6月9、10日、新潟大学教授遠藤直人先生を会長として、新潟市の朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターにて第114回東北整形災害外科学会が開かれました。今回、秋田からはシンポジウム、学生セッションを含む17演題が採択され、分野別では外傷、脊椎、膝、足、リウマチ、小児など、多岐にわたる発表がありました。また、野坂光司先生によるハンズオンセミナー「Pilon骨折に対するILIZAROV創外固定による治療~MATILDA法の有用性~」も開催され、秋田の勢いを感じることができました。本学会の特徴の1つに挙げられる、例年以上に多い外傷セッションは、若手整形外科医にとって非常によい刺激となりました。
6月9日にはシンポジウムが2つ設けられており、1つが「小児下肢骨折・骨端線損傷の治療」というテーマで、もう1つは「若手整形外科医による整形外科関連外傷治療への取り組み:外傷治療の標準化とネットワーク構築」というテーマでした。いずれのシンポジウムも秋田を代表して益谷法光先生が発表されました。1つ目のシンポジウムでは「小児大腿骨骨折における治療方法の選択」と題し、具体的な症例を提示しながら手術方法を中心とした治療方法について発表されていました。小児下肢骨折の基本は保存療法とされながらも、早期社会復帰を目的としたEnder釘による低侵襲手術の方法や、基礎疾患のために骨脆弱性を有する症例に対するIlizarov創外固定による治療方法などをご提示いただきました。一律して保存療法を選択するのではなく、各症例の背景も考慮した治療戦略が求められているのだと感じました。2つ目のシンポジウムでは「秋田県におけるIlizarovとmicroの融合を目指した外傷治療への取り組み」と題し、秋田県の外傷治療の歴史と今後の展望をわかりやすくまとめて発表されていました。島田洋一教授が秋田県にIlizarov創外固定という強力な武器を導入していただいたことで、秋田県の外傷治療は再スタートすることができたこと、現在野坂光司先生を中心として、様々な重度四肢外傷にも対応することが可能となってきたこと、今後さらなる進化を続けるためにmicroとの融合を図っていることなどを述べられておりました。秋田県における外傷学が全国トップレベルに到達するためには、東北各県とのNetworkを大切にし、お互い高め合う関係を築くことが重要になると感じました。
6月10日に行われた学生セッションでは、秋田県を代表して秋田大学医学部医学科6年の小滝優平君が発表しました。「学生、研修医向けエコーガイド下神経ブロックトレーニングプログラムの試み」と題して、学生、研修医へ向けてのエコー実習の有用性をアンケート結果から考察していました。何週間も前から準備し、直前まで入念に発表練習していたため、本番は実に堂々と発表しておりました。また、同時にその立ち振る舞い方からは持ち前の人柄の良さも滲み出ており、質疑応答の場面では会場を笑いの渦に巻きこんでいました。自分が同じ立場にあったら、こんな大舞台であんなに堂々と発表することまずできません。今回の発表を通して、将来、小滝君が大物の整形外科医になることを確信いたしました。
たった2日間という短い時間でしたが、刺激的であり、とても得るものの多い学会となりました。自分も秋田の地から東北、そして全国へ発信できるような仕事をしていきたいと思います。