投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

留学報告㉖テック企業回り(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はテック企業巡りについて.

サンフランシスコを含めたベイエリアと呼ばれる地域はシリコンバレーとして有名で,テック企業の本社が目白押しです.一部旅行会社ではこの企業を巡るツアーも開催されているようです.休日,買い物や会合などのついでに立ち寄ったテック企業を掲載します.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

UBER:簡単に言えば白タクサービスです.サンフランシスコに本社があり,いろいろ世間を騒がせています.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Twitter:個人的には使っていませんが….テンダーロインと呼ばれる治安の悪い地域の近くに本社を構えることで,多額の助成金を受け取ることができるらしいです.

 

 

 

 

 

 

Dropbox:自宅から歩ける距離のところにDropboxの本社がありました.野球場のすぐそばで開放感のある場所です.

 

 

 

 

 

 

 

 

(旧)Yahoo!:日本のYahoo!とは色が違います.既に事実上,事業が解体されているため,もうすぐこの看板もなくなるのかもしれません.そこらかしこに関連ビルが沢山ありました.

 

 

 

 

 

 

Apple旧本社:ここに併設されているApple storeでしか買えないグッツがあるため,好きな人は訪れたい場所です.

 

 

 

 

 

 

Apple 新本社:旧本社から車で10分かからないところに巨大な宇宙船の様な建物が.一般客用にビジターセンターが開放されています.

 

 

 

 

 

 

 

 

ガレージ:Apple発祥の地と呼ばれるところ.ここのガレージで初代のApple製品が開発されたということです.今も誰かが住んでいるので写真だけ.

 

 

 

 

 

 

 

 

Google:一つのビルだけでなく,辺り一帯がgoogleというイメージです.

 

 

 

 

 

 

 

スタンフォード大学:広すぎてなにがなんだか….敷地内に美術館やショッピングモールがあったりします.

 

 

 

 

 

 

 

 

Facebook:ひっきりなしに観光客が来ていました.

 

 

 

 

 

 

有名な話ですが,以前の企業の看板に布をかぶせただけです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IntelとAMDはハイウェイを挟んで向かい合っています.

 

 

 

 

 

 

Adobe でかいです.

 

 

 

 

 

 

 

 

あんな事件が起こるとは….

つづく

留学報告㉕リハビリ専門医(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はリハビリ医について

日本のリハビリテーション医の定義は「病気や外傷の結果生じる障害を医学的に診断治療し、機能回復と社会復帰を総合的に提供することを専門とする医師(日本リハビリテーション医学会HPより)」です.

米国のリハビリテーション医はPhysical medicine and rehabilitation (PM&R)の専門教育を終了した医師(Physiatrist)であり,「物理医学とリハビリテーション(PM&R)の医師は、脳、脊髄、神経、骨、関節、靭帯、筋肉、腱に影響を及ぼす様々な病状を治療する(PM&R HPより)」と定義されています.

日米の違いは,日本は病気や外傷の結果の障害に対する治療を目的にしているのに対し,アメリカでは筋骨格神経系の保存療法とリハビリテーション含めた治療を行います.このため,アメリカのリハ医 ≈ Physiatristの治療範囲は,日本の整形外科の保存療法もその範囲に含まれます.そのためリハ医 ≈ Physiatristといっても,入院患者を専門に診るFung先生のように内科系による医師や,長尾正人先生のようにneedle specialistとしてinjectionを中心に外来専門に行う医師や,Lisa先生のように脳梗塞痙性麻痺に対する,テトロドトキシンinjectionや,装具処方など幅広く行う医師,Kazuko先生のように脊損を中心に診療する医師など,医師の意識や勤務されている病院のニーズなどで決まり,典型的な勤務スタイルはありません.しかし,全員に共通するのはそのバックグラウンドにPM&RのレジデンシーというPM&Rを基礎から学ぶ教育プログラムを受けていることで,どの分野に進んでも問題ないような下地ができています.

さらなるSubspecialityフェロープログラムとしてNeuromuscular medicine,Pain medicine,Pediatric rehabilitation medicine,Spinal cord injury,Sports medicine,Brain injury,Hospice and palliative medicineがあり,より専門性の高い治療領域に進む医師もいるということです.

