投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第4回駅伝部練習会(佐々木研)

2015年8月23日,今シーズン第4回目の駅伝部練習会が開催されました.今回は祝入局,初参加の三浦隆徳先生が,高校時代陸上部時代を思わせる軽快な走りを見せてくれました.また,この日誕生日の長幡樹先生が骨折後初めて1周ですが練習会に復帰しました.おめでとう!東日本整災駅伝が近づき,メンバーも気合が入ってきています.東日本整災前に,もう一度練習会を予定しています.

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100キロマラソンをひかえる木村竜太先生

 

 

 

 

 

余裕の岩本陽輔先生 東日本は水泳に出場予定

 

 

 

 

 

 

三浦隆徳先生 高校は陸上 大学はラグビー 社会人では駅伝選手へ!?

 

 

 

 

 

 

齋藤光先生 タイムも上がってきました

順位 タイム 名前
1 14:42 佐々木 研
2 16:04 鈴木 孝之
3 16:13 岩本 陽輔
4 16:26 高橋 優気
5 16:28 成田祐一郎
6 17:13 木村 竜太
7 17:17 山田 晋
8 17:21 記田 大樹
9 17:23 齋藤 光
10 17:32 三浦 隆徳
11 17:50 米山 照幸
12 18:54 三澤 敏弘
13 19:03 関根 孝司
14 19:26 三輪 哲也
15 20:09 渋谷 達也
16 20:20 青山 聖司
17 20:36 若木 佑介
18 20:57 小出 健之朗
19 21:14 杉村 祐介 
20 21:41 府川 淳一
21 23:26 関 佳之
22 24:11:00 古宮 善之
23    
24 7:48 長幡 樹(1週)

 

秋田県腰痛セミナー 2015 ( 鈴木 真純)

 

 

 

8月21日(金)、岩手医科大学医学部整形外科学講座 准教授 村上 秀樹先生をお招きし行われました秋田県腰痛セミナー2015のご報告です。

一般演題1題目は、平鹿総合病院 櫻場 乾 先生の『掌蹠膿疱症性骨関節炎の4例』でした。自分はまだほとんど経験したことが無いのですが、他科からの頼診で時々診断の必要に迫られることのある疾患です。うち2例の詳細な経過、診断までの道筋、治療など非常に勉強になりました。特に、重要な鑑別疾患の一つとなる化膿性椎間板炎との画像的な違いに関しては、診断する上で非常にためになりました。2題目は、能代厚生医療センター 安藤 滋先生による『当科における化膿性脊椎炎、椎間板炎の調査』でした。化膿性脊椎炎・椎間板炎は、内科的な疾患を合併していることの多い高齢者の場合では特に診断・治療の選択に迷うこともある疾患であり、高齢者の特に多い秋田においては早期の診断が重要となる疾患の一つであります。この発表でも、発症時には47%の患者が他科を受診しているという結果でした。かつての、治療原則は安静と抗生剤という流れに対し、可及的早期に固定を行うという意見も多く聞かれるようになってきており、その点に関して会場が村上准教授も交えての熱いエンドレスなディベートになりかけたのには驚きました。

そして特別講演、村上秀樹准教授による『腰椎変性疾患に対するOLIF法の適応と実際』でした。OLIFはXLIFと並び、腰椎変性疾患に対する全く新しい椎体固定術であり、TLIF, PLIFといった従来の後方よりアプローチする手技比べ低侵襲で革新的な手術方法と言えます。秋田県でも近年XLIFが導入されるようになり、次いで導入されることとなる手術方法となっています。手術体位に始まり、手技・適応症例など実際の動画や画像を交えて御講演頂き非常に分かりやすく勉強になりました。その中でも特に後方除圧の要不要に関しては、今まではまだ自分の勉強不足ということもあり不明な点が多々ありましたが、一切行っていないという村上先生のお話はとても興味深いものでした。最後の質疑応答までハイレベルで、OLIFに関して余すこと無く勉強することのできるセミナーとなりました。

最後に、OLIF,XLIFともに今後の腰椎変性疾患に対して主流となる可能性の高い手技ですので、この会に限らず今後もしっかり学んでゆくべきと感じました。

 

