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第46回日本マイクロサージャリー学会学術集会に参加しました(野坂光司)

第46回日本マイクロサージャリー学会学術集会(2020年11月28~29日,ハイアットリージェンシー東京),パネルディスカッション「長管骨偽関節に対する再建」にパネリストとして参加してまいりました.市立奈良病院整形外科 矢島弘嗣先生,帝京大学整形外科 渡部欣忍先生の司会のもと,血管柄付き骨移植術,Masquelet法,Bone transportについて議論いたしました.巨大な第1会場が満員となり,この組織再建に対する参加者の関心の高さを感じました.パネリストは,それぞれの長所,短所,実際の症例について詳しく解説され,私自身,大変知識の整理になりました.マイクロサージェリー学会ではありますが,Ilizarov創外固定によるBone transportの重要性も,会場のみんなに深く理解されていることが伝わってくる内容でした.フロアでAkita Hand Group&Akita Ilizarov Method Group期待の星,益谷法光先生が熱心にメモを取っている姿が印象的でした.益谷先生はじめ,秋田大学の若手がIlizarovとMicrosurgeryを融合させ,全国にアピールしてくれる日が,そう遠くない将来に来ることを確信しました.

世の中には血管柄付き骨移植術やMasquelet法の不成功例がたくさんおり,特に血管柄付き骨移植術の不成功例は,それ以上粘ることなく,切断を選択されることが多くあります.救肢が困難と思われる難治例でも,時間をかけて,IlizarovによるBone transportで最後の最後まで救肢を目指せることを今後も地道に伝えていきたいと思います.

第9回秋田県骨粗鬆症学術セミナー (阿部和伸)

初雪が降り、冬将軍の到来を目前に控える2019年11月23日、「第9回秋田県骨粗鬆症学術セミナー」が秋田ビューホテルで行われました。

一般演題では、中通総合病院整形外科科長の尾野祐一先生に「アジュバント誘発関節炎ラットの続発性骨粗鬆症と関節炎に対するエルデカルシトールとイバンドロネートの効果」、医療法人久幸会今村記念クリニック院長の田村康樹先生に「血清Ca、iPTH、25(OH)DおよびeGFRの変動から考えるエディロール内服の有用性について」という演題でそれぞれご講演いただきました。尾野先生は大学院で取り組まれた基礎研究、田村先生は日常診療と並行して行われた臨床研究によって得られた貴重な成果を発表してくださいました。

特別講演では熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学講座教授の宮本健史先生をお招きし、「骨粗鬆症の病態の理解に基づく治療法の選択肢」という題でご講演いただきました。骨粗鬆症のメカニズムを深く考察され、そこから新たな治療標的を見出した過程、そしてその結果に基づく治療戦略を学び、大変勉強になりました。骨粗鬆症の病態をしっかり理解し、それぞれの患者さんに合った治療を提供したいと改めて感じました。

今後も日々進歩を続ける骨粗鬆症治療の知識をアップデートし、病態に基づいた最適な治療を行えるよう精進していきたいと思います。

第3回日本リハビリテーション医学会 秋季学術集会(井上純一)

 

2019年11月15日〜11月17日の3日間、第3回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会が静岡で開催されました。本学会はリハビリテーション科のみならず、整形外科を含め、多種多様な科・職種が関わる全国規模の学会です。

秋田大学からも総勢7名が参加しました。2020年6月に京都で日本リハビリテーション医学会学術集会を秋田大学が主幹で開催する予定で、今回は発表の場というだけでなく、準備段階としても非常に重要なものとなりました。

島田洋一教授は特別講演をはじめ、ランチョンセミナー、座長とご活躍されていました。秋田大学の脊椎手術の歴史や動向、リハビリテーションロボットの開発など現在の秋田大学整形外科を全国に発信されていました。講演後は質問も多数あり、活発なご討議となっておりました。

その他、来年の東京パラリンピックに関する内容や再生医療に関するリハビリテーションの内容もあり、最新のトピックを学ぶ非常に良い機会となりました。

学会全体を通して、非常に多くの分野からの発表があり、自分の今後の診療・研究を行う上で、視野を広げることになったと思います。この経験をしっかり活かしていきたいと思います。

整形外科市民公開講座 2019 ロコモティブシンドロームを知ろう!! 〜健康寿命は骨で決まる〜  (河野哲也)

 

2019年11月9日秋田市文化会館小ホールにて,「整形外科市民公開講座 2019 ロコモティブシンドロームを知ろう!!〜健康寿命は骨で決まる〜」が開催されました.

まず,宮腰尚久准教授より「健康寿命と骨」と題して基調講演をいただきました.健康寿命の定義や,平均寿命に対する健康寿命の差が8〜10年あることについてご紹介いただき,健康寿命延伸の妨げとなる原因としては,骨粗鬆症と関連がある慢性疾患が増加してきており,背中が曲がると負の連鎖が生じるため,最初の1個目の骨折を防ぐことが重要であり,セルフチェックの方法としてarm spanについてもご説明いただきました.また,最新の知見として,高齢になってから運動を始めても,運動経験が豊富なアスリートと同程度に筋肉量が増えるという研究結果をご紹介いただき,聴衆の皆さんにとっても今後の運動へのモチベーションになったのではないかと思います.

