学会レポート」カテゴリーアーカイブ

第42回日本生体電気・物理刺激研究会に参加して(野坂光司)

3月14日,第42回日本生体電気・物理刺激研究会(会長:東京慈恵会医科大学 丸毛啓史教授)のシンポジウムのため,東京に行ってまいりました.偽関節治療に命をかける自分にとって,とても大切な位置づけの会であります.

今回私が依頼されたお題は『難治性骨折に対するTeriparatideとメカニカルストレスの併用効果』でした.第40回日本生体電気・物理刺激研究会(会長:京都府立医科大学 久保俊一教授)のときに依頼されたお題『骨癒合不全に対するパルス電磁場刺激の効果』も楽しくスライド作りができましたが,今回も大好きな分野なのでスライド作りがとても楽しかったです.

事務局運営は私の尊敬する骨質のスペシャリスト,斎藤充准教授でした.今日は秋田では望先生の世紀の結婚披露宴でしたので,こちらは一人ぼっちの参加でした(望先生,ご結婚本当におめでとうございます(^O^)/).一人で昼飯かとしょんぼりしていたところ,なんと斎藤先生に声をかけていただき,斎藤先生と『サシでお昼ごはん』という夢のような体験をいたしました.いろいろなお話を伺うことができとても楽しかったです.斎藤先生のトーク力の高さがまたすごかったです.お忙しい中本当にありがとうございました.

会場では金沢大学の土屋教授,弘前大学の石橋教授,京都府立医大の金准教授にご挨拶に伺いました.早く名前と顔を一致していただくように,これから頑張って論文を書きたいと思います.発表では第44回の会長の勝見先生と石橋教授に座長をしていただきました.フロアの皆様からは様々なご質問をいただき,身の引き締まる思いでした.神奈川歯科大学の高垣裕子教授からの御指摘は今後しっかり解明していきたいと思います.また金准教授からは大変貴重なご助言をいただきとても勉強になりました.

物理刺激が,骨だけでなく,軟骨,腱,創傷治癒とどんどん研究が進んでいることに大変刺激を受けました.帰ったらまたしっかり頑張ります.

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第6回日本ニューロリハビリテーション学会・The 4th Japan-Korea NeuroRehabilitation Conference報告(柴田暢介)

2015年2月21日と22日の2日間に渡って, 秋田ビューホテルにおいて第6回日本ニューロリハビリテーション学会及びThe 4th Japan-Korea NeuroRehabilitation Conferenceが開催されました. 今回は秋田開催ということで, 医局員・スタッフ一同一丸となり準備にあたりました.

初日の日本ニューロリハビリテーション学会の特別講演1では, 藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座准教授の加賀谷斉先生が, 「摂食嚥下の生理と治療成績」の演題でご講演をしていただきました. 豊富な動画で詳細に解説していただき, 普段嚥下にあまり関わらない整形外科医としては新鮮なご講演でした. なかでも, 選択的に嚥下に関わる筋(舌骨上筋など)を電気刺激して嚥下機能を改善させるという治療は, このようなFESもあるのかと大きな感銘を受けました.

加賀谷斉先生

特別講演2はUniversity of Maryland School of MedicineのProf. Keith McBrideに, “Contemporary Functional Electrical Stimulation in Persons with Stroke” の演題でご講演をいただきました. FESの歴史から学会当日(!)にFDAに認可された新しい機器の紹介まで, 多岐に渡る話をしていただきました.

