2022年8月27日に第8回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会が開催されました。
本会に先立ち、12時から秋田市にぎわい交流館AUを会場に、モデルボーンを用いたハンズオンが開催されました。前線で活躍する先生方からの手厚い指導のもと、関節鏡や膝・肩人工関節、膝周囲骨切り術の手術手技を体験できるという、コロナ禍始まって以来の一大イベントになりました。筆者は他病院勤務の予定があり、現地の熱気を拝むことは叶いませんでしたが、専攻医のみならず研修医や学生の参加もあり大盛況だったようです。若き駿馬の皆さんが、すこしでも興味を持ってくれると嬉しいですね。
本研究会は塚本泰朗先生の座長のもと、スポーツに関するシンポジウムから始まりました。藤井昌先生はプロスポーツ選手の診療についての発表で、LINEを活用した情報の共有や教育方法が印象的でした。三浦隆徳先生はTHA後のスポーツについて、冨手貴教先生はTKA後のスポーツについての発表で、インプラントに対する衝撃の度合いから各スポーツを3つに分類し、術後に何なら可能なのか等を詳細にレクチャーくださいました。手術を考えている患者さんに説明するうえで大変役立つ内容でした。杉村祐介先生は肩の画像診断とスポーツについて、瀬川豊人先生はリハビリとスポーツ復帰についての発表で、それぞれ、どの肢位で撮影し、タイトネスなどをどう評価するのか、リハビリでどこまでの訓練が可能になったらどの運動を許可できるのか等、具体的に学ぶことができました。自分もここ数カ月の間、右肩の四辺間隙などが痛み可動域が低下していたので、実践したく思います。
続いて木島泰明先生の座長のもと、赤川学先生のミニレクチャーが始まりました。TKAの周術期管路の、真の最小侵襲についての講義でしたが、これは聞いていた方、特に若手の先生方にはかなり勉強になったのではないのでしょうか。執刀する医師によって手法が違うと感じていた筆者の気持ちを代弁するような事前のアンケート結果を踏まえ、文献を紹介しつつ当たり前のように行われているカクテルなどの根幹に踏み込んで解説していただき、とても知識が深まりました。
最後は齊藤英知先生の座長のもと、大阪大学大学院医学系研究科健康スポーツ科学講座教授・国際医療センター長、中田研先生から「スポーツ運動器疾患のSaMD開発研究に向けて:ハードウェアからソフトウェアまで」の題名で特別講演をしていただきました。
半月板縫合の新規器具の開発のような、医療機器開発の話に始まり、大阪大学で行われた大学生のウェアラブルデバイスによる歩数の分類や動向など、ここ秋田県に長く暮らしている身としてはもはや近未来を感じさせるほどの眩しい内容でした。自分もGPS搭載の歩数や高度などがわかるランニング用の時計を持っていますが、そのようなウェアラブルデバイスでデジタル医療に活用できそうな研究を思いつくことに驚かされました。
自分はアナログ世代だからなどという言い訳はせずに、新しいものをどんどんと吸収したくなる研究会でした。ご講演くださった先生方には心より感謝を申し上げます。