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羊ケ丘病院 研修だより (水谷 嵩)

島田教授のご高配で7月から2カ月の間、羊ケ丘病院で研修をさせていただいております。そろそろ札幌生活も終わりですが、夏の北海道という時期的にも恵まれた2か月間を振り返りたいと思います。

 

最も長い時間過ごしたのは外来で、主に新患外来を担当していました。手術が必要な患者さんには出来るだけ早く予定を組むことができたり、なかなかよくならずいろいろな施設を回って来た人にはリハビリで積極的な治療を行うなど、選ばれる側の民間の医療施設として患者さんに出来るだけ質の高い医療を提供する お手伝い ができたのは秋田に帰っても役立つ収穫だったと思います。時間があるときは倉先生や岡村先生の外来を見学させていただき、日本でトップランカーの先生方の、疾患や治療の考え方や治療に対する姿勢などを学ぶことが出来ました。肩の診察が今まで苦手だった自分としては、肩の診察を岡村先生直々に(ご自身の肩を貸していただきました(笑))ご指導いただけたのが大変勉強になりました。

 

手術は主に倉先生の膝、足といった下肢の手術と、岡村先生の肩の関節鏡手術の助手として入らせていただきました。秋田ではなかなか見ることができない手術も多く、手術に入れる日は毎日が刺激的でした。

 

秋田大学整形外科同様に多くの部活動が盛んな羊ケ丘病院ですが、自分も河野先生の流れのまま水泳とノルディックウォーキングに参加させていただきました。(水泳は1-2回程度でしたが…)ノルディックウォーキングは岡村院長は羊ケ丘公式競技と宣言し、倉理事長は術後患者さんを集めてイベントを開催するなどかなり気合の入った活動で、夏の朝6時から病院周辺をウォーキングするのは大変気持ちがよかったです。また、英会話講座も参加し、こちらは少人数グループ制のアットホームな雰囲気でした。水泳は大会に登録、参加するほど本気度の高い活動で、小樽塩谷の海水浴場まで車で移動し遠泳の練習、そのあとにBBQというイベントにもご一緒させていただきました。まさか北海道にきて雨の中海で泳ぐ経験をすることになるとは思ってもみませんでしたが、夕方から晴れておいしいBBQを楽しむことができました。

 

倉先生には、研修中研究会発表と論文作成についてご指導いただきました。倉先生の御高配により第18回北海道下肢と足部疾患研究会で貴重な手術症例の発表の機会をいただき、大阪南医療センターの橋本淳先生の特別公演を拝聴することも出来ました。

 

今回の研修では、民間施設の先生方が患者さんに選ばれるため、信頼されるためにどのような思いで日常の診療に携わっているかを実際の目で見ることが出来たのが最も大きな収穫でした。秋田に戻っても羊ヶ丘病院で学ばせてもらったことを生かしていきたいと思います。

 

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日本足の外科学会で来ていた野坂光司先生のワークショップにお邪魔しました

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小樽塩谷で海泳ぎからのBBQ 直前まで雨の中泳いでました

岡村健司先生とリハビリスタッフの皆さん

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北海道下肢と足部疾患研究会で橋本淳先生と倉秀次先生

 

ノーザンファルコンズ 朝練習会 (市立秋田総合病院 湯浅悠介)

IMG_0385 IMG_0386 IMG_0387 IMG_03912015/8/11、AM5:30ノーザンファルコンズ朝練習会が行われました。

天候は晴れ。うってつけのテニス日和に男たちは秋田大学テニスコートへ集合。

英知先生、杉村先生、湯浅、そしてスペシャルゲストに島田崇史選手を招いて執り行われました。

 

島田洋一教授が見守ってくださる中、アップをすませ、練習試合開始。練習とは思えない白熱した試合展開となりました。

英知先生のボレー、スマッシュは経験者もまねできない切れ味と精度があり、杉村先生のストロークはさすがと言わざるを得ない安定感を感じました。そして何といってもスペシャルゲスト島田崇史選手がくりだすリターンは一級品であり、幾度となく我々のストレートを抜いていきました。

 