日本では回復期リハビリテーション病棟の急激な増加にともない,リハビリテーション専門医の不足が指摘されています.

元来リハビリテーション自体の概念が幅広いものであり,医学的リハビリテーションだけを絞っても,今後Subspecialityが必要になることは日本でも十分に考えられます.逆に言えば,もともとSpecialtyを持った他科からの参入される医師が力を発揮しやすい科と言えるかもしれません.新専門医制度が始まり,そのプログラムの中で総合的なリハビリテーションをベースとして学ぶことができるシステムが構築されれば,自分の長所を活かすことができるリハビリテーション科専門医は,どの医師にとっても非常に魅力的な専門医であると思います.

 

つづく

留学報告㉔Santa clara valley medical center(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はSanta clara valley medical center見学

サンノゼ近郊にあるサンタクララバレーメディカルセンターという病院を見学させて頂きました.創設100年以上の歴史のある公立病院です.スタンフォード大学に御留学中の前田俊恒先生とご一緒させて頂きました.

つい最近まで以前は100年以上前に建てられた病棟を使用していたようですが,2017年12月から新病院に移転したそうです.今回はその新病棟の見学をしてきました.

 

 

 

 

 

見学の案内をして下さった先生はSham Kazuko先生というSpine injury center(日本でいう脊損センター)のチーフで,日本語が非常に堪能な先生です.

リハビリテーションセンターのリハ医は10人程在籍しており,そのうち4人が脊損専門,5人が脳梗塞系専門とのことでした(もう1人の専門は忘れてしまいました…).また,セラピストはPT,OT,ST合わせ100人を超えているそうですが,女性の比率が高く実際に働いているのはその8割程度とのことでした.それでも十分なスタッフの人数です.

 

 

 

 

 

まだ使用して3ヶ月の新病棟は,1階がリハビリ,2階はICU,3階は脊損リハ病棟,4階は脳梗塞病棟,といった配置です.部屋は個室と2人部屋で,脊損病棟の部屋には前室リフトがあり,風呂場,トイレまでつながっていて早期リハビリの手助けをしています.各病棟に小さな訓練室があり,急性期で移動が大変な時は1階まで降りずにその場所を使うそうです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後,外来棟も見学しました.外来にもリフトがついている部屋が2つあり,褥瘡などの診療の手助けになるそうです.特にこちらの患者さんは大きな人が多いのでリフトがないと辛いようです.

 

 

 

 

 

Sham Kazuko先生は臨床とともに臨床研究も活発に行っている先生で,数々のグラントを取得されています.その中には遠隔リハビリテーションのグラントもあるそうで,実際にipadを使用して指示を出すなどの診療をされていました.スタンフォード大学が近いこともあり,再生治療の治験も行われているそうです.

帰国直前でしたが,見学できて大変勉強になりました.Sham Kazuko先生,御紹介下さった森岡和仁先生にこの場を借りて感謝申し上げます.大変ありがとうございました.

 

 

 

 

 

 

 

 

左から筆者,Sham先生,前田先生.

留学報告㉓シャスタ山とAko先生(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はシャスタ山観光とAko先生

クリスタルカイザーという水をご存じでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マウントシャスタはサンフランシスコから車で北に約4時間半の場所にある山で,ここの麓にある湧き水がクリスタルカイザーの採水地になっています.

バックの山がシャスタ山です.マウントシャスタの湧水という説明書きまで.

風光明媚な場所として有名で,かつてはネイティブアメリカンの聖地として,現在日本ではパワースポットとして崇められている山です.留学も終わりに近づいてきたので,少しパワーをもらいに行くことにしました.

 

 

 

 

 

 

シャスタ山

 

宿泊地のレディングはシャスタ山から約1時間の街で,以前セットアップ時に大変お世話になったAko先生(留学ブログ①参照)が勤務されており,夕食をご一緒させて頂きました.

日本の外科で勤務されていた先生は10年程前に渡米し,アメリカの医師免許を取得され,現在は入院患者を中心に診療されています.

