米国整形外科学会(AAOS) 参加報告 (土江博幸)

この度、3月1日~3月5日まで行われた米国整形外科学会(AAOS)に参加させて頂きました。今回の参加メンバーは、島田洋一教授をはじめ、大学からは粕川雄司講師、木島泰明先生、私土江と、AAOS Travelling fellowに選ばれました、秋田厚生医療センターの菊地一馬先生、角館総合病院の斉藤公男先生、研修医の三浦隆徳先生、船木玲奈先生、東海林諒先生の総勢9名でオーランドへ旅立ちました。

学会場では各自の専門分野の講演を聞き、国際学会のレベルを実感しました。

脊椎のCase presentationというコースでは,脊柱変形に対する手術治療のプランニングと合併症対策というテーマで10個程度のグループにわかれてディスカッションを行い勉強しました.ひとつのグループは10名程度で,それぞれのグループに1人Facultyがつきました.コース全体の座長が1例ずつ症例を提示し,その症例について各グループでFacultyを中心に問題点や手術プランニングについてディスカッションしました.その後,全体で1人のFacultyが解説をかねて術前のプランニングなどを提示し,次に座長が行った手術を提示して最終的な討論を行っていました.頚椎の後弯変形,腰椎固定術後のインプラント折損による後弯変形,先天性疾患に伴う高度脊柱変形の症例で,合計6例について2時間かけて勉強しました.患者背景では喫煙の有無をとても重要視している印象で,喫煙している方では禁煙してから手術を行うとの意見がほとんどでした.各症例の経過や画像がかなりシンプルで判断に迷う点も多くありましたが,複数の手術症例についていろいろな意見を聞くことができ勉強になりました.

世界最大規模と呼ばれる機器展示会場では、人工膝関節のトライアルインサート型の圧センターなど注目すべき機器がみられました。オーラルプレゼンテーションでは、Nが数万のデータベーススタディやコホートスタディばかりでしたが、たとえば 人工関節後の感染リスクは肥満、ASA≧3、喫煙、ステロイドの常用使用、手術時間増大、80歳以上

など今までの見解からの大きな進歩はみられませんでした。関節グループが特に注目した演題は、アメリカならではの長短期入院の演題で、 日帰り入院人工関節と一泊入院人工関節を比べると日帰りの方が傷に関する合併症も血栓も心臓アタックや致死的な合併症なども多いというものでした。やはりどんなに短期がいいとしても一泊ぐらいは経過をみたほうが合併症が少ないということでしょう。そして上記のように人工関節の演題が多く、骨切りの発表はアメリカではほとんど見られませんでした。

腫瘍に関しては、やはり海外だからか豪快な手術を行った報告も見られ、Nは100前後と関節の発表と比べれば一見少ないですが、腫瘍学から見れば多い症例数であり、興味深いものも多かったです。発表内容とは別で個人的な事ですが、昨年短期研修をさせて頂いた金沢大学から、ポスター・口演など多くの演題が採択され、自分よりも若い先生が舞台に上がって発表されている姿を見て、なんてレベルが高いのだろう、と思うと同時に、自分も頑張らないといけないと、とても刺激を受けました。

研修医の先生方は、初めての国際学会に参加し、それぞれ興味のある分野の講演を聞き、わからないところもあったかもしれませんが、とてもいい刺激を受けたと思います。また、初めての国際学会にも関わらずみなさん臆する事もなく、とても将来が楽しみに思えました。

 

学会への参加により上がったモチベーションを落とさないように、日本に帰ってからも頑張って行きたいと思います。目指せ、AAOS演題採択!

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