これからノーザンファルコンズとして朝練はもちろん定期的な練習を重ね、試合で結果を残せる部活動になるよう努力していきます。

皆様、応援のほどよろしくお願いいたします。

 

第4回野球肘研究会夏合宿 in 福島に参加して  (齊藤英知)

この度、2015.8.8(土)に福島市で行われた第4回野球肘研究会夏合宿 in 福島に参加して参りました。秋田県からは、私が座長を務めたセッションもありましたし、秋田労災病院の関展寿先生がcase discussionの発表がありました。また、Akita Sports Arthroscopy Knee Group (ASAKG)からは、市立大森病院から嘉川貴之先生、市立横手病院から大内賢太郎先生、南秋田整形外科から杉村祐介先生が参加しました。今回のテーマは、「野球肘の診断とリハビリテーション」ということで、最新の動作解析の紹介から、数多くのプロ野球選手を診療されている菅谷啓之先生、山崎哲也先生のご講演や、岩堀祐介先生、古島弘三先生、島村安則先生など野球肘領域では日本のトップが肩を並べてご講演を頂きました。また、数多くのプロ野球選手の診療にあたっているPTの先生方のさまざまな手技療法の世界も垣間見ることができ、開始9時、終了19時と長時間にわたる合宿でしたが、非常に有意義で得るものの多い時間となりました。また、懇親会でも日本のTOPの先生がたと多くのお話をすることができ、感謝しております。本会を務めていただいた、福島県立医大の大歳憲一先生、本当にありがとうございました。さて、第5回野球肘研究会夏合宿は、2016.7.23(土)に秋田市アルヴェで行われます。私が当番幹事となりました。みなさまもご参加して頂きまして、最新の野球肘や投球障害の知見を得て頂けますことを心よりお願い申しあげます。積極的なご参加を心よりお待ち申しあげます。

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日本骨粗鬆症学会主催 若手サマーセミナー2015に参加しました (益谷法光)

この度、宮腰尚久准教授の御高配により8月1日〜2日に幕張で開催された「若手サマーセミナー2015」に参加させていただきました。この会は若手研究者に向けて臨床研究のデザインや実際、論文作成のノウハウについてグループワーク形式で行うもので。慶応義塾大学の岩本潤先生を中心に沢山の先生方から臨床研究や論文投稿のコツなど幅広く丁寧にご指導いただく、貴重で濃密な二日間でした。

大学からは自分が、羽後病院から木下先生が参加し、会場となった幕張では熱中症で十数人が搬送されていたようですが、我々のグループワークもそれに負けないほどの熱気で2日間の日程を行いました。

東京大学22世紀医療センター吉村典子先生から実践的な疫学研究について貴重なお話をいただき、秋田大学で毎年行っている阿仁検診にも応用できることが多くありました。藤田保健衛生大学の鈴木敦詞先生からは論文の投稿から採択までというテーマでお話をいただきました。学会発表と論文発表の違いから実際に投稿するときに注意すべき点について、非常に参考になるお話が聞けました。そのほかにも様々な内容についてそれぞれ第一線でご活躍されている先生方から大変ためになるお話をいただき、消化不良一歩手前ではありましたが大変勉強になりました。

「臨床研究をデザインする」というグループワークでは「ビタミンD」をテーマに各グループで臨床研究をデザインするということを行いました。自分のグループでは「BP製剤で治療中の閉経後骨粗鬆症患者に対するエルデカルシトールの安全性と効果の検討」という臨床研究をデザインし、賞をいただきました。木下先生のグループも優秀賞を獲得しており、日頃からご指導いただいている成果を発揮できたと思います。

 

今回、このような貴重な会へ参加させていただきました宮腰尚久准教授、スライド添削をお忙しい中ご指導いただきました粕川雄司講師、またA-boneの諸先生方へ深く感謝を申し上げます。

またいつも一流の仕事を積極的に体験することの重要性をご指導いただいております島田洋一教授へも深く感謝いたします。

工藤大輔先生結婚式 (木村竜太)

7月25日(土)、当教室の若手筆頭、工藤大輔先生の結婚式が盛大に執り行われました。

奥様は当院脳外科医ということもあり、整形外科と脳神経外科合わせて50人以上が参加されました。

島田教授からは「工藤の結婚式をぶち壊すぞ」と気合を入れられて臨んだ式でしたが、始まってみると・・・本当に素晴らしい結婚式でした。美男美女、さらに仕事も文句のつけようのない先生方ですが、それ以上に「お二人の人柄」が結婚式の雰囲気そのものでした。

参加者全員、最初から最後まで笑顔の絶えない素敵な式になりました。

工藤先生、絵里奈先生、おめでとうございます!!

