投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

『北都銀バド部の五輪出場、医療面で後押し 島田洋一教授』 がm3に掲載されました

『北都銀バド部の五輪出場、医療面で後押し 島田洋一教授』 がm3に掲載されました

北都銀バド部の五輪出場、医療面で後押し 秋大病院

秋田大医学部付属病院整形外科は4日、北都銀行女子バドミントン部をサポートする医療チームを立ち上げた。県スポーツ医学研究会会長の島田洋一教授(63)らスポーツ医療の専門医が、選手のコンディションを把握した上で助言。けが予防にも手厚く取り組み、来年の東京五輪出場を目指す選手らを後押しする。

島田教授は、バスケットボール男子Bリーグ・秋田ノーザンハピネッツの設立当初からのチーフドクター。今回は同行の斉藤永吉頭取がサポートを依頼した。

医療チームは、同科やリハビリテーション科のスポーツ専門医や薬剤師15人ほどで組織。選手の身体データを基に、けがの予防や健康管理についてアドバイスしたり、けがをした際の応急処置を指導したりする。ドーピング対策で服薬指導も行う。

https://www.m3.com/news/general/657701?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MT190212&mc.l=393406379&eml=ec3e18de32aa044832ae4d1abaf45725

第31回日本肘関節学会学術集会(齋藤光)

2019年2月8、9日の両日、第31回日本肘関節学会学術集会が小樽において開催されました。会長は肘関節鏡視下手術の世界的なエキスパートである、済生会小樽病院の和田卓郎先生です。学会期間中、北海道は記録的な寒波に覆われ、気温はマイナス13度と凍える寒さでしたが、学会場には肘関節のエキスパートが多数あつまり、熱い議論がかわされました。

秋田大学のAHG(Akita Hand Group)からも6名が参加し、それぞれ演題発表してまいりました。中通総合病院の千馬誠悦先生が「上腕骨通顆骨折後の成績不良例」、成田裕一郎先生が「上腕骨遠位骨端線離開後に上腕骨外側顆骨折を繰り返して内反肘を呈した 1例」、能代厚生医療センターの伊藤博紀先生が「陳旧性Monteggia骨折に対して尺骨骨切り術を行った1例」、由利組合総合病院 白幡毅士先生が「薄筋腱を用いて補強修復した上腕二頭筋筋腹断裂の1例」、秋田大学の湯浅悠介先生が「内反肘に対して矯正骨切り術を行った体操選手の1例」、齋藤が「離断性骨軟骨炎と診断された上腕骨滑車内側骨軟骨骨折偽関節の1例」を発表してまいりました。
本学会では肘関節鏡・テニス肘・野球肘に関する発表が数多くみられました。他にも人工肘関や、エコーによる肘の画像診断、肘周辺の重度外傷に対する治療戦略、小児の肘関節外傷に関する発表等、普段はなかなか得ることができない知識を吸収でき、非常に有意義な2日間でした。

本学会で得た知識を、今後の日常診療、臨床研究へと生かしていきたいと思います。

新山神社裸まいり2019(阿部和伸)

今年も裸でまいるぞ!

新山神社裸まいりとは、毎年1月第3日曜日に行われる小正月行事。早朝、水垢離(みずごり:神仏に祈願するため、冷水を浴びて体のけがれを去り、清浄にすること)を取り、白鉢巻きに白腹巻き、白足袋に草鞋のいでたちで「ジョヤサ(除夜叉)、ジョヤサ」のかけ声とともに、町内ごとに148mの山頂にある新山神社を目指し、諸願成就、郷中安全、身体堅固、家内安全、五穀豊穣などを祈願する。発祥は天保(1830~44)の頃ともいわれるが、定かではない。新山神社には古くから修験者が住んでいたと伝えられ修験道の荒行が姿を変えて伝承されたものといわれている。真冬の奇祭として全国的に有名である。(由利総合農林事務所土地改良課HPより一部抜粋)

今年は当教室からの参加者に加えて、札幌スポーツクリニックから佐藤先生、理学療法士の田中先生、矢野先生がこのためにプロペラ機で来秋。また、タイからはDr. Arthit、韓国からはDr. Sueenが参加した。

例年よりは比較的体にやさしい天候の中、もちやミカン、酒、たらといったお供え物を担いで町内を回り、新山神社へ続く坂を上った。比較的やさしいとはいえ、暦の上では大寒である。神社に到着するころには手足の感覚は鈍り、大きな掛け声を出し続けた喉は枯れてくる。そうして今年も無事に奉納をすませ、けがや遭難などもなく山を下りることができた。