Ako先生の第一印象は,とにかく生気に満ちあふれている格好良い先生という印象です.いろいろお話を伺うと,ここまで来るのに相当な厳しい御経験をされており,アメリカで医師をする上でのシビアな状況を乗り越え,自立して米国医師としての人生を送られています.しかし,凜とした佇まいからはその大変な状況を微塵も感じさせません.パワースポットに話が及ぶと,「パワーは人や物からもらうモノではなく,自分で捻出するモノ.何かからパワーをもらおうとしている時点でパワーがでる期待は薄い」ときっぱり.その通りです.勉強になります….

秋田ご出身ということもあり,2月にご帰国された際にも秋田大学で御講演されたと伺いました.もしかしたら拝聴された方もいらっしゃるかもしれません.今後また日本にご帰国の際には御講演もあるかもしれませんので,その際には是非とも参加してみて下さい.お名前先のリンクも御参照下さい.

Ako先生,家族ともども大変有意義な時間を過ごさせて頂き大変ありがとうございました.今後ともよろしくお願い申し上げます.

留学報告㉒医療職の種類(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.

ZSFGHで病院見学しているといろいろな職業の名札を見かけます.「DOCTOR」という名札の人が診察している風景は日本と変わりありませんが,「NP」という名札の人が同じように診察して処方したり,専門医と治療方針についてディスカッションしているところを見かけます.

彼女(見学しているときにいたのが女性だったので)の職業はNurse Practitioner;NPで,日本語では診療看護師と略されます.看護師なのですが,外来でやっていることはほぼ医者そのもので,診察し,診断し,処方します.手術はできません.NPは開業権を持ち,その給与は平均時給で約45$と報告されています.レジデントの職務範囲と重なるため,外来や病棟に数名配置されているようです.

歴史をたどると,第二次世界大戦後の医師不足から始まっているようで,時代を変遷する毎にそのニーズと職務範囲が拡大してきた背景があります.近年では医療費抑制という政策や,医師の専門化の促進,レジデントの勤務時間の抑制による人手不足で,プライマリケアを担うNPの存在感が更に高まってきているという流れです.

この流れを見ると,日本でもこの制度が導入されてもおかしくはなく,実際に看護協会でもその働きかけをしています.

もしこのような制度が導入されると,外来診療も病棟業務も少し楽になるかもしれません,そのかわり,整形外科医として,より専門的な知識と技術,手術手技を持たないと働けないという時代になってくると考えられます.われわれ医師は,常にアップデートを繰り返す必要があり,身が引き締まる思いです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NPさんと.やっていることはがっつり医者です.

つづく

留学報告㉑ 森岡先生(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回は脊損の基礎研究を行っているUCSF Ferguson Lab見学です.

森岡和仁先生の御高配で,UCSF Ferguson Labを見学させいただきました.

森岡先生は,東京大学整形外科大学院を卒業後,国立障害者リハビリテーションセンター研究所で脊髄損傷の研究の立ち上げに携わられた後,2012年からUCSF Ferguson Lab で研究されている先生です.研究のコラボレーションが幅広く,私のお世話になっているOTIやUCサンディエゴ,Red BullやNASAに至るまで,幅広くコラボした研究をされています.

脊損に関して最先端で研究されている先生ですので,アメリカでの脊損研究の最近のトレンドについて大変造詣が深くいらっしゃいます.また,サンフランシスコ在住も長く,SNSを用いたUCSFおよびサンフランシスコベイエリアの日本人留学生のためコミュニティを構築されていて,私は非常に助けられました.先生の研究者としての軌跡は2018年発売の実験医学Vol.36 No3(2月号) p466-に詳しく記載されていますので御参照下さい.大変勉強になる内容です.

 

 

 

 

 

 

Wet labとDry labが混在した研究室.

 

 

 

 

 

 

Dry側.こちらで統計解析を行っているそうです.

 

 

 

 

 

 

 

 

左が森岡先生,右が筆者

このような機会を与えて頂いた森岡和仁先生にこの場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました.

 

留学報告⑳Day surgery center(斉藤公男)

長崎大学 千葉恒先生の御高配により,モントレーにあるDay surgery centerを見学してきました.