 

追記:整形外科結婚式名物!?ノーザンネイキッズこと裸参り部も参加し、工藤先生を奉納させていただきました。次はあの御方の式ですかね。

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2015 朝野球 (河野哲也)

今年度も、杉村キャプテンの元朝野球に参加しました。

朝野球についてはご存知の方も多いかと思いますが、おさらいです。

医学部グラウンドでam6時過ぎより始まる野球大会で、医局・部活単位で参加し、鎬を削る大会です。

我がノーザンデーモンズは、昨年準優勝している強豪です!医局員に加え、今年も病棟の垣根を越え,看護師さんが加勢してくださいました。

予選リーグでは,危なげない試合運びで3勝1分けと予選2位で決勝トーナメント進出。決勝トーナメントでは,軟式テニス部との対戦。最終回2死まで,大差で負けていましたが、ここから逆襲が始まりました。安打、相手のエラーなどが重なり、あれよあれよと言う間に1点差まで攻め立て、誰もが「ルー○ベルトゲーム」を思い浮かべたのではないでしょうか!?

そして、わたくし河野に打席が、、、。結果は三振、ゲームセット。。。無念です。

今年はベスト4となりましたが、来年も優勝を目指し出場したいと思います。

先生方、看護師の皆様方、来年もよろしくお願い致します!

 

予選リーグ

3-1 対 泌尿器科 勝利

6-3 対 バトミントン部 勝利

3-3 対 陸上部 引き分け

8-2 対 バレー部 勝利

 

決勝トーナメント

6-7 対 軟式テニス部 敗退

朝野球

第33回日本骨代謝学会学術集会(粕川雄司)

平成27年7月23日~25日に東京で「第33回日本骨代謝学会」が開催されました.骨・軟骨代謝の基礎的研究から骨粗鬆症の臨床的な研究まで,幅広いテーマが取り上げられている学会です.臨床に関しては,日本整形外科学会,日本内分泌学会・日本リウマチ学会との合同シンポジウムが開催され,骨・軟骨代謝とそれぞれの分野の疾患との関連についてディスカッションが行われました.

今回この学会で佐々木 聡先生が,学会の機関誌であるJBMMの論文賞を受賞されました.受賞された論文は,「Low-energy diaphyseal femoral fractures associated with bisphosphonate use and sever curved demur: a case series」です.大腿骨の弯曲とビスホスホネート製剤の使用が,大腿骨の非定型骨折と関連することをまとめたもので,米国骨代謝学会(ASBMR)の非定型大腿骨骨折に関するコメントにも引用されています.日本や海外から多くの骨代謝に関する論文が投稿される雑誌で,論文賞を受賞されたことは大変喜ばしいことと思いました.佐々木 聡先生,おめでとうございます.

また,日本骨代謝学会と日本整形外科学会との合同シンポジウムでは,宮腰尚久准教授が「骨粗鬆症性脊椎病変の病態と治療戦略」と題し,骨粗鬆症による脊柱変形と転倒や消化器症状の関連とその治療についてご講演されました.このシンポジウムでは,骨代謝と関節リウマチ,骨折,後縦靭帯骨化症,腫瘍についての関連,軟骨再生の現状や将来展望についての討論がされていました.

教室からは,野坂光司先生,土江博幸先生,木下隼人先生と粕川がポスター演題で発表しました.これからも,骨代謝・骨粗鬆症の研究を継続できるように頑張っていきたいと思います.