今年初参加となった札幌スポーツクリニックの3人は、裸まいりのおかげで札幌の厳しい寒さもへっちゃらになったという。外国から参加の2人も、郷に従いジョヤサの声をあげ、存分に日本の文化行事を堪能してくれたようだ。大ベテランの佐藤毅先生、齊藤英知先生は一行の先頭に立って唄声を披露した。

毎年のことであるが、私たちが参加している砂子町内の方々は非常に懐が広く、私たちを温かく受け入れてくれ、心から感謝している。すでに裸まいりは当教室にとって立派な公式行事といえる。今後も裸まいりの精神を大切にしていきたい。
(文責:阿部和伸)

秋田県運動器リハビリテーション研究会(三田基樹)

1月19日、秋田県運動器リハビリテーション研究会が開催されましたためご報告いたします。

一般演題では塚本泰朗先生、境梨沙先生、齋藤光先生、千田聡明先生よりご講演いただきました。塚本先生からは運動器疾患や全身機能不全に対するリハビリテーションについて疼痛コントロールの重要性をご講演いただきました。境先生からは社会復帰・退院支援の観点から回復期病棟の問題点やMSWなどの他職種連携の重要性について、齋藤先生からは脳性麻痺によるToe-in gaitについて幼少期の運動負荷及び痙縮による股関節形成不全の関係を含め考察いただきました。千田先生からは転移性脳腫瘍片側上肢麻痺にReoGo-Jを使用し奏功した症例をご講演いただきました。

特別講演では兵庫医科大学 道免和久教授より「ロボットリハビリテーションの現状と展望」についてご講演いただきました。
リハビリドクターとは患者のニーズに技術を結びつける事が重要であり、リハビリテーション支援ロボットの必須条件として運動学習が可能であり・RCTによるエビデンスが確立されており・企業の安定したback upがある事を挙げられておりました。
上下肢用のリハビリ支援ロボットのご紹介を頂き、それぞれの特徴を活かして患者のADLupを目指すことの重要性をご説明いただきました。また、運動学習の観点からEnd-Effector型の推奨や50ms以内のフィードバック能力の必要性や、今後のロボットリハビリテーションの展望についてご講演頂き、現在の最先端をご教授いただきました。

現在のロボットリハビリテーションの進歩に非常に驚かされた研究会でした。私自身今後の研究の糧にして参りたいと思います。

2018年度先進医療及び医療サービスに関わるプロジェクトコンペのご報告(千田聡明)

平成30年11月21日,本道40周年記念会館,講堂にて2018年度先進医療及び医療サービスに関わるプロジェクトコンペが開催され,先進医療部門で栄えある最優秀賞をいただきました.このコンペは「先進医療に発展・実用できる基礎研究・臨床研究」および「本院における医療サービス等においての取り組みや成果の期待出来る事柄」について発表し,各々の部門で優秀と評価された者,又は部門に対して表彰を行い,研究費等の賞金を贈呈するものです.対象職種は医師,看護師,コメディカルスタッフ,事務職,外部委託事業者とされ,今回は先進医療部門に7題,医療サービス部門に11題の応募がありました.

 

私は開発チームを代表し,「卓上型上肢ロボット支援リハビリテーション機器の開発」をテーマに,先の東日本整形災害外科学会にてお披露目した卓上型上肢ロボット支援リハビリテーション機器,通称リハビリマウスの開発プロジェクトについてプレゼンテーションを行いました.リハビリマウスの基礎となる技術は,2006年から秋田大学理工学部,秋田工業高等専門学校との医工連携で行った汎用ロボットアームPA10とセンサー技術を用いた上肢用ロボット研究から培われたものです.当時から上肢用ロボット支援リハビリテーション機器は高性能でしたが大きく重いため,使用環境や目的が限られる短所がありました.当然,装置の小型化が望まれ,私たちは2013年から,持ち運びが可能でテーブル上で使用できる,小型,軽量な機器の開発を始めました.この機器は,円板状の自動掃除機に似た外観であり,前後左右に回転するオムニホイールの四輪駆動とすることで,平面上を全方向に移動できました.また,機器を動かそうとする患者の力を検知し,足りない分を介助したり,逆に邪魔するような外乱を加えたりすることを可能にしました.それにより,この機器を動かすことで上肢の運動練習ができるようにしました.また,AR(拡張現実)技術を組み込み,機器の位置を把握できるようにしたことで,運動練習に加え,運動の評価を可能としました.そしてこのような技術を基に,無線で動作し,先進性と馴染みやすさを両立させて練習の意欲をかきたてるデザインに仕上げたのが今回,お披露目した新型リハビリマウスです.

