学会レポート」カテゴリーアーカイブ

第37回東日本手外科研究会(佐藤貴洋)

2023年1月28日にぎわい交流館AUにて秋田主催で東日本手外科研究会が開催されました.千馬会長の御発令で本会が開催され,約300名の方に参加いただきました.学会のテーマ「手外科の襷を次世代へ」ということで会長千馬先生のお言葉らしい素晴らしいテーマだと思いました.そのテーマ通りに多くの若手整形外科医(手外科医)が本会で演題を出して発表していました.AHGでも一応私と中西先生がヤングドクターとして発表しました.特に中西先生は初の学会発表とのことでした.私は業務で応援に行けませんでしたが,立派に発表し質疑応答もしっかりと応対していて素晴らしかったようでした.今回は若手の発表者にも記念品がありました.2017年卒の自分もちゃっかり頂きました.美味しそうないぶりがっこを頂いたのでチーズと合わせて食べようと思います.

本会の目玉である特別講演では,千馬先生の師匠である藤 哲先生よりご講演頂きました.藤先生は弘前大学の手外科をゼロから築き上げたレジェンドドクターで,その先生がどのように学び,どのように修練し,どのような心持ちで過ごされていたのか,その歴史を語って頂きました.駆け出しの私にとっては非常に興味深い内容で,また参考になることもたくさんありました.とりあえず新潟手の外科セミナーには複数回参加しようと思いました.(昨年オンデマンドで参加しましたが,内容が非常にボリューミーで動画を全て観ることができませんでした.藤先生も1回参加するくらいでは理解するには不十分とおっしゃっておられました.)

前日に開催された会長招宴や現地開催のスタッフ業務など,今回の学会では貴重な経験をさせて頂きました.会が恙なく終了したこと,参加された多くの先生に楽しんで頂けたこと本当にうれしく思います.初期からご尽力された千馬先生,伊藤博紀先生大変お疲れ様でした.また,本会にご協力いただいた多くの方々に感謝致します.

第33回東北脊椎外科研究会・第16回東北MISt研究会 東北MISt研究会 Best Discusser Award受賞 (笠間史仁)

 2023年1月21日に第33回東北脊椎外科研究会が仙台現地とWEBのハイブリットで開催されました。本会では秋田厚生医療センターの小林孝先生が会長を務められ、「脊柱変形治療における私の工夫」という主題でした。3年ぶりに多くの先生方が集結したオフライン会場は非常に活発な討論とご指導があり、「これこれ!これが東北脊椎だなぁ!」と感じたところです。

 本研究会では初となるミニレクチャーとして中通総合病院の鈴木哲哉先生よりPLIF手技についてのご講義がありました。秋田のPAVRECの発展や、後方手術についての若手への熱いメッセージをご講演いただきました。また秋田からは若手からベテランまで非常に多くの発表があり、東北に秋田の脊椎をアピールできた会となりました。特別講演では浜松医科大学の大和雄准教授より「成人脊柱変形手術成績向上のためのストラテジー」として浜松医大の脊椎治療の変遷についてご講演いただきました。安全に良好な矯正を得るために、継続的に調査された浜松医大の数々のデータに感服いたしました。成人脊柱変形手術は高齢で合併症が多く複数回手術が少なくないですが、安全に行うための多くのヒントを得ることができました。

 翌1月22日には第16回東北MISt研究会が同じくハイブリットで開催されました。昨今発展している内視鏡手術だけではなく、頸椎固定術などにおいても低侵襲化が図られており、各演者の先生方が取り組まれている「低侵襲化」を勉強させていただきました。特別講演では関西医科大学の石原昌幸先生の「成人脊柱変形術後合併症を克服する!!」として関西医科大学の豊富な成人脊柱変形手術の経験と、合併症対策の工夫についてのご講演を拝聴いたしました。最適なアライメントを獲得するための工夫と新しいテンプレート・プリベンディングロッドの開発など、非常に刺激的なご講演でした。本会では会を盛り上げた質問者にBest Discusser Awardが与えられ、私笠間が受賞させていただきました。沢山質問させていただき勉強となっただけでなく賞までいただけて非常に嬉しいです。目録は妻の洋服代に消えてしまいましたが(笑)。

来年は現地のみの開催で、恒例の前夜祭も開催されるようです。来年も秋田から多くの演題発表を行い、秋田の脊椎をアピールできるように頑張りたいと思います。

第57回 日本脊髄障害医学会(佐藤貴洋)

2022年11月17日,18日の2日間,パシフィコ横浜にて第57回日本脊髄障害医学会が開催されました.本会は長らく理事長を務められていた島田洋一名誉教授が理事長の任を降りられるということで私たちにとってはメモリアルな会となりました.

