。3月のお忙しい時期に、遠路はるばる秋田までお越しいただいたお二人の先生方に心より感謝申し上げます。今後とも、ご指導よろしくお願いいたします。

本研究会は、今回で54回を迎え役員の改選が行われました。会発足より会長をお務めいただいた阿部栄二先生がご退任され、宮腰尚久准教授が会長にご就任されました。さらに小林 孝先生が副会長、奥山幸一郎先生と鈴木哲哉先生が常任幹事にご就任されました。今後ますます研究会が発展し、若手の先生方にとっても有意義な研究会となるように頑張っていければと感じました。当日、ご参加いただいた先生方ありがとうございました。これからも、よろしくお願いいたします。


第43回九州膝関節研究会でspecial lectureを担当して(齊藤英知)

2011年3月11日、秋田大学DMATのリーダーとして、三陸、大船渡へ災害救助にむけて秋田市を出発したのは、震災発災より2時間後であった。街は停電で、重い気持ちで、いつもよりずっと暗い国道を東にむけてただ走った。岩手医大の本部を経由して、大船渡へ到着したのは、発災から13時間後の翌朝5時を過ぎたころであった。のべ2万人の死者を出したこの震災で、発災直後ですら、病院に搬送されてくる患者さんの少なさにただ失望し、地震や津波の恐ろしさを実感した。福島の原発事故のニュースを見て、ただ人間の無力さを実感した。

あれから6年が経ったその日に、九州福岡で、伝統ある第43回九州膝関節研究会を長崎大学の米倉暁彦先生が会長として開催され、主題に、変形性膝関節症に対する膝関節温存手術(膝周囲骨切り術)を指定された。私に与えられたspecial lectureのお題は、「大腿骨遠位骨切り術」であった。九州といえば、膝周囲骨切り術の聖地であり、緒方公介先生のinterlocking wedge osteotomy、千葉剛次先生のTibial Condylar Valgus Osteotomyといったオリジナリティーの高い膝周囲骨切り術が開発され、九州全域で関節を温存する文化が根付いている地域である。そのような文化をもつ九州で、膝周囲骨切り術のspecial lectureをさせていただくことは大変な名誉であり、震災から6年目として感慨深い(あの頃はここまで膝関節温存手術ののめり込むとは思っていなかった)。私は、その名誉に報いるべく、全身全霊で、自分の持つ知識、最新の手術のコンセプト、変形解析の重要性、手術のコツと落とし穴、注意点、膝周囲骨きり術の術後成績や最新の歩行解析の結果から、なぜ大腿骨遠位骨切りがkey osteotomyなのかについて述べた。特別講演は、大阪大学の中田研先生の、再生医療からプロスポーツ選手の治療、オリンンピックに帯同したお話など、多岐にわたる論理的なお話を拝聴でき、大変勉強になりました。

このような機会を与えてくださった米倉暁彦会長、九州膝関節研究会に会員の皆様に深謝致します。引き続きASAKG(Akita Sports Arthroscopy Knee Group)を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

第30回創外固定・骨延長学会学術集会 (湯浅悠介)

 

3月3、4日福岡県久留米市にて第30回創外固定・骨延長学会学術集会が開催されました。秋田からは島田洋一教授、野坂光司先生を始め、医師9名、看護師5名の計14名が参加いたしました。本学会の総演題数123演題のうち、秋田からは14演題の発表があり、秋田における創外固定の勢いを改めて実感いたしました。

学会は久留米大学医学部整形外科学教室白濵正博教授の挨拶から始まりました。シンポジウムでは全国トップランナーの先生方から「急性期外傷に対する創外固定」、「合併症に対する治療」、「脆弱性骨折に対する創外固定」のテーマでの講演があり、当教室の野坂先生からも“脆弱性骨折におけるIlizarov創外固定のコツ”と題して発表がありました。高齢化率全国1位の秋田県における高齢者を絶対に寝たきりにさせないため、早期全荷重を可能とするIlizarov創外固定手術の有用性を再認識することができました。一般演題では、市立秋田総合病院の柏倉剛先生、市立横手病院の冨岡立先生、平鹿総合病院の千田秀一先生、市立角館総合病院の青沼宏先生、そして秋田大学から益谷法光先生、長幡樹先生、湯浅悠介の7名が発表致しました。下腿外傷はもちろん、足部外傷、上肢外傷、Ilizarov周辺骨折、関節リウマチなど様々な用途で創外固定が使われており、秋田の技術の高さを感じました。また、コメディカルセッションでは岩原香織さんから“創外固定のケアの向上、後方支援施設との連携を目指して創外固定ケアセミナー「秋田県で広げよう創外固定輪・和」開催報告”、仲山晴香さんから“イリザロフ創外固定患者が退院後に抱える生活上の問題点と退院支援への課題”と題して発表がありました。Ilizarov創外固定手術患者における入院日数の長期化は全国的にも問題とされておりますが、秋田県は大学病院を中心として医師のみでなく、看護スタッフも指揮をとり、様々な工夫のもと期間短縮がなされていることを学びました。また、退院がゴールではなく退院後生活に対するケアも行っており、改めてIlizarov創外固定手術はコメディカルスタッフの支えがあって成り立っていることを感じました。