 

この無線タイプの新型リハビリマウスは,秋田大学理工学部,秋田工業高等専門学校はもちろん,秋田公立美術大学,秋田県立大学,さらには設計開発を専門とする秋田未来株式会社,電子応用機器を専門とする株式会社 Kエンジニアリングなど県内民間企業とチームを組むことで実現できました.コンペの審査においては,このようなオール秋田で臨んだプロジェクトの背景,機器の機能と独創性,製品化の進捗状況や実現可能性の高さなどを高くご理解いただいたものと考えます.今回の受賞を励みとし,賞金をもとにさらに機器の発展を図りたいと考えます.また,コンペ参加の機会を与えて下さいました島田洋一教授,ともに機器の開発に邁進したチームの皆様に改めてお礼申し上げます.どうもありがとうございました.

第45回マイクロサージャリー学会に参加して (湯浅悠介)

2018年12月6日7日、大阪国際交流センターにて第45回マイクロサージャリー学会が開催されました。今年は大阪掖済会病院副院長、静岡理工科大学手微小外科先端医工学講座主任教授の五谷寛之会長が「創新と融合」をテーマに掲げ、学会では様々な分野におけるマイクロサージャリーの発表がありました。

教育研修講演「創外固定とマイクロサージャリーの融合」では、島田洋一教授と松下隆教授のお二方がご講演されました。松下教授は、Ilizarov創外固定を用いた仮骨延長法、骨成熟を促すためのダイナマイゼーション、偽関節部・変形癒合部におけるChipping法の有用性について、具体的な症例を提示していただきながらご講演されました。マイクロサージャリー学会に参加しながら、Ilizarov創外固定の有用性を再認識するという有意義な時間を過ごさせていただきました。島田教授は、秋田で取り組んでいるマイクロサージャリーとIlizarov創外固定の融合についてご講演されました。同じ骨欠損であっても、マイクロサージャリーでの治療がBestか、Ilizarov創外固定での治療がBestかは症例ごとに違い、整形外科医はどちらの治療も選択できるように鍛錬を積む必要がある。術者が得意とする技術を用いて治療するのではなく、その患者にとってなにがBestな治療かを考え選択することが重要であると、お話しされました。日々の鍛錬を怠らず、Bestな治療を提供できるよう邁進していこうと改めて感じました。

シンポジウムは四肢重度外傷やReopeによる皮弁救済時の工夫、長管骨骨欠損などをテーマに開かれました。野坂光司先生は「長管骨骨欠損、仮骨延長VS血管柄付き骨移植」のシンポジストとして招かれ、「Ilizarov創外固定によるdistraction osteogenesisの意義」と題しご講演されました。

秋田は今後も、マイクロサージャリーとIlizarov創外固定の融合をテーマに様々な難治外傷例に取り組んでいきます。未熟者ではございますが、私も秋田における外傷学の発展へ貢献できるよう努めていきたいと思います。

第8回こまちリウマチセミナー(井上純一)  

 

2018年12月6日に第8回こまちリウマチセミナーが開催されました。

一般演題では秋田大学の岩本先生よりアバタセプトの可能性として、AORA registryでのアバタセプト使用例における患者背景やACPA陽性例での有効性などについてご発表いただきました。

また由利組合総合病院の鈴木紀夫先生よりAORA registry 2016における65才以上RA患者の慢性腎疾患有病率と関節リウマチ関連薬の投与について、とくにNSAIDsの漫然な投与、不可逆的な腎機能障害についてご発表頂きました。

また特別講演では藤田医科大学医学部整形外科学の森田充浩准教授より、「実践に役立つ関節リウマチ:バイオ治療のknow-how」として股関節を中心とした下肢荷重関節におけるRAによる関節破壊のリスク回避のための早期治療の必要性や、MMP-3でのfollow upの重要性、bDMARDs導入においての選択する際の使い分けの思考過程考や、RA股関節人工股関節置換術の考え方などについて非常に分かりやすくご講演いただきました。

今回で8回目となるこまちリウマチセミナーとなりましたが、毎回bDMARDsを中心とした最新の知見を得ることができ、非常に有意義な研究会となりました。

第53回日本脊髄障害医学会(井上純一)

