投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

東北脊椎研究会(東海林諒) 

この度2020/1/25仙台フォーラムで行われました東北脊椎外科研究会に参加して参りましたのでご報告させていただきます。

本回は秋田含め東北7大学で行われる研究会であり、今回で第31回を数える歴史ある研究会となっております。同門からは本郷道生講師、菊池一馬先生、笠間史仁先生、岡本憲人先生と自分が演題を採択いただき、発表させていただきました。自分自身としては秋田労災病院時代に続き、2回目の参加となっており、討議が白熱するこの研究会の参加には胸が震える思いでした。

午前の部では、菊池先生から成人脊柱変形術後における PJK の値について、笠間先生からは胸腰移行部脊髄損傷における脊髄円錐部・円錐上部症候群についての発表があり、どちらの討議も大変盛り上がりを見せました。また総会においては前年度の優秀若手演題賞の授賞式があり、この名誉ある賞を同門の飯田純平先生が受賞されました。

午後の部では、本郷講師よりAkita Spine Group データベースを用いた臨床研究という題でご発表いただき、ASGの歴史から現在の取り組みついて広くご発表いただきました。ASGには膨大なデータの蓄積があり、これは旧帝大にも負けない素晴らしいデータで、今後このデータをさらに活用し、論文製作・発表に生かしていきたいとモチベーションが上がった次第です。自分は小児脊椎感染症について、岡本先生は診断・治療に苦慮した胸椎血管腫の1例を発表し、中でも岡本先生の質疑応答は名物である東北大学国分先生からの愛のある質問で大いに盛り上がりを見せました。岡本先生が今後も同研究会に参加していただけることを心から願っております。

研究会全体としてはコンドリアーゼや、仙腸関節の話題が多く、広く勉強させていただきました。このような研究会に参加する機会をいただいた島田教授始め、ASGグループの皆様、ご指導いただいた本郷道生講師、坂本仁センター長に深く感謝申し上げます。

秋田大学附属病院 プロジェク トコンペ医療サービス部門 最優秀賞受賞報告(大倉和貴)

今回、医療サービスに関わるプロジェクトコンペにおきまして、集中治療室における早期離床・リハビリテーションに関する取り組みについて発表させていただき、最優秀賞を受賞することができました。

2018年に集中治療室に理学療法士(大倉)が専任配置され、それ以来、救急科医師や集中治療部のスタッフの皆さんと重症患者さんの早期離床・リハビリテーションに取り組んできました。

重症患者さんの身体機能や精神機能を維持するのは大変難しいことですが、スタッフ一丸となって様々な取り組みを行っております。

その取り組みを評価していただき、大変嬉しく思います。

これからも、救命だけでは終わらない集中治療において、大きな役割を果たせるよう精進して参ります。

この場をお借りしまして、集中治療部へ送り出して下さった島田洋一教授をはじめ、いつも多くの助言を下さるリハビリテーション部の皆様に深謝致します。

 

 

秋田イリザロフ法グループが秋田大学附属病院 先進医療に関わるプロジェク トコンペで最優秀賞

昨年末に行われました,秋田大学附属病院 先進医療に関わるプロジェクトコンペで 秋田イリザロフ法グループ(Akita Ilizarov Method Group : AIMG)が

『救肢』への挑戦 

~『切断肢』を回避するための整形外科チームイリザロフの取り組み~

で,最優秀賞を受賞しました.

2007年に島田洋一教授のリーダーシップのもと,チームイリザロフが立ち上がり,これまで数多くの切断直前の難治症例を全国各地からご相談いただき,切断肢を組織一丸となって救済してきた取り組みが実を結んだと,感謝の気持ちでいっぱいです.

2016年に秋田大学附属病院 医療サービスに関わるプロジェクトコンペで 整形外科病棟が最優秀賞を受賞してから,2度目の快挙となりました.

これからもたくさんの難治例の患者さんと共に歩みながら,切断肢を回避していけるよう,チームイリザロフで力を合わせていきます.

島田教授のご指導のもと,みんなで受賞した最優秀賞ですので,お揃いのスクラブを賞金で購入し,グループの結束をより高めていきたいと思います.

