第50回 国際側弯症学会に参加して (水谷 嵩)

 2015年9月30日~10月3日の日程で,ミネソタ州のミネアポリスで開催された第50回国際側弯症学会(Scoliosis Research Society)に参加しました.参加メンバーは本郷道生先生,三澤晶子先生,工藤大輔先生と,今年初めて参加する私と尾野佑一先生の5人でした.
Scientific programでの口演発表は129題とEポスター94題で,合わせての採択率は約15%とハードルが高いですが,その分発表はどれも質の高いもので,どのセッションに参加しても得られるものの大きい会でした.主に小児から成人の脊柱変形をテーマに,保存療法から手術療法までの発表を世界各国から集まった先生方が,連日議論を繰り広げるマニアックな会,という印象でした.
 初日のpre-meeting courseでは側弯症治療の歴史や分類,装具,手術治療の変遷など一般的な内容の発表を聞くことができ,一日いると側弯症の大体のことが分かるようになるセッションでした.経験の浅い私はどの発表も学ぶことが多く,特に側弯症治療の歴史に関する発表では過去に多くの反省すべき症例があったことを知ることができました.海外の手術症例の発表も刺激的で,検診制度のある日本ではほとんど見ないような重症側弯症例の治療報告も散見されました.また,Lenke分類で有名なLenke先生を見ることができたのも貴重な経験でした.
 今回は50回記念会ということで,学会の創立時からのメンバーや,過去の学会プレジデントなどが一同に集まり,学会に功労のあった方々への受賞式もありました.印象に残った講演は,金銭的に手術を受けることができない子供たちに手術を行うことができるように制度をかえ,治療を行ったことで受賞されたインドの先生の発表でした.高額医療になる側弯症治療を,貧しい地域の子供たちにも提供できるように様々な工夫や努力を行った情熱に感動しました.
 また,学会会場内に特別ブースが用意されており,側弯症の博物館のようなコーナーを見学することもできました.世界で初めて使用されたロッドや手術器具の変遷の歴史,360°に曲がった側弯の実体模型,診察グッズの数々,第1回からの学会ポスターなど,専門家にはたまらない催しだったのではないでしょうか.
 今回初めて参加させていただいた本学会では,数多くの質の高い発表を聞き,見分を深めることができました.このような貴重な機会をいただきありがとうございました.今回の経験を今後秋田での診療に役立てられるよう努力したいと思います.
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