初日学会最初の特別講演で我らが島田洋一名誉教授がご講演されました.座長で本学会の会長でもある渡辺雅彦先生よりご紹介頂き島田名誉教授の講演が始まりました.「本会の目玉講演」,「長きにわたり理事長に就任されて来られ,我々を牽引して下さった」と渡辺先生からご紹介頂き,勝手ながら誇らしい気持ちで拝聴しました.「日本脊髄障害医学会の最新トピックスと将来展望」というテーマでのご講演でしたが,その内容は日本脊髄障害医学会の集大成そのものでした.脊髄障害医学会の歴史から,脊髄障害医学会に関連する様々な分野のエキスパートの先生方が出演され,それぞれの分野のトピックスが一つに集まった非常にボリュームのある講演内容でした.本学会は各科に跨る範囲を有しており,単科のみでは完結しません.そういう意味で多くの人に支えられ,また多くの人を導いてきた島田名誉教授の器の大きさを感じる素晴らしい講演でした.島田名誉教授が教授時代に尽力されていたロボットリハビリテーションに関しても講演頂き,改めて今自分が研究できているのは島田名誉教授のおかげだと感じました.

現在,ステミラック®注をはじめ脊髄再生医療が盛んに研究されています.その中で新理事長に就任された中村雅也先生の特別講演では,脊髄再生医療とリハビリテーションに関して熱く語られていたことが非常に印象的でした.慢性期の完全脊髄損傷を治療するという夢のような話を現実するためには,iPS細胞のような再生医療の技術のみでは不十分であり,リハビリテーションを組み合わせることが必要不可欠となることを示しておりました.脊髄損傷のリハビリテーションを研究している私にとっては本当にありがたい言葉であり,今後も研究を進めていくモチベーションにつながりました.

今回は脊椎・脊髄外科領域の演題が多い会とはなっておりましたが,自分の研究にも繋がる実りのある学会でした.いつか自分の研究している「Akita Trainer」が脊髄損傷後の方々に使ってもらえる日を夢見て今後も研究を進めていきたいと思います.

第37回日本整形外科学会基礎学術集会(五十嵐駿)

2022年10月13日・14日の2日間、第37回日本整形外科学会基礎学術総会に参加・発表して参りました。本学会は宮崎大学医学部整形外科の帖佐悦男教授会長の元、「運動器基礎研究のイノベーション–継承と革新–」をテーマとし、シーガイアコンベンションセンターにて開催されました。

秋田県からは宮腰尚久教授、粕川雄司准教授、野坂光司講師、木島泰明先生、三浦隆徳先生、原田俊太郎先生、笠間史仁先生、私の8人が参加し、それぞれが自らの臨床・基礎研究について発表し、活発な討議を行いました。

現地参加の人数も多く、整形外科関連の学会活動もコロナ禍以前の活発さへ戻ってきている印象でした。また、動画のみでの参加や録音での現地発表など、以前にはなかった学会参加の仕方も良い形で残っており、多様性のある新しい学会の形を実感しました。

自分と原田先生が発表した骨粗鬆症基礎のセッションでは、慈恵医大の斎藤充教授から貴重なご質問やご指摘をいくつか頂きました。骨代謝領域で世界的に著名な先生にご指導頂く事ができ大変貴重な機会となりました。

また、夜は有志で集い宮崎のグルメを満喫しました。宮崎は地鶏やマンゴー、チキン南蛮などで有名ですが、最近は餃子消費量が国内トップクラスであることが注目されており、餃子も美味しく頂きました。〆にはパフェや肉巻きおにぎり、冷汁やうどんなどとバリエーションに富んでおり、迷いながらもマンゴーパフェを選択し大正解でした。

今回の学会も非常に充実したものとなりました.学会に参加して得た知識・経験を礎にさらに精進して参りたいと思います。今後ともご指導の程よろしくお願い申し上げます。

東日本整形災害外科学会(岡本憲人)