「高校野球200年構想」高校野球選手の肩肘検診(村田昇平)

2020年1月12日、秋田中央高校で高校野球選手の肩肘検診が行われ、参加させていただいて来ました。

日本高等学校野球連盟は2018年に少子化などによる野球人口の減少がすすむなかで、次の100年の野球興隆の指針として、「高校野球200年構想」を発表しました。その中には野球未経験者にアプローチして野球に触れる機会を増やす「普及」、野球をする小中学生に長く野球を続けてもらう環境を整える「振興」、ケガで野球を諦めないための「ケガ予防」、選手や指導者の技術向上を目指す「育成」、以上の目標達成のための「基盤づくり」の5つの目標が盛り込まれております。今回、「高校野球200年構想」の一環として、秋田県高野連主催により高校野球選手の肩肘検診が企画され、当教室の齊藤英知先生(元秋田県高校野球強化プロジェクト委員)の指揮のもと、県内から医療スタッフが参加させていただきました。

当日は秋田県内の35校から86名もの高校球児(今回はバッテリーが対象でした)が集まってくださり、医師9名、理学療法士20名の体制で検診を行わせていただきました。全身の関節可動域などの理学所見、超音波検査、機能的運動連鎖のスクリーニングなどを行って、フィジカル状態を評価し、その場で現在の問題点や今後のトレーニング方法を選手、監督にフィードバックしました。

日々の診療で、これだけの数の高校球児の診察をできる機会はないので、自分にとっても大変勉強になりました。また高校球児たちの非常に礼儀正しい態度や、フィードバックを真摯に聞く表情からはたくさんの刺激をもらいました。

今回の検診をきっかけに、医療と野球の距離が縮まり、秋田の球児たちの故障の減少、パフォーマンスの向上や楽しく野球に取り組むことにつながっていけばと思います。既に来年の検診もご依頼をいただいたようなので、自分も是非また参加できればと思います。

最後になりますが、このようなすばらしい機会を与えてくださった、秋田県高野連の関係者の皆様には深く感謝申し上げます。

秋田型運動部活動サポート事業 高校野球強化支援    「野球を科学する講演会」(村田昇平)

秋田型運動部活動サポート事業、高校野球強化支援とは県内野球選手及び指導者等を対象に、科学的な側面から野球のパフォーマンスや指導方法を理解することや医科学的な視点から障害の予防、早期回復に向けたポイントを学ぶことで、県内各段階における競技力の向上、指導力の向上を図ることを目的に行われている活動です。秋田県教育委員会が主催し、 秋田県高等学校野球連盟の後援にて行われています。今回その活動の一環として令和2年1月11日(土)に秋田市文化会館で「野球を科学する講演会」が行われ、秋田大学整形外科教室から齊藤英知先生が講師として招待されましたので、一緒に参加して参りました。

「秋田発」野球の指導をアップデートする〜最先端の理論と成長期のスポーツ障害〜

をテーマに國學院大学人間開発学部、准教授 神事努先生、当教室の齊藤英知先生の二人の講師からご講演がありました。

神事努先生はスポーツバイオメカクニクス分野で大変有名な先生で、メディアにも多数出演されております。野球の動作解析にも非常に熱心に取り組まれており、メジャーリーガーの菊池雄星投手の指導なども行っている先生です。近年急速に研究が進んできた野球のデータ化についてのご講演をいただきました。動画を含む膨大なデータから野球を科学するための手法やその歴史、そこから導きだされたデータをどのように解釈すると野球の上達につながるのかという旬なトピックスで、非常に興味深く拝聴させていただきました(フライボール革命、ハイボール革命など今まさに話題のトピックスがたくさん出てきました。)。

齊藤先生からは現在話題となっている野球選手の投球数制限問題について、医学的な観点から講演がありました。医学的にみると投球動作とはどのような動作なのか、故障を予防するにはどのような運動連鎖が望ましいのか、選手自身ができる日々のセルフチェック、セルフケアの方法などを述べられておりました。またトミージョン手術、ピッチスマートなどの最新の見知に触れながら、今どうして投球制限数が話題になっているのか、どのような根拠で議論させているのかを詳細に解説していました。

会場は400名の小学生から高校生までの球児で満員となっており、みなさんメモをとったりして真剣な表情で両講師の講演を聴いていました。

今回学んだことを活かして、また明日からの診療や社会貢献活動に努めてまいります。またノーザンデーモンズ(整形外科野球部)にも、フライボール革命、ハイボール革命、セイバーメトリクスなど最新の風を吹かしていきたいと思います。

