平成28年8月18日にホテルメトロポリタン秋田で「秋田県腰痛セミナー2016」が開催されました。
一般演題①では秋田大学整形外科の木村竜太先生から「腰椎短椎間固定術と除圧術におけるADL・QOLの比較」について講演していただきました。固定術群と除圧術群の群間にADL・QOLに差がないという結果から、短椎間の固定術を行ってもADL・QOLは損なわれない可能性が示唆され、手術時の説明に非常に有用なデータを提示していただきました。
一般演題②では秋田赤十字病院整形外科の石河紀之先生から「看護大学における骨粗鬆症の授業」について講演していただきました。併設する看護大学で、看護学生に対して行っている整形外科の授業内容、使用している教科書や整形外科分野の国家試験問題の紹介をしていただき、病棟や外来、手術室で一緒に働くことの多い看護師がどういった知識を持っているのかを知る良い機会となりました。
特別講演は和歌山県立医科大学医学部整形外科准教授の山田宏先生から「腰椎疾患の疫学‐The Wakayama Spine Study‐」について講演していただきました。和歌山県立医大で行っている約1000人を対象とした縦断研究の結果を紹介していただき、腰椎変性すべり症の進行・発生の危険因子や、腰部脊柱管狭窄症の症候性・放射線学的有病率、椎間板変性・終板変化・シュモール結節と腰痛の関係など、どれも日常診療に直結する大変有用な内容でした。その中でも、MRIで調べた硬膜間面積と腰痛に関連をみとめ、除圧術・内視鏡手術のみで腰痛が改善する可能性があるというデータは非常に興味深く、ご講演が終わった後も、質疑応答で議論が白熱していました。除圧術か固定術か、その適応について学会でも議論がつきないテーマですが、本セミナーで得た知識も参考に、今後の診療に活かしていければと思います。