続いて,秋田テレビ杉卓弥アナウンサーに総合司会を務めていただき,パネルディスカッションが行われました.コーディネーターを,もりた整形外科医院森田裕己先生,秋田大学整形外科 粕川雄司先生,パネリストとして,秋田赤十字病院 石河紀之先生,大曲厚生医療センター 阿部利樹先生,工藤整形外科医院 工藤透先生,いしがき整形外科クリニック 石垣智先生,中通総合病院 佐々木香奈先生に務めていただきました.会の最初に「ロコモを知っている方は?」と会場の皆様に確認した際,9割以上の方が手を挙げており,意識の高さに驚きました.パネルディスカッションでは,ロコモについて,チェック方法,ロコモの対策等についてご説明いただきました.また,会の途中には実際に現役で運動をしていらっしゃるお二方に登壇いただき,運動を継続する秘訣,健康のために意識していることなどについて,お話いただき,大変盛り上がりました.

2000年から始まった本回は,今回で第25回となります.今後秋田県はさらなる高齢化が予想されます.この市民公開講座が,1人でも多くの方がロコモティブシンドロームを理解され,健康で生き生きとして生活が送れるようなお手伝いとなれば幸いです.最後に,この場をお借りしましてご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます.

第53回日本側彎症学会(本郷道生)

このたび群馬県高崎市で11月8日~9日に開催された『第53回日本側彎症学会学術集会』に参加しました.学会長は榛名荘病院 群馬脊椎脊髄病センター長の清水敬親先生が務められました.学会テーマは,“全脊椎を様々な角度から眺めてみよう!”で,小児・成人・頚椎の3本柱を軸にした講演,シンポジウム,セッションが組み合わされたプログラムでした.この3本柱のそれぞれの国内外のエキスパートによるご講演や,総演題数204題の発表があり,また学会のpre meeting sessionとして乳幼児症例検討会も開催されました.秋田からは,宮腰尚久准教授,秋田厚生医療センターの小林孝先生,医療療育センターの三澤晶子先生と私の計4名が参加しました.

5つのシンポジウムが組まれ,英語シンポジウム「脆弱骨への対応」では宮腰准教授が,「骨脆弱性を有する脊椎のマネージメントにおける未解決の問題」と題してご講演し,国内外のエキスパートとの英語でのディスカッションで,脆弱骨への技術的な対策から薬物治療まで,まさにメインテーマに沿った多角的な議論がなされていました.また,三澤先生がシンポジウム「これからの側弯症健診と健診システム」で,「側弯症検診のこれから~運動器検診の問題点」として,秋田県の現状を踏まえた検診のあり方を述べ,ディスカッションでは様々な意見が出されて熱い議論となりました.私は背筋運動療法による2年以上経過観察例のX線計測結果についてポスター発表しました.他には,世界のエキスパートによるWorld Symposium,頚椎変形,成人脊柱変形のシンポジウムでは最先端の研究の発表があり,その間でセミナー,一般演題,ポスターセッションが組まれ,随所に学会長の清水先生の工夫がみられる内容の濃い学会でした.

学会場であるビエント高崎は,広々としつつコンパクトにまとまり,またアクセスも良くて学会に集中できる快適な環境でした.また全員懇親会では,榛名荘病院スタッフや,事務局として学会を仕切る榛名荘病院の井野正剛先生(大曲厚生医療センター,井野剛志先生のお父様)みずから,オールブラックスのハカの余興が披露され大変な盛り上がりをみせ,おもてなしの気持ちが伝わる素晴らしい学会でした.

日本側弯症学会は長い歴史があり,年々演題数も増えて規模も大きく内容も多岐に渡ってきており,今後秋田からもさらに演題を出していけるよう研鑽を深めたいと思います.

第29回日本リウマチ学会 北海道・東北支部学術集会に参加して(三浦隆徳)

2019年11月2日(土)~3日(日)につがる総合病院リウマチ科の浦田幸朋会長のもと青森市で開催された第29回日本リウマチ学会 北海道・東北支部学術集会に参加して参りました。

本学会は、「免疫療法を俯瞰する」というテーマのもと開催され関節リウマチ、膠原病だけでなく、近年自己抗体製剤が開発されている喘息などのアレルギー疾患などについても講演がなされていたのが印象的でした。同門からは柏倉Director、浦山先生、相澤先生、櫻場先生、青沼先生、杉村先生、河野先生、私が発表させて頂き、AORAレジストリーの解析や自施設の経験など多彩な知見を発信してきました。特に、最近AORAで取り組んでいる「漫然と」ステロイド投与しないことを目的とした演題が多く、ステロイドを中止できない症例や、その要因、ステロイド性骨粗鬆症予防治療の推移などの発表は他県の先生方にも十分PRできたのではないかと思われます。