そして島田洋一教授からは『創外固定の未来~高齢者脆弱性骨折におけるIlizarov創外固定の有用性~』と題してご講演いただきました。島田教授がIlizrovを導入した経緯や全県各地へ広めるための努力、そして高齢者の多い秋田県におけるIlizarovの有用性など、様々なことを学ばせていただきました。教授のIlizarovに対する愛により、「秋田はIlizrov王国」と呼ばれるまで成長するに至ったのだと感じました。教授の卓越した話術により時には会場から笑い声が上がるほどの盛り上がりをみせました。

今後はIlizrovとMicroの融合をテーマに秋田は進んでいきます。僭越ながらその一助になれるように私自身、日々精進していきたいと思います。

 

 

 

第47回人工関節学会in沖縄に参加して (岩本陽輔)

2/24-25に沖縄で開催された第47回人工関節学会に参加してきました。

今回の人工関節学会には秋田の同門からはAHRG、ASAKGから過去最多の発表、参加がありました。

2/24の夜には日整会かと思うほどの盛大な同門会が行われました。秋田のこれからの人工関節に対しての熱い討論が繰り広げられました。

学会では最近の話題であるMISの中期〜長期の臨床成績やMISに伴うshort stem の臨床成績についての発表が多い気がしました。また当科でも使用をはじじめたcorailの演題も多く見られました。

同じ専門領域を志す人たちと交流することもでき、大変良い刺激をうけました。この会で得た知識を日々の診療・研究に活かしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発表をするAHRG若手と華麗に座長をこなす秋田赤十字病院、田澤人工関節センター長

 

2017人工関節学会で膝周囲骨切り術のハンズオンセミナー講師を担当して(齊藤英知)

リーフレット

内側開大型高位脛骨骨切り術後X線像

脛骨近位に変形がある場合に行われる高位脛骨骨切り術の手術の適応、プランニング、実際、合併症の注意点について述べた

熱心な眼差しで取り組む参加者の先生方

2017人工関節学会で膝周囲骨切り術のハンズオンセミナー講師を担当して

変形性膝関節症に対する手術治療として、関節温存手術である高位脛骨骨切り術などの膝周囲骨切り術や人工膝関節置換術がある。膝周囲骨切り術の特徴として、術後可動域や深部感覚が保たれる。一方、人工膝関節置換術では、可動域は失われるものの除痛効果が高いという特徴がある。人工関節置換術は、関節軟骨を金属とポリエチレンで表面置換する、いわば、最終手段であり、若年で活動性が高いほど術後の満足度が低く、ポリエチレンの磨耗も生じやすい。現在に日本では、人工膝関節置換術は、年間10万件以上が施行されている一方、膝周囲骨切り術は年間、7000件しか行われておらず、日本に2530万人の患者さんがいると推定される変形性膝関節症の進行度の分布や医療経済の側面から考えても、膝周囲骨切り術の手術件数はもっと多くてしかるべきである。