Prof. Keith McBride;
ランチョンセミナーでは, 札幌医科大学附属病院神経再生医療科教授の本望修先生より「脳梗塞と脊髄損傷の再生医療-医師主導治験による実用化-」の演題でご講演をしていただきました. これは脳梗塞や脊損患者に対して, 腸骨から採取した骨髄から間葉系幹細胞を分離して培養し, 静脈投与することで麻痺が改善していくというものでした. 紹介された症例では投与後わずか3日目より上肢機能の劇的な改善を認めていて, 非常に興味深い内容でした.
本望修先生
シンポジウムでは, 東北大学大学院医学系研究科肢体不自由学分野准教授の田中尚文先生に「骨格筋パルス磁気刺激装置」の演題で, 骨格筋用の安価でコンパクトな磁気刺激装置を紹介していただきました. 当科でも奥寺良弥先生が末梢への磁気刺激を研究されていて, 今後研究を発展させていく際にこの機械があればベッドサイドで磁気刺激が行えるので非常に有用と思いました. また, 国際医療福祉大学病院リハビリテーション科部長の太田喜久夫先生からは, 「同名半盲に対する反復視覚刺激の効果-ニューロモデュレーションの可能性-」の演題で, コンピューターで視野を計測し, その辺縁に反復視覚刺激を加えることで, 視野が広がる症例があったことをご報告されていました. 滋賀県立成人病センターリハビリテーションセンター医療部長の中馬孝容先生からは「脳卒中に対するボツリヌス療法」の演題で, ボツリヌス療法をする際の注意点について詳細なご講演をしていただきました. 解剖学的な知識, 正確な注射はもちろんのこと, 患者へ注射の効果を十分に説明し, 理解してもらうことがいい結果につながるとお話しされていました. 最後に, 藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座助教の平野哲先生からは,「脳卒中片麻痺患者の歩行練習における歩行練習アシストの有用性」の演題で, 歩行練習アシストロボット, Gait Exercise Assist Robot (GEAR)を紹介されていました. 今までは脳卒中片麻痺患者のトレッドミルを用いた歩行訓練は主に長下肢装具を装用していました. しかしこのロボットでは膝関節部にモータを搭載していて,膝伸展や振り出しの補助をすることができます. さらに麻痺肢の荷重を計測する圧センサー, 関節のトルクセンサー, 患者自身が歩きながら歩容を確認できる前面モニタ, など多くのフィードバックを得ることができ, それをもとに補助量を個々の患者に応じて設定することができるというものでした.
また一般演題では当院及び関連施設からも多くの発表があり, 非常に有意義な会となりました.

 

2日目のJapan-Korea NeuroRehabilitation Conferenceでは, 始めに藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座教授の才藤栄一先生より, “Exercise and robotics in neurorehabilitation”の演題で, Balance exercise assist robot (BEAR)や, 前述のGEARの紹介をされました. 招待講演では, 慶應義塾大学医学部整形外科学教授の中村雅也先生より, “Regenerative medicine for spinal cord injury”の演題で肝細胞増殖因子(HGF)やiPS細胞を用いた脊髄損傷に対する再生医療についてご講演いただきました. シンポジウムでは兵庫医科大学リハビリテーション医学教授の道免和久先生よりconstraint-induced movement therapy (CIMT)について, 東京慈恵医科大学附属第三病院リハビリテーション科准教授の角田亘先生からは反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)について, Kyungpook National University Hospital リハビリテーション科教授のYang-Soo Lee先生からは”task-oriented gait training”について, Asan Medical Centerリハビリテーション科教授のCenter Chun Minho先生からは脳梗塞患者に対しての歩行訓練ロボットに関してのご発表をしていただきました. その後の討論でも活発な討論を聞かせていただきました.
ポスター会場では昨日に引き続き多くの発表があり, 2日目も大成功で終えることができました.リハビリテーションは整形外科とは切っても切れない関係にあり, 非常に勉強になった素晴らしい会でした. 整形外科だけでなく, リハビリテーションにも深く関わっていきたいと改めて感じました.
才藤栄一先生

 

 

 

 

中村雅也先生シンポジストの先生方

今回の2日間の学会の成功は学会運営に関わった先生方, スタッフの方々. ご支援いただいた同門の先生方のおかげです, 誠にありがとうございました.

集合写真

お疲れ様でした!

