2016年6月19日に東京で開催されました健康寿命講座2016に出席致しました.
Sessionはスポーツ関連,サルコペニア関連,宇宙実験と運動器,ビスフォスフォネート製剤関連の4題でした.
スポーツ整形外科的メディカルチェックに関して,東芝病院整形外科,増島篤先生から御講演がありました.メディカルチェックの定義から,オリンピック帯同の経験,東京オリンピックにむけての展望などについて分かりやすく御教授頂きました.
高齢者のサルコペニアと転倒・骨折に関して,東京大学老年化,小川澄人先生からの御講演では,高齢者のフレイルや転倒リスク,骨格筋との関連性について御教授頂きました.御講演の中で当科宮腰尚久准教授のサルコペニアに関する報告が引用されており,当科での研究が注目されていることを改めて確認できました.
宇宙実験からわかった運動器(おもに筋)の心機能:重力センサとしての働きと題して徳島大 医歯薬学研究部,二川健先生が御講演されました.無重力状態での筋萎縮の原因の一つとして増殖因子のレセプタや関連タンパクを特異的にユビキチン化(筋萎縮の方向に向かわせる)する,Cbl-b酵素が増加していることを御教授頂きました.その酵素は重力センサとしても働いている可能性があり,現在このCbl-b阻害剤を開発中で筋萎縮を予防しようとする試みが行われているそうで,今後ねたきりでの筋萎縮についても応用可能であることを示されておりました.
アレンドロネートNow and the Futureと題して,近畿大学医学部奈良病院整形外科,宗圓聡先生が御講演されました.ビスホスホネート製剤の草分けであるアレンドロネートのUp-to-dateについて分かりやすく御講演頂きました.歴史があるだけ様々なエビデンスがあり,今後も骨粗鬆症治療において重要な役割を果たしてくる薬剤であることを勉強しました.
整形外科のみならず,様々な科の先生が多数参加されており,内容も多岐にわたっており非常に勉強になる会でした.近年,RA,骨粗鬆症領域のみならず,筋骨関連の運動器疾患全体について他科からの注目が集まっており,整形外科の役割の大きさが強まってきた印象を受けました.今後の研究・診療に役立て研鑽していきたいと思います.
秋田大学大学院医学専攻機能展開医学系整形外科学講座
秋田大学医学部付属病院 リハビリテーション科
斉藤公男