盛会に終わった本会ですが、来年は秋田主幹で開催されるとのことでしたので、臨床知見を蓄えて微力ながら貢献できるように精進していきたいと思いました。

第46回日本股関節学会学術集会に参加して(三浦隆徳)

2019年10月25日(金)~26日(土)に宮崎大学の帖佐悦男教授のもとシーガイアコンベンションセンターで開催された第46回日本股関節学会に参加して参りました。

本学会は、股関節学における新生児から高齢者、障害者・健常者までの幅広い世代、変性疾患、外傷、スポーツ疾患、感染症、骨代謝疾患、先天性疾患、腫瘍など多岐にわたる疾患を対象としており、日常診療のアップデートと普段遭遇することが少ない疾患の見識も深められることが特徴です。

秋田大学からは木島先生が末期変形性股関節症の痛みに関連する画像上の差異について、河野先生がシェーグレン症候群による股関節炎、私がTHA術前内服薬と術後成績の検討について発表して参りました。同門の先生方からは小西先生が豊富なご経験からS-ROMステムの有用性、佐々木研先生が外側大腿皮神経のエコー下深度、岩本先生が大腿骨近位部骨折エリア分類Type3−4の治療成績、長幡先生がTHA後の手術部位感染の予測因子の検討をご発表され、秋田で取り組んでいる多岐に渡る研究内容を討議し非常に有意義な会となりました。

学会で印象に残った内容について紹介致します。招待講演ではFAIやPAOの提唱者であるスイスベルン大学名誉教授のReinhold Ganz先生が“Hip preserving surgery. Where do we come from and where are we today” というタイトルで発表され、世界的な権威の講演に国内の重鎮の先生達が集結していたのが印象的でした。私も講演を拝聴してHip preservation surgeryについて勉強していく必要があると感じました。また近年股関節領域のトピックの1つである、いわゆる鼠径部痛「グロインペイン」について教育研修講演を受講し、受傷かoveruseによる障害かの問診から身体診察でのGroin triangleでわけた鑑別方法、身体所見のとり方が大変勉強になりました。代表疾患であるFAIにおいてもCAMタイプの大腿骨頭変化はスポーツによる骨端線の負荷が要因の1つであることやスポーツでは一輪車、アイスホッケーなど股関節屈曲位をとる競技に多いこと、プロサッカー選手の2/3程度にCAM変形があるなどの興味深い内容がありました。本学会で得た知見をもとに今後も患者様へよりよい医療を提供できるように精進して参りたいと思いました。今後ともご指導ご鞭撻何卒宜しくお願い致します。

第44回日本足の外科学会学術集会地域別研修医セッション優秀賞の報告(原田俊太郎)

この度、9月26・27日に札幌で開催された、第44回日本足の外科学会学術集会にて地域別研修医セッション優秀賞を受賞いたしました(演題名『Pilon骨折感染をIlizarov創外固定で救肢した1例)。今回、初めて全国規模の学会で発表させていただき、無事初受賞することができました。

 

秋田大学整形外科では島田洋一教授、野坂光司先生ご指導の下、重度四肢外傷や外傷後の変形治癒・偽関節等に対するIlizarov創外固定を用いた手術が盛んに施行されています。自分もまだまだ未熟ではありますが、情熱のある指導医の先生方の下日々研鑽を積ませていただいております。Pilon骨折感染という難治症例に対して果敢に立ち向かう姿を見て、「自分もいつかこういう診療をしたい」「こういう整形外科医になりたい」と強く思うようになりました。経験も技術もまだまだ未熟な自分にとって今は遥かな高みかもしれませんが、ご指導いただきつつ一歩一歩邁進していこうと思います。

 

最後に,このような発表の機会を与えて下さった島田洋一教授ならびに野坂光司先生,その他ご協力を賜りました多くの先生方に,厚く御礼申し上げます。

日本骨折治療学会 研修会 (野坂光司)

日本骨折治療学会 研修会に講師として参加してまいりました.

今回,リング型創外固定の基礎について,講演と実際のハンズオンでレクチャーしました.リング型創外固定を学びたいと感じている整形外科医は潜在的には非常に多く,全国各地から参加してくれたヤングドクターのやる気はとても高く,たくさんの実践的な質問をいただき,非常に盛り上がりました..

フロアには,実際の臨床現場では,まだリング型創外固定を使用したことがないというヤングドクターもまだまだ多く,リング型創外固定の普及のために,私自身が,創外固定手術の適切な保険収載に向けた日本骨折治療学会社会保険委員としての地道な活動と,正しいリング型創外固定手技の伝承を続けていかなければならないと決意を新たにいたしました.貴重な機会を下さった関係各位には心より御礼申し上げます.