 

第9回こまちリウマチセミナー(齋藤光)

令和1年12月12日、第9回こまちリウマチセミナーが開催されました。

 
一般演題1は、北秋田市民病院の岩本陽輔先生から「RA治療におけるアバタセプトの有効性〜AORA registryから読み解く〜」の題で発表いただきました。秋田県内でのリウマチ患者さんを登録した“AORAレジストリー”の特徴は高齢者が多いことであり、その中でのアバタセプトの使用状況についてわかりやすく報告いただきました。

 
一般演題2は能代厚生医療センターの伊藤博紀先生から「リウマチ上肢手術の適応とタイミング」の題で発表いただきました。リウマチ患者さんの生活に大きな影響をあたえる“手関節”の手術治療について、手術のタイミングやその実際について解説いただきました。

 
特別講演は、山形大学医学部附属病院 リハビリテーション部 准教授の高窪祐弥先生から「北欧フィンランドリウマチ診療を目指して−山形循環型病診連携“やらんなネット”5年間の軌跡−」という演題名でご講演いただきました。まずリウマチ治療の基礎について最新の知見を交えながら解説いただき、フィンランド留学中のご経験を多数の写真を交えながら臨場感たっぷりにご紹介いただきました。フィンランドの医療状況、食文化や生活は非常に興味深く、楽しく拝聴させていただきました。日本との相違点として、フィンランドでは一人の患者さんにじっくりと時間をかけて診療することが可能で患者満足度も高く、医師患者間の信頼関係構築もしやすいのかなと思いました。ご留学から帰国後に、高窪先生が山形県で取り組まれたリウマチ診療病診連携システムの構築については、立ち上げから現在にいたるまでの紆余曲折を教えて頂きました。地域連携ネットワークを構築する際のノウハウは私達にとっても大変役立つものであり、貴重なお話を聞くことができました。高窪先生、大変ありがとうございました。
本セミナーで学んだことを、明日からの臨床に役立てて、さらに研鑽を積んでいきたいと思います。

 

 

 

第8回秋田県股関節研究会(三浦隆徳)

 

2019年12月7日「第8回秋田県股関節研究会」が秋田温泉さとみで開催されました。

一般演題は、全6演題で筆者の発表の他、五十嵐駿先生(秋田厚生医療センター)、阿部和伸先生(秋田県立療育センター)、長幡樹先生(大曲厚生医療センター)、岩本陽輔先生(北秋田市民病院)、佐々木研先生(平鹿総合病院)から素晴らしい発表をいただき、大変勉強になりました。

 

ミニレクチャーでは秋田大学の河野哲也先生から「人工股関節置換術後ステム周囲骨密度と骨粗鬆症治療」と題した講演をしていただきました。人工股関節置換術は良好な治療成績ですが、stress shieldingなど検討すべき課題もあり、リスクを下げるためにも積極的に骨粗鬆症検査、治療を行うことや患者さんの生涯に関わる大腿骨ステムの選択には慎重にするべきかと考える機会を頂きました。

 

特別講演Ⅰでは角館病院の谷貴行先生から「大腿骨近位部骨折の診断と治療‐頚基部骨折って何ですか!?‐」というご講演をして頂きました。大腿骨近位部骨折は整形外科医として診療する機会が多い疾患ですが、骨折形態と解剖学的関係、分類、治療などを成書、論文をもとに系統立ててご紹介くださり大変勉強になる内容でした。またHip research groupで治療方法に直結する分類として提唱しているArea分類(Akita分類) の有用性やご自身の執筆された英語論文の紹介などもあり圧巻のご講演でした。

 

特別講演Ⅱでは金沢医科大学の兼氏歩教授から「形成不全股に対する寛骨臼骨切り術‐昭和から令和へ‐」という題目で、骨盤骨切り術の歴史から最新の治療、今後の展望までご講演いただきました。

寛骨臼骨切り術の代表的な手術としてChiari骨盤骨切り術、寛骨臼回転骨切り術などがありますが。皮切の大きさ、筋腱処理などの侵襲の大きさや、安静期間の長さ、Chiari骨盤骨切り術では自然分娩への懸念がありました。