今回、第47回人工関節学会において、高位脛骨骨切り術ハンズオンセミナーが主催された。「なぜ人工関節学会で骨切り術のハンズオンやるの?」と多くの声を聞いた。この企画は、非常に画期的であり、従来、人工膝関節置換術を専門として行ってきた整形外科医で会場は、立ち見が出るほどであった。今回、私に与えられたテーマは、surgical technique of OWHTO(高位脛骨骨切り術の手術技術)ということで、手術適応、プランニング、コツとそのエビデンス、合併症、後療法などについて、ドイツ仕込みのテクニックを豊富な手術ビデオとともに概説した。特に驚いたのは大学病院からの参加された先生方の多さである。このことは、今後の膝周囲骨切り術が、より日本中に浸透していくであろうことが予想される。模擬骨を用いたワークショップでは、細かなポイントを参加者の皆様にお伝えした。幸い、秋田県では、我々Akita Sports Knee and Arthroscopy Group内で、変形性膝関節症に対する手術適応および手術技術が一貫教育されており、すでに知識や技術が若手整形外科医に渡るまで維持されている。このような体制で膝周囲骨切り術と人工関節置換術の適応をバランスよく、大学主導で教育できている都道府県は少ない。これも、ひとえに島田洋一教授の指導力の賜物であり、秋田県民にとって、非常に有難い環境を作って下さっていると感じる。先日も、福島からわざわざ秋田まで膝周囲骨切り術を受けに下さった患者さんがいらっしゃった。あくまで人工関節置換術は、最終手段であり、侵襲の少ない膝周囲骨切り術がもっと日本中に浸透していくことを切に願う。

「死ぬまで自分の膝で!」

第10回秋田県運動器リハビリテーション研究会 (木村竜太)

 

 

H29年2月25日に第10回秋田県運動器リハビリテーション研究会が開催されました。

講演1として湯沢医院の那波康隆先生より「ロコアテープ使用経験からの考察」、秋田大学の益谷法光先生より「動的座位バランス装置を用いた若年者と高齢者の体幹バランス評価」、秋田県立医療療育センターの湯浅悠介先生より「小児運動器疾患の治療経験(運動器の命令系統からの検討)」、木村より「中枢神経術後例に対する歩行練習アシストGEAR」と様々な専門分野から発表がありました。

 

特別講演は、東京慈恵医科大学リハビリテーション医学講座主任教授の安保雅博先生から「脳卒中後遺症である上肢麻痺に対する経頭蓋磁気刺激療法〜自験例から」と題してご講演いただきました。

安保教授が厳しい過去から作り上げられたという教室の歴史から、世界最先端の治療NEURO(rTMS:反復性経頭蓋刺激治療+集中リハ)の素晴らしい臨床成績、患者さんの驚くほどの変化、基礎実験に裏付けされた効果まで、余すところなくご紹介いただきました。

これまで脳卒中など中枢神経性麻痺疾患は一定期間を過ぎると改善しないというのが定説でしたが、近年ニューロリハビリテーションという考え方から、それが覆されています。安保教授のご講演を聞き、改めて人間の持っている底力を、我々医療者はまだまだ引き出すことができると実感しました。秋田大学でもrTMSを用いた研究を行っております。ぜひ秋田からもTMSによる臨床効果を発信していきたいです。

第14回秋田県骨軟部腫瘍セミナー  (水谷 嵩)

2月18日(土)に秋田ビューホテルにて第14回秋田県骨軟部腫瘍セミナーが開催されました。

1演題目はイタリア留学から帰国された土江博幸先生による基調報告でした。土江先生からは、これまで当ブログで主にイタリアの文化についてご紹介頂いていましたが、今回は主に臨床的な内容でご発表いただきました。腫瘍に関しては積極的にアログラフトを用いたり、術後放射線療法を行うことが多く広範切除は日本に比べるとマージンが小さかったりなど、イタリアと日本との診療の違いについて提示していただきました。術中大声で歌いだすエピソードはさすが陽気なイタリア人、と感じました。

 

2演題目の教育講演は、『ビタミンD製剤による骨粗鬆症・運動器疾患の治療』というタイトルで秋田大学医学部附属病院の粕川雄司講師からご講演をいただきました。日常臨床でも身近になっているビタミンD製剤について、働きや代謝など基礎的な内容から説明していただきました。特に最近重要となっている慢性腎不全が原因となる骨代謝異常、CKD-MBDについての概念から診断、治療方針の建て方など臨床データを交えて詳しく解説していただきました。骨密度と骨代謝マーカーだけを見ていれば見落としがちですが、診断が重要な疾患であるだけに大変参考になりました。また、今回は骨軟部腫瘍セミナーということで腫瘍性の骨軟化症、FGF-23関連低P血症についてもご発表頂きました。

 