モントレーはサンフランシスコから南に車で約2時間半ほどのところにある海辺の綺麗な街です.ゴルフをされる方は,ペブルビーチという海岸沿いの綺麗なコースがあることでご存じかもしれません.2019年は全米オープンが開催されるそうです.

今回お世話になったのはRichard Dauphine先生です.御年75歳,モントレーの海に魅せられて,30歳代で東海岸から移住したそうです. 趣味はスキューバダイビングで,今でも夏場には週3回くらい潜っていらっしゃいます.

Day surgery centerは,現在周辺に5施設あるそうで,年間合計20000件を超える手術を行っています.今回見学した施設だけでも整形外科以外を合わせて4000件以上の手術を行っているそうです.患者アンケートを必ず行っており,9割以上の人から非常に満足しているという回答を得ているそうです.逆に,この回答を得られない医師はこの施設を使えないという面もあるようで….

手術の内容は,肩や膝の関節鏡手術の他に,TKA,THAもDay surgeryで行っているとのことでした.手術手技自体はこれといって目新しいことはなかったのですが,術前投薬から,術中カクテル,術後ブロック,術後オピオイドの処方など,疼痛対策にかなり気を遣っていたのが印象的でした.また,手術の入れ替えが早く,5〜10分程度で入れ替えを行います.手術件数の分だけボーナスが出る仕組みのようで,スタッフもキビキビ動いていました.

手術見学の後,17マイルドライブの中にあるクラブ会員限定のようなレストランで昼食をごちそうになり,日米の医療の違いや趣味などざっくばらんに会話して下さり,楽しい時間を過ごさせて頂きました.75歳を超えてなお,仕事も人生も楽しまれている先生の姿が印象的でした.

Richard先生を御紹介頂きました長崎大学 千葉恒先生にこの場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手術所見をディクテーションで記載するRichard先生

 

 

 

 

 

 

 

Richard先生と.

 

留学報告⑲ スポーツ外来2(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

今回はスポーツ外来見学 その2

いつもお世話になっている長尾正人先生に,UCSFでスポーツドクターとして勤務されているCarlin Senter先生を御紹介頂き,UCSFのスポーツ外来を見学してきました.

Carlin Senter先生は内科医をバックグラウンドとしている先生でsubspecialityとしてスポーツ医学を専攻され,現在USCFのスポーツ外来をされている先生です.筋骨格系疾患全体を幅広く診療されており,脳振盪回復プログラムのチーフを務められています.

詳細に問診を行った後に診察を行うというスタイルで,必ず最初はオープンクエッションで行っていました.この方が,患者さんからの症状・情報を引き出し易いと仰っていました.また,普段自分が診察する際にはほとんど質問することが無い,食事や睡眠時間などの問診を頻回にされていたのが印象的でした.

Luke先生の時はGoogleグラスでのディクテーション記載補助でしたが,Senter先生の場合は補助の人が一緒に入って直接タイピングするというスタイルでした.しかし,Senter先生のタイピングが尋常じゃないほど早いので,自分で打った方が早そうな雰囲気(すこしイライラ?)でした.

全患者でスポーツ選手を診る割合は約2−3割ということで,スポーツ以外の患者さんも相当数診察・治療されているようです.今はスポーツの帯同は行っていないようですが,以前は行っていたようで,診察室の至る所に選手からのサイン入り写真などが飾られていました.スポーツの帯同にはGeneralistとしての知識も必要であると実感させられました.

PTルーム見学やスポーツグループカンファレンスなどにも参加させて頂き,充実した見学をさせて頂きました.

 

 

 

 

 

 

Orthopedics Institute ビル1個整形外科です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタンディング対応のPCデスク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外来診察室にはサッカー女子代表のサイン入りシャツも.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Carlin先生と.

