第54 回秋田県脊椎脊髄病研究会 (粕川雄司)

 

2017年3月11日土曜日秋田県JAビルにおいて第54回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。今回の当番幹事は秋田厚生医療センターの菊池一馬先生が務められ、特別講演の講師に名城病院 整形外科 部長の辻 太一先生と、岐阜市民病院 整形外科 部長の宮本 敬先生をお招きしました。

7回目となった研修医・若手整形外科医のための脊椎外科基礎講座では、秋田赤十字病院の鈴木哲哉先生が座長で、1.覚えておきたい脊椎疾患として、1) 秋田厚生医療センターの小林 孝先生から神経筋疾患・炎症性疾患について、2)湖東厚生病院の鵜木栄樹先生より仙腸関節障害についてレクチャーいただき、2.最小侵襲脊椎手術(MISS)について、1)除圧術に関して秋田大学の工藤大輔先生から、2)固定術について秋田厚生医療センターの阿部利樹先生からご講演いただきました。当番幹事の菊池一馬先生が若手の先生方に興味のある話題についてアンケートを行い、希望が多かったテーマについて各先生方から大変わかりやすくお話しいただきました。

ミニレクチャーは、宮腰尚久准教授の座長で菊池一馬先生より「PLIFのラーニングカーブ-これまでの経験-」と題して、PLIF手術執刀例の手術時間と出血量に関する変化を詳細にご講演いただき、術式の変遷や今後の展望も含めて勉強になりました。

一般演題は、秋田赤十字病院の石河紀之先生が座長で4題の発表がありました。秋田厚生医療センターの井上純一先生は「胸髄Arachnoid webの1例」、秋田大学の尾野祐一先生は「ハローベストにより治療した神経線維腫症に伴う慢性環軸椎回旋位固定の1例」、秋田大学の鈴木真純先生は「機械弁置換術後抗凝固療法中の頚椎硬膜外血腫の1例」、秋田労災病院の佐々木寛先生は「当科でのOLIF-導入時からの短期成績-」でした。すべての演題とも大変興味深い発表でしたが、その中から鈴木真純先生が最優秀演題賞を受賞されました。おめでとうございます!4月から新しい勤務先でますますご活躍されますことを祈念しています。

特別講演1では、辻 太一先生から「脊柱変形治療の悩みどころ-小児から成人まで-」というご講演を頂きました。数多くの難しい脊柱変形患者さんの治療を実際に行っている先生のお話しは、大変勉強になりました。特に、一人一人の患者さんについてどのように治療するか、それに伴い生じた問題点を解決するため、先生が考え悩んでいることがとても印象に残りました。特別講演2では、宮本 敬先生から「脊椎前方手術の轍(わだち)の認識、回避、克服」と題したご講演を頂きました。岐阜と秋田とのかかわりから、秋田では比較的手術数が少ない前方手術について、そのピットフォールを楽しいお話しとわかりやすい画像・動画でお話しいただきました。前方手術の轍をいろいろ知ることができ、身が引き締まるご講演でした。3月のお忙しい時期に、遠路はるばる秋田までお越しいただいたお二人の先生方に心より感謝申し上げます。今後とも、ご指導よろしくお願いいたします。

本研究会は、今回で54回を迎え役員の改選が行われました。会発足より会長をお務めいただいた阿部栄二先生がご退任され、宮腰尚久准教授が会長にご就任されました。さらに小林 孝先生が副会長、奥山幸一郎先生と鈴木哲哉先生が常任幹事にご就任されました。今後ますます研究会が発展し、若手の先生方にとっても有意義な研究会となるように頑張っていければと感じました。当日、ご参加いただいた先生方ありがとうございました。これからも、よろしくお願いいたします。