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留学便り14 (木島泰明)

2015年の5月から6月まで、フランス・リヨンのLyon-Ortho-Clinicで研修させていただきました木島泰明です。今回は、Nicolas Bonin先生の股関節鏡手術についてレポートしたいと思います。(6月の終わりに半年ぶりに帰国し、7月からは秋田の現場に復帰させて頂いておりますが、5月以降のことに関するレポートがまだでしたので引き続き留学だよりを発行させて頂きます。)

初日は朝9時にLyon Ortho Clinicのオフィスで待ち合わせ。行くと、フランス語を話すスイス人のフェローもその日から6ヵ月の予定で研修に来ていました。診察室を兼ねた自分の部屋で外来をやり、別の部屋の秘書さんが外来や入院・手術の予約の管理をするというスタイルはパリのNogier先生と同じ。月曜と水曜が外来日で、火曜と木曜が手術日、金曜日は自分の仕事をする日とのこと。外来でのスタイルはジーンズにワイシャツでしたが、Nogier先生と違うのは白衣を着るところです。

手術室への1件目の患者さんの入室は、秋田のJT整形と同じ朝7時。1日5-6件、多い日は7-8件の手術を行っています。ほとんどは股関節鏡手術やプライマリーの人工股関節置換術(THA)ですが、人工股関節の再置換手術や臼蓋棚形成術など、股関節鏡手術やプライマリーTHA以外の手術がある日は少な目に組むようです。

背の高い男性の専属看護師2名を雇っているようで、いつもはその2名とBonin先生の3人で手術をされているようですが、僕の研修期間中は、スイスからの研修の先生と交代で手洗いさせて頂きました。  Center Edge (CE)角が10度前後の寛骨臼形成不全で20代くらいの若い患者さんに対しては仰臥位での棚形成術を行っていました。1例しか見られませんでしたが、AHRG会長に比べれば小ぶりな棚をT型のプレートで固定しており、2本のロフストランド杖は持たせていましたが、術直後から荷重は許可していました。ただAHRG会長と同じだったのは、海綿骨を骨頭側に向けて設置していました!「カーブが合うからね」だそうです!

今回、見ることはできませんでしたが、大腿骨頭の骨軟骨損傷に対してのモザイクプラスティも時々行っており、成績も良いとのことでした。切除するべきCamの位置から骨軟骨柱をグラフトとして採取するのだそうです。

円靭帯の周りの炎症性滑膜だけしか有意な所見がなかった患者さんもいらっしゃり、術後1ヵ月は痛みなく経過は良かったものの、3ヵ月で痛みが再燃してしまったようです。このように「メカニカルな症状」(動作時痛、他動運動時痛)ではなく、関節鏡視下の滑膜切除をしても再燃してくるような股関節痛の場合にはリウマトロジストに紹介して抗炎症的な治療、具体的にはステロイド関節注射や内服薬投与などを受けてもらう、とおっしゃっていました。

ちなみに、股関節のAnterior impingement signは屈曲・内旋で股関節痛が出るかどうかをみるものですが、「関節水腫になっているような症例ではどの方向に動かしても痛いよね」とおっしゃっていました。確かにそうですよね。chondromatosisなどでもそのようです。chondromatosisではposterolateral portalも必要なことが多いのでカプセルの切開も大きくなるものの、術後はむしろ固くなることが多いのでカプセル縫合は行わないとのことです。再発例も少なからずあるので、毎年MRIでチェックしているとおっしゃっていました。

診断には単純X線写真を重要視されており、寛骨臼側はCE角とVertical Center Anterior margin (VCA)角、Acetabular roof obliquity (ARO)を、大腿骨側はαアングルを必ずチェックしていました。さらに単純X線写真で分かる場合には、下前腸骨棘(AIIS)の位置もチェックし、acetabular edgeよりもAIISが遠位であればグレード3としてインピンジメントのリスクと評価しています。

またCTやMRIで寛骨臼が完全に後ろ開きでなくても、単純X線写真でcross over sign (COS)やprominence of the ischial spine (PRIS) signがあれば機能的あるいは相対的レトロヴァージョンがあり、pincerのリスクと判断されていました。