2018年11月22日〜23日の2日間、第53回日本脊髄障害医学会が名古屋で開催されました。

本学会は整形外科のみならず、リハビリテーション科、脳神経外科、神経内科、泌尿器科など多種多様な科・職種が関わる全国規模の学会です。2019年に秋田大学主幹で地元秋田開催する予定であり、今回の学会は発表の場というだけでなく、来年の準備の目的としても非常に重要なものとなりました。

秋田大学からは総勢13名が参加し、2日間を通して一般口演やポスター発表などで秋田大学が活躍しました。

本学会では、現在トピックスである脊髄再生医療の研究報告や今後の展望についての内容が発表されていました。今後臨床応用が進むにつれてその管理、リハビリテーション医療の重要性が増していくことが予想され、私もリハビリテーション医療という形で携わっていきたいと思いました。また、その他、脊髄損傷以外の脊椎・脊髄疾患の診断、治療、リハビリテーション医療に関する内容、また脊髄疾患の重大な症状として、排便・排尿障害などの治療や管理などについての内容も発表されていました。本学会は、我々整形外科のみでなく、脊髄障害に関連する他の診療科からの視点での報告もあり、広い視野で脊髄障害を考える意味で非常に有意義な場となりました。今後も脊髄障害に携わる立場として、様々な診療科・職種と協力しながら、診療にあたっていきたいと考えております。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

Rehabilitation Year Topic Seminar 2018(渡邉基起)

H30年12月2日,秋田県リハビリテーション研究会主催のRehabilitation Year Topic Seminar 2018が開催されました.

休日であるにも関わらず,全県から医師や理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,義肢装具士,エンジニアなどリハビリに関わる多職種150名程度の方に参加いただきました.

はじめに島田洋一教授から今年のトピックスが短時間で学習できるという本企画の趣旨と秋田県で行われている本研究会が県外でも注目されていることを述べられました.

以下,プログラムに沿ってご講演の概略を記載します.

脳卒中リハ:秋田大学大学院医学系研究科 医師 竹内直行先生

近年,技術の発達によりロボットやVirtual reality(VR)を用いた運動療法が報告されていることやニューロリハとしてCI療法や経頭蓋磁気刺激(rTMS),経頭蓋電気刺激(tDCS)を用いた報告が比較的効果が高いことを説明いただきました.また,それ以外に興味深い報告として全身振動刺激やビタミンDによる効果,体感ゲームなど,今後注目したい新しい治療方法についてもご紹介いただきました.従来の運動療法のみでは改善し得なかった症例についても他の技術と組み合わせることで高い効果を得られる可能性があることを学びました.

重度外傷リハ:秋田大学大学院医学系研究科 医師 野坂光司先生

重度外傷では死を回避することはもちろん大事だが,よりよく生きること(後遺障害を回避すること)も非常に重要なため近年注目さていることを学びました.後遺障害の3/4は運動障害(脊椎や四肢)であり,運動器外傷は整形外科医とリハビリテーションの腕にかかっていることが報告されていることなどをご説明いただきました.本県ではリング型創外固定器を用いた手術により早期離床を可能としており,リハビリテーションでも足底装具を作製し,痛みの軽減を図ることで早期荷重・歩行を可能としている.また,多数の症例をご紹介いただき,秋田県の重度外傷が多種職連携により高いレベルにあることがわかる内容でした.

呼吸器リハ:市立秋田総合病院 理学療法士 高橋仁美先生

今年の呼吸リハビリにおける最大のトピックスはステートメントが公開されたことであり,これまで,運動耐容能やQOLに注目されていたが,近年身体活動量に注目が集まっていることをご紹介いただきました.今回は特にCOPDに焦点を当て,そのガイドラインも5年ぶりに改定され,身体活動性の低下がCOPDを惹起させる可能性があることを学びました.身体活動量は呼吸リハのみでは向上させることが出来ず,カウンセリングを併用することで改善させる可能性があることを多くの研究から示していただきました.

股関節リハ:秋田大学医学部附属病院 理学療法士 畠山和利先生

今回は股関節の病態のひとつであるAIISpinitis(下前腸骨棘炎)に焦点を当てて,ご講演いただいた.Groin Pain(鼡径部痛)のひとつの病態であり,7つのタイプ(筋損傷,腸骨筋炎,股関節インピンジメントなど)に分類されることを学びました.AIISpinitisでは大腿直筋付着部損傷や脂肪体の線維化が起こっており,鏡視下関節外デブリドマンにより除痛されることが近年報告されていることを示していただきました.リハビリテーションでは,可動性や安定性,協調性の改善が重要であり,具体的な評価・運動療法の方法について実技を交えていたため,わかりやすい内容でした.