3演題目は東邦大学整形外科主任教授の土谷一晃先生の特別講演で、『外来診療に役立つ骨軟部腫瘍の知識 〜cancer survivorの骨粗鬆症対策を含めて』というタイトルでご講演をいただきました。現在は患肢温存が原則となってきた骨軟部肉腫治療の時代的背景からお話し頂きました。骨軟部腫瘍専門医、病理医でも診断が別れた症例を提示して頂き、臨床所見、現病歴、病理組織診断など総合的な診断が必要となるとお話され、骨軟部腫瘍の難しさを改めて感じました。また、生検などのために前医によって無計画に皮膚切開を置き、その後に行われる広範切除の侵襲が大きくなる事が問題となるunplanned excisionや、ガングリオンと誤診されて播種してしまった悪性腫瘍の症例、若年者でスポーツ外傷と誤診され発見が遅れるsports tumorという概念などご説明頂き、今後自分の外来診療でも十分に気をつけなければいけないと感じました。

 

第31回東日本手外科研究会(伊藤博紀)

平成29年2月11日、札幌市で東日本手外科研究会が開催され、8名参加してまいりました。学会長は札幌医大のご出身で、現在北海道医療大学リハビリテーション科学部教授の青木 光広先生が務められました。テーマは「手外科の継承と発展:私の選択」でした。中通総合病院 千馬誠悦先生が、『私の選択』というメインテーマのパネリストを務められ、手外科医としての歩みと苦労、そして今後の抱負(使命)を熱く語られました。たくさんの聴衆の前で、秋田の手外科の現状と課題についてもお伝えになり、AHGメンバーもそれぞれが目指すべき目標を今一度認識することができたと思います。他に中通総合病院 成田裕一郎先生が「PIP関節開放脱臼から指壊死を生じたAeromonas hydrophila感染症の1例」、由利組合総合病院 白幡毅士先生が「小指MP関節伸展拘縮に対して創外固定器により治療した1例」、私が「第2中手骨頚部骨折に対してintrafocal pinningを行った1例」を報告してまいりました。

研究会後の懇親会はさっぽろビール園で開催され、手外科に関わる多くの先生方と交流することができました。主管の皆様から、会の運営から懇親会まで、細やかな配慮をいただき感銘を受けてまいりました。

今回、市立角館総合病院の村田昇平先生が初めて手外科関連の学会に参加してくれました。私達AHGメンバー一同、手外科に興味を持ってくれる医局員が増えたことをうれしく思い、また責任も感じた次第です。8名というこれまでにない人数で参加することができましたが、これも島田洋一教授はじめ、各関連病院の先生方のご理解のおかげと思っております。この場をお借りしまして御礼申し上げます。

今回の研究会で得た知見を、日常臨床や後進の指導に活かしていきたいと思います。

第29回日本肘関節学会学術集会(伊藤博紀)

平成29年2月3・4日の両日、東京で開催された第29回日本肘関節学会学術集会へAHGより5名参加し、中通総合病院の千馬誠悦先生が「小児の陳旧性肘関節脱臼の1例」、成田裕一郎先生が「Cannulated screwによる小児上腕骨内側上顆骨折の治療経験」、由利組合総合病院 白幡毅士先生が「脳性麻痺による橈骨頭脱臼に伴う肘関節ロッキングの1例」、そして私が「上腕骨遠位部骨折後偽関節に対する人工肘関節置換術の経験」を発表してまいりました。

学会長は、昭和大学整形外科の稲垣克記教授で、メインテーマは肘関節不安定症でした。Mayo Clinicから著名なO`Driscoll先生が来日され、肘不安定肘に対する診断と治療と(特にPLRI:posterolateral rotatory instabilityに関する診断について動画を交えわかりやすく解説されました)、最新の人工橈骨頭に関する講演を行いました。これまでの人工橈骨頭は、長期成績は十分なものではありませんでしたが、新しい人工橈骨頭は解剖学的に形状が近似し、長期的にもよい成績が期待できそうな製品であると感じました。

肘不安定症に対する数多くの演題発表がありました。湘南鎌倉総合病院外傷センターの土田先生がTerrible triadに関する報告を行っており、発表のまとめにおいて『エビデンスに基づいて治療を行えば、もはやTerribleではない』との言葉が非常に印象に残りました。他にも人工肘関節、野球肘に関するシンポジウムや、エコーによる肘の画像診断、肘周辺外傷に対する治療戦略、小児の外傷に関する発表等、最新の知見を得ることができ、非常に有意義な2日間でした。

本学会で得た知見を、日常臨床や後進の指導へ活かしていきたいと思います。