そして、Anterior impingement signが陽性で、上記のインデックスでpincerやCamを示唆する所見があれば、関節唇損傷がはっきりしなくても股関節鏡手術の適応とされております。実際にそういった患者さんのほとんどに関節唇損傷を認めますし、関節唇損傷の程度がごく軽く、縫合するほどのインスタビリティがない場合でも、しっかりCamを削るだけで症状が取れるとのことでした。

詳しい検査としては、Nogier先生と同じく、関節造影MRIではなく関節造影CTでの所見をしっかり見ていました。これはフランスのラディオロジストが主に関節造影CTを撮影して、患者さんが持ってくるためです。αアングルのチェックもCTの頸部に沿ったスライス(特に近位)で行うのが一番良いと話されていました。関節造影CTでは造影剤のノリで軟骨表面も見えるため、軟骨損傷がないかどうかも注意してみています。同様に、正常な関節唇はその表面が造影剤で追えますが、関節唇が見えず骨性の臼蓋縁のみのように見えるときは、関節唇の消失、または関節唇の骨化と判断していました。「関節唇の骨化は関節唇再建のいい適応だけど、なかなか手技的に難しく、臨床的には骨化の切除だけでもかなり成績は良い」と話されています。前方のインピンジメントがある場合、後方の軟骨損傷が起きることも多いようで、これはcontrecoup lesionと呼ばれています。この軟骨損傷が非常に大きい場合には、もはや股関節鏡での対応は難しく、年齢にも寄りますがTHAを勧めるケースもありました。

Herniation pitなどもCTでよく観察できます。Herniation pitはpincerメカニズムで生じる所見(もちろん病的意義がない同部の骨嚢胞もよくあることは指摘されています)、また、delaminationはCamによる損傷と考えられています。軟骨のdelaminationは鏡視下でプロービングしたときのwave signとして観察されます。

ときどきラディオロジストの好みで、患者さんがMRIを撮られていることもあり、そういう場合にはintensity changeのほかに円靭帯の有無も確認されていました。

画像上インスタビリティ(dysplasia)やインピンジメントが疑われないケースなどでは特にハイパーラキシティのチェックもしっかりと行っていました。股関節のラキシティが原因で関節唇損傷をきたすケースもあるようです。さらにラキシティも骨性のインピンジメントも疑われないケースでもダンスなど足を高く上げるようなスポーツをやっている方では関節唇損傷による痛みが取れない可能性があるようです。

CE角が15度から25度くらいの、いわゆるborderline dysplasiaの症例の関節唇損傷で、関節唇縫合しても症状が1年くらいで再燃し、仕方なくデブリしたもののすっきりせず、3回目の手術で棚形成をしたところ痛みがすっかり取れたという患者さんも外来受診されていました。ただ実際はそのようなケースは稀なようなので、まずは鏡視下の関節唇修復のみを行い、症状が取れない場合には臼蓋棚形成術を追加で行うという考え方でもいいのかもしれません(もちろん患者さんとの話し合いが重要ですが)。

Borderline dysplasiaでCamは明らか、でも関節唇損傷ははっきりしない、だけどAnterior impingement signが陽性、という患者さんもいて、そういう場合は、実際の手術ではCamの切除のみになることがあるのですが、それだけでも症状は取れているようでした。いかにCam切除が重要か、ということでしょうか。

やはりこの分野、診断や手術適応が難しいのですが、Bonin先生のところでたくさん患者さんを見せてもらったことで、かなり勉強になりました。それでは、Bonin先生の実際の股関節鏡手技のご紹介もしたいと思います。

 

まずは、足背にゼリー状のクッションを当てて、それを包帯で止めてから牽引台のブーツを装着していました。パリのNogier先生はPeripheral firstアプローチを用いていましたが、Bonin先生は、僕が産業医大の内田先生から教えて頂いたCentral firstアプローチを用いています。これは最初にまず牽引をして、大腿骨頭と寛骨臼の間にまずカメラを入れてしまう方法です。ただしBonin先生は手洗いをする前に一旦牽引して透視をみて、ポータルの位置と刺入角度を確認したら、あとは透視を片づけてしまいブラインドでCentral partを穿刺していました。牽引も、軽く徒手的に牽引した後で、牽引台のくるくる回すほうの牽引装置でだいたい20回転くらい牽引し、マーキングしたら20回転戻し、刺入する前に再び外回り看護師さんに20回回して、と言って牽引してもらう、という方法を取っています。この方法を用いれば、透視がなくても牽引の程度の再現性が得られるとてもいい方法だと感じました。また、足部だけに牽引負荷がかからないように膝上から牽引ブーツまで縦にテープを張り、牽引負荷が分散するような工夫もされていました。