脊椎リハ:秋田大学大学院医学系研究科 医師 本郷道生先生

今回は腰痛と脊柱変形に対する運動療法に焦点を当てて,ご講演いただきました.腰痛については,急性腰痛では運動はあまり推奨されていないが,慢性腰痛では推奨されており,ストレッチングや筋力トレーニング,有酸素運動,VRなど運動によって改善されることを多くの文献を基にご紹介いただきました.また,脊柱変形(後弯・側弯)も同様に,運動以外に装具や全身振動刺激などでも改善されることについて文献を示していただきました.今回の分野は,運動療法の頻度や強度などまだ確立されていないが,他の治療と併用することで改善させる可能性があることを学びました.

認知症リハ:県立リハビリテーション・精神医療センター 医師 下村辰雄先生

はじめにアルツハイマー型認知症やレム睡眠時行動異常症,レビー小体型認知症,前頭側頭葉変性症など様々な認知障害を起こす病態について講義していただきました.認知症へのリハビリテーションでは,“○○療法や○○トレーニングは予防効果がある”という文言をみる機会があるものの,実のところその効果についてはまだcontroversialな部分があるため検討しなければならないことを学びました.また近年,認知症と交通事故が取り沙汰される機会がありますが,どのようなことが問題になるかを詳しくご説明いただきました.

一昨年より開催されている本会ですが、どの演者もその分野のスペシャリストであり,3時間で今年のトピックスが学べるため,参加者の方も集中して聴講していました.毎年,師走の忙しい時期に大勢参加されており,秋田県のリハビリが非常に盛り上がっていると感じる研修会でした.

第8回秋田県骨粗鬆症学術セミナー(齋藤光)

2018年11月30日に第8回秋田県骨粗鬆症学術セミナーが開催されました。

一般演題1として、市立秋田総合病院の赤川学先生より、「糖尿病モデルラットにおける低強度有酸素運動と活性化ビタミンD製剤が血糖値・骨密度・筋に及ぼす影響」のテーマでご講演いただきました。この内容は赤川先生が大学院で行われた基礎研究の研究成果であります。ビタミンDと運動療法が糖尿病の治療、骨や筋肉にどのような影響を与えるのかについて、非常にわかりやすく発表いただきました。特に筋肉に与える影響については遺伝子の観点からもご考察いただき、レベルの高い研究内容に感銘いたしました。基礎研究を行っている大学院生の我々にとって、大変刺激となるご講演でした。

一般演題2として秋田労災病院の奥山幸一郎先生より、「転倒、筋力低下とビタミンDの関連性の疫学調査―北鹿地方のミステリー―」のテーマでご講演いただきました。ビタミンDに関した疫学調査について、先生が行われている大規模な疫学調査についてご講演いただき、ビタミンDを中心にその充足率や、サルコペニア、筋力、転倒との関連について詳細な調査結果をお示し頂きました。日常診療を行いながら素晴らしい研究を行われる先生の姿勢は見習うべきであり、研究者の観点をもって日常診療にあたって行く重要性を再認識しました。

特別講演は札幌医科大学医学部、整形外科学講座准教授の射場浩介先生より、「骨代謝異常と運動器の疼痛―変形性関節症からCRPSまで―」のテーマでご講演いただきました。先日札幌医科大学に国内留学された湯浅先生との対話形式の講義となり、射場先生の質問に湯浅先生が的確に解答する非常にエキサイティングな特別講演となりました。骨代謝が全身に及ぼす影響について、実際の症例を交えて検討いただきました。骨代謝亢進状態が骨格の疼痛を引き起こすメカニズムについて遺伝子・細胞レベルからご講演いただき、なぜ痛むのかについて最新の知見をお示しいただきました。骨が痛む患者さんを診察した際に、その疼痛改善のためにどのような薬剤が、どのように作用するのか理解することができ、明日からの日常診療に大変参考になりました。

本セミナーでは骨代謝に関する最新の治験、ビタミンDの重要性について学ぶことができました。これからの基礎研究や臨床にご講演いただいた内容を活かし、邁進していこうと思います。