9月16日から17日にかけて第71回東日本整形災害外科学会がグランドプリンスホテル高輪を会場に開催されました。一般演題はweb登壇、主題やシンポジウム、アウォードセッションは現地登壇という形式で行われ、秋田大学からも多くの先生がご参加されており、首下がり・腰曲がり治療の最前線というシンポジウムでは宮腰尚久教授が座長を務められました。また先日入局したばかりの大曲厚生医療センターの東條元旗先生、長岡佑樹先生も一般演題で発表されており、今後ますますの活躍が期待されます。

筆者はケースシリーズアウォードで現地参加して参りました。同年代の先生方の発表を拝聴し非常に刺激となりました。今後の研究・臨床に活かしていきたいと思います。

来年は北海道旭川市での開催が予定されております。現地参加できるよう毎日の診療に取り組んでいきたいと思います。

第10回 JASA(笠間史仁)

2022年8月6~7日に横浜で開催された第10回JASA(Japan Association of Spine surgeons with Ambition)に工藤大輔先生と笠間が参加して参りました。

本会は10年前に当時30~40歳代の若きリーダーであった全国6名の先生方が設立し、高いマインドを持った「尖った」会として発展してきたと伺いました。50歳で本会からは卒業をするユニークな会であり、今年度より秋田大学からは工藤先生が主メンバーとなられました。「Ambition」を持った全国の若手・中堅脊椎外科医の発表と、極めて教育的で活発なディスカッションに強く刺激を受けました。JASAにおいては多施設共同研究も行われ、1500例の高齢者頚髄損傷をまとめた報告など貴重な発表を数多く拝聴することができました。

特別講演では、北里大学の高相晶士先生より脊柱変形・側弯症治療の歴史、「薔薇」の漢字の覚え方からポルシェはなぜ後輪駆動なのかまでご教示いただき非常に勉強になりました。

 本会で得た刺激を、秋田に戻っても燃やし続け、いずれ本会で発表できるように頑張りたいと思います。

第40回日本骨代謝学会学術集会(五十嵐駿)

2022年7月22~23日に岐阜県の長良川国際会議場、都ホテル岐阜長良川にて日本骨代謝学会学術集会が開催されました。


秋田県からは5演題の発表が行われました。粕川雄司准教授は「下位腰椎骨粗鬆症性椎体骨折の治療」と題し、頻度は低いながらも生じると全脊椎のアライメントやADL・QOLの悪化を来しやすい下位腰椎椎体骨折の患者背景や治療法に関する内容を御発表されました。土江博幸先生は「骨幹部発生非定型大腿骨骨折における危険因子とその病態 に関する検討」と題し、骨幹部発生の非定型大腿骨骨折の危険因子が骨吸収抑制剤の使用、大腿骨の過度な弯曲、鋸歯状変化であるという内容を御発表されました。東海林諒先生は「びまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う脊椎骨折患者の骨密度と骨代謝マーカーの検討」と題し、軽微な外傷で椎体骨折などを来し保存療法では骨癒合が得られにくいDISHの骨密度や骨代謝についての検討結果を御発表されました。原田俊太郎先生と笠間史仁先生と私は大学院の研究結果を発表致しました。原田先生は「アデニン誘発性慢性腎臓病モデルラットにおけるビスホスホネートと運動療法の骨と腎臓に対する効果の検討」と題し、CKDにおける安全性や有効性に議論の余地があるビスホスホネート製剤と、腎機能に良い影響を与えることが分かっている運動療法の併用効果についての検討結果を発表しました。笠間先生は「軟部肉腫と抗がん剤がマウスの骨代謝へ与える影響」と題し、明らかになっていない軟部腫瘍や抗がん剤(ドキソルビシン)が栄養状態や骨代謝へ与える影響についての研究結果を発表しました。私は「慢性腎臓病モデルラットにおけるエテルカルセチドとテリパラチドの海綿骨に対する効果」と題し、CKDに伴う骨ミネラル代謝異常や二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬であるエテルカルセチドと骨粗鬆症治療薬のテリパラチドの併用効果の研究結果を発表致しました。


本学会は整形外科のみではなく内科、歯科、そして理工学など様々な分野の先生が参加されており、質疑応答では今後の研究において重要となる点を指摘して頂くこともあり、とても有意義な機会となりました。本学会を通じ、骨代謝はあらゆる角度から研究され、発展しているのだと実感しました。今後も研究を続け、骨代謝の発展へ貢献できるよう努めていきたいと思います。

第42回骨形態計測学会(原田俊太郎)