最初のポータルの位置も我々の方法とほぼ同じですが、牽引したときにまっすぐ(患者さんに直角に、つまり遠位にも近位にも傾けなくていい位置から)central partに入るような位置というのはNogier先生と同じです。大転子の最近位部のちょっと内側のソフトスポットあたりだそうです。Central partに向かうには若干後方に傾ける方向になることが多いようです。セカンドポータルの位置は上前腸骨棘からパテラ中央に下したラインより2横指くらい外側で、ファーストポータルから4横指位の位置とのことで、これもいわゆるMid-Anterior portalの位置とほぼ同じか、やや近位の位置に来ます。まずエアで(還流液を入れないで)鏡視というのも一緒です。ちゃんと関節内にニードルが入っているかどうかの確認のためにシリンジで生食を関注することもありましたが、その場合には浣腸器で関注した水を吸引して抜いてでもまずはエアで鏡視していました。

関節包はポータル間を切開していますが、dysplasia(CE角25度以下)の症例以外は最後に関節包縫合は行っていません。初めにニードルを刺入したら、ニードルに通して細いガイドワイヤーを挿入し、次にスイッチングロッドをガイドワイヤーに通して刺入することで関節包の穴を大きくしていました。この時にはけっこう抵抗があるので、スイッチングロッドホルダーを使用しています(ストライカーのものは黒いボックス型、スミス&ネフューのものはT字型、これがあると便利です)。次いで、ガイドワイヤーを抜き、スイッチングロッドに通して、径4.5mmの金属カニューラを挿入し、カメラを入れます。

同様に2番目のポータルを鏡視しながら作成しますが、この時はスイッチングロッドに通して、径5.5mmと太めの金属カニューラを入れます。ただ5.5mmの金属カニューラは関節包を貫きにくいので、関節包の手前で止めておき、スイッチングロッドを抜いた後に、そのカニューラを通して慎重にビーバーメスを刺入して、メスで関節包を切開したあとで5.5 mmのカニューラを関節内まで進めていました。そして、カメラをスイッチして1番目のポータルが関節唇を貫いていないことを確認したのちに、1番目のポータルからメスを入れ、ポータル間の関節包を切開。その後で、1番目のポータルの方も5.5 mmカニューラに入れ替えます。そして、ここが味噌だと思うのですが、5.5mmカニューラを通してシェーバーを入れます!(ちょっと強引ですが、実際にはシェーバーを入れながら、金属カニューラを抜き気味にして、シェーバーの根本まで下げます)。シェーバーを抜くときは逆に金属カニューラを関節内に入れるようにしてシェーバーを引っ張る。アブレーダーは通らないですが、RFプローブやアンカー刺入の道具、アースロピアスやノットプッシャーもこの5.5mmのカニューラを通るので、ヘラを使わなくても道具の出し入れがスムーズで、縫合までこのカニューラで行けます!縫合はラッソーループなどは使わずにシンプルなマットレススーチャーを使用していました。カニューラの手前でピアスで1本糸をつかみ、そのままカニューラを通して関節唇を貫いてる間に、助手がもう1本の糸にノットプッシャーを通してモスキートを付けておく。これで軸糸がどちらになるかも迷わずに縫えます。

カメラや股関節鏡用デバイスはスミス&ネフューとストライカーの両方を使用していました。極力RFプローブは使わないようにされているとのことで、recessの郭清もシェーバーのみで、そんなに徹底しては行わず、シェーバーで臼蓋縁の骨が触れられるくらいになった段階でアブレーダーにスイッチしています。AIISの位置を中心に、内側は腸腰筋ノッチまでの範囲でacetabuloplastyを行うと話されていました。関節唇縫合に使用するアンカーはスミス&ネフューのもので、一番いい位置にまず挿入し、1個ずつ縫合しています。ノンスライディングノットで4回結んでいましたが、3回同じ方向に結び、4回目で逆にしていました。そして1個のアンカーで縫ったら、関節唇のスタビリティーをその都度確認し、OKなら終了。足りなければもう1個アンカーを追加、というように極力少数のアンカーで済むように縫合しています(だいたい1個か2個のアンカーで充分なスタビリティーを得られています)。関節唇を縫合したら牽引を解除するので、1-2個の縫合なら牽引時間も短くて済みます。

