H29年9月30日、第66回秋田県整形外科医会が開催されました。
本会では整形外科10年目を境に、一般演題とYoung Doctors Session(Youngの方がプログラム上後になります)にわかれ、最優秀演題賞をめぐり、熱い発表が毎回繰り広げられます。
今回は一般演題6題の中から秋田赤十字病院の湯本聡先生が「機能温存を目指した上肢重度外傷」で受賞されました。県内に三次救急指定は4病院ありますが、特に外傷に関しては秋田赤十字病院が県内の中心になっています。重度外傷に対して積極的な早期固定・軟部被覆、リハビリにより素晴らしい機能回復の症例を多数提示いただきました。
Young Doctors Session 7題の中から木村が「慢性腰痛に対する超音波ガイド下腰神経全後枝ブロックの効果」で受賞させていただきました。下位腰椎の腰神経後枝に対し、局所麻酔量を増やした広範囲のブロックにより腰痛の改善を得ることができることを当科宮腰准教授が報告しておりますが、超音波ガイド下で同結果が得られることを報告しました。
教育研修講演1では順天堂大学医学部静岡病院整形外科准教授,最上敦彦先生から「僕が整形外傷医になった理由〜整形外傷医を志す君へ〜(外傷の疼痛管理を含めて)」と題してご講演いただきました。
本邦屈指のネイラーとしてのご経験を余すことなく、開発されたインプラントや、解剖学的に検討されてベストな髄内釘を選択される方法など、上肢〜下肢全ての髄内釘適応について、手術時の注意点を交えながらご講演いただきました。また、外傷を本格的に取り組まれたのが約10年前とのことですが、本気で取り組めば時間は問題ではない、と力強いアドバイスをいただきました。
教育研修講演2では金沢医科大学整形外科主任教授の川原範夫先生より「脊椎転移癌の治療戦略」と題してご講演いただきました。
感染・骨折との画像鑑別の詳細から、各癌の特徴、治療方針をわかりやすくご説明いただき、さらに実症例を提示いただけたことで、理解が進みました。
解剖学的にHofmann ligamentやlateral root ligamentによる手術時の注意や、病理組織からthyroid carcinomaの場合pseudocapsuleがあることで周囲から剥くようにとれるなど、手術においても基礎と臨床のつながりが重要であることをご教授いただきました。TESの手術動画はとても美しく摘出されており、脊椎外科医としていつか川原先生のような手術をできるようになりたいと思いました。また、クイズ形式の際には、当科脊椎脊髄外科指導医の先生方が指名され答えられる形式もとても新鮮でした。