IFESS Annual Conference 2014 帰朝報告(柴田暢介)

IFESS Annual Conference 2014 帰朝報告
お世話になっております、大学院生3年次の柴田暢介です。
今回、9月にマレーシアはクアラルンプールで開催された IFESS(International Functional
Electrical Stimulation Society) Annual Conference 2014 に参加して参りましたので報告しま
す。
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今回の参加メンバーは左から水谷嵩先生、松永俊樹准教授、私の3人でした。某有名人である水谷先生
の奥様はこの写真をみて「信号機トリオ」と言われたそうです。
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今回ほとんど観光はしなかったのですが、一番印象的だったのがこちら、クアラルンプールのランド
マークであるペトロナスツインタワーです。昼間だと普通ですが、
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夜になるとライトアップされて美しくなります。
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忘れてはならない食レポです。
マレーシア料理(マレー料理)は中華・インド・タイ料理の混じった感じの料理でした。こちらは水谷
先生が調べてくれたお店で、
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肉骨茶(バクテー)という豚肉を漢方のスパイスで煮込んだ薬膳鍋をいただけるお店です。
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松永准教授「・・・・・・」、お口に合わなかったようです。

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私と水谷先生はおいしくいただきました。

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満足です。

 

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さあ学会です!初日のパネルディスカッションでは准教授がFESのアジアのトップランナーとして
参加されました。

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Akita FES Project の紹介もされました。

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学会中このような民族衣装のファッションショーもあり、記念にパチリ(私はホテルに籠もって発表
の練習中)。

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いよいよ発表です!私は当科で以前盛んに行われていた収縮後充血(Post Contraction
Hyperemia)に関しての研究をしています。その途中経過をまとめて発表してきました。

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発表は緊張したもののほぼ練習通りにできました。

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ifess2014_16質疑応答も頭真っ白でしたが必死に乗り切りました。

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夜の懇親会でも催し物がありました。マイケルジャクソンのような車椅子ダンサーや、

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民族衣装でのダンスを披露していただきました。

 

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さあメインイベントの表彰式です!結果は・・・・・・・・・・・・!

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なんと2位でした!

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(賞金何に使おう・・・)

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水谷先生、来年はまかせた!

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以上IFESS Annual Conference 2014 の帰朝報告でした。
今回受賞できたのはこのテーマを与えてくださった島田教授始め、ご指導いただいた松永准教授、い
つも協力していただいているリハビリの先生方、痛みに耐えて実験に参加していただいた被験者の
みなさんのおかげです、本当にありがとうございました。

股関節学会に参加してきました(木島 泰明)

第41回日本股関節学会学術集会が、2014年10月31日から11月1日まで、新宿の京王プラザホテルで行われました。本学会にはAkita Hip Research Group(AHRG)から、小西副会長、田澤vice-director、鈴木紀夫先生、木島の4名が参加しました。股関節学会の会員数は2700名に上るそうですが、本学術集会も初日の昼の時点で医師だけでも800名以上の参加とのことで、大変盛況な学会でした。

小西副会長によると、以前の股関節学会は骨切り術が主体だったのとことでしたが、今ではやはり変形性股関節症に対するTHAの演題が多数を占めていました。特に進行期・末期股関節症に対する関節温存手術のパネルディスカッションではRAOの演題はなく、大腿骨の外反骨切りを併用したChiari骨盤骨切り術と鏡視下デブリドマンのみでした。しかし、前・初期の股関節症に対してはRAOや臼蓋棚形成術が選択されるという発表が多いです。

一方で、最近はfemoroacetabular impingement(FAI)や股関節鏡の演題が大変増えています。JOSKASなどの関節鏡やスポーツの学会では、股関節鏡の手技や成績に関する発表が多いのに対し、股関節学会ではFAIや関節唇損傷の病態や発生機序などについての考察がなされる発表が多い印象でした。特にFAIに関しては、その定義や診断基準を世界的に決定していこうという大きなプロジェクトが動いており、それに向けたシンポジウムも組まれていました。

秋田からは小西副会長がTHAのアプローチの違いによる成績の違いを発表され、木島がAHRGを代表して、AHRG全施設で行ったTHA術後満足度調査の発表と、秋田大学を代表して変形性股関節症の痛みの要因に対する調査の発表を行いました。来年の股関節学会は2015年10月30日と31日に大阪で行われます。来年は駅伝大会に重ならないので、ぜひAHRG全員での参加を目指したいと思います。

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学会初日前夜に行われたAHRG meeting in六本木