ついで、Camの切除へ。Camの切除はまず伸展・内旋位のままMid Anterior portalからの鏡視で Antero-lateral portalから外側のCam(Superior Cam)を削ります。関節唇からアブレーダー2個分くらい離れたあたりから、骨頭の球面の状態を確認しながら、球面状のカーブでなくフラットになっていればそこはCamと判断して削っていきます。もちろん、Bumpになっていれば当然削ります。ですのでSuperior Camは、場合によっては伸展位でも関節唇のすぐ脇から削るような形になるケースもあります。

次にカメラをスイッチして、前方のCam(Anterior Cam)を削ります。この時は股関節を45度以上屈曲させた状態で、関節唇のすぐ脇のところから削り始めていました。最後にSuperior CamとAnterior Camの間が残るので、そこを充分にチェックしつつ、ノーマルネックの谷までなだらかに削っています。ときどきCam側が肩のHill-Sachs lesionのように潰れていたり軟骨損傷があったりするケースもありました。

股関節鏡手術は大抵がデイサージェリーで、手術当日から歩かせて、帰れそうなら同日に帰宅します。なので、術直後から理学療法士が介入し、帰宅後の生活に対する指導を行います。具体的には、3週間くらいは一応、ロフストランド杖を持ってもらう(最初は2本)ことと、深屈曲だけは避けるように指導しているようです。荷重制限は行っていませんでした。

昔、肩の先生でbiceps killerと呼ばれる先生がフランスにいたそうですが、今でもフランスでは二頭筋長頭腱炎ではためらわずに二頭筋長頭を切離しています。それと同様に自分はpsoas killerかもしれない、とBonin先生はおっしゃっていました。Nogier先生のところにも腸腰筋腱の痛みの方が結構いらしていましたが、Bonin先生もそういう方には腱切離を鏡視下に行っています。Nogier先生は関節内で切離していましたが、Bonin先生は小転子部で切離します。最初に透視を見ながらカメラと鉗子を小転子の頂点まで、腸腰筋の下をくぐるようにして骨に沿って持っていき、そこでカメラを見ると上に腸腰筋腱が見えるので、そのままRFプローブでバッサリです。5分程度で手術は終了し、術後はしっかりストレッチを指導するとのことでした。時々、術後に足を挙げにくい方がいるようですが1ヵ月もすればしっかり挙げられるようになるとのことです。この手術はTHA後のpsoas impingement などで何年も苦しんでいる患者さんが一瞬で良くなるのですごいよ!と何度も話されていました。ちなみによくあるスポーツ選手の内転筋腱の痛みもなかなか取れない時は切っちゃうようです。鏡視下腸腰筋切離のポータルはMid-anterior portalとproximal mid-anterior portalの2つで、外旋位にするのがポイントのようです。

またNogier先生と同じように大転子部でのスナッピングヒップの症例に対しては、鏡視下に腸脛靭帯を切除するという手術も行っておりました。Nogier先生は楕円形に大きく切除されていましたが、Bonin先生は後方に凸の三角に切除するのが良いとおっしゃっています。あまり引っかからない前方の繊維は残すようにしているようです。

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↑ 病院の外観です。

 

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Bonin先生たちが開業したのはLyon-Ortho-Clinicですが、隣のClinique de la Sauvegardeの病棟と手術室を他科の先生たちと共同で使っています。

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↑棚形成の中の透視画像と使用しているT型プレート。

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↑股関節鏡時の牽引。足部だけに牽引力がかからないように。

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↑小転子部での鏡視下腸腰筋切離。

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↑ISAKOS期間中には産業医大・内田宗志先生たちが手術見学に来てくださいました。