 

 

 

 

UCSF サンフランシスコ外傷セミナー・キャダバーコース (長幡 樹)

4月22日〜30日と長期の時間をいただいて、サンフランシスコ外傷セミナー・OTIコース・キャダバーに参加させてもらいました。

サンフランシスコはほぼ毎日が快晴で驚くほど天気がよく過ごしやすい気候でした。風がつよく時々肌寒く感じることもありましたが、皆半袖で過ごすくらい暖かく良い気候でした。

まず最初は岡山大学の野田先生・福岡整形外科病院の徳永先生・秋田大学の野坂先生が講師のキャダバーコースに参加しました。足部・膝・股関節・さらには骨盤と下肢をほぼすべて網羅するような内容になっており、手術の皮膚切開や解剖上のピットフォールなどをとても丁寧に教えていただきました。コース外のことも自分の興味が部分をさらに掘り下げて学ぶことができました。また同世代・もしくは自分たちよりも若手の先生と一緒になって行うことで、自分たちに足りていない点や他の大学の話も聞けてとても刺激になりました。時間に余裕ができると本来のキャダバーコースに含まれていなかった骨盤の解剖などもご指導いただき最初から最後までとても充実したキャダバーコースでした。

翌日からは島田洋一教授と大学時代の同期に当たり、現在Zuckerberg San Francisco General Hospitalで勤務している長尾先生の元に施設見学と症例検討をさせていただきました。日本の病院とはだいぶ勝手が違うことはなんとなくは理解していましたが、改めて説明を受けると驚きの連続でした。入院期間の短さや、手術室・術後の麻酔管理のための場所の確保などとても興味深く見学をさせてもらいました。また日本よりも各職種の仕事が明確に細分化されており、また違った世界なんだと改めて実感をさせられました。

外傷セミナーでは現在行われている治療の選択方法や、体の各部位ごとのピットフォール、トラブルの対処方法などを10分単位という短い講義で聞いてきました。英語がなかなか不得意な自分でも頑張ればかろうじて聞き取れるような内容であり、少し、本当に少しは英語力も身についたのではないかと思っています(なんとなく聴き慣れただけかもしれません)。さらには肘や手関節などで模擬骨を使った手術手技のハンズオンなども受け、盛りだくさんのセミナーでした。

ゴールデンゲートブリッジや、フィッシャーマンズワーフ、ユニオンスクエアなど有名どころへいき普段触れることのないアメリカの文化に触れてきました。日本では見ることがないくらい広大な自然に触れることができとても楽しい時間を過ごしました。

最後になりますが、今回OTIの長尾先生をはじめ、たくさんの先生方にアメリカの地でお世話になりました。ありがとうございます。また今回の機会をくださった島田洋一教授、宮腰尚久准教授をはじめ、通常業務や当番を担当してくださった各グループの先生、大学院の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

第61回日本手外科学会参加報告(齋藤光)

平成30年4月26、27日の両日、東京都の京王プラザホテルで第61回日本手外科学会学術集会が開催されました。本会の学会長は、昭和大学の稲垣克記教授で、テーマは「サイエンスとアート」の調和でした。Akita Hand Group(AHG)からは9人が参加し、最新トピックスについて学んできました。AHGからは合計5演題が採択され、千馬誠悦先生が「手指変形性関節症に対する装具療法」、成田裕一郎先生が「ばね指に対するトリアムシノロン腱鞘内初回1回投与の効果持続期間」、伊藤博紀先生が「背側天蓋状骨片を伴う橈骨遠位端骨折の検討」、白幡毅士先生が「変形性PIP関節症に対する掌側アプローチによる表面置換型人工指関節置換術の治療成績」、冨岡立先生が「コンバインによる上肢外傷〜手こぎ作業の危険性〜」という内容で発表しております。

私は今回、橈骨遠位端骨折のセッションを中心に聴講してきました。その中で、橈骨遠位端骨折後の二次骨折予防にむけた骨粗鬆症治療の取り組み、掌側転位型橈骨遠位端骨折の手術治療、尺骨骨折合併例の手術治療などの演題は、大変興味深く、勉強になりました。本学会で得られた知識を臨床へ活かせるように、明日からまた精進してまいります。来年はこの学会で発表できるようにと決意を新たにしているところです。
現在AHGは、日常診療から得られたクリニカルクエスチョンを研究テーマとし、新たに調査を計画中です。まずは来年の日本手外科学会、日本整形外科学会での演題発表を目標とし、最終的には国際学会での発表、英語論文執筆を目指して参ります。私自身、AHGメンバーとして、リサーチマインドを持ちながら臨床、研究、論文執筆に取り組んでいこうと思います。

齋藤光