秋田はまだ梅雨が明けきっていない中、2022年6月30日〜7月2日に鳥取県米子コンベンションセンターにて「第42回日本骨形態計測学会」が開催されました。

秋田からは粕川雄司先生、野坂光司先生、五十嵐駿先生、笠間史仁先生、原田が参加いたしました。

粕川先生、野坂先生に座長席から見守っていただきながら五十嵐先生が「慢性腎臓病モデルラットにおけるエテルカルセチドとテリパラチドに皮質骨に対する効果」を、笠間先生が「軟部肉腫モデルマウスにおける骨代謝に与える影響」を堂々とした立ち振る舞いで口演され私自身も「慢性腎臓病モデルラットにおけるビスホスホネートとトレッドミル運動の骨と腎に対する効果の検討」発表させていただきました。会場の雰囲気もとてもあたたかく会終了後に個別にアドバイスをいただくこともでき大変勉強になりました。また会期に併せて開催された骨形態計測ハンズオンセミナーにも参加することができ、実際に計測機器を使いながら学べたことは今後の大学院研究にとって大変貴重な経験でした。

私自身は昨今の社会情勢の影響もあり、大学院進学後初めて現地参加できた学会でした。この時の鳥取は最高気温35度と真夏日ではありましたが気心知れた同期との学会参加は修学旅行のようで非常に有意義な時間でした。教育講演も自分達の研究に直結する内容が多く、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。今回学んだ内容を今後の研究に役立て行きたいと思います。

第59回日本リハビリテーション医学会学術集会(木村竜太)

2022年6月23日〜25日、パシフィコ横浜ノースで、第59回日本リハビリテーション医学会学術集会が芳賀信彦会長(東京大学大学院医学系研究科 リハビリテーション医学分野前教授)のもと開催されました。

秋田からは島田洋一名誉教授、粕川雄司先生、斉藤公男先生、千田聡明先生、渡邉基起先生、皆方伸先生、加賀美開先生、佐藤貴洋先生、木村がweb発表含め参加いたしました。

私自身の発表では、秋田大学整形外科の大先輩、加賀谷斉先生(国立長寿医療研究センター)とシンポジウムで一緒させていただき、リハビリテーションロボットについて、見識を深めることができました。今後より一層ロボットが診療の一部になってくると思いますが、やはり使う側の医療者が、その機器の特性と、患者さんの状態をしっかりと把握して、適切に用いることができるかどうか、そこが重要なんだと改めて実感いたしました。

初夏の横浜は晴天にも恵まれ、会場によってはほぼ満員となることもありました。隣接するパシフィコでは、日本骨折治療学会も開催されており、多くの整形外科医、リハビリテーション科医が集まる場になっていました。

今回の学びを現場に活かしてまいります。

第119回東北整形災害外科学会(笠間史仁)

2022年6月3日~4日に仙台国際センターで第119回東北整形災害外科学会が開催されました。今回はハイブリッド開催でしたが、秋田県からの座長・発表者のおよそ半分は現地参加されており、久々に顔を合わせた同門の先生方も多く感じました。

 若手症例報告セッション・一般演題においては、若手の演題に対しベテラン医師からの温かい教育的な質疑応答があり、本学会の「若手を育成する」雰囲気を改めて感じ、私自身も現地での発表は良いものだなと感じました。また東北の地方会ということで顔見知った先生方との再会に刺激を受けました。

 若手症例報告セッションでは、富永健太先生が優秀演題賞をまた受賞されました。秋田県代表として、学生セッションでは医学科6年生の橋本総くん、若手English Award Sessionでは五十嵐駿先生が発表しました。橋本総くんには「大腿骨近位部骨折ではエリア分類を用いれば学生でも治療方針決定ができるか」という演題を発表いただきました。股関節医・大学院生・学生の3名で、エリア分類とAO/OTA分類などの検者間一致率を検討した演題で、データ収集から発表準備、そして完璧な発表と質疑応答をこなしてくれました。惜しくも優秀賞は受賞できませんでしたが、現在間違いなく秋田県(日本国内?)で最もエリア分類に詳しい男の一人です。治療方針に迷われた際には、ぜひ橋本くんにご一報ください(笑)

 秋田県はおそらく全国的にみてもまだ県外出張に厳しい県かと思われますが、学会への現地参加を通して知識・刺激を得られたらと思います。来年の学生セッションで発表したい学生さん、連絡をお待ちしております!