今回ご講演頂いたSpherical periacetabular osteotomy; SPO)は原俊彦先生により開発され、兼氏教授は第一人者であります。SPOは以前までと異なる前方アプローチで恥骨、Quadrilateral surfaceを骨切りすることなく寛骨臼周辺を球状に骨切りして骨頭の被覆を改善させる手法です。そのため低侵襲(7cm程度の皮切)、閉鎖動脈損傷リスク回避、骨盤の安定性確保、広い骨切り面、産道温存などの利点があります。実際には症状を伴う、寛骨臼形成不全を適応としていますが、CE角20°以上はOA進行がほとんどなく、15°未満は進行リスクであることから15°未満の症例を対象としていると伺いました。その良好な治療成績をご紹介いただき、我々が今後進むべき道を示して頂いたかと思います。

今回学ばせていただいたことを今後の臨床、研究に活かして、患者さんに満足していただける医療を行えるように努めて参りたいと思います。

 

 

 

 

 

秋田県リウマチアーベント (村田昇平)

霜が朝日にキラキラと溶けていく様子に清々しい一日の始まりを感じる、師走間近の今日この頃でありますが、11月28日、「秋田県リウマチアーベント」が秋田ビューホテルで行われました。

一般演題では、市立秋田総合病院、柏倉剛先生を座長に、秋田大学の河野哲也先生より「AORA registryにおけるステロイド性骨粗鬆症治療の現状と試み」、平鹿総合病院、小林志先生より「AORA registryにおける高齢関節リウマチ患者の実態」という題でそれぞれご講演をいただきました。お二人の先生とも、莫大なAORA registryから抽出したデータをもとに、リウマチ治療の現状から今後の展望について大変ためになるレクチャーをいただきました。

特別講演では島田洋一教授の座長のもと、信州大学医学部附属病院整形外科講師、中村幸男先生をお招きし、「関節リウマチの最新治療と骨粗鬆症合併対策」という題でご講演いただきました。中村先生は2019年に全国ネットのテレビ番組に出演もされている、大変ご高名な先生でありますが、骨粗鬆症予防のための「かかと落とし運動」、骨粗鬆症の栄養学、周産期の骨粗鬆症、骨粗鬆症の分子病態学、リウマチ患者の骨粗鬆症治療戦略などなど、多岐に渡って最新の知見や、先生自身の研究データを惜しみなくお示しいただき、大変勉強になりました。知識を啓蒙していただいただけではなく、先生がいかに魂を込めて情熱的に臨床、研究に取り組んでいるかが伝わってくるご講演で、非常に感銘を受けました。

今回勉強させていただいたことを活かして、日々自己研鑽を行いながら、明日からの診療で一人でも多くの患者さんにより良い治療が提供できるように取り組んでいきたいと思います。

第46回日本マイクロサージャリー学会学術集会に参加しました(野坂光司)

第46回日本マイクロサージャリー学会学術集会(2020年11月28~29日,ハイアットリージェンシー東京),パネルディスカッション「長管骨偽関節に対する再建」にパネリストとして参加してまいりました.市立奈良病院整形外科 矢島弘嗣先生,帝京大学整形外科 渡部欣忍先生の司会のもと,血管柄付き骨移植術,Masquelet法,Bone transportについて議論いたしました.巨大な第1会場が満員となり,この組織再建に対する参加者の関心の高さを感じました.パネリストは,それぞれの長所,短所,実際の症例について詳しく解説され,私自身,大変知識の整理になりました.マイクロサージェリー学会ではありますが,Ilizarov創外固定によるBone transportの重要性も,会場のみんなに深く理解されていることが伝わってくる内容でした.フロアでAkita Hand Group&Akita Ilizarov Method Group期待の星,益谷法光先生が熱心にメモを取っている姿が印象的でした.益谷先生はじめ,秋田大学の若手がIlizarovとMicrosurgeryを融合させ,全国にアピールしてくれる日が,そう遠くない将来に来ることを確信しました.

世の中には血管柄付き骨移植術やMasquelet法の不成功例がたくさんおり,特に血管柄付き骨移植術の不成功例は,それ以上粘ることなく,切断を選択されることが多くあります.救肢が困難と思われる難治例でも,時間をかけて,IlizarovによるBone transportで最後の最後まで救肢を目指せることを今後も地道に伝えていきたいと思います.